【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

階猛さん「きょう5/18は私が筆頭理事として検察庁法・入管をSNSの力で廃案の日だがSNS侮辱罪が使われるかもしれない」が、SNSは阿武町役場と町民の4630万円バトルに関心集中

2022年05月18日 19時18分31秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 日経新聞の「11兆円の使途不明金」という打ち出し方や、補正予算案の2・7兆円という金額が飛び交いますが、世の中の関心は、山口県阿武町が定額給付金10万円を463人に振り込もうとして、誤って1人に4630万円を給付。地方創生で移住した20代男性は「既に使った」としつつも「少しずつ返す」と言明。仮に月5万円ずつ返すと、80年ほどで返済されることになります。筆者も読者も使い道のない豆知識ですが、こういうときは4630万円の腕時計を買うと、後で還元率が高いそうです。

【衆議院法務委員会 きょう令和4年2022年5月18日(水)】
 「刑法改正案」(208閣法57号・208閣法58号)は「侮辱罪の懲役化について、政府は施行後3年後に見直す」との文言を政府原案に追加する「修正議決」とすることを、立憲・共産反対、自民・公明など賛成多数で議決しました。立憲の対案「208衆法31号」は採決の結果「否決すべきだ」と本会議に上程されることになりました。議決された委員会修正案は立憲議員が説明し、採決では修正部分のみ立憲も起立しました。

 審議では「侮辱罪で、現行犯逮捕することはない」との大臣の答弁が明確に打ち出されましたので、警察庁が47都道府県警に周知徹底することになりました。今次改正法案で最も大事な、懲役刑・禁固刑を「拘禁刑」とする抜本的な改正には与野党ともほとんど異論は出ませんでした。

 討論では、立憲民主党の階猛さんが「きょうは5月18日です。おととしの検察庁法改正案(201閣法52号)、きょねんの入管難民法改正案(204閣法36号)はともに、5月18日に政府が成立を断念しました。私はずっと筆頭理事でした。それを実現したSNSの力を、侮辱罪が封じることになるかもしれない」と語りました。

 衆議院法務委員会がここ8年以上与野党激突委員会になったのは、2015年国会の司法制度改革束ね法案で、山尾志桜里筆頭・井出庸生次席の野党理事の超ハイテンション徹底審議を、先輩の階猛委員が支える「東大野球部トリオ」の功績でした。山尾さんは元議員となり、井出さんは自民党に寝返りました。ちなみに2013年国会で筆頭理事になった議員は「私は法学部でないのになぜ」と驚きつつ連続当選してエネルギー・環境問題の論客を続けています。議長を辞めた横路孝弘さんや、幹事長を辞めた枝野幸男さんもヒラ委員をつとめる重厚な法務委員会で、階さんが最も孤軍奮闘し続けている構図です。ぜひ、階さんが国会対策委員長になって、東北粘り腰国対を見てみたい気もします。きょねんの記事は次の通りです。


【5/18】ウィシュマさんご遺族と法務大臣面会で、入管難民法改正案廃案、シットインと高いボールの修正協議決裂実る
[写真]法案廃案決定後に大臣との面会のため法務省に入るウィシュマさんご遺族や弁護士ら、NHKニュース7から。 終盤国会最大の焦点となった「入管難民法改正案」(204閣法36号)を廃......

 
【参議院本会議 同日】
 参本は衆本とは逆に、まず新しく審議入り登壇議案の趣旨説明と代表質問をして、その後の法案を委員会議了順に採決することになっています。

 「こども家庭庁設置法案」(208閣法38号・208閣法39号)の趣旨説明があり、岸田文雄首相・野田聖子大臣の同期当選コンビが答弁しました。

 日経・SNSの「11兆円の使途不明金の説明を求めます」の声はアッという間に国会審議を終えて採決。「令和2年度予備費使用総調書」は、コロナ予備費などは立憲・共産が反対、雇用特会などは立憲が賛成に回り、災害予備費などは全会一致で承諾され、両院で承諾され、議了しました。

 「オンラインを導入する改正民事訴訟法」(208閣法54号)は立共れ沖反対、自公維国碧賛成多数で可決し、成立しました。
 「10兆円大学ファンド法」(208閣法35号)は立共有れ反対、自公維国が賛成して可決し、成立しました。どれほどの大きさの声だったのか把握していませんが、SNSで「国が大学の研究を指図する」と批判が出ましたが、それなら税金からの科研費の採択と同じで、説得力に乏しかったとしかいいようがありません。

 まあ、声はあげましょう。

【参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会 同日】
 「構造改革特区法を5年延長するなどの改正法案」(208閣法27号)が野田聖子・地方創生相から趣旨説明されました。

【参議院東日本大震災復興特別委員会 同日】
 「福島復興再生特別措置法改正案」(208閣法23号)は共産反対、自公立などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。あさって成立。
 那谷屋正義特別委員長が議事をとり、江崎孝特別委員が附帯決議を朗読しました。日教組と自治労なんで、どうしても私は肌合いがまったくあいませんが、まだ初当選直後の江崎さんが、衆議院第二議員会館地下2階の今も立憲民主党の会議室の前の廊下で、私も含めて廊下に座る記者に対して、「おっ!座り込みか!?」と嬉しそうに声をかけてくれてから、もう12年経ったと思うと、ちょっと寂しい気もします。もちろん、江崎さんは立憲結党の主要メンバーであることは歴史の事実。那谷屋さん、江崎さん、ちょっと早いですがお疲れさまでした。

【参議院憲法審査会 同日】
 「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査、憲法に対する考え方について、特に参院選挙区の合区問題を中心として」のタイトル。参議院憲法審査会事務局長と、参議院法制局長が各々別々にブリーフィングをしました。この話はもともと自民党が政権交代後に「改憲4項目」として教育の無償化とともに提示したときに出てきた話です。これを受けての各会派の意見表明がありました。そして議員間の自由討議があり、小西洋之さんは「例えば福井を今後合区にする場合は山梨と飛び地合併になる」として否定的な考えを示しました。

【衆議院国土交通委員会 同日】
 「統計問題と知床遊覧船事故問題等に関する集中審議」として、大臣から政府報告を聞き、対政府質疑がありました。馬淵澄夫国会対策委員長が粘り強く交渉して、国土交通省からも資料の提示を受けていました。が、まったく世論の関心は盛り上がらず。もちろん、朝日新聞のスクープはすばらしいし、行方不明の方の捜索で早く見つかってほしいとの思いは同じです。

【衆議院厚生労働委員会 同日】
 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」(208参法7号)が山本香苗・公明党参議院議員から趣旨説明され「婦人保護から福祉・支援へ」としました。質疑、討論なく採決され、全会一致で可決すべきだと決まりました。

 川田龍平・立憲民主党参議院議員が「障害者による情報取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に係る法律案」(208参法8号)を説明し、質疑・討論なくただちに採決され、全会一致で可決すべきだと決まりました。あすの衆議院本会議で成立のはこび。

【衆議院農林水産委員会 同日】
 「農林水産品・食料品輸出促進法改正案」(208閣法53号参議院先議)は全会一致で可決すべきだと決まりました。あす成立のはこび。

【参議院消費者問題特別委員会 同日】
 「消費者契約法など改正案」(208閣法41号)の審議が続きました。

【きのうの参議院議院運営委員会理事会 17日】
 山下八洲夫容疑者が、在職中にJR無料パスを紛失したという虚偽の届を参議院に提出していたことが、同院から報告され明らかになりました。

【報道 きょう】
 細田博之衆議院議長が、自民党島根1区支部に対して、同党松江支部の地方議員の年36万円の寄付があることを、細田支部だけ政治資金収支報告書に載せていなかったことが分かりました。事実ならば、辞任すべきだと私は考えます。

【与野党国対委員長会談 同日】
 与党が25日の補正予算審議入りを求めました。
【与野党参議院国対委員長会談 同日】
 与党が25日の補正予算案審議入りを求めました。

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【参議院インターネット審議中継】「13時00分」の憲法審査会は13時10分、特別委員会は13時30分開会へ、NHKは中継せず

2022年05月18日 08時14分35秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 きょう令和4年2022年5月18日(水)の参議院インターネット審議中継は、午前10時から本会議が始まります。午後には憲法審査会や、3つの特別委員会が開催されます。公報通り「13時00分(午後1時)」開会となっていますが、本会議が2時間半かかる見通しで、その後に、昼休みや、幹事会・理事会を開きますので、憲法審査会は午後1時10分、3つの特別委員会は午後1時30分に始まる見通しです。

 NHKは国会中継しません。


[写真]左が参議院分館、中央奥が参議院本館(エレベーター・エスカレーターで議員会館と結ぶ増築部分)、右が参議院別館(通称は第一別館)、宮崎信行撮影。

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「売春防止法改正案」の議員立法、あす(5/19)成立へ、「刑罰」を残して、「補導・保護」をこれからは「国・自治体による女性の相談・経済支援・福祉」へ

2022年05月18日 07時48分24秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 「売春防止法」の60年以上ぶりの抜本改正となる、参議院で超党派議員立法された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」(208参法7号)はあす、令和4年2022年5月19日(木)の衆議院本会議で可決し、成立することが確実になりました。

 これまでの警察による補導、法務省による保護更生から移行し、国・地方自治体が計画・予算・相談などで連携し「困難な問題を抱える女性」の福祉施策へと歴史的転換をすることになります。

 現行の売春防止法(昭和31年法律118号)は、「総則」「刑事処分」「補導処分」「保護更生」「附則」の5本で構成された法律。現在「懲役何年以下とする」との罰則規定の後に、保護更生などが入っている刑事法は、麻薬取締法、覚せい剤取締法に次いで、売春防止法が長文となっています(刑事法の分類は有斐閣「六法全書」に準拠。)

 今回の法律案は、第3章移行を丸ごと落とさせ、その後を「困難な問題を抱える女性の支援に関する法律(案)」へと流れさせる構造。「丸の内ビルディング方式」(低層階は建設当時のもので、高層階を新築する)と立法となりました。

 制定時には、女性参政権を実現して自ら参議院議員になった市川房枝さんに対して、「経営の神様」との俗称もあったパナソニック創業者の松下幸之助さんが反対論をぶち論争となりました。

 これに先立ち、きょう(5/18)の衆議院厚生労働委員会で審議されることになります。

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