日本の鉄道車両は堅牢で使い勝手も乗り心地も良いことから、メーターゲージや1067mmといった軌間を採用している東南アジア諸国で近年急速に日本の中古車を導入し、経済発展により拡大する輸送需要に対応して利用者の好評を博するという循環が続いているのは周知の通りですが、そんな東南アジアの日本中古車両を丹念に探訪され、RP誌を中心として精力的にレポートされている斎藤幹雄氏からこのたび、ビルマ(ミャンマー)で最近出現したぶっ飛び珍編成の画像を頂きました!
事の縁起は……Kuching様が幹事役となられて不定期的に開催されているインドネシアの宴にてお世話になっております斎藤様から「ヤンゴンを最近訪れた際、中国製らしいダークグリーンのDLが自走不能な日本中古DCを牽引しているというシーンが展開されていてびっくりした。このDLの出自は一体何なのやら」というお話を伺い、中国鉄を兼ねている私は「まじっすか!」と思わず反応 (笑)。そこで、このDLの由来や、中国製の罐が日本の中古車を牽引していることが如何に歴史上レアな出来事であるかを解説させて頂いたのですが (^^;)、その内容が先日発売のRP誌の記事にも反映されたという次第です。もっとも斎藤様曰く、紙幅の都合で内容を削られたのみならず、撮りまくられた画像も到底カラーでは収録できなかったとのこと。そこでこのたび大変有難いことに、拙ブログにカラー画像をお送り頂きました! ちょうど拙ブログの7周年にあたり、こんな超珍シーンを掲載させて頂くというのは何という栄誉でしょうか……。
いや~それにしてもこの組み合わせは凄い……の一言です。詳しい説明はRP誌・斎藤様の記事に譲りたく存じますが、客車代用のDCは日本の三セク中古車 (松浦鉄道)、中間に挟まっているのはビルマ(ミャンマー)国鉄のオリジナル車、そして牽引するのはCNR昆河線 (昆明~ハノイ線) の余剰車という……。三カ国混成部隊のごちゃ混ぜぶりもさることながら、個人的には中国罐+日本客車の組み合わせにとにかく腰を抜かしまくりです……。
中国を走る鉄道車両には勿論、満鉄系の各種車両にはじまって、1980年代の経済援助で輸出された6K型EL (河南~陝西省で活躍中)、そしてCRHのプロトタイプや最新鋭地下鉄車両の電装品などなど……日本人がかかわった膨大な数の車両がありますので (と申しますか、中国の鉄道システムそのものが相当程度満鉄の遺産)、中国罐と日本客車の組み合わせは単純に考えればそれほど違和感はないのかも知れません。しかし、厳密に《中国で製造された車両》と《日本で日本国内の鉄道のために製造された車両》の組み合わせを考えますと、私の浅薄な知識を動員する限り、戦後中国で生産された各種SL・DLと、戦時中に日本の国策鉄道として設立された華中鉄道に供出するべく新製後約8~9年で特別廃車となったスハ32系列との組み合わせ (90年代初頭まで活躍し、私も中国旅行中に上海近郊でチラッと見かけました……) ぐらいしか思いつきません。中国河北省・承徳の観光鉄道用として、鹿島鉄道のDLと北海道の「海峡」用50系客車を持って行く話が実現していれば、予備機として用意されたDL (この画像のDL・東方紅21型を耐寒化したもの?) が50系客車を牽引するという展開にもなっていたかも知れませんが……。
というわけで、こんな超珍編成が日常的に見られるというブッ飛びの展開を思うにつけ、う~む、来年3月に取れそうな長い休みは、フツーの観光や撮りバスも兼ねてビルマだな、こりゃ……という妄想が頭をもたげております (笑)。唯一最大の懸念材料は、最近の「軍政系民政」がとっている改革志向の政策がしぼんだりはしないか、ということですが……(鉄道撮影にも影響するでしょうから)。何はともあれ、画像をお送り頂いた斎藤様に心より御礼申し上げます! m(_ _)m
斎藤様によりますと、関係者としては一応故障したDCも自走可能にしたいという意向を持っているらしいのですが……やはり酷使→使い捨ての観が否めないですね~(苦笑)。まぁ個人的には、罐がDCを牽引するという珍景は大好きですので、自走出来ず放置されるよりは、こうして客車代用としてとことん使われるシーンの方が嬉しいですが (^^;)。そのうち、キハ52もこんな感じで牽引されるのだろうか……。あるいは、DD51を半分に切った魔改造DLのお出ましを願いたいものですが……(貨物入換用らしいのですが)。