【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【第26回参院選・大阪4人区第1報】【全国比例・維新第1報】松井一郎・吉村洋文「大阪2人」優先で「野党第1党」情熱は内に秘めたか、高木かおり「維新の女性を増やすリーダー」と馬場伸幸と藤田幹事長

2022年05月29日 22時24分20秒 | 第26回参院選(2022年7月)
[写真]松井一郎・日本維新の会代表、きょう2022年5月29日、大阪・泉北ニュータウンで、宮崎信行撮影=以下同。

 来月22日公示の第26回参議院議員通常選挙の大阪選挙区。定数4。6年前に当選した4人の現職全員が出馬する珍しい構図となりました。

 自民女性現職の松川るいさん、公明男性現職の杉久武さん。日本維新の会の高木かおりさんと浅田均さん。この4人に、共産党の元職の辰巳さんと、立憲民主党などの新人らが党勢の維持・拡大を含めてたたかいます。

 大阪を根城にする日本維新の会は全国比例(50)で20議席との予想がある自民、7議席前後といわれる公明、9議席の観測がある立憲を上回る議席数で、10議席を超えて、比例・改選の第2党・野党第1党の可能性があり、永田町は戦々恐々、東京メディアも注目しています。

 日本維新の会の高木さんは、来月22日の公示を前に、きょう令和4年2022年5月29日(日)、大阪府南部の緑豊かな「泉北ニュータウン」(堺市南区など)で演説会を自主的に企画し、開催しました。

 高木さんは「この会場は、私が自民党の堺市議だったころに会合を開いていた場所」とし維新にとって「豪華なメンバー。全員出席となるとは思わなかった」と語りました。松井一郎代表(大阪市長)、馬場伸幸・共同代表(国会議員団長)、藤田文武幹事長、吉村洋文副代表(大阪維新の会代表・大阪府知事)の4幹部がそろいました。全国で稀有な「公認」の永藤・堺市長も応援のマイクを持ちました。


[写真]高木かおりさん。

 松井一郎代表は「高木さんが当選して6年。6年前の選挙は厳しかった。なんと、おおさか維新の会という名前でした。東京で演説すると大阪に帰れと言われた。ここが衆議院で地元の馬場さんと自民党大阪府連青年局から維新を立ち上げて12年。そろそろ私は寿命かなと思う。馬場さんと私は1歳違いだが、はじめは年上だと思った。政治キャリアは馬場さんが長い。そして、吉村洋文大阪市長と永藤堺市長を面接したのはこの私です。私の孫が20歳になるまではがんばって、教育無償化をやってほしい」と語りました。

 松井一郎さんは、浅田均さんを「6年経って、歩幅が狭くなっている」とし、「浅田・高木」の2人当選に向けて6年前と比重をかえた戦術をとると、会場の支持者に伝えました。






[写真]松井一郎さん。

 これに先立ち演説した吉村さんは「自民党と違って団体がない。みなさんのおかげでここまで来られたのは奇跡だと思う。橋下徹さんと松井さんら創業者のおかげだ」としました。吉村さんは「全国では自民党が勝つでしょう」とあっさり語りつつ「大阪では改革政党が必要だ」と話しました。吉村さんは「退職金を廃止したので4000万円の税金が浮いた。4000万円あったらなにしましょう」と話すと前列の壮年女性から「たこ焼き!」と突っ込みが入ると、吉村さんは「たこ焼きなら一生分買えますやん」と素早く反応しました。




[写真]吉村洋文さん。
 司会の堺市議男性2人から「馬場共同代表というよりも、地元の馬場ちゃんでおなじみかもしれません」と紹介され登場した馬場さん。「6年前、松井さんから2人目の候補者を探してといわれた。その際に、自民党の堺市議の高木さんを口説いた。実は、松井さんも私も元は自民党で、大阪は自民党ではようならん、と思って維新をつくりました」と話しました。馬場さんは「おかげさまで維新は衆参で56名。衆で女性4名。参で女性3名。女性議員が7眼しかいなくて、増やしていくリーダーが高木さん」と持ち上げました。馬場さんは高木さんの6年間を「国会で活躍するよりも、府内、全国の選挙の応援にかけまわった」とし、党勢拡大への実績でたたえました。

 藤田文武幹事長は「6年前は維新政治塾、面識なくいきなり高木陣営に入ったが、候補者付き・写真係の私によくしてくれた。昨秋、幹事長として人事をして、高木さんに幹事長代理兼ダイバーシティ局長になってもらった。維新もまた男性ばかりでマッチョな政党なので、変えていきたい」としました。










 会合は、堺市議2名が仕切りました。そのため、地域総支部によってはカオスとなる立憲民主党と違って、立憲ベテラン秘書用語の「自民党方式」で整然と進行。開会前には「マナーモードは、自信満々の人が忘れます」とうながしました。吉村さん登場時に、前列で一斉にスマホ撮影する放列ができたので、松井さんの登場時にそのことをあおると、松井さんは「三宅市議、それとまとば市議?」と2人名前を言って一拍確認してから「大人になるといらんことを覚える」とユーモアで、会場を沸かせました。

 私の感想では知事・市長は地方財政学用語の「財政調整基金」と「減債基金」の増減と黒字・赤字を分かっていて都合よく実績を演説しており、ポピュリズムの香り。また、近鉄など民間企業の名前を出し、大阪府・大阪市・堺市の公有財産を民間に売却することを「財政健全化」だと強弁しています。これは、ミルトン・フリードマンが主張した元祖・新自由主義、小さな政府の考え方。2008年のスタートから十数年たっていますので、政治家がどんなに気を付けても、周囲からいずれ埃がでそうです。

 また「4幹部ら」の政策内容が一本化されておらず、これは「会議好き」の立憲民主党が一日の長があります。

 何より、松井、吉村両幹部に「大阪府外も含めた日本全国の参院選で野党第1党になる」との気概がまったく感じられませんでした。大阪府内なので、野心は内に秘めて演説をしたのかもしれません。

 2025年大阪・関西万博は、永藤市長が若干触れただけ。カジノの話は誰からも出ませんでした。

 第26回参院選では全国維新は、2013年・2014年に衆で2議席差の野党第2党となって以来の全国比例(定数50)の野党第1党ないしは、全体の第2党をめざすことになります。仮に維新が、公明党と立憲民主党を比例で上回った際は「黄金の3年間」での合従連衡に影響を与えるはひっし。自民党の磐石ぶりは、公示3週間前のきょう現在、まったく揺らいでいません。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。