野田職務執行内閣の岡田克也副総理は2012年12月21日(金)の記者会見で「私の気持ちはすでに決まっている」と述べ、12月25日(火)の民主党代表選への出馬に消極的な姿勢を示しました。そのうえで、第46期衆議院に、岡田さんが当選8回生として取り組む課題としてあげている①(配偶者)控除から(子どもに対する)手当てなどチルドレンファースト②行政事業レビュー、記者会見オープン化など「オープンガバメント」ーーについて、「安倍政権がしっかりとりくまないのなら、衆議院予算委員会で追及する」と語り、第1委員室での攻防に力を入れることを明言しました。
おそらく、衆院予算委(50人)の割りふりは、野党第1党の民主党が1理事と6~7委員、野党第2党の日本維新の会が1理事と5~6委員くらいになるのではないでしょうか。安倍政権は10兆円補正を1月下順位提出したうえで、本予算の成立は5月の連休前後を想定しています。この場合、1月下旬の代表質問の後、2月、3月、4月、5月上旬まで毎週、いずれかの院の第1委員室で予算委員会が開かれると考えられます。参院では維新の会は3議員なので質問に立てないでしょう。衆院では、民主党→日本維新の会に質問し、同じ時間を割り振られるでしょう。そこで、民主党が、さしかえも含めて、松本剛明さん、岡田克也さん、前原誠司さん、細野豪志さん、玄葉光一郎さん、枝野幸男さん、さらには勝ち残った若手の猛者を投入。安倍総理が現行憲法下初めての再登板ということで、本人の希望があれば、菅直人さん、野田佳彦さんら首相経験者も質問に立てば、これは、維新の会とは相対的にまったく違う、自民党への挑戦権は民主党だということが広く国民に認知されるはずです。油断大敵ですが、準決勝戦は民主党が絶対に維新に勝ちます。そのうえで、参院選1人区の攻防をどうするか。これは新代表・新幹事長の腕の見せ所です。民主党は衆議院第1委員室で成長した政党です。その原点に返ればいいのです。そうすると、一般法案を3分の2で再議決するためには、衆院通過後60日間が必要ですので、参院選ギリギリのスケジュールになってきます。この衆院予算委員会で党を立て直すということが、国会議員団、地方議員団、連合も含めて共有すべきでしょう。
さて、民主党の2012規約は「与党らしい規約」ですが、在野時のネクスト・キャビネット(次の内閣)の規定もあります。しかし、下野直後の規定がありませんでした。2010年英労働党が、5月上旬に下野して、副党首のハーマン女史を党首代行に立てて、新会期が始まる直前の9月下旬まで5ヶ月弱党首選をやりました。この間、7人の衆院議員が毎週最下位が1人落ちていくという「アメリカ横断ウルトラクイズ方式」で、新党首を選びました。ずっと1位だった、ミリバンド前外相が、決勝戦で、ミリバンド前経産相に僅差で大逆転されるというスリリングな展開でした。労働党支持者は、臥薪嘗胆が長いと覚悟したから、より年齢の若い、弟に世代交代させたのかもしれませんが、それは労働党ファミリーの仲間内の腹づもりなので分かりません。このアメリカ横断ウルトラクイズ方式をとるには、ハーマン党首代行のような人物を事前に規約で置いておかなければなりませんでした。民主党は与党時でも代表代行を置けますが、野田さんがこれを置かなかったのは失策だと認めるべきでしょう。労働組合がつくったのが労働党ですが、民主党と連合は対等な関係であり、組織が重複しているわけではありません。連合はすでに春闘に入っており、長期間の代表選につきあう余裕はありません。あるとすれば、賃金闘争がない公務員系労組だけでしょう。ですから、25日に代表を選出すべきです。あすの両院議員・落選者・地方代表による総括会議には、落選総支部長は新幹線自由席で上京するでしょう。そのうえで、マスコミの少なさに、野党になったことを体感していただきたい。そのうえで、1月になっても露出が減って不安でしょうが、1月下旬から参院選まで常に国会中継の場では民主党は確実に前進できます。いわば、トレンディドラマのシナリオはまだできていなくても、出演者の顔ぶれはすでに発表されているのですから、一定の視聴率は確実にとれるでしょう。だから、1月上・中旬はあいさつ回りに徹して大丈夫でしょう。
心配ご無用です。
◇
私が長年追い求めてきた「政権交代ある二大政党政治」にとっては朗報です。
2009年の政権交代では、勝った民主党の岡田克也幹事長が直嶋正行政調会長とともに、首相官邸に乗り込み、河村建夫・官房長官から様々な引き継ぎを受けました。これを見た小沢一郎氏が怒り、側近を通じて、総理就任前の代表を締め上げて、両院議員総会で岡田幹事長を更迭し、小沢幹事長に取り替え、代表不在の党本部を小沢グループに乗っ取られ、スタートでつまずきました。もうこんなことはあってはなりません。NHK開票速報では、早い時間から「石破幹事長留任」とのニュースが流れました。
岡田さんと石破さんは、新生党衆院議員として、首相官邸に乗り込み、羽田孜総理に対して「衆議院解散ではなく内閣総辞職すべきだ」と働きかけたことがありました。岡田さんは来週火曜日に官邸を去りますが、その前に、今週火曜日、石破さんが回転ドアのように官邸に乗り込んできました。衆院選の開票が確定した2012年12月18日(火)、留任が決まった石破幹事長は官邸で藤村修官房長官から引き継ぎを受けたり、自民党の要請にもとづき、野田内閣が26日に特別国会を召集することを藤村さんが確約しました。これでスムーズに政権交代ができそうです。
そして、3年3ヶ月ぶりに政権を取り戻し、官邸に乗り込む石破さんの表情。火曜日のNHKニュース7から。
[写真]仏頂面で官邸に乗り込んだ石破幹事長、2012年12月18日(火)、NHKニュース7から。
[写真]カメラ陣のようすをうかがう石破幹事長、2012年12月18日(火)、NHKニュース7から。
[写真]猛烈なフラッシュの嵐に破顔万笑の石破幹事長、2012年12月18日(火)、NHKニュース7から。
久しぶりに浴びる官邸のフラッシュにアンパンマンのような笑顔の石破幹事長。日本を、取り戻す。官邸を、取り戻す。石破先生、よかったですね~~(^_-)
やはり、野党党首が与党になり官邸にいけば、党本部が留守になるので、幹事長は留任させるというのが政権交代時の不文律、すなわち憲政の常道になっていく。その一歩だと考えます。
[写真]新与党への協力を約束した藤村修官房長官(右)、2012年12月18日(火)、NHKニュース7から。
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