【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ついに9条改憲に初めて議題が進む、衆・憲法審、国民投票法改正案は先送りされ参院選での同時投票はなくなる、衆・議運委自転車通勤が増えたので登録制に移行

2022年05月12日 20時26分36秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 衆議院憲法審査会は初めて、憲法9条の改憲に話が入りましたが、国民投票法改正案の採決はなく、施行日を公布後3カ月としており、7月の参院選での国民による同時投票はなくなりました。

【衆議院憲法審査会 きょう令和4年2022年5月12日(木)】
 「国民投票法改正案」(208衆法34号)は議長からこの会に付託され趣旨説明もされましたが、きょうの議題からは先送りされました。きょうの議題は「憲法改正と国民投票法の改正をめぐる諸問題」で、法案そのものは議題にならず。同法案は「施行日は公布から3か月後」としています。

 きょうの自由討議では自民党の新藤義孝筆頭幹事が「本日は国防規定について私の考え方を示したい。ロシアが一方的にウクライナを侵略するという国際約束違反が発生しても、どの国もこの野蛮な行為を止めることはできません。学者の8割が自衛隊は憲法違反だと言っている」と語りました。立憲民主党の奥野総一郎筆頭幹事は「いきなり冒頭、9条の話が出てきた。私たちは立ち止まって考える必要がある。自衛隊が違憲だという学者はほとんどいない」と述べました。

 現行憲法の末尾に緊急事態条項を付ける話でなく、第2章・第9条の改正に話題が移ったのは、衆議院憲法審査会で初めて。

 日本維新の会の小野泰輔さんは馬場伸幸共同代表の隣で発言し「松井一郎代表は、参院選で同時投票すべきだと語っていたが、断念しなければならない」としました。玉木雄一郎・オブザーバー幹事は「9条は複雑な解釈がなされてきたので、イデオロギー対立から解放しなければならない」と語りました。

 自由討議で挙手して発言した、自民党の石破茂元防衛大臣は「プーチン大統領とグテーレス国連事務総長のモスクワでの対談の記録を呼んだが、プーチンは国連憲章に則って行動していると強調している」とし、国連主義の日本国憲法から個別的自衛権を強調した議論が必要だと示唆しました。

 筋が外れた発言もあり、維新の足立康史さんは「奥野さんは野党筆頭幹事でなく立憲民主党の筆頭幹事だ」と挑発し、立憲の野田佳彦さんも「安定した皇室制度も議論すべきだ」と語り不発に終わるなどしました。社民の新垣邦男さん(沖縄2区)は先代の照屋寛徳さんが亡くなったことに言及しました。立憲では幹部でない議員に本人が自由に発言するよう呼び掛けています。

 次回の開催は未定のまま散会しました。筆者の感想ととして日本世論を不可思議に思うのは「日本がウクライナになったらどうする」の論があるのに「日本がロシアになったらどうする」の論がほとんどないことです。

【衆議院議院運営委員会 同日】
 本会議に先駆けて開かれ、理事会では、自転車通勤をする議員が増えたので、衆議院第1、第2議員会館の駐輪場を来月1日から登録制にすることを決定し、呼びかけることにしました。5月13日(金)、5月17日(火)に本会議を開くことを決定したり、内定したりしました。

【衆議院本会議 同日】
 櫛渕万理さんが新議員議席番号16番として紹介されました。
 「福島復興再生特別措置法改正案」(208閣法23号)が共産・れいわ反対、自民・公明・立憲・維新・国民・有志の会の賛成多数で可決し、参議院に送られました。
 「日越刑事共助条約の承認案」(208条約2号)、「ILO105号強制労働廃止条約の承認案」(208条約5号)、「船舶の安全のためのトレモリノス条約の実施のためのケープタウン議定書の承認案」(208条約6号)が全会一致で承認され、参議院に回りました。
 「高圧ガス保安法改正案」(208閣法50号)が共れ反対、自公立維国有の賛成多数で可決し、参に送られました。

【衆議院地方創生特別委員会 同日】
 「第12次地方分権一括法案」(208閣法51号参議院先議)が全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆議院総務委員会 同日】
 「電気通信事業法改正案」(208閣法48号)。立憲民主党が修正案を出しましたが否決。政府原案は共反対、自公立維国の賛成多数で可決すべきだと決まりました。

【参議院厚生労働委員会 同日】
 「薬機法改正案」(208閣法42号)。岸田文雄総理入り質疑で、公明党の秋野公造さん(改選=福岡3人区)が「早期承認の念頭は、塩野義製薬と興和ではないか」と質問しましたが、首相はお茶を濁しました。立憲民主党の川田龍平さん(非改選)から「G7サミットでマスクをしていなかったようだが」と問われると首相は「訪問先の相手国に従っている」と述べました。国民民主党の足立信也さん(改選=大分1人区)から「きょうは何の日か」と聞かれると「首相は、さきほど視察に行ってきたので知っているが、民生委員・児童委員の日だ」としましたが、足立さんは「きょうは看護の日だ」と自民と国民の両党の認識がすれ違いました。

 川田さんが修正案を出しましたが否決。政府原案の採決となり、全会一致で可決すべきだと決まりました。

【参議院経済産業委員会 同日】
 石橋通宏さんが委員長。改選で立憲民主党全国比例に出馬しますが、現在同党はわずか9名しか公認していないので、このままいけば当確ですが、一寸先は闇ですし、その当選を事前に保証できる人は一人もいません。「省エネ法改正案」(208閣法43号)が共産反対、自公立国維の賛成多数で可決すべきだと決まりました。附帯決議は、この6年間のカジノ法案などの附帯決議で、森ゆう子さん(改選=新潟1人区)や蓮舫さん(改選=東京6人区)から批判を浴びた国民民主党の矢田わか子さん(改選=全国比例)が朗読しました。

【参議院文教科学委員会 同日】
 「10兆円大学ファンド法案」(208閣法35号)が文部科学大臣の末松信介参議院議員(改選=兵庫3人区)から趣旨説明されました。法案審査は次回。

【参議院農林水産委員会 同日】
 「農業経営基盤強化法改正案」(208閣法55号)と「農村漁村定住化促進法改正案」(208閣法56号)が農相から趣旨説明されました。

【参議院国土交通委員会 同日】
 「宅地造成・盛土規制法案」(208閣法45号衆議院修正)が大臣から趣旨説明され、そのまま質疑が行われました。採決は次回以降。

【参議院法務委員会 同日】
 「民事訴訟法改正案」(208閣法54号)の法案審査が続きました。

【衆議院情報監視審査会 同日】
 機密指定について。

●衆議院の法務、環境委員会の理事懇談会がありました。

【あす以降の予定】
 衆議院内閣委員会の対総理質疑で、泉健太代表が登板。
 日曜日の沖縄復帰50周年記念式典は、コロナ感染再拡大のため、国会議員のほとんどが東京・港区内のホテルからオンライン参加することになりました。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

【第26回参院選】自民・遠藤利明選挙対策委員長「地域によっては一部の労組が非常に自民党に対して好意的だ」「自民から積極的に働きかけてほしい」連合を切り崩し流動化へ

2022年05月12日 09時11分09秒 | 第26回参院選(2022年7月)
[写真]遠藤利明・自民党選挙対策委員長、きょねん9月、宮崎信行撮影。

 第26回参院選の投票日を2カ月後に控えて、今週の自民党役員連絡会で、遠藤利明選対委員長が「今、自分も地方を回っているけれど、 地域によっては、一部の労組が非常に自民党に対して好意的だ。そういったところに対しては自民の側から積極的に働きかけをして、支持を得ていくこういう取り組みも重要だ」と語ったことが分かりました。

 おととい、令和4年2022年5月10日の発言です。

 連合そのものや、県ごとに連合地域協議会・地方連合会の話ではなく、企業城下町など、自動車総連、電機連合、基幹労連、JAMに加盟している労組の中の地域支部の話だと考えられます。自民の切り崩しによって、流動化することが予想されます。

 茂木敏充幹事長は、記者会見で「私も、遠藤選対委員長ほど敏感ではないのかもしれないのですけれども、そのように感じる部分もあると思っております」と述べました。

 また、9日(月)の岸田文雄総裁が出席した役員会では、麻生太郎副総裁が「地元福岡選挙区ではかなり野党の方が割れているようだ」との現状を首相らに紹介。福岡は定数3に自民、公明が1名ずつで、自民系無所属とされる人はいません。

 遠藤さんが会っているのは、「なになに製鉄どこどこ工場」の支部長で連合の地協の会長をやっている人物らだと思われます。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。