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宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

「我々は京都の高校で部落差別を目にした」と西田昌司さんと有田芳生さんが意気投合も採決先送り、割販法改正案、スキーバス法案は参委可決[きょうの国会]

2016年12月01日 17時26分02秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]きょうの永田町、宮崎信行撮影、2016年12月1日。

●参議院で衆法の審議が進む

【参議院法務委員会 平成28年2016年12月1日(木)】

 衆議院から送られた、議員立法の「再犯防止推進法案」(192衆法6号)と、「差別の解消推進基本法案」(190衆法48号)が審議され、ともに、採決は先送りにして、散会しました。

 趣旨説明は、各々、鈴木淳司衆・法務委員長、門博文さんの自民党議員がしました。

 「再犯防止推進法案」の質疑では、民進党の小川敏夫さんが質問。前々任の輿石東・参議院議員会長は、自民党の会長が質問しない限りは年1回程度しか質問しなかったのですが、小川会長は質問しました。「微罪も規制の対象になるのか」と問いました。衆院議員の答弁者に加えて、政府側からは「窃盗をしない生活のイメージトレーニングを刑務所でする」との答弁がありました。私も、昔暇な頃、東京地裁で裁判傍聴をしていたことがありますが、刑事事件の被告人の半分以上は再犯であり、中には判決文の中に再犯の回数すら触れられず刑を言い渡され10分で閉廷するような犯罪者は山ほどいます。私は正直、どうにもならないような気がしていましたが、「窃盗しない生活のイメージトレーニング」は期待したいです。法案が成立すると、公布日に施行される条文となっています。

 「差別の解消推進法案」では、自民党の西田昌司さんが質疑し、「経緯を説明すると、先の通常国会でヘイトスピーチ法をつくったが、差別は今もある。以前、人権擁護法案が提出されたことがあるが、あれは、差別をした人を呼び出すような類の法案だった」というような発言をしました。

 その後、西田さんは「京都府内の高校、私の出身校なんですが、差別事件があった」とし、今も差別は存在する」と主張しました。また「島崎藤村の破戒は、長野県の話だが、発行直後には差別を助長する本だという理由で、発禁(発行禁止)処分になった」と語りました。著作物も差別の対象として規制すべきだとの考えをにじませたものだ、と私は解釈しました。

 この後、西田さんと連携して、ヘイトスピーチ規制法を議員立法した、民進党の有田芳生さんも「さきほど西田議員から指摘があったが、実は私も京都府内の高校の出身だ」とし、差別は現存すると強調しました。最後に、参考人質疑をすることにして、日程などは未定のまま、散会しました。

●スキーバス事故罰金100倍法案は1月施行か。

【参議院国土交通委員会 平成28年2016年12月1日(木)】

 「スキーバス事故の罰金を100倍にする、道路運送法改正案」(192閣法19号)。質疑では各議員が「まず、軽井沢でのスキーバス事故で亡くなった方にお悔やみ申し上げます」と切り出しました。採決の結果、全会一致で可決しました。施行日は公布から1カ月後になります。スキー旅行会社のホームページによると、12月16日ごろからスキーツアーがあるようですから、ちょっとだけ遅れてしまいました。石井啓一国土交通大臣は知らないかもしれませんが、新進党東京都連の関係者のご子息も犠牲になっておられます。

 なお、附帯決議がつきましたが、きょうの参議院委員会での附帯決議はすべて民進党議員が朗読していました。

●割賦販売法案が成立へ。

【参議院経済産業委員会 平成28年2016年12月1日(木)】

 「割賦販売法改正案」(192閣法18号)が全会一致で可決しました。附帯決議つき。施行は公布から1年6か月以内の政令で定める日。ちなみに、2016年11月26日付の朝日新聞社説で、この法律は、条文の枝番が多くて分かりにくい、と指摘されています。

●議員連盟方式の議員立法が曲がり角、休眠預金のNPO活用法案が審議入り後に反対論、大門さん「困っている人はほかにもいる」「修正案を受け付けられないと言われた」

【参議院財政金融委員会 平成28年2016年12月1日(木)】

 「民間公益活動を促進する休眠預金活用法案」(190衆法43号)が自民党の山本ともひろさんから趣旨説明されました。質疑後の採決では、共反対、自公民などの賛成多数で可決しました。附帯決議つき。

 これに先立つ質疑で、共産党の大門実紀史さんは次のように語りました。私は全面的に大門さんに賛同します。

 「まず、この法案を働きかけたNPOのみなさんに経緯を表します。しかし、政治のはざま、行政のはざまで、困っている人はほかにもいます。法律は私たち議員がいなくなった後も残るものです。法案作成に尽力したきた方々の気持ちは分かるが、この法案は単なる理念法ではなく、巨額のお金が動くものです。法律ができ、後々誰が担当することになっても、懸念が無いようにしたいと思い、修正案を参議院法制局とつくったが、既に議員連盟での法案のとりまとめが終わっており、修正案を受けられないと言われた。その問題意識を提起して、やむなく反対したい」としました。

 議員連盟方式で、やっとの思いで審議入りしたわけですが、法案採決の段階になって、「なぜNPOだけなのだ」という強い世論がSNSなどで上がっており、答弁者の衆院議員にも反応がありました。今世紀になってようやく始まった議員が院の法制局と協力してつくる真の意味での議員立法ですが、転換点に来たことは間違いありません。

【参議院環太平洋パートナーシップ協定等の関する特別委員会(参TPP特)平成28年2016年12月1日(木)】

 午後1時から5時まで、総理入りの集中審議があり、NHK中継。

 「TPP条約の承認を求めるの件」(190条約8号)と「TPP国内実施法案」(190閣法47号)

 行田邦子さんは、外国人土地法と、TPPの関係を問いました。与党・民主党議員時代に、日本版エクソンフロリオ条項を提案し、自党の代表である菅直人首相が取り入れたことがあります。ものすごく昔のことのように感じますが、まだ6年前のことだと記憶しています。

【衆議院  平成28年2016年12月1日(木)】

  ありませんでした。

この記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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