地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

瀋陽周辺鉄三昧 (4) 迫力のDL撮影

2006-08-31 23:42:08 | 中国の鉄道


 カタい話ばかりでも何なので (^^;)、少々前後してしまいましたが、以前ご紹介した謎の満鉄客車が留置されていた場所の入り口付近で撮影したDL牽引列車の走行シーンをお楽しみ頂くことにしましょう。
 この場所は、瀋陽駅から南西方向へ向かって二カ所目の立体交差にあたります (下をくぐる道路は鉄西区人民政府方面へ向かうメインルート)。道路からは踏み分け道があって簡単に線路に出ることができ、その位置からは瀋陽駅を発車した列車が徐々にエンジンのうなりを高めながら真っ直ぐ向かってくるシーンを思う存分堪能することが出来るのです (*^^*)。
 ちょうど、最新高速旅客用DL・東風11型 (最高速度は160~170kmくらい) に牽引された長春発広州行き特急 (距離が長っ!) がやって来ました。



 でもやっぱり個人的には、中国国鉄といえば東風4型一家でしょう!というわけで (^^;)、東風4D型に牽引されたパレット式貨車 (?) の長大編成に感動 (^^;)。たぶん郵便列車か、鉄道部のサイドビジネス「中鉄快運」の専用列車のどちらかでしょうか。



 そして、もっと満鉄客車の残党に近づいたあたりから後ろを振り返ると……装飾ガマ「旗幟号」(列車名ではありません) に牽引された緑皮車編成が! 社会主義国家と名乗るからにはやっぱこのノリじゃなくっちゃ! (笑)
 というわけで、短時間ではありましたが、ド迫力のDL撮影を満喫して悦に入ってしまったのでした。この場所、駅から近くてオススメです (^^

瀋陽周辺鉄三昧 (3) 満州事変の現場で撮る

2006-08-30 00:08:58 | 中国の鉄道


 さて、瀋陽=奉天といえば、高校で歴史を勉強した記憶を今でも保っている物好きな方なら誰もが思い出す非常に有名な事件が起こった場所です。それは……1931年の満州事変。 (満鉄の線路を日本の関東軍が爆破し、その責任を中国側に押しつけて戦線が拡大した結果、満州国成立・日中全面対立の原因に)
 というわけで、せっかく出張ではじめて瀋陽を訪れたとなれば、その事件現場を見に行ってみるのもそれなりに有効な時間の使い方だと言えましょう。
 もっとも、その現場の脇に開設された記念館は、侵略を謝罪しようという気持ちがバカバカしさで完全に吹っ飛ぶほどのゲンナリする内容でした。「明治以来の日本の英雄主義教育が悪い」と最初に言っておきながら、一番最後では「英雄主義を忘れた国は滅ぶのでしっかり学んで中国を大国にして見返してやろう」ってアンタ、やろうとしていることが戦前の日本と同じじゃあないですか。そういう「日本がやることは全て悪いが、同じことを中国がするのは良い」という態度が多くの日本人を中国嫌いにしているのが全く分かっていないから困ったものです。
 脱線はこの程度にしまして (爆……まあ、展示の支離滅裂な展開に興味のある方は是非どうぞ)、現場を訪れた以上、そこを走る列車を撮ってみたくなるのが人情というものでしょう (^^;)。しかしパッと見、道路や記念館と線路の間には木立や草むらがあって、容易に近づける雰囲気ではありません。(-_-)
 それでも諦めずに、記念館の門から少しだけ南西に向かって歩いて行きますと、怪しい工事用資材置き場の入り口が。そこを勝手に入って線路に近づいてみますと……はっきりとした人の踏み跡が線路と茂みの間に吸い込まれて行くように続いており、何とその先には線路をくぐる地下道がありました (笑)。その地下道の入り口あたりから柵越しに構えて撮影したのが↑の画像です! 韶山9型に牽引されたこの列車は、煙台発ジャムス行き。温暖な山東半島から、冬は極寒になる原野の地まで、なかなかご苦労な列車ですね。



 満州事変の地での撮影はまだ終わりません。この地下道をくぐってみると……先刻からやけに汽笛の音がするなぁ……と思っていたら、瀋陽の客運段 (客車区) に通じる引き込み線が通っていました。さらに北に向かって歩いて行くと、客運段の巨大なヤードにたどりつくことが出来ると分かりましたが、何しろ暑いうえに、この後の予定もあったのでパス (^^;)。客運段に出入りする回送列車は残念ながら来なかった代わりに、手前にある電化工事事務所から↑こんなレールバスによるPP工事列車が出発して行きました。この珍編成は儲けものでした (^^)。
 というわけで、意外と「鉄」的にみて濃いぃスポットでもある満州事変勃発現場。瀋陽を訪れた際にお一つ如何でしょうか。そしてもちろん、二度と鉄道がこのような歴史の震源地にならないことを祈ります。

相鉄検測車の世代交代・モヤ700始動!

2006-08-29 00:37:43 | 事業用車両


 昨年と今年の春に2両ずつ7000系からの改造を終え、東急車輌からかしわ台に甲種回送されて来た相鉄の新検測車モヤ700ですが、何故かその後しばらくの間 (最初に登場した701+702の場合は約1年半!) 全く動き出す気配もなく、かしわ台の奥の方で眠る日々が続いていました。
 しかし、私が海外出張しているあいだに大きな動きがあったようで、ネットをあちこち見て回ってみますと、8月中旬に竣工試運転が行われたとのこと!
 そして、この試運転は特に大きな問題もなかったようで、月末定例の検測走行が行われた昨日、ついにモヤ700が正式に検測車としてデヴューしました……! 
 この結果、従来の主役だった2000系 (モニ2000) はついに命脈を絶たれることになったようです……。横浜方面から電車に乗ってかしわ台に着いた瞬間、出番待ちで2番線に停まっていたモヤ700の姿を目にして、「この歴史的瞬間はやって来るべくしてやって来たのだなぁ……」と思いました。
 さっそく、そのままかしわ台では降りずに海老名へ向かい、相模国分信号所にて「モヤ700の検測車生で最初の一駅分の走行シーン」を撮ることにしました。結果は……かなり緊張しましたが何とか成功! このゲテモノっぽい前パンスタイルが何とも言えません (^^)。



 さて、意外だったのは、新検測車による運行が2両ではなく4両で行われたことです。架線検測に必要な機器は702に搭載されていると思われ (ゴチャゴチャした機器が一番先頭に出ているのもグッド! ^^;)、701+702の2両だけで十分走行可能だと予想されるのですが……怪しい救援機器らしきものが積まれた703+704も併結した4両で走行することには一体どのような意味があるのでしょうか? (^_^;)。まあ真相はモヤの中でしょうか (爆)。ともあれ17m車×3から20m車×4という長い編成になったということで……。しかしまあ横浜寄りの先頭車は、貫通扉つきのまま表示幕を撤去したマスクが何度見ても間抜けですね (そこがまたゲテモノ度に色を添えていてイイ味出しているのですが ^o^)。
 この相模国分での撮影のあとは、東京で会合があったため、その後の走行シーンはとりあえず撮影していないのですが、何はともあれ新しい検測車モヤ700はこうして走り出しました。相鉄の安全・正確な走行のための縁の下の力持ち (?) として、しっかり月イチのお勤めを果たしてくれることを期待したいと思います (^^

 この後は横浜まで向かい、その後東海道線に乗ったのですが、これほどの珍車のデヴューにもかかわらず沿線の撮り鉄の数が少なかった (ように見えた) のは、やはり2000系という半鋼製釣掛電車のようなインパクトがなく、今後はこれが長きにわたって日常的に走るからでしょうか。それとも、鶴見線でEast-iが走ったからでしょうか (東海道線の車内から目撃しました ^^;)。

06年盛夏の頂き物 (1) 165系アルプスさんの201系

2006-08-28 09:52:55 | 頂き物画像


 早いもので8月ももう終盤。私は出張ばかりでほとんど盛夏を味わったという印象がないのですが (^^;)、その代わりにいつもお世話になっている方々から貴重な画像を頂きましたので、ご紹介してみたいと思います~。
 まずは、中央線系統ひとすじの165系アルプスさんから頂いた一品を……一見何の変哲もない朱色の201系ですが、停まっている駅があれれ……? 何と全然ホームグラウンドから離れた、北アルプスの麓の明科駅!!
 ……そう、この201系は今年の夏に運行された諏訪湖花火大会臨! そして、165系アルプスさんによりますと、明科までの201系の運行は今年初めてなので、絶対に逃さず撮りに行かれたとのこと。そういえば、近々中央線にはヨ233なる電車が出現して、長らく中央線東京口の顔となっていた201系を2~3年のあいだに駆逐する計画だそうですから、明科入線というのも中央線201系の歴史の最後のほうに刻まれた貴重な1ページということが出来そうですね!
 あるいはまさか……ヨ233投入→201系を甲府・松本ローカルに転属→115系廃車という布石では……? (寒冷地で4扉はあんまりなので、やはりこれは妄想に過ぎないですね ^^;)
 個人的な201系の印象として、103系譲りの側面デザインや独特の電機子チョッパ走行音は結構好きなのですが (でも高尾以西では乗りたくない ^^;)、ブラックマスクが登場時以来どうしても好きになれず、結局今まで1枚も撮ったことがありません (^^;)。でもやはり、頂いた画像を拝見しながら、ぼちぼち記録しておこうかなぁ……と思いつつあります。
 というわけで、貴重な画像のご投稿、どうもありがとうございました~!

瀋陽周辺鉄三昧 (2) 通勤鈍行小さな旅

2006-08-27 14:46:27 | 中国の鉄道


 一般の幹線鉄道が長距離輸送から近郊輸送まで幅広く担っている日本とは違い、中国の鉄道はもともと長距離輸送偏重型で、ふつうの鈍行列車はもとより近郊輸送を行う短距離列車は元々非常に少なかったのですが、ここ10年ほどの間、線路容量を輸送力が逼迫しまくりの長距離急行・特急列車に振り向けようという政策やバス路線網の充実に伴い、ただでさえ少なかった鈍行や近距離通勤列車 (市郊列車) は激減してしまいました。切符を購入するときから列車で目的地に着いて駅を出るまでの全てが激しいバトルと言っても良い特急・急行列車の旅と比べ、鈍行、特に近距離列車のプチ旅は、押し合いへし合いとは無縁で、中国国鉄の魅力を短時間でじっくりと味わうには最適だ……と思っていたのですが、その機会が減って残念。(-_-)
 ところが、ここ瀋陽は中国全体で見ても際だって鈍行の数が多いエリア! (時刻表をぱらぱらめくった印象によります) たぶん、戦前から満鉄がたくさん区間列車を走らせていて、その遺産ではないかと思うのですが……とにかくこうなれば、出張時に出来たヒマを使って乗ってみない手はありません (笑)。
 そこで、数ある列車の中から選んだのが、瀋陽市街の西のハズレからさらに田園地帯を西に向かって走ったところにある「馬三家」という田舎の駅まで、約20kmの距離を毎日三往復している近距離列車です。特に、朝の1往復目であれば、瀋陽を7:15に出発して9:30に戻ってくることが出来、早起きして時間を有効に使うには最適です (^^)。
 まずは片道2.5元 (38円くらい) の切符を発車寸前に (^^;) 購入し、満鉄時代以来の東京駅に良く似た駅舎からホームへ。目指す列車は瀋陽駅の一番西のホームに停車していました。「朝方、瀋陽の中心部から田舎に向かう列車だから、さぞかしガラガラだろう……」と期待していたところ、見てびっくり。何と、すでにほとんどの席は労働者風のオッチャンたちで埋まっていました……。そして、例によって猛烈な煙草の煙とトランプの叫声 (爆)。……う~む、実は沿線にある工場か何かに向かう通勤列車だったようです (汗)。そして……チンタラと走り始めて皇姑屯駅・大成駅でもさらに大量の乗客が! こ、これは一体……。



 その真相は、瀋陽の街を完全に抜け出て、市街の外側を大回りする貨物線を跨いだあたりから明らかになりました。何と、途中3カ所のホームも何もない場所で停車し、そのつど客がワラワラと下車して行ったのです! その中でもダントツで下車客が多かったのが、↑のシーン……。ここは瀋陽西貨物ヤード&貨物用機関車基地の真横で、どうやらこの列車は国鉄職員の通勤列車だったのでした! 「利用する客は国鉄職員ともなれば、まあホームがなくっても良いか」という考えも出来ますが、しかしまあこの雰囲気は如何にも何事もテキトーな国・中国らしいひとこまです (^^;)。
 そうこうしているうちに車内はすっかりガラ空きになり、超ノロノロ列車は45分のショート・トリップを終えて終点の馬三家に到着しました。ここでは機回しを含めて約50分停車。まずは列車のあれこれを撮ってから一旦改札の外に出て切符を買い直そう……と思いつつ、デジカメであれこれ撮っていたところ、「珍しいヤツがいる」ということで、列車員の皆様に呼び止められました。中国の客車には1両に1人ずつ車掌が乗っており、ドア扱いと車内清掃を行っているのですが、こんな近距離列車ではそうそうやることもなく、折り返し時間中は基本的にヒマなのです (^^;)。

「お前何やってんだ?」「あ、列車の写真を撮るのが好きなもんで……」
 「へぇ~変わったヤツだな。そのカメラ、プロか?」「いえいえ、出張ついでにちょっと」
 「出張かぁ。お前さんどこから来た?」「日本の東京です……(横浜と言っても知らない人多し)」
 「へぇぇ~お前さん日本の華僑かぁ」「いえいえ華僑じゃなくて日本人なんですよ」
 「日本人なのに中国語しゃべれるヤツがいるとはねぇ~。大したもんだ」
 「いや~どうもどうも。ちょっと一旦外に出て切符を買い直したいんですけど」
 「そんな必要ないって。車内で切符を売ってやるから、ちょっと世間話でもどうよ?」

 ……ということで、列車長のオバサマ以下、日焼けした列車員の皆様との硬座車内ひまつぶしトークが始まってしまいました (汗)。如何にも田舎臭そうな駅前を散歩してみたかったのですが……(^^;)。基本的な話題は、瀋陽の印象やら中国国鉄の印象、それに日本の鉄道事情に関するあれこれなどなどでしたが、話題がいつの間にか歴史問題になってしまうのは、まあ瀋陽といういろいろな意味で日本との結びつきが非常に強い土地柄もあって致し方ないですな。ともあれ、普段は何もしていないように見える列車長のオバサマも、実は年齢のアドバンテージで常ににらみを効かせていたり、一番真面目によく働くのは補充券と現金が入った大きなガマ口を持った40歳くらいの専務車掌だったりということが観察できて、なかなか面白かったです。
 そんなこんなで、いつの間にか改札が始まり、今度は瀋陽へ買い物に行く地元の人で車内がいっぱいとなりました。そして9:30、列車は振り出しの瀋陽駅にゴールし、2時間少々の濃すぎるプチ旅は終了しました。

 さて、瀋陽近辺では鈍行の数が多い……と書きましたが、瀋陽鉄路局では最近、通勤定期を持って鈍行に乗る客のかなりの割合がニセ定期を所持している事実をつきとめ、(1) 購入手続きの厳格化 (2) むこう2~3年で鈍行列車の数を大幅削減、という方針を打ち出しています。瀋陽駅には常にダークグリーンの客車が出入りし、気軽に鈍行の旅を楽しめる……そんな環境が遠くなってしまいそうなのは寂しいことですが (-_-)、まあこの馬三家行き列車は国鉄職員輸送がメインなので、多分なくなることはないかな?と予想しています。というわけで、かなりおすすめのこの列車ですが、やっぱり乗って撮る場合には↑のような展開もあり得ますので、中国語は出来た方が良いかも知れません (^^;