[写真は大塚耕平ネクスト財務副大臣]
政府・自民党は2009年度本予算を「生活防衛のための緊急対策」と呼んでいます。
しかし、2009年度特別会計によると、財務省は来年度の外貨準備高(外為特会)の運用収入を前年度から7254億円減少すると見積もりました。(※1)
財務省所管 外国為替資金特別会計(※2)は、
「0201-00運用収入」として「3兆2997億6687万9000円」を見積もっています。
内訳は
0201-01 利子収入が 3兆2978億円余り。
0201-02 国際通貨基金報酬が 19億円余りです。
利子収入が前年度当初比7254億円も減るのは、円高ドル安と米国の利下げの2つの要因でまちがいないでしょう。
外為特会の為替レートは「前年の9月1日から10月31日までの実勢為替相場の平均額」としています(※3)。
では、2008年9月1日~10月31日の円・ドル為替レートを見てみましょう。
リーマンショックは9月15日でした。それ以降、大幅な円高ドル安となっています。米国は金利を下げています。
絶海の島国であり、輸出立国である日本。外貨準備をしっかり積むのは大事です。とはいえ、貿易が赤字になるという未曾有の危機に際して、トラの子の外貨準備(いわば“国民の外貨定期預金”)の利子収入が7254億円も減ってしまうという弱り目にたたり目。何のための外貨準備なのでしょうか!
これは自民党の54年間の長期政権による危機管理意識のたるみが招いた失敗としかいいようがありません。もう少し、ユーロ建て債券など分散投資(ポートフォリオ)をすべきだったのです。
米国(ドル)の経済・財政状況の変化で、日本の収入が一年で7254億円も減るということは、外交・安保に限らず、歳入面も米国追随一辺倒だということです。財務省は情報公開していませんが、外貨準備高1兆ドルのほとんどを米財務省短期債券(TB)というもので運用しているようです。“TB”はペーパレスで証券はなく、日米財務省の帳簿上のやりとりにすぎないという話も聞いています。
民主党の大塚耕平ネクスト財務副大臣は、米財務省に円建て国債を出させる民主党の対米財政金融外交の基本方針である「大塚ドクトリン」を昨年秋に表明しました。
大塚ドクトリン「円建て米国債を出せ」大塚耕平
先週の朝日ニュースター番組で、ネクスト財務大臣の中川正春さん(三重2区)が大塚ドクトリンを民主党政府で進めていく考えを示しました。 また昨秋、大塚さんは「外貨準備高100兆円を毎年5兆円ずつ取り崩して、10年間で50兆円にするというアイディアも考えられる」という趣旨の発言をし、波紋を呼びました。まあ、大塚さんは細かい人なので、大塚さんの正確な認識は大塚さんのホームページで確認してくださいませ(^^;)
きょうの中川財務相の財政演説の最中に「オバマ政権が米国債を“徳政令”したらどうなるんだ?」「それはヤバイだろ」といった類のやりとりを2ちゃんねるで見かけました。自民党&官僚が考えている以上にオピニオンは成熟しています。
※1 「外国為替資金特別会計」(財務省所管、コード10040)
外為特会(がいためとっかい)、外貨準備高、"Foreign Reserve"とも。
※2 「平成21年度特別会計予算 第171国会(常会)提出」という白表紙の冊子をお持ちの方は、172ページを開いていください。
※3 予算総則第6条3。これは「平成21年度一般会計予算 第171国会(常会)提出」という白表紙の「予算総則1ページ」というページに載っています。
埋蔵金はまだまだ一杯ありますよ!
「開けゴマ!」ならぬ「政権交代!」でざっくざく。
上と下のバナーを1日1回ずつクリックしてください。
↓
↓
午後1時から衆議院本会議、続いて参議院本会議が開かれ、国務大臣の演説が行われました。これで2009年度(平成21年度)本予算の審議がスタートしました。
麻生太郎首相が施政方針演説、中曽根弘文外相が外交演説、中川昭一財務相が財政演説、与謝野馨・内閣府特命担当相が経済演説を行いました。
この中で麻生首相と中川財務相は「現在の金融危機は100年に1度とも言われております」と述べました。そのうえで、首相は「1929年の大恐慌が(略)その後の世界大戦につながった」との趣旨の発言をしました。
民主党の財務金融部門では、「100年に1度という言葉はグリーンスパン(前FRB議長しか言っていない」(原口一博ネクスト総務大臣=佐賀1区)との指摘が出ています。
首相自身が1929年の大恐慌(The Great Clash)の例示しかしないのに、「100年に1度」との認識を主張するのは無責任に感じます。大恐慌から数えたら「80年に1度」です。なんでも先送りの自民党ですが、金融恐慌だけは20年先送りしてほしいものです。
中川財務相は「2009年度予算は生活防衛のための大胆な実行予算」との認識を強調しました。
[写真は首相官邸内ホームページの、のんきなバナー]
ところで、施政方針演説について、TVコメンテーターが「演説ではなく、原稿を読み上げているだけだ」と批判することがありますが、施政方針演説は閣議決定ですから、読み上げるのは当然。むしろ1字1句正確に読み上げることが大事です。ちなみに総理大臣が読み違えた場合は、読み違えた通りに議事録になるのが原則だそうです。
なお、中川財務大臣が1時53分から2時10分まで財政演説をしましたが、鼻をすすりながらろれつが回らず極めてたどたどしい演説でした。本来なら武士の情けで書かないのですが、主要閣僚ですので備忘録として書きとどめておきます。
さて、本予算審議スタートにあたって、改めて鳩山3原則(1月18日の民主党大会)を再確認したいと思います。
〈鳩山3原則〉
① 国会の論戦が主戦場である
② 総選挙に勝利して政権交代を実現する
③ 政権交代に満足せず、マニフェストを確実に実行していく
野党で迎える最後の予算審議です。政府を追及できる国会審議は、次は15年後ぐらいでしょう。私も昨日から予算書の読み込みを始めています。この予算書(フロー)を読めば、ストックで68兆円もの埋蔵金(細野豪志さんの試算)にたどり着くかと思うと、ワクワクします。これこそ、メシのタネです。
鳩山3原則の①国会での論戦が主戦場である。--なかんずく、衆院予算委員に選ばれた12人にとっては、第45回衆院選最大の選挙運動です。主権者の政治への関心はかつてないほど高くなっています。
国務大臣に演説に対する各党代表質問はさっそく明日から始まり、民主党・無所属クラブからは鳩山由紀夫さんが先陣を切り、元外務大臣の田中眞紀子さんが続きます。