8月以来延々と3ヶ月にわたってアップして参りましたジャカルタの鉄道事情、最初に103系低運車からアップを始めましたが、今回のアップを以て09年夏・初訪問の分は最終回となりますので、締めも103系と参りましょう。……と申しますか、最終回のために103系高運編成を隠し球としておいたのでありました(笑)。
ジャカルタ入りした武蔵野線用103系は、今年7月のダイヤ改正から(あるいはそのもう少し前から?)基本的に4連の運行が消え、4+4の8連が2本組まれておりますが、このうち低運編成はボジョングデorデポック~ジャカルタ・コタの朝夕急行運用(一部エコノミーAC) メインであるのに対し、高運編成はデポック~マンガライ(一部タナ・アバン)のエコノミーAC運用(日中は14時頃までデポックで昼寝)にほぼ固定されておりまして、デポック~マンガライ間の機織りはそれほど所要時間もかからないことから、この区間にいれば結構頻繁に103系高運車を撮影することが出来ます。ちなみに、デポック以北の103系低運急行も割と短時間で1往復しますので(デポック~ボゴール間が駅数の割に非常に長く、中央~ボゴール線の距離の約4割ほどを占めます)、両者を合わせますとラッシュ時のデポック以北は103系天国の感すらあるのです……(*^O^*)。本数は僅か2本しかないにもかかわらず、これは何とも言えないマジックです(笑)。
そんな103系高運編成、デポック方先頭車(車番忘れた ^^;) には日本時代の幕が温存されており、しばしば「新習志野」「海浜幕張」「むさしのドリーム・東府中」といった幕をネット上で目にしますが、今回の訪問時にはズバリ直球勝負で「東京」を表示しておりました……。
嗚呼! 東京からジャカルタまで、直線距離でも5000数百km! 香港・シンガポール等を経由して航海すれば、ざっと6000kmほどの距離でしょうか。東京と神戸のあいだを約5往復してようやくこの距離に達しますが、それは一見短いようで実は恐ろしく遠い……。いや、東京と札幌の間を「北斗星」で2往復すると記せば、どれだけ遥々とした航海を経て、103系や他の日本製電車たち(非冷房エコノミーを含む)がジャカルタにやって来たのかが分かろうというものでしょう……。
こう考えるにつけ、103系の「東京」幕には、最早永遠に還ることのない東京への望郷の思いすら感じられ、ふと目頭が熱くなってしまうのですが……同時にこの「東京」幕は、ジャカルタの鉄道関係者や利用者から見れば、日本の東京から購入した《信頼すべき電車》の証! これからも103系をはじめ中古冷房車たちは、そんなプライドとともにジャカルタの地で《日本》を代表し、現地の皆様のために走り続け、いつの日にか使命を全うして朽ち果てて行くことでしょう……。
オランダ領東インド改めインドネシアと日本の関係には歴史上様々ないきさつがありましたが、今や有り難いことにインドネシアは世界で最も親日的な国のひとつであり、日本にとっても最も重要な国のひとつである……ということが、初めての訪問でも即座に理解できた次第です。そして、インドネシアは民主化を実現して以来何事も日の出の勢いで (?)変わりつつあり、世界金融危機の打撃もそれほど大きくなく、まだまだ貧しさもあるものの全体としては明るい雰囲気が漂っているのが感じられます。そこで私もいずれ改めて、これからも当分続くであろう日本製電車の活躍を楽しむべく再訪し、変わりゆくインドネシアの活力と日本製電車が醸し出す独特の雰囲気を記録して行きたいと思っているところです。
というわけで、合計36回の連載に延々とお付き合い頂きまして誠にありがとうございました m(_ _)m