地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

宮城乗物縦断 (14) 宮城交通高速バス

2019-11-07 13:51:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 東北地方の主要都市間移動の手段としては、たとえば新幹線や高速道路といったものがある一方、在来線は主要都市と線路沿いの近郊の街を結ぶ手段へと没落しているのは些か寂しいものがあります。とはいえこの結果、新幹線を使うほどではないものの公共交通を使って主要都市間を移動したいという需要を鉄道が取りこぼしていることにつながり、そこのところをカバーしているのが高速バスです。仙台駅前のあおば通に佇んでいると、東北各地から仙台に集結する各社各様の高速バスが現れて、結構目を見張ります。



 そんな高速バス群のうち、近場をカバーする宮城交通の高速バスの画像を貼っておくことにします。
 1枚目の仙台〜古川線は、東北線と陸羽東線の乗り継ぎでは面倒臭く、さりとて新幹線は高いと思う層の需要を取り込んで、JRバス東北と入り乱れて頻繁運転されています。
 2枚目の仙台〜吉岡・大衡線は、地下鉄泉中央駅界隈から北へと延びる奥州街道沿いの大和町(たいわちょう)・大衡村(おおひらむら)の中心部と仙台を結ぶもので、かつて存在していた軽便鉄道である仙台鉄道の実質的な後継路線と言えそうです。仙台市営地下鉄を吉岡まで延ばすのと、この高速バスを走らすのでは、どちらが需要に見合って安いか一目瞭然ですので……。また、大衡村を単なる「村」と思い込むなかれ。旧奥州街道が通っていた丘陵地を潰してトヨタの巨大研究所が立地しており、その税収で相当潤っているために、市町村合併の波からも超然としているのですから……。山野の中に忽然と現れるトヨタ研究所の門前にも、当然のことながらこの高速バスのバス停がありました。

宮城乗物縦断 (12) 宮城交通@仙台

2019-09-27 14:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 2017年夏時点での仙台駅前はキュービックの夢の国♪



 同じ窓割り・車体長のキュービックが続々と流れていました。



 エアロスターの比率もそれなりに高いです。



 2019年春、いつの間にかエルガが主流に……。(@富谷営業所)

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 宮城県内の奥州街道を徒歩で北上しながら鉄道とバスを撮った記録を淡々とアップするシリーズは、しばらくの間2017年夏に訪れた仙石線と仙台臨海鉄道を扱うかたちで脇道に逸れておりましたが、再び仙台駅前に戻って奥州街道を北上することにします。
 仙台駅前・青葉通り界隈をウロウロしておりますと、怒濤のように行き交う路線バスの大群に思わず目を見張るものがありますが、その中でも如何にも名鉄子会社らしいカラーリングで活躍しているのが宮城交通バスです。
 宮城交通は複雑な経緯を経て宮城県内の零細なバス会社・鉄道会社が大合併した結果として、宮城県内の非常に広い範囲をカバーしていますが、その系譜の一部は、かつて仙台市内から奥州街道に沿って北上した軽便鉄道である仙台鉄道に連なっています。仙台鉄道がもし今も存在していれば、北仙台を起点として八乙女、七北田(地下鉄泉中央駅の東)、富谷といった仙台北郊のベッドタウンを結ぶ、(宮城電鉄が鉄道省に戦時買収された)仙石線並みに繁盛した路線になっていたのかも知れないと夢想しなくもないのですが、哀れ、仙台鉄道はカスリーン台風で路盤流出の大損害を受け、運休・廃止・バス転換となってしまったのでした。また、そもそも仙台鉄道は、東京から北へ北へと路線を延ばす日本鉄道が、仙台から北では奥州街道沿いを選ばなかったことに伴い、奥州街道の宿場町の危機感を受けて設立されたものですが、かりに日本鉄道が仙台以北でも奥州街道沿いのルートを選んでいたとしたら、果たしてどのような感じになっていたのか……と想像せずにはいられないものがあります。
 というわけで、仙台駅や泉中央駅に向かう宮城交通バスを眺めながらの奥州街道の道中は、秘かに鉄道界の「もしも」に満ち溢れたものでもあるのですが、今さらそんなことを考えるのは私ぐらいでしょうか?
 そんな宮城交通・仙台近郊の車両は、2017年時点では二段窓のキュービックが大いに幅を効かせていたものですが、今年の黄金週間の時点では、かなりの数がエルガに置き換えられており(名鉄のお下がり?)、泉ヶ岳の山並みを借景にした富谷営業所の前をせっかく通っても、「あれれ……キュービックぎっしりな光景を期待していたのに」とガッカリすること限りなし。これもまた諸行無常というものでしょう。

宮城乗物縦断 (9) 仙台市営バス

2019-08-22 12:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 1995年製というエアロスター☆



 色褪せて引退近しという雰囲気のブルーリボン……。



 ググって調べてみると、元横浜市営とな?! (^o^)



 この世代のエアロスターは見ていて本当に安心感あり♪

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 奥州街道の歩き旅道中が長町を過ぎて広瀬橋を渡り、仙台中心部に入りますと、久しぶりの大都会の眺めに腰が抜けそうになりますが (笑)、そんな仙台の街の中を縦横無尽に頻繁運転しているのが仙台市営バスです。その塗装もまた、実に公営交通らしくてシブく、天下の伊達・仙台藩のお膝元らしい質実剛健さに満ちていると思います。
 そんな仙台市営バスを、大きな交差点ごとに撮り貯めたかったのはやまやまですが、奥州街道歩きで仙台に到達した際には仙台在住の方にお出迎え頂いて一緒に歩いていたもので、撮りバスはしておりません (^^;)。その代わり、2年前の夏に仙台出張したついでにあおば通で撮り貯めた画像が未アップのままでしたので、奥州街道シリーズにかこつけてアップしておきたく存じます。もしかすると、90年代製の如何にもボロいエアロスターやブルーリボンは既に廃車になってしまっているかも知れません。悪しからず……。

東野色で走る那須高原の元神奈中

2019-06-09 18:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 かつては西那須野から黒羽まで鉄道も運行していた栃木県宇都宮以北のバス会社・東野交通は、2016年に東武グループから離れてみちのりホールディングス傘下となりましたが、同じくみちのり傘下として栃木県内に一大路線網を築く関東自動車と昨年経営統合し、関東自動車が存続会社となった結果、東野交通は会社としては解散という運命となりました。しかしその後も、東野交通時代の営業所は、自治体の「平成の大合併」後にしばしば旧自治体の名前が地名に冠せられているのと同じく、営業所名の前に「東野」をかぶせることでそのまま存続しており、総じて会社ごとのアイデンティティの違いに配慮した経営統合であったことを匂わせています。そこで当面、赤と白(一部は東武系バスっぽい新塗装)の東野交通色もそのまま残っており(今すぐ塗り替えるわけにも行かないでしょうし)、後輪の後ろに「関東自動車」と小さく補記された状態で走っています。



 そんな元・東野交通では、かつては元神奈中のブルドッグなども走っていたように記憶していますが (写真なし……)、東野交通の「本場」と呼ぶべき那須地区の場合、ここしばらくは宇都宮地区で古くなった車両の巣窟の感があったような印象があります。総じて三菱ふそう系が多く、那須岳登山でエアロスターのボロに乗る都度喜んでいたものです。それはそれでとても良い話ではありますが、ここに来て神奈中の2000年代前半のエアロスターが続々と廃車となって全国へと散りつつある中、那須地区にも急速に入りつつあるようで、先日約2年ぶりに那須岳を訪れてみると、那須塩原~黒磯駅~ロープウェイ間のメインルートで見かけた車両はことごとく元神奈中になっていました♪
 個人的に、2000年代前半の銀枠窓エアロスターは非常に好きですので、神奈中からゴソッと急速に消えつつあることを誠に残念に思うものですが、お気に入りの山のひとつである那須岳のヌシとして、今後もしばらく活躍してくれることを心から喜ばしく思ったのでした☆(残念と喜びのどっちだ? ^^;) バスコレで発売されたら必ずゲットします……(笑)。

福島乗物記2019春 (5) 湯野駅の神奈中

2019-04-29 12:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 花水坂駅南の鉄橋で飯坂線1000系の撮影を楽しんだ後は、徒歩で飯坂温泉に向かい、川向かいの昔ながらの温泉街の一角にあるバス停「湯野駅」に向かいました。ここから一日に3~4便だけ出ている福島駅行きのバスが、前日奥州街道を歩いてたどり着いた伊達駅界隈を通るためですが、勘の良い方はここまで読んでお分かりの通り、このルートはかつての軌道線(飯坂東線)のルートであり、それゆえ既に飯坂温泉へ向かう公共交通利用観光客の足としての機能は失いつつも、依然としてJTBの時刻表には載っているというシロモノです。また、そもそも軌道線は奥州街道の旧道筋をそのまま利用して敷設されており、前日福島の中心街からひたすら狭い旧道をたどりながら「ここを昭和40年代まで、細~いツラ構えの電車が10数分間隔で走っていたなんてアツすぎるだろオイ……」と思っていたのでした。福島競馬場の南の直線路とか、瀬上宿から伊達長岡にかけての街並みとか、軌道線が走っていた頃と余り変わらないと思われる街並みだったりしますし……。



 というわけで、温泉街ともシャッター街ともつかない古い家並みが途中僅かに途切れたところに、往年の軌道線の終点「湯野駅」がありますが、かつてあった駅舎は今や跡形もなく、未舗装の空間の入口にポツンとバス停のポールが立っているだけです。それはそれで何とも侘び寂びの極みでありますが、さらに奥に進むと驚喜の光景が待っていました……♡ 朝イチの福島駅東口行きが既にドアを開き、客がやって来るのを待っておりましたが、そのバスは何と元神奈中のエアロスター!! 前日の夕方見かけた湯野駅行きはエルガミオであったことに心底ガッカリし、鉄橋から飯坂温泉駅界隈に来るあいだも「折角往年の軌道線区間を乗るというのにエルガミオかよ……せめてエアロミディで来ないものか」と思っていましたので、ここに来て一発大逆転! エアロスターのゆったりとしたヲタシートで、伊達長岡まで短時間ながらも前面展望を楽しめるとは、何というラッキーなことでしょう……。
 そして湯野駅では、飯坂温泉始発で山奥へと分け入る路線に使われるエアロミディもスタンバイしていましたが、うち一台は元神奈中♪ 何とも言えない光景です……(^O^)。
 やがて運転手氏が現れて出発となりましたが、湯野駅発車時点では他の客はゼロ。そのこと自体、この路線が飯坂温泉訪問客輸送の役目を失って久しいことの現れなのでしょう……。その後、途中の停留所で数人の客を拾ったのち、東北本線を陸橋で越え、往年のデルタ線の遺構である伊達駅入口交差点を過ぎ、伊達長岡で下車。短時間ながらも極めて濃厚であった軌道線代替バス (?) のひとときの余韻に浸りつつ、県境を目指して歩き始めたのでした。そして帰宅後、さっそく神保町にて、RM LIBRARY『福島交通軌道線 (上下)』を購入したことは言うまでもありません。