【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

10兆円大学ファンド法案は大臣が「憲法23条で学問の自由がある」と懸念を拭い去る、こども家庭庁衆議院通過、インターネット民事訴訟法はあす成立、2・7兆円補正予算案閣議決定

2022年05月17日 20時14分40秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]10年前、CSスカパー!及びYouTubeの討論番組(初回放送2012年5月19日分)に出演した筆者・宮崎信行、東京・渋谷の「チャンネル桜」運営会社の本社スタジオで。

 インターネット民事訴訟法改正案があす成立しますが、関心はかなり低く、弁護士・裁判官というのはインフルエンサーに見えて、物事が起きた後に仕事が始まる「川下産業」。10兆円大学ファンドは、東大生や東京新聞、ネットメディアが懸念があると大々的に取り上げましたが、大臣は「憲法23条の学問の自由は、これを保障する」を紐解いて答弁し、懸念を拭い去りました。

 全体的に政治日程の全体像を理解して発言しているインフルエンサーが少ないし、専門知識や学力があるのに、教養が薄い人が多いようです。

【定例・臨時閣議 きょう令和4年2022年5月17日(火)】
 令和4年度(第1次)補正予算案を決定。2・7兆円(高騰対策1・2兆円、予備費の埋め戻し1・5兆円)で、特例公債は償還期限が短い短期国債での借り換えを増やすことで、今年度の発行額はまったく増えません。

【与野党国会対策委員長非公式協議 同日】
 与党は補正予算案を決定することを事前に申し出ましたが「月内成立」どころか審議入り・財政演説の日程も提案せず、日をまたぎました。

【衆議院本会議 同日】
 「こども家庭庁設置法案」が政府原案通りに衆議院を通過しました。まず「日本維新の会の対案」(208衆法27号)が採決され、自立公国共有れ反対、維新のみ賛成で否決され、衆議院段階で廃案となりました。「立憲民主党の対案」(208衆法8号)は自公維国有反対、立共れ賛成少数で否決し、廃案になりました。
 「こども家庭庁設置法案」(208閣法38号及び208閣法39号)は立維共有れ反対、自公国賛成多数で政府原案通り可決して参議院に送られました。
 「自公のこども基本法案」(208衆法25号)は共れ反対、自公立維国有賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 「児童福祉法などの改正法案」(208閣法)は「修正すべきだ」との委員長報告を全会一致で可決し、政府原案と衆議院修正部分を参議院に送付。立憲の対案は委員会で採決されていないので本会議に上程されず、このまま会期末に廃案となりますが、次の国会への継続審議(正式には閉会中審査)の手続きがとられそうです。

 「アスベスト健康被害救済法改正案」(208衆法 号)は環境委員長から提出され、全会一致で可決し、参議院に送られました。最初の制定時から議員立法です。
 「国立国会図書館法などの改正法案」(208衆号 号)が山口俊一議院運営委員長から趣旨弁明され、ただちに採決し、全会一致で可決し、参議院に送付されました。

 あさっては100年ぶり刑法改正案の採決の公算。

【参議院法務委員会 同日】
 「オンライン刑事訴訟法改正案」(208閣法54号)は立憲・共産・沖縄の風が反対し、自民・公明・維新・国民・碧水会が賛成して可決すべきだと決まりました。あす成立のはこび。審議ではオンラインへの異論はなく、期間限定裁判に質問が集まりました。

【参議院文教科学委員会 同日】
 大学関係者から異論が出ている「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案」(208閣法35号)。井上信治・元科学技術担当大臣のときから「10兆円大学ファンド法案」として準備されてきました。きょうの審議では、山梨1人区選出で輿石東さん(日教組)の後継者である宮沢ゆかさんが疑問点を質問。大臣は「憲法25条には学問の自由は、これを保障する」との条文を説明して懸念を拭い去りました。宮沢さんは選挙対策なのか髪をおろしていました。

 採決は立共有れ反対、自公維国賛成多数で可決すべきだと決まりました。本会議に上程して、あす賛成多数で可決・成立のはこび。

【衆議院財務金融委員会 同日】
 いったん衆に戻り、「資金決済法改正案」(208閣法47号)はA4判248ページの労作ですが、討論なく採決され、全会一致で可決すべきだと決まりました。この後、大臣が金融再生法5条にもとづく政府報告で「1年間に破綻金融機関はなし」とし、各委員から円安などで質問を受けました。

【参議院環境委員会 同日】
 「温対法改正案」(208閣法25号)の対政府質疑1巡目。次回は参考人質疑。

【参議院農林水産委員会 同日】
 「農業経営基盤強化法などの改正案」(208閣法55号)と「農村漁村活性化法改正案」(208閣法56号)の参考人の意見陳述とそれに対する各党委員の質疑応答がありました。

【参議院国土交通委員会 同日】
 「宅地造成・特定盛土規制法案」(208閣法45号衆議院修正)の参考人質疑。木村英子国土交通委員・れいわ新選組は、質問時間を放棄しました。理由は分かりません。

【参議院外交防衛委員会 同日】
 林芳正外相に対する一般質疑は、きょうも昼のNHKニュースで報じられました。最後に「日本スイス租税協定」(208条約3号)、「大阪万博特権・免除協定」(208条約4号)、「IPU万国郵便憲章の改定」(208条約7号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院経済産業委員会 同日】
 「高圧ガス保安法改正案」(208閣法50号)が趣旨説明されました。質疑は次回。経済産業委員長は石橋通宏さんで、立憲民主党の全国比例で改選を迎える前の最後の政府提出法案となります。

【参議院内閣委員会 同日】
 一般質疑のみで、各委員の積み残しの行政監視案件が大臣にぶつけられました。

【参議院厚生労働委員会 同日】
 臓器移植の件と戦没者遺骨収集の件の2つの案件で政府報告があり、質疑がありました。

【衆議院議院運営委員会 同日】
 理事会でJR無料パス、国会図書館が話し合われ、委員会では本会議の段取りを決めました。

●参議院財政金融、総務委員会は開催されませんでした。
●衆議院の北朝鮮拉致問題特別委員会は政府提出法案などの付託はありませんが、理事懇談会を開きました。



 








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