【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

年金10年法案、人事院勧告の給与アップ法は、あす成立のはこび がん対策基本法改正案で「雇用継続」参で全会一致で起草[きょうの国会]

2016年11月15日 17時05分12秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

【参議院厚生労働委員会 平成28年2016年11月15日(火)】

●年金10年法あす成立、来年10月13日(金)支給分から、対象者は申請が必要

 「年金加入期間を25年から10年に短縮する法案」(192閣法6号)が全会一致で可決しました。

 あす16日の本会議で成立の見通し。法律の施行は公布日ですが、「10年条項」は、来年2017年10月13日(金)支給分から適用へ。新しく受給資格を得たの人は、日本年金機構の年金事務所への申請が必要。過去の分には遡及されません。10年ちょっとの人で、国民年金は月1万円から2万円未満とみられます。

 民進党と希望の会は、施行日を前倒す修正案を提出。他の野党の賛成もあったようですが、否決されました。続いて政府原案の採決で、上記の通り、全会一致で可決しました。

●がん対策基本法改正案「雇用継続の義務」などが全会一致で起草、あすの本会議で可決し、衆送付のはこびか

 「がん対策基本法改正案」(192参法おそらく50号)を、厚生労働委員長が朗読し、全会一致で委員長起草法律案として、本会議に提出することになりました。内容は5項目以上の多岐にわたるようで、「がん患者の雇用の継続についての事業主の責務」などが書き込まれる、抜本的改正のようです。衆側の厚労委が不正常のため、11月30日(水)の当初会期内に衆院でも可決・成立するかどうかには、他の要因があります。

【参議院内閣委員会 平成28年2016年11月15日(火)】

●人事院勧告を実施する国家公務員一般職及び特別職給与法があす成立のはこび、来週水曜日にも施行し、差額分支給か

 平成28年度人事院勧告を完全実施する、「国家公務員一般職給与法改正案」(192閣法9号)と「国家公務員特別職給与法改正案」(192閣法10号)が賛成多数で可決しました。あす成立。施行日は、おそらく来週の水曜日だろうと推測します。4月に遡って計算しなおし、4月から先月(?)までの差額アップ分は各省が職員に支払います。

 採決は、共産党、維新の党、希望の会(自由党)が反対し、自民党、民進党、公明党が賛成しました。討論でその理由を共産党は「本給の引き上げは当然だが、扶養手当のうち配偶者手当の削減が問題だ」とし、維新は「人事院勧告制度そのものに反対だ」と別々の方向性で説明しました。希望の会の山本太郎さんは討論はしませんでした。

 同じく、国家公務員特別職である、国会議員秘書等給与法改正案(192衆法1号)と国会職員育児休業法改正案(192衆法2号)は既に衆・議運委や本会議で可決しており、あすの本会議で成立するものとみられます。下に書く、参・法務委、衆・安保委では、裁判官、検察官、自衛官の給与法案がこれから、審議されることになっており、可決はずれ込みます。

【衆議院総務委員会 平成28年2016年11月15日(火)】

 「地方公務員育児休業法改正案」(192閣法11号)が趣旨説明され、散会しました。

 これに先立つ一般質疑では、社民党の吉川元さんが「財務省の財政制度等審議会が、まだ議事録がインターネットで公開されていないが、地方財政計画そのものに懐疑的な態度をとっているようだ」と指摘。高市総務相が呼応し、「財政審の試算そのものに疑問があると随所で指摘している」と賛同しました。来週12月22日(木)にも臨時閣議決定されるとみられる、「平成29年度当初予算案」に向けて、総務省と財務省の地財計画及びそれに連動した地方交付税をめぐる駆け引きが、熱くなりそうです。

【参議院法務委員会 平成28年2016年11月15日(火)】

 「外国人技能実習生機構法案」(189閣法30号衆修正)と「入国管理法改正案」(189閣法31号)を審査。与野党の質疑を一巡させ、きょうは散会。

【衆議院安全保障委員会 平成28年2016年11月15日(火)】

 稲田防衛相と岸田外相の所信的発言に対する一般質疑が行われました。常任委員会でもっともスケジュールが遅れていました。岸田外相は参のTPP特の集中審議にも呼ばれていましたが、与野党とも質疑が続きました。

 同日朝の定例閣議で初めて決定した、PKOの南スーダン実施計画での駆けつけ警護の付与についても聞かれ、稲田防衛相は「訓練している」などと答弁しました。

 この後、平成28年度人事院勧告を完全実施するための、「自衛隊給与法改正案」(192閣法15号)が稲田防衛相から趣旨説明され、散会しました。次回は17日(木)午後1時半からで、おそらく採決になるでしょう。

【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会(衆倫選特)】

 午後から、高市総務相が入って、「最高裁判所裁判官国民審査法及び公選法などの改正案」(192閣法7号)の質疑。

 最高裁判所裁判官国民審査法そのものには、期日前投票について本則に書き込んではありませんが、衆院選と時期を合致させます。今回初めて国民審査法を読んだら、これも、日本国憲法により、昭和22年にできた法律ということで、現行憲法ができるときは大変だったろうなと思いを馳せました。在外投票の改正条項も入っています。

 法案採決。全会一致で可決すべし、と決まりました。施行日は「公布日から3か月以内の政令で定める日」なので、解散をめぐっての憶測には基本的には関係ない、と考えていいでしょう。

 この後、別エントリーにも書きましたが、岩屋毅さんらの動議で、「水産高校の洋上投票を可能にする公職選挙法改正案」(192衆法のおそらく3号ないし4号)」を起草すべし、としました。民進党の牧義夫さんが、同議案を朗読。共産党の塩川鉄也さんが発言し、岩屋毅さんらが答弁しました。この後採決し、全会一致で可決しました。

【参議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会(参TPP特)平成28年2016年11月15日(火)】

 「TPP協定の条約承認を求めるの件」(190条約8号)と「TPP国内実施法案」(190閣法47号)

 「国民生活に関する集中審議」、テレビ入りの集中審議。

 佐藤正久さんは「オバマ現大統領はTPP最終合意で、中国に国際法のルールを書かせないと言った。オバマ大統領と共和党(トランプ=DJT次期大統領)は同じではないか、としました。この日朝の定例閣議で決定した南スーダンPKOの駆けつけ警護について、国連事務総長も名を連ねた報告書で、南スーダンの情勢を「強く懸念する」と書かれていることについて質問。安倍首相は「危険を伴うが自衛隊にはできる」としながらも、国連関連の報告書については、問い合わせていることを明らかにしました。

 自民党の高橋克法さんは地元の栃木県の農業について質問。

 民進党の田名部匡代さんは政権時代の農林水産政務官として、農業の持続可能性を問いただしました。

 ◇

●消費増税延期法案は参委審議入りせず

 消費増税延期法案は、参財金委、参総務委とも開かれず、審議入りしませんでした。

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公職選挙法改正案で、岩屋毅さんが発言 18歳などの水産高校生の洋上投票を可能にする法案 元政治改革を実現する会

2016年11月15日 15時49分19秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[画像]岩屋毅さん、2016年11月15日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 7月からスタートした、18歳・19歳に選挙権を付与する改正公職選挙法で、水産高校の生徒が洋上投票できなかった問題で、自民党の岩屋毅さんら各党が、衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、対処すべし、との動議を提出しました。

 平成28年2016年11月15日(火)の委員会で、公職選挙法改正案が起草され、委員長が本会議に提出するはこびが全会一致で決まりました。

 岩屋毅さんは、ユートピアの会(武村正義代表幹事)の一員で、CP研比較政治制度研究会(岡田克也事務局長)のメンバーとともに、政治改革を実現する若手議員の会(石破茂・渡瀬憲明共同代表)を結成。平成6年政治改革4法(改正公職選挙法、改正政治資金規正法、新法・政党助成法、新法・衆議院選挙区画定審議会設置法)完成の立役者の一人となりました。

 岩屋さんは昭和32年1957年生まれで、平成2年1990年の衆院選で、自民党の非世襲議員では最も若い32歳で初当選。同じ党ですが、佐藤文生・元郵政相を追い落とす格好の初当選で、佐藤さんがジェラルド・カーチス教授の「代議士の誕生」の主人公であることから、中選挙区での世代交代の象徴とされました。また非世襲で最年少であることから、象徴的存在となりました。

 非世襲で32歳の岩屋さんや、36歳で初当選した岡田克也さんに加えて、「私のような世襲議員を増やさないで」という痛切な発信をした若手世襲議員らにより、平成5年1993年の宮澤解散や、平成6年1月の法律が成就しました。

 上記の自民党の流れだけでなく、当時・野党の経験しかなかった公明党で政治改革をリードした佐藤茂樹さんも答弁しました。

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