宮崎信行の夕刊フジ

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

新進党)届かなかったメッセージ、小林節教授の「国民怒りの声」、新進党機関紙「新進」には幻の最終回があった

2016年12月23日 18時54分10秒 | 政権交代ある二大政党政治の完成をめざして

[画像]新進党の機関紙「新進」幻の最終回で、今年はこうなるとメッセージを寄せる、小林節慶応大学教授、新進「1998年1月5日付」2面をスキャニングのうえ、トリミングし、スクリーンショット、赤丸は筆者・宮崎信行が加筆。

 新進党の機関紙「新進」に、解党後の1998年1月5日付の幻の「110号」が存在していたことが分かりました。

 筆者・宮崎信行が23日までに、国立国会図書館で発見しました。

 幻の最終回となった新進は、有識者による「1998年を占う 今年はこうなる!」を特集。

 ここで、慶応義塾大学教授のコバセツこと小林節さんがメッセージを寄せていました。

 小林さんは新進には複数回登場していますが、幻の最終回では大要、次のように語っていました。

 「今日ほど政治が国民大衆から忌み嫌われているときはない」

 「経済の現状はもはや不況としか呼びようがなく、国民のほとんどが貧しさを予感して不安になっている」

 「現政権の無策は彼らの体質に起因するもので直接的には、自社さ野合政権の出現により政治改革がとん挫したことに由来する」

 「五五年(ごじゅうごねん)体制と呼ばれる自・社利権談合政治の構造は別名、政・官・業癒着の構造と呼ばれる。市場秩序の維持ひいては「消費者保護」などという国民に対して恩着せがましい口実を立てて国がさまざまな規制にかけることにより、既存の業者が国民に不当に高く商品を売り、そのための規制を担当する官僚がポストを増やし天下り先も確保し、その仕組みの保護者としての族議員が政治献金と票を獲得する」




[画像]新進党の機関紙「新進」幻の最終回で、今年はこうなるとメッセージを寄せる、小林節慶応大学教授、新進「1998年1月5日付」2面をスキャニングのうえ、トリミングし、スクリーンショット、赤丸は筆者・宮崎信行が加筆。

 --このように、1998年、コバセツさんは日本経済は不況になりかかり、国民が貧しさを予感していると指摘し、自社さ政権による業者、官僚、族議員の癒着構造を問題視しています。

 とはいえ、事前インタビュー時点で、新進党に迫りくる危機を察知していたようで、次のような言葉を付け加えています。

 「新進党自身が、まず、党としての求心力を回復し、外に向かって戦える体制をとることが必要だろう」「そういう意味で、平成10年の日本の政治は新進党次第なのである」--

 「貧しさの予感」は、今や、貧しさの実感となりましたが、政官業癒着の談合族議員政治は自公政権でも変わりありません。

 幻となったメッセージから、18年後の今夏、小林名誉教授は、次のようなアクションをとりました。


[画像]第24回参院選に「国民怒りの声」から出馬した、小林節さん、政治団体「国民の怒りの声(現・国民の声)」ウェブサイトからスクリーンショット。

 18年後、小林節さんは「国民怒りの声」を結党し、第24回参院選全国比例に出馬。46・6万票を獲得しましたが、議席は得られませんでした。

 小林教授が指摘した「党としての求心力の回復」はできないばかりか、盛大に自爆してしまった新進党。ただ、平成6年政治改革4法(改正公選法、改正政治資金規正法、政党助成法、衆議院区割り審設置法)はほとんどそのまま受け継がれ、その改革の正しさは実証されました。

 1998年の「貧しさの予感」が、「貧しさの実感」となった、2016年末。

 39歳以上のすべての日本国民は、新進党解党を許してしまった己の未熟さを深く反省するとともに、もう日本には多くの時間が残されていないと自らを戒めたうえで、国民の怒りの声を代弁する、自民党と民進党による二大政党づくりに邁進しなければなりません。

 新進党は、2016年12月31日、解党19周年を迎えます。


 (C)2016年、宮崎信行。

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