【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎民主党代表(ネクスト首相)に海江田万里さん 「経済に強い民主党」、「説明力がある民主党」へ

2012年12月25日 19時35分37秒 | 第182特別国会(2012年12月)安倍再登板

 第2次野党期の民主党代表(次の内閣ネクスト首相)に海江田万里さんが就任しました。2012年12月25日(火)のクリスマス両院議員総会で選出され、任期は2015年9月末日まで。衆議院議員57人と参議院議員88人が投票し、海江田候補が90票、馬淵澄夫候補が54票、無効1票でした。

 海江田万里さんは当選6回の63歳。団塊の世代では3人目の代表。経済財政政策担当大臣や「3・11」の原子力行政を担当する経済産業大臣をやりました。東京1区比例復活当選。

 国会会議録データベースによると、海江田さんは初当選以来、野党議員や閣僚として過去332回国会で発言しています。そのうち本会議は29回とかなり多い登壇回数で、閣僚を経験したため参院本会議でも6回発言しています。その次は花形の予算委員会で136回。そして、財務金融委員会(旧大蔵委員会含む)で63回、経済産業委員会で43回発言しています。これ以外は安全保障委員会だけで、一貫して経済畑を歩んできたことが分かります。直近では最後の国会における本予算修正で「健全野党路線」が定着した第136住専国会の特別委員会や、「政策オタク・民主党」路線を決定づけた第143金融国会の特別委員会にも参加しており、民主党の歴史を体現しているともいえます。

 海江田さんは投票前の演説で、「落選した人への財政的支援を年内に決める」「政策はまずは経済政策で、安倍晋三新首相のアベノミクスにひそむ危険性を指摘していく」「与野党の協力は社会保障と税の3党合意の枠の中でやる」「(民主党、日本維新の会、みんなの党の)野党間協力は参院の選挙に勝つために(1人区などの調整を)やる」と語りました。当選後のあいさつでは「粉骨砕身、私をむなしくする」として、無私の気持ちで取り組むことをアピールしました。

 午後4時から記者会見があったようですが、午後4時半から霞が関で岡田克也副総理の卒業記者会見がありましのたで、私はそちらに行きました。岡田さんは「落選している人材をバックアップしたい」と述べ、第1次野党期の郵政選挙後に日本を2周半したようなイメージで、応援に回りたい意向を示しました。

 私は海江田さんが代表ネクスト首相になってよかったと思います。なにしろ、3年3ヶ月、経済が弱すぎました。実態経済をまったく理解していない。これはひどいもんでした。これからは、例えば時事通信社の「官庁速報ヘッドラインメール」(無料) に登録して、毎朝、その日の各府省・日銀が発表する統計を読む。それと日常活動での社長さん店長さんの声を心身一体できざみつける。午前8時50分は統計です。さらには、上京時には大丸東京店、選挙区内にあれば百貨店に時々行く。健康のために階段で上ってはいけません。百貨店は必ずエレベーター付近に売れ筋が並びます。「高級婦人服」のように、「高級」という看板が立っている第3次産業はデフレ下では百貨店だけです。私が見ていて、リーマンショックの直前から、「3階高級婦人服売り場」は人がいなくなりました。高級婦人服売り場は景気先行指標です。あまりに人がいなくてショックならば、地下1階食品売り場(デパ地下)に行けば人がいますから、安心です。そして、桜の咲く頃、1階化粧品売り場で、18歳、22歳の女性がうれしそうに美容部員さんに顔をやってもらっている姿。実は、この春は、この光景も少なかったですね。仲の良い50歳代の姉妹とおぼしき女性2人組が、資生堂でやってもらっていました。外国の高級ブランド、あるいは、アンチエイジング化粧品は誰もいませんでしたが、やはりデフレだと、「東京銀座資生堂」に回帰する現象があるようです。

 そして、説明する、説得する技術です。海江田さんは経済評論家として、経済の説明、中国古典の解説の本を出しています。バブル期に海江田さんが経済評論家としてテレビで「複数の銀行の口座を持ってもいいけど、はんこは一つにまとめても防犯上問題ないし、そうすべきだ」という話を覚えています。海江田さんの説得のメッセージはしっかりと伝わっています。

 選挙対策としては、来夏の第23回参院選の都道府県別選挙区では、みんなの党が東京選挙区(5人区)、日本維新の会が神奈川選挙区(3人区)で改選議員がいます。しかし、それだけです。選挙協力では現職の多い民主党にとって、割が合わない選挙協力になります。それでも、海江田万里代表と新幹事長は譲るべきところは譲って力仕事に早めに取り組んでほしいです。

 国会対策としては、民主党は野党としてすべて本予算を3月31日までに通してきました。来年度はすでに自民党幹事長が本予算成立が5月にずれ込むことを認めています。そして、7月に参院選です。一般法案の3分の2再可決は、衆院通過後60日経ってからの話です。一般法案の実績はほとんどないまま、今年度1次補正予算と来年度予算を数ヶ月執行しただけで参院選になだれ込みます。必ずチャンスがきます。例えば、ヨーロッパの景気回復が遅れて、来年7月の日本の景気が悪ければ、自民党は言い訳できないでしょう。与党・自民党が不況下で参院選に勝ったのは、1992年に宮沢喜一自民党が東京サミットのさいちゅうに参院選を行ったときだけ。これもおたかさん土井たか子社会党の参院2連勝が揺り戻したという側面も大きいです。

 このブログで経済・外交の話で見出しをとると、アクセス数が減ってしまうため、あまり経済のことを書きませんでした。第183通常国会から第23回参院選にかけては「経済(財政、景気)攻め」でやっていきたい。私自身も3年3ヶ月の第1次与党期にとにかく書きたいことを記録するしゃかりきコロンブスな状態が続いたので、これからは海江田民主党とともに説得、説明の技術を磨いていきたい。

 
[写真]がんばろう3唱する、馬淵澄夫候補、海江田万里代表、野田佳彦首相(前代表)、民主党ホームページから。

 さまざまな良さを集約する。例えば、自民党では安倍総裁らが頑張ろう3唱をやっています。しかし、以前は自民党は「自由民主党万歳3唱」をしていました。民主党文化である「頑張ろう3唱」が自民党にも伝播したのです。公明党は「エイエイオー、エイエイオー、エイエイオー」の勝ちどきです。とはいえ、民主党の「頑張ろう3唱」だって労働運動をそのまま真似たわけではありません。労働運動では、「団結ヨーイ!」というかけ声をかけてから頑張ろう3唱をします。第46回衆院選の総括では、一部の地域で、(前)衆議院議員が連合や地方議員を下に見ているところがあったとの指摘がなされたようです。許し難いおごり高ぶりです。例えば、「デフレ下で消費税を3%上げるとかえって減収になる」などということはありえません。古今東西の通貨の歴史で、そんな「ハイパーデフレ」が起きたことを一度もありません。自分の日常活動の中から言葉が出て、自分の行動を説明すべきです。

 海江田代表のもと、虚心坦懐に経済を学びましょう。経済は習うより慣れよ。そして、説明していきましょう。とても良いチャンスだと考えます。

 海江田代表のもとに、団結ヨーイ!

 チャンスはけっこう目の前にあります。
 
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