【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

当初予算案は不完全ということ?異例、自公の幹政が首相に「年金スライド減となる課税者への補填給付金」唐突に陳情、新設の参地方創生デジタル特別委で「3大臣でなく文科省の答弁欲しい」

2022年03月15日 20時04分37秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[画像]新設の「参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会」には、若宮健嗣・デジタル田園都市担当相、野田聖子地方創生担当相、牧島かれんデジタル相の3大臣が答弁、きょうの参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 予算は来週3月22日(火)に成立する見通しとなりました。衆議院側の動きで分かりました。

 きょうは異例の、唐突な動きがありました。茂木敏充・石井啓一・高市早苗・竹内譲の与党幹事長・政調会長が岸田文雄首相を官邸にたずね、コロナ禍による賃金スライド・物価スライドで0・4%マイナスとなる年金の課税世帯に対して今年度予備費から給付金を出すよう求めました。参議院で審議している予算案は不完全だと、与党幹事長が認めたことになります。新聞での事前報道が全くなく、前例もないことから、茂木さんが突出した動きだった可能性もあります。

 共同通信が郵送で2月末締め切りで行った調査では、参院選争点の複数選択では「景気対策54%、社会保障42%、コロナ41%」となりました。おおづかみにいって、景気対策が過半数になるのは珍しいこと。高齢者の年金が減ると消費が減って景気循環も停滞します。誤ったデフレ脳により2004年にできた法律ですが、誤ったデフレ脳による制度を作り直していくたたかいが、第26回参院選の後に始まるかもしれません。

【参議院予算委員会 きょう令和4年2022年3月15日(火)】
 委員会そのものはありませんが、衆議院でいう「分科会」にあたる委嘱審査がありましたので、「令和4年度予算案」の審議は15日目とカウントします。

【参議院地方創生及びデジタル社会形成等に関する特別委員会 同日】
 新設の委員会には、総裁選に出て首相と同期の野田聖子地方創生相、若宮健嗣デジタル田園都市国家構想担当相、牧島かれんデジタル相の3大臣が出席することになります。

 立憲民主党の斎藤嘉隆さん(愛知、改選)は「人材の東京一極集中があり、東京の大学に進学すると、帰らない人、帰りたくない人、帰りたいけど帰れない人がいる」と指摘。これには野田大臣が挙手して「大学の経営環境は厳しくなっており、地域再編というのは将来的に課題になる」としました。斎藤さんは、「野田大臣の地元の岐阜大学と、私の地元の名古屋大学の経営統合があったが、学びの場はそのままにできるので、参考にすべきだ」とし「10兆円ファンドを地域の視点でも使えるのではないか」としました。ここで斎藤さんは3大臣を差し置いて「文部科学省に答弁してほしい」と促し、鰐淵洋子・文部科学大臣政務官(公明党)は「質問通告がなかった」としつつ、答弁しました。

 先々月高市早苗自民党政調会長の共同通信きさらぎ会の講演を聞いたときには、各種補助金メニューを全く使わないという中小企業経営者も多いと認めていました。高市会長は「実証実験」は予算が付きやすいので自治体首長にはお勧めするとしていました。田園都市構想としての地方のリモートワークのパソコン購入費などもらえる分にはもらっておけばいいでしょうが、特区法だとか、税制特別措置法など複雑な法制化をしてもらうよりも、銀行から莫大にお金を借りて設備投資をした方が、数年後からは自動的に金が回り続け、毎月下旬に預金通帳をチェックすることだけが社長の仕事という状態になりますので、特区や田園都市よりも、一番利口な資本主義システムの活用方法となります。

【衆議院安全保障委員会 同日】
 きょねん8月15日のタリバンによるアフガニスタン・カブール陥落政権交代後のJICA500人を立法事実とした、「防衛省設置法及び自衛隊法改正案」(208閣法26号)の法案審査には、玄葉光一郎元外相らが参加。採決の結果、共産党が反対し、自民・公明・立憲・維新・国民が賛成して、可決すべきだと決まりました。附帯決議の案の朗読は、珍しく維新の美延映夫さんがしました。美延さんは当選2回で、大阪4区では再選をめざす自民、立憲、共産の3候補を全員完全落選に追い込んでいます。

【衆議院農林水産委員会 同日】
 「土地改良法改正案」(208閣法19号)が全会一致で可決すべきだと決めました。附帯決議では、立憲民主党の金子恵美筆頭理事が「農地バンクで市町村がプランを設けている場合は都道府県は尊重すべきだ」などとしました。

 「特定土壌地帯災害防除及び振興臨時特別措置法を5年延長する改正法案」(208衆法 号)が起草され、質疑・討論なく採決され、全会一致で本会議に提出すべきだと決まりました。次回はあさって17日(木)9時。国会では農水は火曜日か木曜日に動きがあります。

【衆議院本会議 同日】
 「津波対策推進法を5年延長する改正法案」(208衆法 号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。10年前、野党・自民党として与党・民主党をなじる材料に使った赤澤亮正さんはいまだに入閣していません。

 「いわゆる思いやり予算協定」(208条約1号)は、委員会での共産党に加えて、本会議ではれいわ新選組が反対に加わりました。共産・れいわが反対し、自公立維国有の賛成で承認されました。参議院でも審議されます。

 「IDA加盟法改正案」(208閣法6号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。

 この後、「みどりの食料システム促進法案」(208閣法32号)が金子原二郎農相から趣旨説明され、神谷裕さんらが質問しました。金子農相は第26回参院選の公認を返上して政界引退を発表しましたが、今国会6法案答弁の当事者能力に対する批判は限定的で、有終の美を飾れそうな雰囲気です。

【衆議院議院運営委員会 同日】
 上述の通り、きょうの本会議では「みどりの食料システム促進法案」(208閣法32号)が審議入りしました。与党が当初求めていた「経済安全保障推進法案」(208閣法37号)はあさっての本会議で審議入り。「重要広範議案」なので、首相も衆参の本会議・内閣委員会で答弁に立つことになり、経産省の不祥事も合わせて問われることになりそう。今週もまた金曜日は本会議がなさそう。来週火曜日は参議院優先。来週は木曜日、金曜日に続々と閣法が審議入りしそうです。

【衆議院外務委員会理事懇談会 同日】
 外務委は、あす「大阪万博政府代表設置法案」(208閣法24号)の法案審査を行うことで与野党が折り合い、午後2時から同40分までは、立憲民主党の岡田克也元外相が、林芳正外相にするどく突っ込むことになりました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】
 「雇用保険法改正案」(208閣法14号)とそれに対する山井和則さんら提出の委員会修正案が議題となりました。きょうは参考人質疑で、あすは対政府質疑。採決はそれ以降になる見通し。きょうの参考人質疑では、労働法制改悪の首謀者の一人とされる八代尚宏さんがそれを知ってか知らずか日本維新の会の推薦で登場。八代さんは「昭和女子大学副学長」でありながら、「上智大学の八代です」と名乗り、「私は経済学者の立場から発言します」と強調しました。全労連副事務局長は発言の最後に「労働行政の現場で働く非正規労働者への対策も必要だ」と付け加え、ハローワークの窓口職員がほとんど非正規労働者であることの改善も求めました。

【参議院財政金融委員会 同日】
 「所得税法改正案」(208閣法1号)の法案審査1巡目4時間コース。NHK党の浜田聡さんは「きょねん5月以来の質問だ」と共同会派の渡辺喜美さんを牽制しつつ、「矢野康治財務事務次官の答弁をお願いしていた」としました。これに対して財務省官房長は「事務次官の答弁は財務省発足以来確認できない」としました。

【参議院総務委員会 同日】
 「地方税法改正案」(208閣法3号)と「地方交付税法改正案」(208閣法4号)が趣旨説明され、ただちに法案審査が2時間弱ありました。野党は立憲民主党だけ質問し、他の党は次回に持ち越しました。

【参議院ODA沖縄北方特別委員会 同日】
【参議院消費者問題特別委員会 同日】
【参議院東日本大震災復興特別委員会 同日】
 各々、令和4年度予算案の関連部分の委嘱審査をしました。

【衆議院文部科学委員会理事懇談会】
【衆議院経済産業委員会理事懇談会】
【衆議院科学技術イノベーション特別委員会理事懇談会】
【衆議院東日本大震災復興特別委員会理事懇談会】
【衆議院地方創生特別委員会】
 上述の外務理事懇に加えて、開かれました。このうち文科は博物館法を教員免許法より先に審議することで合意しました。

【官邸】
 官邸の朝は早く、午前8時10分から遅刻厳禁の定例閣議が開かれました。野党の閣僚経験者は、これだけでも野党の現職議員がよいというところでしょう。また、官邸では正午から、政府・与党連絡会議がありました。自民党と公明党は相互推薦で合意しました。この後に、茂木幹事長ら4人が首相に申し入れをしたということで、麻生太郎副総裁・茂木幹事長の関係がどうなっているのかが見えないので、与党系のジャーナリストの解説記事を待ちたいところ。

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