【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第182回特別国会閉会 衆議院議長「国の主権者は国民の皆さまお一人お一人です」

2012年12月29日 17時13分59秒 | 第182特別国会(2012年12月)安倍再登板

 第182回国会(特別会)は伊吹文明衆議院議長、赤松広隆衆議院副議長、安倍晋三首相を選出。衆議院の各常任委員長、特別委員長のほか、入閣予定の参議院委員長の辞任に伴う補充を終えて、2012年12月28日(金)閉幕しました。

 民主党からは近藤昭一・懲罰委員長、荒井聰・沖縄および北方対策特別委員長が誕生しました。一方会派に関係なく、衆議院では平成21年度決算の審査がいまだに終わっていなていたらく。その中で、自民党の新藤義孝・前決算行政監視委員長が総務大臣として、入閣しましたが、日本維新の会の谷畑孝・決算行政監視委員長は党派を越えて、平成21~23年度決算を弾丸のように通常国会のうちに審査を終えてほしいと願います。場合によっては、3年分一緒に審査するということもやむを得ないのではないでしょうか。

 これにより、2012年国会は終わりました。1月24日(火)召集の第180回通常国会が9月8日(土)まで延長されたことから、私はとても長い1年に感じました。来年の第183回通常国会は2013年1月28日(月)召集の予定。

 さて、伊吹文明新議長の2012年12月26日(水)の本会議での就任挨拶が印象に残りました。当日の本会議では安倍首班指名の議員別の投票結果もつくことから、議事録がホームページに上がるのが時間がかかると思いますが、衆議院ホームページの議長あいさつが、だいたい同じ趣旨だといえるでしょう。

衆議院・議長のあいさつから引用はじめ]

 国の主権者は国民の皆さまお一人おひとりです。皆さまの主権を正当な選挙で委ねられた国会議員よりなる国会を、日本国憲法は、「国会は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である」と定めています。

 衆議院は、参議院とともに国会を構成し、法律の制定をはじめ、内閣総理大臣の指名、政府(内閣)提出の予算の議決、条約の承認などの国民生活に直結する大切な役割を担っています。
 また、国政の基本方針や国際社会の問題から、国民生活に関する身近な課題まで幅広く議論するとともに、国政調査権に基づき、行政が適切に執行されているかどうかを調査したり、国民から受けた請願の審査をおこなう等の活動をしています。

 国民の皆さまから選ばれた私たち議員は、真摯な議論を通じ、責任を持ってこの国を正しい方向に導くために、「開かれた」「わかりやすい」国会を目指しています。国民の皆さまには、自分達の問題として、国会での質疑に関心を持って頂きたくお願い申し上げます。

 このホームページでは、衆議院の組織、衆議院の本会議や委員会における審議状況等の情報を提供しております。国民の皆さまには、ホームページをご覧いただき、国会に対する理解と関心を更に深めていただければ幸いです。

衆議院議長

 伊吹文明

[引用終わり]

 日本国憲法前文で「主権の存する日本国民は」と書いてあることから、このブログでも「主権者は日本国民」だと主張し、政権交代に向けてややスローガン的に扱ったときがありました。このとき、現在民主党参議院議員になっている人から「まだ日本では主権者ではなく、有権者という表現の方がいいのではないでしょうか。そんなことを言うと官僚出身的だと言われそうですが」とのアドバイスをいただきました。その後、「主権者は私たち」という表現が西松事件(陸山会事件)を契機に、小沢一郎さんを社会的・刑事事件的に支持するいわゆる「小沢信者」のスローガンになり、やがて左翼のスローガンになるという訳の分からない変遷を私も経験しました。が、こうして衆議院議長が「国の主権者は国民の皆さまお一人おひとりです」というところからあいさつを始めてくれているので、私としても報われた思い。やはり、国会とは、相手があって成り立つ物だと感じます。

 相手があって成り立つ国会において、民主党が来年の定期党大会で新しい綱領を策定する。それはイデオロギーではなく、政権交代可能な二大政党勢力の結集をはかることが可能なものを、地方議員団、応援団も含めてつくっていくうえで、「伊吹問答」を出発点として提示します。

 第174通常国会の2010年2月5日(金)の衆議院予算委員会

 伊吹問答は次の通りです。

 「それで、では、簡単なことを聞きましょう。総理、入学試験は認める、必要なものだと認めますか。あるいは、特許権というものの権利を認めてあげるということはいいことだと思いますか。あるいはまた、ユニクロの安売り商法というのはどういうふうにお考えになりますか

 これだけの内容です。すなわち、この3つの問いに答えるためには党綱領がないとその政党の政見を主権者が理解できないという指摘です。

 これに対して鳩山由紀夫総理大臣(民主党代表)は次のようにしどろもどろに答弁しました。

入学試験、何の入学試験かわかりませんが、入学試験というものによって、ある意味でその試験によって、その成績で、当然、倍率が高いときに結論を出すというやり方は、私は十分考えられるものだと思っております。特許権というものも現実にあるわけでありますので、知的財産権の議論というのはいろいろあろうかと思っておりますが、特許権も当然存在を認めるべきだと思います。あと何でしたか、忘れましたが……(発言する者あり)ユニクロの安売りですか。ユニクロの安売り、その安売り商法で、これは経済にのっとってユニクロが商売されているわけでありますから、それを一概に悪いとかいいとか言うべきものではありませんし、消費者が選んでいるわけですから、よろしいんじゃないでしょうか

 これでよく3年3ヶ月も政権が持ったものです。負けるべくして負けたんです。 

 民主党が「せっかく」野党になったので、このブログは今後、ていねいに説明・説得する技術を磨いていきたいと考えていますが、この伊吹問答への解説はこれだけで、あとはほっぽておきたい。

 伊吹問答は、自民党が第2次野党期としてはじめて迎えた当初予算審議のその最初の1日目の質疑で出ました。こういう野党伊吹議員の建設的な攻撃から、流れができ、ふたたび政権交代して伊吹議長が誕生した。力のある人には、良い時代になりました。主権者である国民一人ひとりも見る眼が問われる時代になっています。来年1月28日からの第183通常国会で、民主党衆参議員はかならず流れをつくることができる。それは役者の顔ぶれだけで分かります。野党は国会がなければ何一つ仕事がありません。その1ヶ月間、テレビに出ないところで、ていねいに用意ができるか。それが問われています。楽観視できるパラダイムだと考えますが、半年、あるいは4年間、楽観している余裕がない。というのが正直なところかもしれません。私は、参院選で、民主党が駄目なら、民主党と日本維新の会とみんなの党の政権担当可能な野党勢力が結集すればいいのとも考えています。というのは私は保守だからです。それはさておき、参院選前までの半年、私も経済を中心に国会を見ていきたいし、伊吹問答に答えたい。

 主権者一人一人の足腰が試される歴史的局面がまだまだ続きますので、それに備えていく所存です。

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