[写真]紅葉の国会議事堂の(皇居から見て)裏側の参議院第一委員会室(3階部分)あたり、2016年12月1日、宮崎信行撮影。
第192回臨時国会は、83日間の会期を終え、きょう平成28年2016年12月17日(土)閉会しました。
41本の法律が制定されました。
参議院内閣委員長(難波奨二さん)起草の「SNSを追加する改正ストーカー規制法」と、参・国土交通委員長(増子輝彦さん)起草の「建設従事者の安全と健康確保法」 の2本は、参議院民進党の主導する形の超党派議員立法となりました。
ただ、27年ぶりの衆参単独過半数のため、 それ以外は、閣法と自民党議員(常任委員長含む)が筆頭発議者である議員立法のみが成立しました。民進党の対案と日本維新の会の法案は、1つも趣旨説明すらされないまま終わりました。
前回衆院選後の春に提出された、「改正入国管理法」と「外国人技能実習生機構法」が成立しました。
安倍内閣は、予算で予備費を3500億円しか組まないため、熊本地震復旧のため0・7兆円歳出を追加する前回の補正に計上した予備費の一部を「熊本城修復の国費工事」などの費目に組み替える、第2次補正予算が提出され成立しました。
その後、ただちに、先の通常国会から継続審査になっていた「TPP環太平洋パートナーシップ協定等の条約承認を求めるの件」の審議が始まりました。ところが、会期中の11月上旬に、アメリカ次期大統領にドナルド・J・トランプさん(DJT)が当選し、脱退を宣言。このため、発効が絶望的になる中承認されました。逆に「COP21パリ協定の承認を求めるの件」は、米中首脳会談を受けて、発効が確実になってから、参議院先議で提出され、発効後に承認されるという、条約のスケジュール感を欠いた「条約間抜け国会」となりました。
このあおりで、政府提出の条約は3本中2本しか議了しませんでした。ただ、内閣提出法案は、新規提出で今国会成立をもくろんで出した法案は100%成立しました。継続審査だった、「労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)」は審議入りすらせず来年に持ち越しました。
参院選の敗北により、民進党は代表選(ネクスト総理選)を行うことになりました。その日程のため召集日がずれ込みました。ただ、民進党の支持率は国会中なのに下落基調となり、同党の長期展望の欠如を露呈しました。
自民党は、参議院議員会長に、総裁派閥の橋本聖子会長を無投票で選出。自ら「歴代最軽量級会長」と語りました。延長国会になってから動き出した、IRカジノ施設法審議では、参議院内で手を握る光景が再びみられましたが、安倍総理総裁にはまったく傷がつかず。橋本会長が自派閥の総理を守った格好。
2閣僚落選を含めて内閣改造を受けての国会召集。政治とカネなどのスキャンダルによる閣僚・政務三役の辞任は皆無でした。
この外、議員立法では議員連盟が長年継続していた「休眠預金」「フリースクール」「改正がん対策」が成立。閣法では「金融機能強化法5年延長法」が成立しましたが、省が有識者会議を立ち上げて改定した改正割賦販売法など小幅な改正にとどまるものも見られました。
細る一方だった、財政投融資に関連した財源から、JR東海に1・5兆円を30年据え置きの40年で融資する法律と予算が成立しました。改正JOGMEC法で海外石油会社の購入がしやすくなりました。
会期中に対ドルで円が再び安くなり、アベノミクスを底支えしました。日経平均株価は1万8000円台で推移し、GPIFの前の期の運用もプラスになったことから、内閣支持率は堅調に推移。事実上の閉会日の夜に、銀座三越に行き、盛況でしたが、景気後退局面にみられる、稼ぎ頭の婦人服売り場だけは人が少なく、景気失速の兆しがわずかながらみられました。
ただ、9月26日の召集日に、安倍首相が所信表明演説で突然、自衛官への拍手を呼びかけ、衆議院側ではほぼすべての自民党議員が応じたことが象徴的なシーンとして、新聞投書欄などで賛否を呼びました。
国会外では、南スーダンに派遣された青森駐屯の連隊から平和安全法制の運用が始まりました。防衛省は賞恤金(しょうじゅつきん)を9000万円(所得税・相続税非課税)に引き上げました。会計検査院長は総理に手交した年次報告書で、預金保険機構に保険料のプールとは別の所に、2兆円が長年の溜まり金として存在することを指摘し、報道も含めて初めて明るみにでました。
私自身は、政治ジャーナリスト以外の業種で、極めて重大な初体験・重要な判断が相次ぎました。実は、国税庁ご当局による税務調査も受けました。これはご当局から、召集直後の日程を提示されましたが、私の希望で召集直前の日程に変更していただくことがかないました。
会期中は、宮崎信行が唯一絶対のご忠誠をお誓い申し上げる、岡田克也先生が民進党代表でなくなったので、定例記者会見に行く心理的ノルマがなくなり、、短期的には義理や交通費が軽減。ごく短期間に限った時間軸では、「怪我の功名」「不幸中の幸い」だったのかもしれません。
きょうを持って、平和安全法制、いや戦争法の参議院での強行採決シーンが、参議院インターネット審議中継のライブラリ(アーカイブ)から消えます。これは参議院の議院運営委員会の申し合わせ事項(おそらく2010年か?)なのでしかたがありません。私は生い立ちが影響して、反知性主義者です。グローバリズムが転換点を迎える気配を見せている中、中庸の心(こころ)を強めていきたい、と感じつつあります。もはや戦争法の「廃止」は絶望ですが、なんとか、運用面での、骨抜き、先送りをしていくのが今を生きる大人の使命だと、かたく信じています。
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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
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