宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

民進党代表代行、地球の裏側で弾薬を提供する「日米ACSAの新条約」、トランプ政権で「基本的スタンスが変わる可能性がある」と先送りを要求

2016年11月11日 17時10分11秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]江田憲司民進党代表代行、国会内、2016年11月11日、筆者・宮崎信行撮影。

 民進党の江田憲司代表代行は、平成28年2016年11月11日(金)、国会内で定例記者会見し、今国会に提出された「日米ACSA協定の新条約」(192条約2号)について、「新政権で基本的スタンスが変わる可能性がある」として、今国会での承認を急ぐべきでない、との考えを示しました。

 ACSAは、日本自衛隊が米軍に水や油などを後方支援する際に、決済通貨や、不良品の返品などについて細かく定めた条約。きょう現在の現行条約は、周辺事態法に基づき、「弾薬を除く」と明示しており、インド洋上で補給するなが限界でした。

 平和安全法制による、新・重要影響事態法を反映した新条約のでは、地球の裏側のシリアなどで、水や油に加えて、弾薬の補給などの後方支援にも対応して決済手段を定めています。国会召集日の9月26日に、ケネディ大使と岸田外相が署名し、既に国会に提出されています。

 これについて、江田代表代行は、民進党が、集団的自衛権を解禁した「重要影響事態法に反対だ」との大前提を明示。

 おととい(日本時間で)当選し、先ほどホワイトハウスで現大統領と会談した、ドナルド・トランプ次期大統領が米国第一主義、保護主義、単独行動主義のビジョンを打ち出していることから、「基本的スタンスが変わる可能性がある」と、現オバマ政権下での批准を急ぐべきでないとの考えを示しました。

 ただ、「私は橋本内閣で、前のガイドラインでのACSAにかかわらせていただいたので、精査したい」とし、議論には前向きな姿勢を強調しました。

【追記 14日午後6時】

 記者会見でのやり取りはの通りです。

フリーランス・宮崎信行記者

 今国会、条約案件は3件あり、TPP、パリ協定、もう一つは日米ACSA(日・米物品役務相互提供協定)の新条約がある。今ある条約は「周辺事態」で日本自衛隊が米軍に水や油を後方支援した場合の決済のやり方などだが、新しい条約は「重要影響事態」で、弾薬の提供も含めて、その場合の決済は日本円なのかとか、そういったことを定めた条約がかかっている。ひょっとするとこの国会で承認されなければ、アメリカの政権が代わる前には発効しないと思うが、この日米ACSAに関して今後どういった考え方で党として取り組まれるか。

代表代行
 我々とは基本的に考えが異なる「重要影響事態法」、それに伴うACSAですから、その中身については徹底的に、問題点の指摘を含め審議を尽くしていきたいと思います。
 ただ、この問題につきましても、一体トランプ新政権が、駐留米軍の問題、日米軍事同盟の問題等々について、まず基本的なスタンスがどうなのか、大変不透明なところがございますから、それも見きわめた上でやっていけばいい話だ。ましてや、こういった問題点を多々含むような協定ですから、我々としても中身は十分精査をしてまいりたいと思います。

フリーランス・宮崎記者
 確認だが、徹底審議とおっしゃったかと思うが、その審議の前でしっかりと精査をしたいという意味合いも含めてか。

代表代行

 もちろんです。ACSAは橋本政権で、前のガイドラインの見直しに伴って、私も直接携わらせていただきました。その中身は極めて複雑精緻、軍事的な専門知識も要るものですから、そういう問題についてもしっかりと精査していかなければいかんと思います。

【追記終わり】

この記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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財投2法が成立JR東海1・5兆円鉄道機構法と改正JOGMEC法、参議院自民党「熟慮の府」と長時間議論を宣言[きょうの国会]

2016年11月11日 12時56分49秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

【参議院本会議 平成28年2016年11月11日(金)】

 「改正JOGMEC独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法」が投票総数237、賛成215、反対22の賛成多数で可決し、成立しました。公布日に施行。審議中の議案番号は、192閣法8号でした。

 「改正独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法」が投票総数239、賛成217、反対22の賛成多数で可決し、成立しました。公布日に施行。審議中の議案番号は192閣法2号でした。

 ともに、財投機関債などの発行で調達したマネーを、JR東海、海外石油資源開発会社などに融資や、投資することができる法律。鉄道機構法は政府は第2次補正予算と同時に成立させてほしいと希望しましたが、1カ月遅れとなりました。補正の1・5兆円を、JR東海に融資し、政府は30年後から40年後にかけて返済を受けます。

 これに先立ち、趣旨説明と代表質問がありました。総理出席ですから、これは登壇議案の中でも、国対用語で重要広範議案の指定がされていたんでしょう。

 「TPP条約の承認を求めるの件」(190条約8号)と「TPP国内実施法案」(190閣法47号)。

 参議院自民党の福岡資麿さんは「我々参議院は再考の府だ」と語り、長時間審議を宣言しました。27年ぶりの自民党衆参単独過半数で、その影響力の低下が確実な参議院自民党。27年前との違いは、大臣・副大臣・政務官として政府に入って皇居や外国に行って勲章ももらえることと、福岡さんのように元衆議院議員が多いということでしょう。一言で言うと、衆参の違いが少なく、首相(自民党総裁・衆議院議員)と参議院自民党会長の意見の相違は少なくなると考えられます。長時間審議で、会期末で「総理の希望で1本通すが、参・野党に配慮して1本は廃案」とする宣言なのか、それとも27年前と違いインターネット審議中継の中でアピールする考えなのか。注目の3週間が、さあいよいよ始まります。

 答弁は安倍首相、石原TPP相、山本農相、松野文科相があたりました。

 共産党でずっとやってる、紙智子さんは「(米次期大統領のトランプさんの)保護主義か、自由貿易かの対立ではない。多国籍企業から国民を守る戦いだ」と語り、他党からも拍手を得たようです。これは自由貿易論者の私としても、大いに賛同したいところです。紙さん頑張ってください!

 安倍首相は「TPP委員会は、全参加国の同意が必要なので、日本と違う意見になることはない。そもそも、現行の自由貿易協定にも書き込まれている」としました。

 日本維新の会の儀間光男さんは「農協は本当に小規模農業者の味方なのか。農業資材販売などでも手数料を上乗せしているのではないか」と国内改革の必要性を説きながら、「TPP第24章中小企業」について、特別委で掘り下げていきたい意向を示しました。

【参議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 平成28年2016年11月11日(金)】

 45名の特別委ですから、第一委員会室で開催。「TPP協定の条約承認を求めるの件」(190条約8号)と「TPP国内実施法案」(190閣法47号)の趣旨説明があり、質疑は来週にゆずりました。

【衆議院 平成28年2016年11月11日(金)】

 一般法案を審議している委員会の準定例日があるものの、本会議や委員会はありませんでした。会期内に「はまらない」議案が複数予想される展開となってきました。


この記事の本文は以上です。

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