延長会期末まで残り7日間となり、IRカジノ施設法案が焦点となってきました。
【参議院本会議 平成28年2016年12月7日(水)】
「IRカジノ施設法案」(189衆法20号)が、衆法=衆議院議員による法案=としては珍しく、委員会付託前に、本会議での趣旨説明を求めることになりました。
まず、伊達忠一議長がこの日程を提案すると、「異議あり」との声が聞こえましたが、議長は「異議なしと認めます」。
衆議院議員の細田博之さんが趣旨説明しました。
[画像]趣旨説明する、細田博之さん、ひな壇向かって左から、岩屋毅、西村康稔、小沢鋭仁、松浪健太の各衆議院議員。
細田さんは「衆議院で技術的な修正を加えた」と趣旨説明しました。
代表質問では、自民党の上月良祐さんが登壇。おととしの特定秘密保護法国会以降、なんか汚れ役を演じている印象がありますが、派閥は無所属のようです。
この後、民進党を代表して、小西洋之さんが「1年前の9月18日の安保法制をめぐる討論以来の登壇だ」としました。小西さんは「IR法案に民進党は明白に反対する」と語り、民進党席からそうだ、という合いの手が何度も入りました。小西さんは「公営競技は公の団体が運営している。民間が運営するパチンのうち、パチスロは、カジノのスロットマシーンに似ている。パチスロは遊戯で、スロットマシーンは賭博(の禁止の例外)という法的整理になるのか」と問いました。これに対して、細田さんは「カジノそのものの定義はない」と答弁し、IR(統合型リゾート施設)の定義は法案に入っているが、カジノの定義はしておらず、IRにある設備により行われる、ゲームがカジノである」と語りました。ですから、カジノの定義も、1年以内に政府がつくる実施法案に丸投げということになります。
質疑が終わると、議長が「どうぞ」と言い、衆議院議員は退室しました。
この後、上がり法案の処理がありました。
「建設工事従業者の安全確保法案」(192参法54号)は投票総数238、賛成238、反対0の全会一致で可決し、衆に送られました。
「官民データ活用推進法」(192衆法8号)は、投票総数237、賛成215、反対22の賛成多数で可決し、成立しました。公布日に施行。
「フリースクール支援法」(190衆法34号)は、投票総数237、賛成215、反対22の賛成多数で可決し、成立しました。この法律では、フリースクールで義務教育を修了することは認められないことになりました。公布日の2カ月後に施行。
この後、難波奨二さん(JP労組)が内閣委員長として登壇。
[画像]難波奨二・参議院内閣委員長、2016年12月7日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
「再犯防止推進法(192衆法6号)」は投票総数238、賛成238、反対0の全会一致で可決し、成立しました。公布日に施行。法律に「5年後の見直し」のプログラム条項が盛り込まれています。
散会しました。
【両院・国家基本政策委員会合同審査会 平成28年2016年12月7日(水)】
2つの委員会の審議で、同じ院の場合は「連合審査会」と言いますが、衆参両院をまたぐ2つの委員会の審議は「合同審査会」と呼びます。いわゆる、党首討論、QTが今国会初めてありました。
[画像]党首討論にのぞむ、蓮舫代表と安倍首相、2016年12月7日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
民進党の蓮舫代表は、午前中に参院で審議入りしたIRカジノ施設法案と労働基準法に絞って質問。安倍晋三首相(自民党総裁)は「議員立法だ」としながらも、「蓮舫代表の側近である役員室長が提案者に名を連ねており、役員室はバラバラだ」と冒頭から挑発しました。蓮舫さんは、提出者から外れようとしたが自民党の提案者に認めてもらえなかった、と説明しました。
労働基準法改正案では、安倍首相が「民進党の法案には、時間が入っておらず、省令丸投げだ」と批判しました。来年の通常国会に向けて、官邸内の働き方改革実行会議がとりまとめている、同一労働同一賃金のガイドラインに言及し、「民進党の法案にはストライクゾーンがない」と語りました。
共産党の志位委員長は「南スーダンPKO(国連平和維持活動)の、UNMISS(アンミス)での、日本自衛隊の安保法にもとづく駆けつけ警護で自衛隊が南スーダン政府軍に対して銃を使う事態が有り得るのではないか」とただしました。安倍首相は「首都ジュバはおちついている。稲田防衛相や柴山首相補佐官も確認した」とし「国準(くにじゅん、国に準じる組織、たとえばISILなど)が発生する情勢にない」としまいた。
日本維新の会の片山虎之助代表は「TPPには終始賛成してきたが、発効の見込みはあるのか」と問うと、安倍首相が「今TPP法案をあきらめてしまえば、見込みはゼロになる」と応じ、自民党から大きな拍手がわきました。
【衆議院厚生労働委員会 平成28年2016年12月7日(水)】
「がん対策基本法改正案」(192参法50号)が趣旨説明され、ただちに採決。全会一致で可決しました。次の衆・本で成立へ。
「民間あっせんによる養子縁組の児童保護法案」(192参法53号)が趣旨説明され、全会一致で可決しました。次の衆本で成立へ。附帯決議がつき、「不妊に悩む人に医療機関などが情報提供をしたり、予算措置をはかるよう求める」としました。
【参議院消費者問題に関する特別委員会 平成28年2016年12月7日(水)】
今国会で法案はありません。松本純消費者相らが所信的あいさつをしました。この政務三役は、災害対策とまったく同じ顔触れです。
【衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 平成28年2016年12月7日(水)】
拉致相、外相、国家公安委員長らの所信的あいさつがありました。
【参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 平成28年2016年12月7日(水)】
前回所信を聴取した、拉致相、外相、国家公安委員長らに対する質疑が、約2時間コースであり、全会派が一巡しました。
【参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会 平成28年2016年12月7日(水)】
沖北相、外相、内閣府副大臣らか所信を聴き、散会しました。
【衆議院法務委員会 平成28年2016年12月7日(水)】
別エントリーにも書きましたが、「民法債権編(債権法)改正案」(189閣法63号及び189閣法64号)の審議は、7日目となりました(筆者計算)。
参考人質疑の2回目で、東大教授と弁護士2名の合計3名が意見を述べました。
この後の、各党の質疑では、岩手4区で、自由党の小沢一郎代表と小選挙区で相対し、2期連続で比例復活当選している自民党の藤原崇さん。年齢は小沢さんより41歳下になります。小沢さんは、沿岸部を含んだ中選挙区時代から連続して16回当選していますが、前回の選挙では、藤原さんと10ポイント差となっており、得票率の差は縮まっています。
藤原さんは、参考人に対する質疑の中で、「仮に、(民進党など野党がたびたび法案を出しているように)第三者保証を禁止しても、他の方法を金融機関は考えるのではないか」とし、経営者の友人の土地などを担保として差し出すよう求める融資が増えるのではないかとの考えを示しました。
藤原さんは「公正証書も一つのやり方として理解できる。本来ならば、どれくらいのリスクがあるかハッキリ理解しておくべきだ」とし、審議中の政府原案通りの、連帯保証の公正証書化も進めるべきだとの考えを強調しました。
参考人質疑を終えた、午後も与党の法案審査がありました。公明党の國重徹さんは債権債務の逆相殺などについて政府から答弁を得ました。
次回は9日(金)午前9時から。
この記事の本文は以上です。
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