約1ヶ月間続いたイスラーム暦のラマダーン=断食月は昨日無事終了し、今頃インドネシアの至るところで食えや歌えやの大宴会(禁酒のため「飲めや」は無し)が展開されていますが、私自身も今回の訪問で否応なく体験せざるを得なかった断食シーンの中でも一番印象に残ったのは、何と言っても一日の断食が終了するタイミングにおける電車内の雰囲気でしょうか。だいたい夕方5時53分頃になりますと、車内の人々が急にソワソワとし始め、荷物の中をガサゴソと探ってペットボトルor紙パックの飲料や甘そうな軽食を取り出し、5時58分頃「断食終了です♪」という車内放送(ふだんKCJでは冷房車でも車内放送を滅多にしませんが、誰もが関心を持っているこのタイミングについては御丁寧にも放送をしておりビックリ ^^;) とともに一同一斉にガブガブ飲みまくるという……。その直後に駅に到着してドアが開きますと、近所のモスクから大音量のアザーンが響きまくっている駅の構内では、日中ヒマでヒマで仕方がなかった軽食系の屋台に人が群がりまくり……。私は所詮「アッラーとの契約を守るのも大変ですなぁ……」と思う程度のカーフィル(不信心な異教徒)でしかありませんが、「これで大っぴらに人前で飲み食いできる」という瞬間はやはり嬉しかったですね (^^;)。
そんなラマダーンは当然のことながら、昼間我慢する分だけ贅沢に走ろうという消費性向が現れる期間でもあり、「断食を頑張った私に御褒美」的なココロをくすぐる商戦が展開されることで知られています。とくに、断食終了後の最初の一口をどうするか?は重要な問題ですが、そこにうまくアピールしているのが我が日本の○カリスエット! 大きな面積のステッカーを貼ることが出来るメトロ7000系の戸袋スペースに、敬虔なムスリムっぽいファッションでキメたイケメン君がポカリスエッ○を手にした写真と「ラマダーンの渇きに一杯。私とポ○リスエット」といった趣旨の (?) コピーをドドーンと掲げていたのは「上手いなぁ~」の一言に尽きました。(同様の広告はメトロ05系でも目にしましたが、恐らくジャカルタで初めての効果的な車内商品広告と思われ、今後他企業が真似るかも・・)
というわけで、本日はメトロ7000系をアップしてみました。メトロ7000系のうちインドネシアに輸出された車両は、副都心線対応改造の選に漏れて黄帯のまま「Y」ステッカーを掲げていたグループにあたりますが、大窓で製造された3次車がその多くを占め (?)、逆に車齢が古い1・2次車でありながら副都心線対応改造を受けて現役を続け、ついには東横線乗り入れが目前に迫っているあたり、何とも奇妙な運命の悪戯を感じます。要は、副都心線対応改造が本格化する前に更新修繕やVVVF化を受けていたか否かによるわけですが、「大窓でナウ (爆)」な車両として80年代に登場したはずの3次車がようやく更新時期に達した頃にイメチェン10000系の製造にぶち当たってしまい、今や「未更新のボロ」として所払いとなってしまったという……。そこで当面、木目かつキノコ貫通路デザインに合わせた袖仕切りを最大の特徴とする内装や、「プィィィ~ン」という昭和末期には如何にも「未来の音」だった電機子チョッパ音がジャカルタの地で生き延びることになったのは、鉄道車両技術・デザイン史の遺産を現物として保存する観点からみて非常に喜ばしいことなのではないかと思います(メトロ6000系も含めて)。
そんなメトロ7000系は現在4編成が揃い、タンゲラン線とタンジュンプリオク線を除くKCJ全路線で縦横無尽に活躍していますが、その未だに近未来的な印象を失わないデザインは鉄道当局にとってもすっかりお気に入りのようで、昨年あたりまでは様々なディスプレイで東急8500系が幅を効かせていたところをメトロ7000系がすっかり乗っ取ってしまいました (汗)。例えば、KCJ公式HPにおけるICカード登場予告画像しかり、断食明け祝賀画像しかり……。東急ファンとしては些か嫉妬、という感じでしょうか (^^;;)。とくに個人的には……メトロ7000系は昨年夏の訪問時点で散々運用開始が先延ばしにされて全く目にすることが出来ず、帰国直後に政府高官も出席した華々しいデビュー式典が行われたということで、デビュー後約1年を経てその活躍をようやく目にすることが出来たのでありますが、それだけに1年ぶりの訪問でメトロ7000系の怒濤の活躍ぶりを見せつけられ、すっかり浦島太郎気分に陥ったのでした……(笑)。
如何にもメトロ7000系3次車な車内であっても、イスラーム色が前面に出た広告で否応なく「ここはジャカルタ」ということを印象づけられます (^^;)。イスラームの教義では、豚を食べる異教徒が作ったものを飲んだり食べたりするのは宜しくありませんので、当然インドネシアで売られている○カ○スエットは日本製ではなく、インドネシア現地法人で作られたハラール食品(豚やアルコールを原料としておらず、コーランで清めたという認証をイスラーム聖職者から得た食品)となっています。(←これ豆知識 ^^;)