【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆議院委員会で採決の6法案のうち、5本が立憲賛成・共産反対に「雇用保険法改正案」で10月25日から3倍増か、参議院はあす集中審議

2022年03月16日 21時35分43秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]外務省庁舎屋上ではためく日の丸、7年前の2015年、宮崎信行撮影。

 衆議院の委員会で6つの法案が採決されましたが、うち5本は立憲民主党は賛成して、共産党が反対しました。

 政治日程により法律案が2つ追加で提出されるかもしれません。一つは自公国幹事長会談の第2回が開かれ、揮発油税のトリガー条項凍結解除の方向が共有されたため、揮発油税法などの改正案が起草されそうです。岸田文雄首相は今夜記者会見し、ロシアをWTO最恵国待遇から外すとしました。このため、関税定率法の再改正案が政府から提出されそうです。参議院ではきょう現在予算・税法・関税定率法を審議中ですが、「参議院軽視だ」という声はまったく上がっていなそうです。

 またまん延防止措置は大阪府を含めた全域で解除されることになり、あすの衆参議運委で審議されます。

 次の焦点は3連休明けの来週火曜日とみられる予算成立直後に、補正予算案を念頭に置いた追加経済対策の作成を、誰が言うか、岸田さんか、茂木さんから、高市さんか、世耕さんか、玉木さんか、麻生さんか、安倍さんかというコップの中の先陣争いになります。参院選への影響は正直まったく分かりません。

【衆議院外務委員会 きょう令和4年2022年3月16日(水)】

 岡田克也さんも質問に立ち、30年後の外交文書公開について、日米合同委員会も対象にすべきだと迫り、外務省からの答弁は要を得ないものでした。

 きょうの議題は「大阪万博政府代表設置法案」(208閣法24号)でした。このため、自民党では柳本顕さん、谷川とむさん、維新では青柳仁士さんなど「ご当地代議士」が質問するという、外務委に限ればかなり異例のはこびとなりました。大阪府以外の複数の議員から大阪万博の「いのち輝く未来社会のデザイン」の共通テーマがそらぞらしいという趣旨にとれる異論が出ました。これでいえば、1970年大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」でしたが、半世紀後の今、ITデジタルは進歩しましたが、ウラジミール・プーチン氏一人を見るだけでも人類は進歩していないのは明らか。人類が進歩してもらなわいと困るのは日教組を含む教育産業、電通・博報堂で波風を立てる商売の人たちだったように感じます。

 それはさておき、討論では、共産党の穀田恵二さんが「カジノと絡めての大阪万博誘致は明らかだ」と批判。採決は、共産党が反対し、自民・公明・立憲・維新・国民が賛成して可決すべきだと決まりました。次回は23日(水)。

【衆議院文部科学委員会 同日】
 「博物館法改正案」(208閣法31号)が趣旨説明されました。質疑は次回。10兆円ファンド法案は先送りになりました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】
 「雇用保険法改正案」(208閣法14号)は世論の盛り上がりに欠ける中採決の日を迎え、共反対、自公立維国有の賛成多数で可決すべきだと決まりました。これに先立ち、山井和則さんらが委員会に提出した修正案は否決されました。10月1日施行で雇用保険料は3倍増に。審議では「国庫負担の本則を従来の4分の1に戻すべきだ」との連合などの主張を共産党も含めて議論されましたが、説得力に欠く展開になりました。育児休業給付金は保険料ではなく一般会計から出すべきだとの意見もありました。山井さんが出したのは委員会修正案なので、本会議には上がりません。

【衆議院内閣委員会 同日】
 牧島かれんデジタル相の立て板に水な答弁でスムーズに審議が進んだ「行政手続き料キャッシュレス法案」が採決を迎えて討論なし。採決は賛成多数となりました。審議では「窓口に行ってから、そこで、オンラインと窓口が併用となることでの混乱もあるのではないか」との申し置きがありました。

【衆議院地方創生特別委員会 同日】
 「構造改革特区法の5年延長を含む改正法案」(208閣法27号)は共産反対、自公立維国などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。共産の高橋千鶴子さんは討論で「大学の土地の貸し出しを認可制から届出制に変えるのはやめるべきだ。真に必要な規制改革は根拠法を改正して行うべきだ」との正論を述べました。

【衆議院経済産業委員会 同日】
 「貿易保険法改正案」(208閣法28号)は共産のみ反対し、自公立維などが賛成して可決すべきだと決まり、本会議上程へ。「海外でのプラント建設の中断」が保険の対象になりますが、これを共産が「海外への石炭火力発電所輸出の推進で、脱原発やパリ協定に反するための改正だ」と決めつけて反対しました。

【衆議院災害対策特別委員会 同日】
 「豪雪地帯対策特別措置法改正案」(208衆法  号)が起草されました。石川3区(比例復活)の近藤和也さんが法案を説明し、福井1区の稲田朋美さんが答弁しました。法案には「基本理念」を新設。稲田さんは「豪雪被害での死者が昨年110人、ことしはこれまでに既に93人」とし、「最近は、大雪がある年は、ギャップが大きくなっている」とし予算付けでも配慮するよう求めた条項も入っているようです。採決の結果、全会一致で起草すべきだと決まりました。これは有名な話ですが、「三八豪雪」の際に、「雪は春になると溶ける」が霞が関の常識だったのを、「雪は災害だ」と見解を改めさせたのは田中角栄大蔵大臣で、そのころ、夕方に大臣室を訪れた公設秘書に「これで天下が見えた」とつぶやいたとされます。非凡な政治家だと思います。それから58年経って、誰も疑問を抱かない常識として、災害特別委で豪雪対策法の審議がなされたことになります。別に、稲田さんや近藤さんが田中さんに似ているという話ではまったくありません。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会 同日】
 新代表が「執行役員の女性を半分に」と言った時から当然入るとみんな思ったであろう、金子恵美さんですが、農林水産と東日本復興の筆頭理事を兼ねるかっこうで今国会に臨んでいます。復興相兼沖北相の西銘恒三郎大臣に対する一般質疑を行いました。


[画像]衆議院東日本大震災復興特別委員会で、開会してよいか、金子恵美筆頭理事(左)に確認する伊藤忠彦特別委員長、スクリーンショット。

【参議院予算委員会 同日】
 予算委そのものは開かれていませんが、「令和4年度予算案」、一般会計・特別会計・政府関係機関予算の総予算3案の審議は16日目で。常任委への委嘱審査となりました。上述の通り、揮発油税法改正や追加経済対策が政治日程として浮上し、高市政調会長が「聞いていない」と発言する事態となっていますが、参議院の与野党から「参議院軽視だ」の声は聴かれない静かな展開。あすは集中審議が半日コースでありますが、議題は深まらず、ウクライナへと急速に横に展開したまま、来週採決を迎えます。

【参議院第一種常任委員会 同日】
 すべて同時に開かれ、委嘱審査がありました。各委員会とも、与野党とも、ロシアの愚行を非難する発言から始まりました。各大臣も、先週の古川禎久法相のように、ある程度政治家として個人の見解を言っていい雰囲気になっており、環境委員会では、山口壮環境大臣が「国際法の再構築が必要となっている」と答弁しました。
 
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