宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

平成29年度税制改正法案は第193回通常国会に提出へ 税制改正大綱が閣議決定、小幅な改正も「タワーマンション1階ごとに違う固定資産税」に象徴される自民党複雑怪奇税制大復活

2016年12月22日 11時14分36秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 政府は、平成28年2016年12月22日(木)の朝9時台に臨時閣議を開き、

 「平成29年度税制改正大綱」

 を決定しました。

 財務省と総務省がこれを基に法案を書き、第193回通常国会の2月上旬ごろに、「平成29年度国税改正法案」と「平成29年度地方税改正法案」を国会に提出するはこび。

 税制改正大綱の全文はこちらをクリックしてご覧ください。

 前段階として、所得税の配偶者控除をめぐる議論が世論を喚起しましたが、結果的には、可処分所得ベースではほとんど変化が無い改正となりました。

 象徴的なのは、タワーマンションにかかる固定資産税(地方税)を階数ごとに変えるという改正項目。初めてタワーマンションが建つ基礎自治体は猛勉強ということになりそうです。上記、所得税とあわせて、自民党お得意の、複雑な「租税特別措置税制」となってしまったようです。

 ちなみに、法人税率の段階的引き下げ条項はプログラム規定として成立済みの28年度法に入っていますから、時間的にも複雑怪奇な税制へと戻っています。

 正直、民主主義的に「配偶者控除の廃止、存続、あなたはどっち?」と議論しても、かえって蟻地獄で、結局、政府・与党・財務省・経団連が得するだけなあと感じました。

 イギリス二大政党政治ですと、野党が「マンション税に反対なら、(フェイスブックで)シェア!」というSNS選挙戦をしていますが、現行税制がこれだけ複雑怪奇では、野党・民進党も税金を争点にした選挙は絶対無理!

 自民党本部内の作業も、秋の臨時国会が延長、再延長されても、当初の予定通りに総会を開き決定したようです。

 法案の原案通りの可決・成立は確実。

この記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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平成29年度当初予算案は一般会計は97兆4547億円で、財政投融資は増額15・1兆円、予備費は今年も僅か0・35兆円、異例の「22日朝決定」が定例化へ

2016年12月22日 11時00分36秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 政府は、平成28年2016年12月22日(木)の午前9時台に臨時閣議を開き、平成29年度当初予算案を閣議決定しました。

 あすから(土曜日を休みとして)3連休になりますが、その前日の午前9時台に決定したことで、27年ぶり衆参単独過半数の第3次安倍内閣の力を見せつけた格好です。来年も22日は金曜日ですので、今後も「12月22日朝決定」が定着する気配となりました。私は仏教徒・神道信者ですが、アメリカ次期大統領のトランプさん(DJT)の口癖を借りれば「メリークリスマス」といったところでしょう。

 一般会計の総額は97兆4547億円となりました。 「当初で97兆台」は史上最多。

 特筆すべきは、財政投融資計画(財投)が15・1兆円と、再び増えました。このため、特別会計総額や、その予算案は国会提出後に全容が分かりますが、国家予算の総額が過去最大になっているのは間違いないでしょう。

 一般会計については、正直、大きな変化はありません。歳出では、公共事業が5・9兆円に増え、防衛費も5・1兆円に増えました。教育費は人口減の分だけ国庫支出金が減りましたが、全体では科学研究費も含めて5・3兆円を確保。 個別のメニューはこれから分かりますが、政策パッケージでは「1億総活躍」が使われたようです。また、「第4次産業革命」の予算も目立ち、今後の政策パッケージづくりに、各府省の注目が集まりそうな兆しを感じました。

 歳入では、税収を57・7兆円と見積もります。これは、5年前の「46兆円」よりは大幅増です。その内数として法人税収は12・3兆円ですが「まあこんなところなのかなあ」という気もします。

 公債発行で得る歳入は建設公債が微増、特例公債(赤字国債)が微減。今風に言えば、「(苦笑)かっこ苦笑」といったところお、34・3兆円。

 公債の償還などの歳出は、23・5兆円で、元本償還は半分に満たない状態が続きます。この記事を書いている時点では、アメリカの国債金利が上昇しており、日本の国債金利が、日銀誘導目標「0%前後」を上回る0・1%になる日もあり、そこで日銀が買い取っています。この先は、日銀が買わざるを得ないという足元を見ての、国債売り→長期金利上昇が時たま起こり、「茹でガエル」になるかもしれませんが、危機は先送りされるでしょう。年金受給者は金額が同じでも、じわりじわり生活が苦しくなりそうです。

 歳出のうち、一般歳出は58.3兆円に増加。個別のメニューはまだ分かりませんが、社会保障費の増大を考えると、よく組めているのではないかとの印象を現時点では持ちます。

 地方交付税は15・5兆円。

 私が一言言いたいのは、一般会計歳出の「予備費」が第2次第3次安倍内閣の、おそらく4年連続で、0・35兆円「しか」組んでいないことです。その前の政権では1兆ないし2兆円組んでいました。前の年度は、熊本地震で、1次補正で0・7兆円も増額補正しました。仮に、1兆円で組んでいたら、補正は要らなかったでしょう。この「0・35兆円」しか予備費を積まないこと。「ひっしの歳出削減をみせかけ、補正を使って、政府与党の浮揚力につなげること」が目的だと憶測すれば、そろそろ、財務省主計局も考え直してほしいところです。

 まあ、例年との変化はあまりなく、一般会計は、あまりツッコミどころがないように感じます。

 平成29年度で大事なのは、財政投融資計画、及びそれに伴う、政府関係機関予算でしょう。

 15・1兆円。前年度1割以上増えます。うちわけは、JR東海への中央リニア新幹線1・5兆円(前年度補正と合わせて3兆円)を鉄道・運輸機構が融資します。国際協力銀行など海外への投融資も増します。その一方で、地方創生のための国金(日本政策投資銀行)融資などはかなり大幅に減ってきます。この財投からも、地方創生の看板はそろそろ手仕舞いの方向といえそうです。具体的な予算は、インターネット上では、2月の国会提出日に分かります。

 まあ、全体的には、大過なく、財務省頑張ったかなあという印象です。

この記事の本文は以上です。

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一般会計は100兆2210億円、平成28年度第3次補正予算案、特別会計も補正 1月20日(金)か23日(月)にも提出され、財政演説か

2016年12月22日 10時35分56秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 政府は、平成28年2016年12月22日(木)の午前9時台に臨時閣議を開き、

 「平成28年度第3次補正予算案」を閣議決定しました。

 今年度最終補正で、補正後の一般会計総額は100兆2210億円となります。

 財務省作成の「フレーム」はこちらをクリックしてご覧ください。

 財務省作成の「概要」はこちらをクリックしてご覧ください。

 歳出の追加では、

 「鳥取震度6強地震など災害費」が0・2兆円

 例年通り、「国連分担金など」が0・2兆円、

 防衛費が0・2兆円、

 とこの3メニューが増額されます。

 歳入では、特例公債(赤字国債)を1・7兆円追加します。

 特別会計は7勘定に補正が入ります。

 政府関係機関予算の補正は無い見通し。

 平成28年度第3次補正予算案は、年明けの、平成29年1月の、20日(金)または23日(月)に提出され、おそらく当日、麻生財務大臣の演説。下旬にテレビ入り衆参本会議、下旬から2月上旬にかけて、テレビ入り衆・予算委、参・予算委を経て成立。第193回通常国会の火ぶたを切ることになります。

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