ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

内閣委員会で、議員立法「SNSストーカー規制法案」と「IRカジノ施設法案」が審議、あすから延長国会へ[きょうの国会]

2016年11月30日 17時19分37秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

【衆議院内閣委員会 平成28年2016年11月30日(水)】

 あすから14日間の延長国会に入るので、仕切り直しになるなか、秋元司委員長(自民党)が理事会で与野党の合意を得ない、職権での設定で開催しました。

 民進党が反発して、欠席戦術をとる中、まず、参議院内閣委員長の難波奨二さん(民進党)が「SNSを追加する、ストーカー規制法改正案」(192参法51号)について、趣旨説明しました。

 民進党側から見ると、一見すると、衆参でちぐはぐした対応が冒頭から起きてしまいました。自民党国会対策委員会がどこまで脚本をかけていたかは、分かりません。ただ、難波さんは委員長の職責を全うしないと本会議で数では解任されてしまうので、委員長としての任務を優先するのは当然のことです。

 ストーカー規制法案は、まず質疑者の共産党の池内さおりさんが登場。「与党が強引に会期を延長した後で、全会一致が基本の議員立法を強引に審議入りした」と批判。その後、賛成の立場から、法案の内容について、参・民進党、参・公明党などの答弁を得ました。

 採決の結果、全会一致(自公共維賛成、民進党は欠席)で可決しました。次回の衆議院本会議で成立します。「公布の日から20日後に施行」なので、クリスマスには間に合わないのではないかとみられます。

 この後、「IRカジノ施設推進法案」(189衆法20号)が筆頭発議者で、自民党最大派閥会長の細田博之さんから趣旨説明されました。質疑では、まず自民党の谷川弥一さんが「審議入りに感謝する。IRカジノ推進議員連盟に参加するすべての先生に感謝する」としました。谷川さんの質問に、自民党の岩屋毅さんらが答えて、「IR統合リゾートとは、カジノだけでなく、複合観光施設だ」とし、「メリットとしては成長戦略、雇用拡大、納付金など。デメリットとしては、ギャンブル依存症、治安、青少年への影響、反社会的勢力(ヤクザなど)の除外だ」という趣旨の答弁をしました。

 公明党は立ち位置が微妙ですが、ベテランの佐藤茂樹さんが質問し「40分間の質疑で基本的な考え方が分かった。次回行こう、国民の納得が深まるような議論をしていきたい」として、採決を急がないよう促しました。

 この後、民進党の質問時間40分は、欠席戦術なので、いわゆる「空回し」となりました。

 次に、共産党の島津幸広さんが「委員会の運営に抗議したい。今国会では与党の横暴が窮まる。TPPでの強行的な運営の後、私は内閣委員会の理事会で、あのようなことがないように、委員長に迫り、委員長から丁寧な運営を約束してもらった。しかし、今日強引に職権立てした」という趣旨の発言で批判しました。そのうえで、IRカジノ施設法案について「発議者だけではなく、官房長官、国家公安委員長、法務大臣の出席を次回以降求めたい」として慎重審議を求めました。

 島津さんはさらに、豊臣秀吉以来の大阪経済の盛衰の歴史に言及。日本維新の会で、大阪10区比例の松浪健太さんは「IRはまだ大阪(と横浜)に、決まったわけではない」としながらも、地域経済活性化への意気込みを示しました。

 島津さんは、アメリカ各州の法規制にも言及。さらに「公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレース)の年売上高6兆円よりも、パチンコの同19兆円の方が多い」として、ギャンブル依存症への配慮を強く求めました。

 日本維新の会で、大阪15区比例の浦野靖人さんは「まず審議入りをお礼する」とし、「IR法案は、維新結党以来の悲願だ」とし、党の歴史を振り返りました。ただ、「生活保護者がパチンコに行くなんて完全にギャンブル依存症ですよ」とし、配慮を求めました。同党で、もともとは山梨県選出だった、小沢鋭仁さんは「日本人を排除するカジノ施設だと憲法違反だとの指摘がある」とし、外国人による出島のような運営の構想は実現しがたいとの認識をにじませました。ちなみに、小沢鋭仁さんは「私にとって、ストーカー法案とIR法案が同じ日に審議されるとは感慨深い」と述べ、どういうことなのか詳細は分かりませんが、議員立法には、各人にいろいろな経緯があるものだなと感じました。 

 次回は公報で知らせることにして、散会しました。

【参議院 平成28年2016年11月30日(水)】

 ありませんでした。

【衆議院情報監視審査会 平成28年2016年11月30日(水)】

 開かれました。

この記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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人事院勧告の自衛隊給与法が公布され、施行 初任給1500円、俸給0・17%アップ、ボーナス0・1か月アップ

2016年11月30日 08時42分15秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

 自衛隊職員(自衛官)の給与を引き上げる、平成28年度人事院勧告を実施するための、改正給与法が、きょう平成28年2016年11月30日(水)、公布され、直ちに施行されました。

 内容は、ことし4月に遡って、初任給を月1500円%アップ、給与(俸給表)を0・17%アップ、手当(ボーナス)を0・1か月分アップする内容。

 ただ、アップばかりでなく、民間に準拠して、来年4月に、配偶者と子の扶養手当を同額にする改正も法律に盛り込まれました。これにより、配偶者手当が引き下がられる見通し。このため、転勤が多く、平均年齢が若い、自衛官ファミリーには、他の国家公務員と比べて不利になるのではないか、との反対論も国会で審議されていましたが、法律は人事院勧告通りの防衛省案で成立しました。

 このほか、裁判官と検察官の給与法もきょう公布され、ただちに施行。すでに施行済みの、国家公務員一般職、国家公務員特別職、国会議員秘書の給与法とあわせて、平成28年度人事院勧告完全実施法はすべて成立し、施行されました。

 昨年は秋の臨時国会がなかったため、暦年では、ことし2016年は2度の人勧によるアップがあったことになります。

 来年2017年は、多くても1回までで、配偶者手当が引き下げられますので、注意が必要です。

 このエントリー記事の本文は以上です。

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