先日のパクアン急行様を囲む宴では、インドネシアで新たに豪華客車を連結した「アルゴ・ブロモ・アングレック」が、1レ・2レに相応しい風格を取り戻したということで大いに注目の的となりました。如何せんブロモ・アングレック専用の下ぶくれボディ客車は、INKA最新客車と比べれば大いに見劣りするのは否めないところでしたので、なおさら、ということでもあります。
そう、いやしくも鉄ヲタたる者、それぞれの国を代表する1レ・2レたる者、それに相応しい風格を保って欲しいものだと切に願うものです。既に1レ・2レが消えてしまった日本では、のぞみ1・2号の1A・2Aがその栄光を代表している……のでしょうか? しおかぜ・しらさぎ・スーパーあずさ・スーパー北斗、それぞれに1D・2Dや1M・2Mを名乗っていますが、重みは如何ほどに……?
目を外に向けてみますと、1レ・2レが如何にもそれらしい座にあるのは、ロシア・シベリア鉄道のロシア号でしょうか (個人的には、ウラジオ〜モスクワ間鈍行の901・902レに憧れたものですが。爆)。北朝鮮の1レ・2レは平壌〜恵山間の運行ということで、金日成が抗日パルチザンとして白頭山麓に立てこもったという伝説にちなんでいます。中国の1レ・2レ(現在はT1・T2)は北京〜長沙間の運行ということで、毛沢東の出身地にちなんでいるわけですが、まぁ中朝両国は革命的に勝手にやって欲しいところです。今や中国のT1・T2は高速鉄道や他の同様の特快クラスの列車の中に完全に埋没し、特異なところがあるとすれば「紅色列車」の牌子を車内に飾っていることでしょうか (乗務員は全員優秀な共産党員で、サービスも中国国鉄の中では極上、ということ。他にも特快クラスはだいたい「紅色列車」「共青団号」だったりしますが)。
台湾の場合、むかしはキョ光11次、台東発台北経由高雄行きというハードコアな列車がありましたが、今やキョ光は500番台の列車番号を与えられる急行列車的存在に転落……。自強101次は台中発高雄行き、プユマ111次は南港発潮州行き……という感じですが、まぁ速いですけど昔のキョ光号のようなシブい重みはないですわな。総じて台鉄には、列車番号への思い入れというものは余りなさそうです。台湾はある意味で日本よりも合理主義的な国ですし。
東南アジアの場合、タイやインドネシア、そしてベトナムは代表的な特急に1・2を付けるという、スタンダードな選択をしているようです (ベトナムはSE1/2)。タイの1レ・2レはバンコクとチェンマイを結ぶ「ナコンピン号」で、今や中国製最新ステンレス車を使用しています。いっぽうミャンマーの場合、1レ・2レは決して速くなく、編成的にも他の速い列車と比べて見劣りするようです。ミャンマーの場合そのココロは、植民地行政 (そして独立後の行政)に必要な文書を運ぶ列車=Mailだからなのでしょう。
というわけで、さらに細かく各国それぞれの1レ・2レを考察していると、それ自体が各国の近現代史そのものであるということが分かります (笑)。しかしまぁ、混合列車としてここまで濃いぃ風貌の1レ・2レは、世界広しといえどもミャンマーの他にあるのでしょうか?