地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ハノイ以北サウナ鉄 (9) ハロン駅到着を撮る

2016-07-22 12:00:00 | ベトナムの鉄道


 ウォンビ駅にてハロン行き列車を見送った後は、ミニバスで列車を追い抜きハロン駅で待ち構える作戦スタート! 既に4年ちょい前の訪問時、ハイフォン~ハロン間をミニバスで移動した際の経験から、ウォンビの街の雰囲気はあらかた分かっておりまして、事前にGoogle Mapで確認した地図に従って、ミニバスが通る国道18号線に向かって歩いたのでした。しかしまぁ、今や車とバイクが万能なベトナムにあって、6月の激暑の街中をタラタラ歩くヤツは皆無であると見え (したがって、歩行者目線で掲げられた党共産越南の宣伝画やスローガンは全く意味なし ^^;)、道行くバイクのおっちゃんが次から次へとにわかバイタクに変身して声をかけて来ます (内心爆笑)。とはいえ、○ソ暑いと言いながらも、駅から15分も歩けば良い距離ですのでノーサンキューということにして、国道に到着~。むしろキツかったのは、頻繁に走っていると思っていたモンカイ (芒街) 行きのミニバスがなかなか来ず、10分ほど炎天下のアスファルトの上でじっと待たされたことでしょうか……(大型バスはバスターミナル以外の場所で止まってくれないのが痛い)。ようやくミニバスが来て、クーラーがキンキンに効いた車内に落ち着くと、思わずヘナヘナと脱力してしまったです……。徒歩+待ち時間で約30分ほど列車に引き離されてしまいましたが、どうせミニバスはハロン駅入口まで約30分で着き、一方列車は余りにもトロいため、焦りはさほどなかったのも事実です。



 というわけで、線路と国道が離れた区間であっさりと列車を抜いた後、終点一つ手前のイェンクー (安古) 駅前を通過し、「ここで一旦降りればイェンクーとハロンの二ヶ所で撮れるな」という考えも一瞬脳裏をよぎったのですが、さすがにイェンクーからハロンまでは列車の所要30分ということで、その間にすぐミニバスが捕まらない可能性もあり、炎天下バスを降りてハロン駅まで歩くことも考えれば些かリスキーだということで却下。大人しくハロン駅入口(とゆーか、切符を買う際に「バイチャイ [拝斎] まで」と言ったばかりに、バスターミナル前まで連れて行かれた ^^;) で下車し、将来の鉄道輸送の発展を見越して3面5線+側線の巨大ターミナルへと変貌したハロン駅に向かいました。もっとも、ここを始発とする長距離座席or寝台指定列車が存在しない現状では、真新しく結構デカい駅舎はもぬけの空 (笑)。駅舎脇のホームに通じる車道を、列車の到着に備えて商売人がウロウロ往来していますので、そこからすんなりとホームに入って待つことしばし……。正午を過ぎ、とにかく激烈な蒸し暑さが絶頂に達しましたが、ホーム上屋の存在にかなり助けられ、「新駅の完成によって、以前と比べて全く配線が変わってしまい、しかも長玉がないと撮りづらいぞこりゃ……」とつぶやきながら到着を待ったのでした。
 そして……ほぼ定時、山の彼方から短調なホイッスルが響き渡り、D14E+中国からの贈り物客車という編成が登場!! 大まかに言ってS字カーブを描きながらゆっくりと近づく列車を激写しまくり、停止後は酷暑で疲れ果ててヘナヘナと脱力してしまったのでした……。

ハノイ以北サウナ鉄 (8) ハロン線のトロい旅

2016-07-18 18:00:00 | ベトナムの鉄道


 清々しい青空の下の旅……しかし猛烈に蒸し暑い (@o@;)。



 ランマウ (蘭苗) 駅にて数分停車。忙しく激写してヘロヘロ。



 マオケ (毛渓) 駅では長時間停車。サトウキビジュース激ウマ!



 ウォンビ (汪秘) 駅で列車を降り、ハロン待ち伏せ作戦へ。

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 あっという間にベトナムとんぼ帰り旅も1ヶ月以上前の話となり、多忙にかまけてアップも後手に回ってしまいましたが (滝汗)、記憶が薄れないうちに備忘録の続きを……というわけで、ハロン線の行商列車がケップ駅でスイッチバックしてハノイ~ドンダン本線と別れてからの記録です。
 ハロン線に一歩進むと、それまでの三線軌条は終わり、純粋に標準軌のレールの上を進むことになりますが、ベトナム国鉄はハロン線の三線軌条化を進めており、途中駅の空きスペースには三線軌条用のコンクリート枕木が堆く積まれる風景が展開するようになります。要するに、三線軌条化の完成はまだまだ先ということですが、少なくとも工事自体は進んでいるということで、遅くとも3~4年後には完成するのではなかろうか……と。多分そのときが、満鉄客車の終焉の時となることでしょう。
 そんなことを思い、感傷に耽りつつ、今はすっかり平和で実り豊かな北ベトナムの田園風景を眺め、重厚なジョイント音に浸る……ということであれば良いのですが、とにかく車内は蒸し風呂! かといってデッキに出ると、外国人がここで転落されては困るというわけで、車掌氏が優しく「車内に戻ってネ」というジェスチャーをします。というわけで、行商客車 (Cクラス) しか連結されていない本日の道中、とりあえずロングシート部分に座ってじっとりと汗を流しつつ、忍の一字で走行音に集中し、やがて数分停車するランマウ駅に到着~。あちこち駆け回りながら、列車の表情を激写しまくりました・・・。直射日光が鬼のように強烈ですが、どのみち車内にいても蒸し風呂。撮り鉄にとっては激写して討ち死にしてナンボというものです (笑)。
 こうしてそれなりの激写の成果を得て、車内に戻るとあらびっくり……。それまでは客がほとんどいなかったロングシート部分は、ハロンまで一族郎党揃ってお出かけという雰囲気の大家族に占拠され、しかもオバチャンの声が壮絶にデカい……(-_-;;)。しばらくはじっと耐えていたものの、やがて音を上げざるを得ず (滝汗)、一応人が一杯気味な旧食堂車部分も何とか1人余計に座るだけのスペースがありましたので、そちらへ移動したのでした。食堂車部分の客は多くがグッタリしてテーブルに伏しており、何とも凄惨な光景です (^^;)。満鉄ハ5客車は窓が少なく、行商部分・食堂車部分・調理室部分で仕切られた車内は本当に風通しが悪い……。
 というわけで、最早長時間停車で外に出るタイミングのみを待ち焦がれる身となりまして、貨物扱いがあり得るため約30分停車するマオケでは、鉄板焼き状態のホームの上で大はしゃぎで撮りまくったのでした (笑)。そして、客車の影になる駅舎側ホームで営業しているサトウキビジュースの屋台 (単純に絞った汁を氷入りコップに入れるナチュラルドリンク♪) に飛びつき、美味い!美味すぎる!! この屋台は停車時間中、車内でも営業しており、死んだような表情の地元客もこぞって買い漁って生き返った表情になっていました (笑)。しかしまぁ……暑さに慣れているはずのベトナム人でもウンザリな暑さって何なのか……。あるいは、経済発展でクーラーに慣れきったベトナム人が酷暑に耐えかねるという、とんでもない時代のうねりが訪れているのかも知れません (^^;
 やがて列車は、大型トラックや豪華冷房バスがガンガン行き交う国道18号線と並行するようになり、クアンニン (広寧) 省西部の主要都市であるウォンビに到着~。とは言っても鉄道駅とその周辺は鄙びた雰囲気 (^^;)。ここで列車を降り、ミニバスで列車を追い抜いてハロン駅到着シーンを望遠系レンズで撮る作戦に打って出ることにしたのでした。既にハロン線は完乗していますので……。

ハノイ以北サウナ鉄 (5) ハロン線客車の肖像

2016-06-24 00:00:00 | ベトナムの鉄道


 満鉄客車ハ5 (?) の行商客車兼食堂車・C51003。



 住友製台車を履き、もとは由緒正しい (?) C51001。



 他の車両と比べると屋根が低く、椅子も撤去されたC51002。



 満鉄行李車HL71001。B41001/2未連結時はこの車両のトイレ使用!

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 ハロン線の超鈍行の旅においては、30分停車で罐を付け替えるケップ駅が最も客車の形式写真を撮りやすく、かつ朝の明るい光の中で撮影可能ということで楽しみにしていたのですが、前の記事で述べた通りのトゥーソン駅入換による大幅遅延でケップ駅での停車時間が削られ、泡を食った気分です。
 しかも……側線に留置された、最早全く使われておらず放置状態の車両が超特選揃いで、例えば、中国昆河線から持ってきたメーターゲージ客車あり、あるいはハロン線用1435mmの行商客車あり……(ハロン線客車を6連から4連に減車して余剰となったもの。行商客が減ったから状態の悪い車両を離脱させたのか、それとも状態が悪い車両が現れたから減車したのか……?)。これらを全部撮りたかったのですが、結局1435mm行商客車を1両撮るのみとなってしまったことこそ悲しけれ……。
 とまぁこんな感じで、ケップでは罐換えシーンの激写を挟んで、この日のハロン行き編成の4両を記録することに集中しまして、満鉄客車としては行李車HL71001と行商客車兼食堂車C51003を激写してハァハァ……という気分になったほか、2両の行商客車C51001/51002についても濃厚な日本の雰囲気をかぎ取ったのでした (華北交通・華中鉄道のいずれか出身であることは間違いないでしょう)。とくに、51002の台車は住友製ですし、残りの3両の台車もこの住友台車を1950年代に四方工場 (51003) と戚墅堰工場 (51001/71001) でコピーしたものであることが読み取れました。


 朽ちゆくC51005。屋根に残るガラベンはまさに日本のDNA。
 戦前、何処で製造され、何処に配置されていたのでしょうか?


ハノイ以北サウナ鉄 (4) D19Er単機

2016-06-22 00:00:00 | ベトナムの鉄道


 ケップ駅での罐換えシーンでは、実に意外な美味しいおまけが付いて来ました。何と……イェンビェンからここまで連結されていた貨車は全て、マオケ行きではなくドンダン行き(そして中国行き)ということで、ハロン行き客車とは切り離されたのでした。そして、ここまで編成最後尾に無動回送で連結されていた、ベトナム国鉄標準軌罐の「最新」型・D19Erが「グォーン」とエンジンを起動させ、やがてザーラム方へ。ハロン線本務機のD14Eがドンダン方からザーラム方へ走り去るのを激写して間もなく、ホームの南端あたりで両機がすれ違うという滅多に見られない光景が展開しました……。装着していたレンズは24-70mmですので、撮ろうにも小さすぎ、ただポカーンと口を開けて眺めるのみ……あな口惜しや! その後このD19Erは貨車編成のドンダン方に連結され、中国行きの車扱貨物オンリー列車の一丁上がり!

 

 それにしても思うに、
*D14Eの次位に、当面無動回送扱いでD19Erを連結。
*イェンビェン~ドンダン間の通しでD19Erが本務機を務め、D14Eはケップまで最後尾の無動回送、ケップで初めてエンジン起動。
……以上のいずれかにしていれば、こんなややこしい入換をする必要もないと思うのですが、本務機は常に先頭、無動回送機は常に最後尾、といった内規でもあるのでしょうか?! まぁ、おかげで面倒な入換を激写して楽しむことが出来たので全く結構なことですが……(笑)。
 それはさておき、滅多に列車が走らない (?) ベトナム国鉄標準軌用の罐にしては、やけにナウ (^^;) な雰囲気のこの罐……。他の最近のベトナム国鉄罐と同じく、四川省にある中国南車(現・中車)資陽工場製ですが、HUU NGHI(友誼)という愛称が付けられているあたり、南シナ海問題で中越両国が些か険悪な関係になる前の、経済面と共産党間交流を中心とした中越関係の「蜜月」を象徴しているのかも知れません。もっとも、中越関係がかなりヤバくなったとは言っても、ベトナムとしては特に北部の経済を盛り上げる上でも中国との関係を重視しているわけで、この罐が愛称通りに中越間の交通の担い手として今後も倍加して活躍できるかどうかは、あくまで中共次第といったところでしょうか。

 なお、D19Eという名称は、そもそもメーターゲージのドイモイ型機関車が名乗っているわけで、全く風貌もデカさも異なるこの罐が「r」を名乗っている意味は果たして如何に?! まさか、基本的な機関や出力は同じで、単にゲージや車体が異なるだけとか……と思いググってみたところ、漢語版ウィキペディアと資陽工場の製品紹介でその通りの説明がなされていました (汗)。D19Erは計5両しかない少数派のため、タマ数が多いD19Eと機器を共通化することでメンテの便を図っているようです。一方、この罐には「SDD3 0005」という中国風の車番が付され、何やら不思議な感じがしますが (D14Eには無い)、もしかすると保安機器などがCNR直通に対応しているのかも……と思いきや、資陽工場製の外国向けDLには広く「SDD」という形式名が付けられているようです。トルコ向けの機関車は「SDD10」だったり……。しかし「資陽 Ziyang」なら何故「ZDD」ではないのか……(真相は不明)。

ハノイ以北サウナ鉄 (3) D14E単機

2016-06-20 00:00:00 | ベトナムの鉄道


 トゥーソンを朝5時半前という大幅遅延で発車したハロン行き混合行商列車……とはいっても、所詮最高速度は30km程度しか出ず、それ以上飛ばせば老朽化の極みに達した客車が凄まじい悲鳴を上げてバラバラに分解しかねません (汗)。というわけで、あちこちで工場や宅地の開発が進むバクニン 北寧 省を、脇の国道を行く車にバンバン追い抜かれながらチンタラ進むのですが、夏の朝靄の中に睡蓮の花が咲き乱れるという、何ともベトナムのイメージそのまんまな風景が広がるのは優雅な話です。もし一般ボックスシート客車・B41001が来てくれればの話ですが……。
 というわけで、B41001の代わりに旅客用として充当されているC51003はと言いますと……この客車は恐らく満鉄ハ5形を出自としており、一部は食堂車に改造されています! かつて確か、いつもお世話になっております斎藤さんがハロン線に乗車された際のレポートを雑誌で眺めて、フォー (牛や鶏で出汁をとったベトナム国民食の米粉そば) を提供する非常に簡素でボロい食堂車のありさまに、思わずゴクリと唾を飲み込んだものです……(笑)



 しかし残念ながら、食堂車としての営業は休止となって久しく、テーブルが付いたボックスシート4×6の24名分が事実上の一般客室となっています。しかも、トゥーソンで乗った時点で、計6ボックスはイェンビェンから乗っている人々によって三々五々占拠されていました。では、彼らの中に割り込んで座るべきか……? 朝っぱらから猛烈な高温多湿ですので (-o-;)、狭い空間で身を寄せ合うのはイヤ過ぎますし、何と言っても私は鉄ヲタ。自由自在に動き回って写真を撮りまくるために来たのです (笑)。というわけで、誰も座らない行商客スペースに陣取り、板張りで浅いロングシートに改造されてはいるものの、満鉄客車としての矜恃を見せつける高い屋根の空間に包まれながら、この客車がかつて満鉄や華北交通の堂々たる複線上を駆け抜けた遠い昔の日々に思いを馳せたのでありました……。
 そんなこんなで、6時半にバクザン 北江 に到着~。ここでは最初の行商荷物積み込みの波があり、かつ北京発ハノイ行き国際列車 (但し車両はドンダンで乗換し、ベトナム国内はメーターゲージ客車1~2両で運転) との交換があるはずですので、やや停車時間が長くとられています。というわけで「確か北京発は木曜だから、土曜の朝にちょうど出会えるだろう」と目論んで、ハノイ行きの通過を待ち構えたのですが……いつの間にか荷積みが終了し、駅員氏が青旗を振りながら「発車するから乗れよぉ~ (たぶん)」と私に向かって叫びましたので万事休す (泣)。あれれ……? 北京からの列車が遅れているのか、それとも余りにも国際列車の利用客が少ないので北京~ハノイは廃止となり、南寧~ザーラムが残るだけなのか……? ザーラム駅の国際列車切符売り場に立ち寄るのを忘れましたので (^^;)、まぁ真相は、そのうちCNRの5月改正最新時刻表を入手すれば分かることでしょう。
 その後も相変わらず遅延回復には一切努めずにチンタラ走り、ドンダン~ハノイ線とハロン線の分岐駅であるケップに着いたのは7時20分頃。罐の前後を付け替えて折り返し発車するのが7時39分ですので、その間に猛スピードで罐換えシーンを激写し、かつ形式写真を撮りまくりました……(つづく)。


 この日は一般旅客用のC51003車内。長旅には過酷な椅子……。



 C51001車内。この客車もどう見ても日本的な雰囲気が……。



 バクザンでの数分亭車中。一両あたりの大きさが格段にデカい中国国鉄貨車が長々と連結されており、先頭までダッシュして編成写真を撮るのは諦めました (滝汗)。