【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「11兆円の説明を求めます」の予備費審査はあっさり6時間も、小沼巧気を吐き文部科学、財務大臣謝罪

2022年05月16日 15時35分10秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 非常に盛り上がりに欠ける国会審議。決算委員会は「準総括」まで来ましたので、次回は総理入り・テレビ入りになります。参院選の投票率は3年前は48%でしたが、上がる雰囲気には思えません。

【衆議院 きょう令和4年2022年5月16日(月)】
 ありません。

【参議院決算委員会 同日】
 「令和2年度決算承認案」は省庁別審査準総括質疑となりました。

 これに先立ち、「令和2年度予備費使用総調書の承諾案」が鈴木俊一財務大臣から趣旨説明されました。午後5時過ぎ、予備費使用総調書のみ討論・採決。【追記23時】立憲と共産が反対し、自公国維などが賛成して、一般会計の使用総調書は承諾すべきだと決まりました。雇用特別会計などは立憲なども賛成しました。【追記終】

 鈴木さんは「コロナ予備費は9兆6000億円で、そのうち9兆1000億円を歳出した。都道府県による休業協力金など38件。このほか、一般予備費では府のマスクの配布など12件2838億円。特別会計の予備費も使用した」などと趣旨説明しました。

 このお金は、日経新聞が4月22日付で、コロナ対策の補正予算、補正の予備費、当初予算の予備費が混然一体となり財務省が各省・地方自治体の使用状況を追えない形となり「使途不明金9兆円」という表現で報じ、SNSで話題になっています。私はこの「使途不明金」という表現は正しくないと感じます。

 6時間コースの審議では、立憲民主党の小沼巧さん(茨城2人区・非改選)が「予備費を聞くのは6回目だ」と登場。小沼さんは「文部科学省の大学生への現金給付で、前回は繰越金としたと答弁があったが、未執行ではないか」と問い、末松信介大臣(改選・兵庫3人区)が謝罪しました。そのうえで、補正予算で概算要求すればよかったとの小沼さんの主張に対して大臣は「補正の概算要求が迫っていたが、概算がえ、をすればよかった。しかし、大学のバイトが減るといった状況があのとき(2020年4月ごろ)そこまで分からなかったのではないか」と釈明しました。私は想像力がきく範囲だったと考えます。

 小沼さんが質問通告の事前レクで財務省から「資料がない」とされた決算文書があったとして、大臣が謝罪しました。そのうえで鈴木さんは「どうしてもお金の流れが国から地方自治体へと渡ると、執行額の時期が一致しなくなる」として「使途不明金11兆円」とまで書かれた当初・補正の予備費などの混然一体とした管理に理解を求めました。小沼さんから提案された予備費使用総調書に、予備費を付けたが使用しきれなかったことを明記したり、国会開会中だが補正を組めなかったりした事由を書き込んだらどうかとの提案は拒否。しかし、予備費の使用を説明する衆参予算委の理事懇で議事録が作成されないのはしたががないとしつつも、決算委などの数字が議事録に残る場面での説明は財務省はより真摯に取り組むようにすると確約しました。

 これとは別に、後々別建ての記事にすると思いますが、自民党の豊田俊郎さん(千葉・非改選)は成立した改正所有者不明土地特措法と区分所有法の関係について質問しました。豊田さんは、「千葉などで、マンションの問題があり、所有者不明マンションにも取り組むべきだ」と語りました。国交省住宅局は「おととしのマンション管理適正化法で、身近な地方自治体が計画を認定したり、助言をしたりできるようになり、この4月1日に施行された」と説明しました。豊田さんは「きょねん民法が改正されたが、区分所有法とは別の考慮が必要だ。区分所有法では、マンション管理組合の集会の欠席者は反対票とみなされる」としました。法務省民事局は「区分所有法制研究会で、論点整理してろおり、集会に参加しない人を分母から除外したり、共用部分の変更決定の多数決を4分の3から下げることも検討している」としました。政治日程感については「令和4年度中のできるだけ早期に論点整理を出したい」としました。

 ということですので、所有者不明マンションを念頭に置いた区分所有法改正案が国会提出される政治日程は確実で、来年の通常国会ごろに出されるかもしれません。こちらは後日、改めて書くかもしれません。

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【法案】令和7年通常国会に厚生年金保険法改正案を提出のはこび、個人事業の飲食店員などに拡大へ

2022年05月16日 09時09分44秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]厚生労働省=東京・千代田区霞が関=、同区日比谷公園から宮崎信行撮影。

 令和7年2025年の通常国会に「厚生年金保険法改正案」が提出されるはこびとなりました。日経新聞が先週13日に報じました。

 昨秋発足した岸田文雄政権は「全世代型社会保障構築会議」を設け、連休前の先月26日に「議論の整理」をまとめました。この中で法改正が必要なものとしては「勤労者皆保険の実現」が入りました。このため、厚生労働省は今夏から、社会保障審議会の部会で、話し合いを始めてもらい、令和2年改正法から5年経った、令和7年改正法案として国会に提出したいかまえ。

 個人事業主で従業員5名以下の飲食店店員なども厚生年金の対象に加えて、労使折半で年金保険料を集めることになりそうです。また、既に1000万人を超えた「フリーランスとギグワーカーは被用者かどうか」という大きな議題にも取り組まざるを得ないことになります。

 これまで入社式に「人質」のように年金手帳を持っていかねばなりませんでしたが、デジタルで廃止。政府は「複業」を進めています。月額定額の国民年金保険料を市町村に払うよりも、給料から労働者負担分を天引きするかたちの方が、将来の老齢年金額や、万が一の障害を負った時の基礎年金の手続きが良いのは間違いありません。統計でも、「できれば厚生年金に入りたい」との希望を持つ人がそれ以外よりも多いのははっきりしています。

 平成16年改正法「マクロ経済スライド」や、平成19年改正法「消えた年金」と比べてあまり関心を呼ばなくなった年金改正法案ですが、立法府には財務省所管の所得税法と厚労省所管の年金法の横串をさした初めての論戦に備えてほしいところです。

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