【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「防災減災等に資する国土強靱化基本法案」が審議入り 自公の参院選勝利後に成立か

2013年06月25日 15時36分40秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

[画像]防災減災などに資する国土強靱化基本法案の趣旨説明をする自民党の二階俊博さんら、後ろ3列目まですべて自民党議員、2013年6月25日(火)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【衆議院災害対策特別委員会 2013年6月25日(火)】

 野党時代の自民党の「国土強靱化法案」と公明党の「防災・減災ニューディール法案」が合体した「防災・減災等に資する国土強靱化基本法案」(183衆法18号)が第183通常国会で審議入りしました。

 趣旨説明する自民党の二階俊博さんの後ろには、3列目まで自民党国会議員が控えるという、議員立法としては重厚な陣容となりました。

 二階さんはまず、「東日本大震災は、私たち日本人がいかに地震災害と身近に生活しているかを知らしめた」と切り出し、「今般、東南海・南海地震についても、最悪の事態も含めた被害想定がされている」と指摘しました。そのうえで、「大規模災害から国民の命を守るのは政治の大事な使命」と強調し、

 「狭い意味での防災対策を乗り越えて、産業政策も含めた国家百年の大計にもとづく国づくりとして行っていく」と抱負を述べました。

 そして、「事前防災・減災の考え方もとりこんで、しなやかな国づくりに取り組む」ために、「各府省庁、地方自治体を横断的にとりくんでいく」として政官の総力を挙げて国土強靱化する意欲を表明しました。

 内閣に国土強靱化推進本部を設置し、(政府・与党が閣議決定する期限を区切った)国土強靱化基本計画をつくる法案だと説明しました。

 「東南海・南海地震に関する地震防災対策推進特例法の改正法案」(183衆法28号)、「首都直下型地震対策特別措置法案」(183衆法43号)もあわせて趣旨説明されました。

 二階さんは「東南海・南海地震は国難ともいえる巨大地震になる」、「関東大震災を上回る首都直下型地震が起きたら首都機能はどうなるだろうか」と想像力を働かせながら、法案の趣旨をアピール。

 「最後に、一言申し上げます」として、「日本列島は大規模な地震の活動期に入ったとも言われており、一刻も早く3法案を成立させて欲しい」と懇願しました。が、翌日で会期末になることから、今国会での成立はおろか衆院での可決の見通しもなく、継続審査となり、第23回参院選で、自民党と公明党が、各種業界団体などの獅子奮迅の活躍で参院でも過半数を得た上で、第184・185回秋の臨時国会での成立をめざすもよう。

法案全文引用はじめ]
第一八三回

衆第一八号
防災・減災等に資する国土強靱化基本法案
目次
第一章 総則(第一条-第七条)
第二章 基本方針等(第八条・第九条)
第三章 国土強靱化基本計画等(第十条-第十四条)
第四章 国土強靱化推進本部(第十五条-第二十五条)
第五章 雑則(第二十六条-第二十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模災
害等(以下単に「大規模災害等」という。)から国民の生命、身体及び財産を保護し、
並びに大規模災害等の国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすること
の重要性に鑑み、事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資
する大規模災害等に備えた国土の全域にわたる強靱
じん
な国づくり(以下「国土強靱化」と
いう。)の推進に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び国土強靱化基
本計画の策定その他国土強靱化に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、国土
強靱化推進本部を設置すること等により、国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的
に推進し、もって公共の福祉の確保並びに国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に
資することを目的とする。
(基本理念)
第二条 国土強靱化に関する施策の推進は、東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発
生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)
から得られた教訓を踏まえ、必要な事前防災及び減災その他迅速な復旧復興に資する施
策を総合的かつ計画的に実施することが重要であるとともに、国際競争力の向上に資す
ることに鑑み、明確な目標の下に、大規模災害等からの国民の生命、身体及び財産の保
護並びに大規模災害等の国民生活及び国民経済に及ぼす影響の最小化に関連する分野に
ついて現状の評価を行うこと等を通じて、当該施策を適切に策定し、これを国の計画に
定めること等により、行われなければならない。
(国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的
に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、第二条の基本理念にのっとり、国土強靱化に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を総合的かつ計画
的に策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者及び国民の責務)
第五条 事業者及び国民は、国土強靱化の重要性に関する理解と関心を深め、国及び地方
公共団体が実施する国土強靱化に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(関係者相互の連携及び協力)
第六条 国、地方公共団体、事業者その他の関係者は、第二条の基本理念の実現を図るた
め、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
(法制上の措置等)
第七条 政府は、国土強靱化に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制
上の措置その他の措置を講じなければならない。
第二章 基本方針等
(基本方針)
第八条 国土強靱化は、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。
一 迅速な避難及び人命の救助に資する体制の確保、女性、高齢者、子ども、障害者等
の視点を重視した被災者への支援体制の整備、防災教育の推進、地域における防災対
策の推進体制の強化等により、大規模災害等に際して、人命の保護が最大限に図られ
ること。
二 国家及び社会の重要な機能の代替性の確保、生活必需物資の安定供給の確保等によ
り、大規模災害等が発生した場合においても当該機能が致命的な障害を受けず、維持
され、我が国の政治、経済及び社会の活動が持続可能なものとなるようにすること。
三 地震による建築物の倒壊等の被害に対する対策の推進、公共施設の老朽化への対応、
大規模な地震災害、水害等の大規模災害等を防止し、又は軽減する効果が高く、何人
も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりの推進、大規模災害
等が発生した場合における社会秩序の維持等により、大規模災害等に起因する国民の
財産及び公共施設に係る被害の最小化に資すること。
四 地域間の連携の強化、国土の利用の在り方の見直し等により、大規模災害等が発生
した場合における当該大規模災害等からの迅速な復旧復興に資すること。
(施策の策定及び実施の方針)
第九条 国土強靱化に関する施策は、次に掲げる方針に従って策定され、及び実施される
ものとする。
一 既存の社会資本の有効活用等により、施策の実施に要する費用の縮減を図ること。
二 施設又は設備の効率的かつ効果的な維持管理に資すること。
三 地域の特性に応じて、自然との共生及び環境との調和に配慮すること。
四 第二条の基本理念及び前条の基本方針を踏まえ、実施されるべき施策の重点化を図
ること。五 民間の資金の積極的な活用を図ること。
第三章 国土強靱化基本計画等
(国土強靱化基本計画)
第十条 政府は、国土強靱化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地方公
共団体の国土強靱化に関する施策の実施に関する主体的な取組を尊重しつつ、前章に定
める基本方針等及び国が本来果たすべき役割を踏まえ、国土強靱化に関する施策の推進
に関する基本的な計画(以下「国土強靱化基本計画」という。)を、国土強靱化基本計
画以外の国土強靱化に係る国の計画等の指針となるべきものとして定めるものとする。
2 国土強靱化基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 国土強靱化基本計画の対象とする国土強靱化に関する施策の分野
二 国土強靱化に関する施策の策定に係る基本的な指針
三 前二号に掲げるもののほか、国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的に推進す
るために必要な事項
3 内閣総理大臣は、国土強靱化基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、国土強靱
化基本計画を公表しなければならない。
5 政府は、国土強靱化に関する施策の実施状況を踏まえ、必要に応じて、国土強靱化基
本計画の見直しを行い、必要な変更を加えるものとする。
6 第三項及び第四項の規定は、国土強靱化基本計画の変更について準用する。
(国土強靱化基本計画と国の他の計画との関係)
第十一条 国土強靱化基本計画以外の国の計画は、国土強靱化に関しては、国土強靱化基
本計画を基本とするものとする。
(国土強靱化基本計画の実施に関する勧告)
第十二条 内閣総理大臣は、国土強靱化基本計画の実施について調整を行うため必要があ
ると認める場合においては、関係行政機関の長に対し、必要な勧告をすることができる。
(国土強靱化地域計画)
第十三条 都道府県又は市町村は、国土強靱化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を
図るため、当該都道府県又は市町村の区域における国土強靱化に関する施策の推進に関
する基本的な計画(以下「国土強靱化地域計画」という。)を、国土強靱化地域計画以
外の国土強靱化に係る当該都道府県又は市町村の計画等の指針となるべきものとして定
めることができる。
(国土強靱化地域計画と国土強靱化基本計画との関係)
第十四条 国土強靱化地域計画は、国土強靱化基本計画との調和が保たれたものでなけれ
ばならない。
第四章 国土強靱化推進本部
(設置)第十五条 国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、国土強
靱化推進本部(以下「本部」という。)を置く。
(所掌事務)
第十六条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 国土強靱化基本計画の案の作成及び実施の推進に関すること。
二 関係行政機関が国土強靱化基本計画に基づいて実施する施策の総合調整に関するこ
と。
三 前二号に掲げるもののほか、国土強靱化に関する施策で重要なものの企画及び立案
並びに総合調整に関すること。
(国土強靱化基本計画の案の作成)
第十七条 本部は、国土強靱化の推進を図る上で必要な事項を明らかにするため、大規模
災害等に対する脆
ぜい
弱性の評価(以下「脆弱性評価」という。)の指針を定め、これに従
って脆弱性評価を行い、その結果に基づき、国土強靱化基本計画の案を作成しなければ
ならない。
2 本部は、前項の指針を定めたときは、これを公表しなければならない。
3 脆弱性評価は、国土強靱化基本計画の案に定めようとする国土強靱化に関する施策の
分野ごとに行うものとする。
4 脆弱性評価は、国土強靱化に関する施策の分野ごとに投入される人材その他の国土強
靱化の推進に必要な資源についても行うものとする。
5 本部は、国土強靱化基本計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、都道府県、
市町村、学識経験を有する者及び国土強靱化に関する施策の推進に関し密接な関係を有
する者の意見を聴かなければならない。
6 前各項の規定は、国土強靱化基本計画の変更の案の作成について準用する。
(組織)
第十八条 本部は、国土強靱化推進本部長、国土強靱化推進副本部長及び国土強靱化推進
本部員をもって組織する。
(国土強靱化推進本部長)
第十九条 本部の長は、国土強靱化推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総
理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
(国土強靱化推進副本部長)
第二十条 本部に、国土強靱化推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、内閣
官房長官、国土強靱化担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、国土強靱化に関する施策
の総合的かつ計画的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣
をいう。)及び国土交通大臣をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。(国土強靱化推進本部員)
第二十一条 本部に、国土強靱化推進本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。
(資料の提出その他の協力)
第二十二条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政
機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)
第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政
法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をい
う。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特
別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十
一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の
提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 本部は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定
する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(事務)
第二十三条 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官
補が掌理する。
(主任の大臣)
第二十四条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任
の大臣は、内閣総理大臣とする。
(政令への委任)
第二十五条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
第五章 雑則
(国土強靱化の推進を担う組織の在り方に関する検討)
第二十六条 政府は、国土強靱化の推進を担う組織(本部を除く。)の在り方について、
政府の行政改革の基本方針との整合性に配慮して検討を加え、その結果に基づいて必要
な法制上の措置を講ずるものとする。
(国民の理解の増進)
第二十七条 国は、広報活動等を通じて国土強靱化に関する国民の理解を深めるよう努め
なければならない。
(諸外国の理解の増進)
第二十八条 国は、国際社会における我が国の利益の増進に資するため、我が国の国土強
靱化に対する諸外国の理解を深めるよう努めなければならない。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
国土強靱
じん
化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、国土強靱化の推進に関し、
基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び国土強靱化基本計画の策定その他国土強
靱化に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、国土強靱化推進本部を設置する等
の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

[法案全文引用おわり]