【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[法律の執行状況]歌舞伎町「トー横」「大久保公園」で若い女性客にホストクラブの売掛金の回収を迫って売春(立ちんぼ・交縁)を強要したホスト逮捕、売春防止法9条60年ぶり適用

2023年04月27日 19時13分46秒 | 法律の執行状況
[写真]若い女性客とホストクラブ店舗に向かうホスト、東京・新宿区歌舞伎町で、きょねん2022年8月、宮崎信行撮影。

 警視庁が先月、女性客に対してホストクラブ売掛金の回収のために売春して金銭を得るようそそのかすことを禁じた売春防止法違反で東京・新宿歌舞伎町のホストの男を逮捕したことが分かりました。

 従軍慰安婦を一カ所に集めて売春を強要して軍票で報酬を支払ったことで世界的に知られる日本人ですが、売春防止法第9条の「売春をさせる目的で、前貸し、その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与した者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」の規定が適用されたのは60年ぶりのようです。

 今後は、警視庁による法律執行が注目されるととともに、売春強要や特殊詐欺などの、「収益を共有する集団」を大小問わず組織犯として、カネの動きを追い、立法化も含めて検討する必要がありそうです。

 歌舞伎町の新宿区役所前通りから、トー横(新宿東宝ビル横)にかけて位置する「ホストクラブ」は若い女性が出入りし、接待・飲食・カラオケを提供。人気ホストが8割を稼ぎ、他の見習いホストがヘルプとしてもてなし、受付で金銭を支払うシステム。しかし、当日の支払いを猶予して、(ホスト側から見て、店舗に対して)「売掛金払い」とし、後日、女性客に精算を迫る方式をとっています。

 このため、支払えない若い女性客が、区役所前通りから至近のトー横でアプリで待ち合わせたり、大久保公園で立ちんぼとして男性買春客(30代大手会社員が多い)と交渉してラブホテルに向かう「交縁」をしたりするよう迫ることが問題視されていました。

[写真]大久保公園(右側)前で立ちんぼで売春する女性、ことし2月、宮崎信行撮影。上の写真から見ると、右奥で、一本右側(JR新大久保駅側)に入ったところ。

 大久保公園の立ちんぼは半世紀前からあり、ホストクラブの売掛金回収のために性風俗店で働くよう仕向ける「風呂に沈める」行為は以前からありましたが、コロナ禍の男女ともサービス業従事者の経済的苦境や、官民挙げての暴力団排除の成功の反動での無秩序から、3年ほど前から激増していました。

 報道によると、被害女性が求められた売掛金は20万円で、40日間立ちんぼを実施。警視庁がきょねん摘発した50人のほとんどがホストクラブの売掛金(正確には女性客から見れば買掛金)の支払いを求められたことが理由だったようです。

 筆者は、最も有名な都道である「明治通り」に面して占有許可を受けた機械販売会社のオーナー社長の子に生まれた関係から、小学生の頃から警視庁の要請で東京地裁から数メートル以内接近禁止命令が出ている暴力団幹部の元娘の登校を警護する役回り(コードネーム「副班長」)をつとめたこともあり、古物商免許と加えて、警視庁の主に生活安全部とは情報を共有しながら生きてきました。暴力団壊滅・街の洗浄化闘争では、所轄の滝野川警察署は暴力団が入れない地域として知られています。最近の官民運動は特殊詐欺集団の壊滅一辺倒となっています。

 このため、暴力団壊滅で、歌舞伎町が逆に無秩序になっていることは気にかけており、明るい時間帯ですが、個人的にパトロールしています。また、この内容は、「商業者」「古物商」「下町」を理由として、間に一人以上挟んだうえで、東京の地下経済・裏社会に詳しいクリーンな民間人との認識のもと岡田克也衆議院議員事務所に提供して、今後の日本社会の動向を占いあっています。

[写真]トー横を早朝から自主的にパトロールする筆者、きょねん5月上旬、宮崎信行撮影。手前側が新宿東宝ビルで、右手前が「アイ・ラブ・歌舞伎町」のネオンサインがあるビル。

 以上です。

防衛国会は何も深まらない印象、憲法9条は与党・北側一雄「国会オンライン出席」で混ぜ返す、入管法はあす採決の公算、

2023年04月27日 17時29分15秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]5年前のちょうど今日「民進党」(大塚耕平代表・羽田雄一郎役員室長)離党に追い込まれる政治生命最大の窮地にいたった岡田克也衆議院議員の記者会見に出席したフリーランスライターの畠山理仁記者と筆者ら、2018年4月27日。

 第211回通常国会は残り56日間で、衆議院での重要法案の審議入りは峠を超えました。「防衛国会」「エネルギー国会」となりましたが、議論の深まり、歩み寄りはほとんどない印象。やはり、2014年の解釈改憲で立憲政治が転換してしまっていたことを改めて証明しています。

●衆議院法務委員会の定例日は火・水・金なので今日の開催はありません。

【衆議院議院運営委員会 きょう令和5年2023年4月27日(木)】
 5月1日から9月30日までのクールビズを決定。次回の5月9日(火)の本会議から、輪番出席・アクリル板などのコロナ対応を日常に戻すことを決めました。

【本会議】
 新議員として、維新で議席番号49林祐美さん、自民の435吉田真次さん、436英利アリフィヤさん、437岸信千世さんが紹介されました。
 森山裕さんの永年在職表彰がありました。
 「マイナンバー法改正案」(211閣法46号)が立共れ反対、自公維など賛成多数で可決し参議院に送られました。
 条約の承認案3本。「日本バーレーン投資協定」(211条約4号)が共れ反対、「日本アゼルバイジャン租税協定」(211条約5号)「日本アルジェリア租税協定」(211条約6号)が共反対で承認され、参議院に通知されました。
 「孤独・孤立対策推進法案」(211閣法)はれ反対で可決し、参に送られました。
 「GXグリーントランスフォーメーション原子力基本法・電気事業法など改正案」(211閣法衆議院修正は、「原子力規制委員会が原発新設を速やかに審査できるように業務量を検討すべきだ」とさらに背中を押す修正を、立共れ反対、自公維国有賛成多数で可決し、参に送りました。
 「水道行政の国土交通省・環境省移管法案」(211閣法45号)を共れ反対、自公立維国有賛成多数で可決し、参送付。水道民営化に慎重な杉並区長当選や積極派のフランス企業日本幹部の経団連副会長就任でくすぶる問題でれいわ新選組・山本太郎代表の新自由主義の本命との見立ては筋が通っています。

 この後、河野太郎デジタル大臣が「デジタル社会形成基本法改正案」(211閣法47号)を趣旨説明。行政の申請でフロッピーディスクを使えたものをオンラインも可能にするなどの内容。

【憲法審査会】
 9回連続9回目の開催。40分ほど遅れました。自由討議で自民党の新藤義孝さんは「4月は憲法9条をずっと議論し、建設的だった」と流れを維持しようとしました。ところが、公明党の北側一雄さんは「憲法9条のほかに、オンライン国会出席に関しての憲法39条や、緊急事態条項も大事だ」と混ぜ返し、話を憲法9条からそらしました。開催が遅れたため、各党派1巡目の意見表明だけで、議論が打ち切られ、散会しました。

【安全保障委員会】
 「防衛産業基盤強化法案」(211閣法20号)の大詰めの審議。質疑が終わり、討論となり、共産党の赤嶺政賢さんは「アメリカは軍事情報を官民一体で共有する体制を日本に押し付けている」と述べました。採決は共反対、自公立維国賛成多数で可決すべきだと決まりました。今後は、小型から中型までのマシンガンを一括して製造してきた住友重機械工業の撤退方針についての防衛装備庁の交渉が政策項目となります。東京新聞が「お金儲け」の観点から報じますが、企業経営は「増収」ならば赤字でも銀行融資が出ますので、数年後からはまた横ばいにしかならない官公需がお金儲けというのは資本主義の理論から外れた話で、むしろ経営が立ち行かない企業が多いととらえるべきです。

【東日本大震災復興特別委員会】
 政府が日切れ法案(※こめじるし法案)として審議を依頼していた「復興再生特別措置法改正案」(211閣法7号)が初めて審議入りしました。
【農林水産委員会】
 「漁港漁場整備法及び水産業協同組合法改正案」(211閣法52号)が審議入りしました。
【総務委員会】
 「放送法など改正案」(211閣法40号)が審議入り。ところで来月15日付で筆者と総理番同期の原聖樹記者がNHK報道局長に就くことが決まりました。あまり他者とかかわらない印象の人で、コミュ力のある人がマスコミ企業で出世する時代は去ったような気がします。
【参議院内閣委員会】
 「フリーランス保護法案」(211閣法23号)を賛成多数で可決すべきだと決まりました。あす成立。
【法務委員会】
 「GPS刑事訴訟法改正案」(211閣法41号)の対政府質疑。
【外交防衛委員会】
 防衛国会と、外交・防衛の参議院の特徴をいかした4案一括審議が採決されましたが、注目は集めませんでした。「日豪円滑化協定」(211条約1号)「日英同」(211条約2号)「日豪円滑化協定実施法案」(211閣法33号)「日英同」(211閣法34号)を承認、可決すべきだと決めました。
【厚生労働委員会】
 「健康保険法改正案」(211閣法16号)の参考人質疑で、元時事通信記者の三原岳・ニッセイ基礎研究所主任研究員らがかかりつけ医などで意見を述べました。
【国土交通委員会】
 「海上運送法改正案」(211閣法42号)を可決すべきだとしました。審議の流れに沿って政府が提出した天下り資料で、海上保安官僚出身の戸田邦司・元自由党(小沢一郎党首)参議院国会対策委員長の名前も含まれており、健在を確認しました。
【環境委員会】
 「熱中症アラートの気候変動適応化法改正案」(211閣法32号)が審議入りしました。
【文教科学委員会】
 一般質疑で、統一教会への解散命令見送りで質疑がありました。
【経済産業委員会】
 一般質疑で、エネルギー国会は参議院ではこれから佳境になります。
●立憲民主党の政務調査会も次回は5月8日(月)以降に開くことにして、ゴールデンウィーク休戦モードとなります。閣僚も海外に行きます。国民民主党の玉木雄一郎代表は「ゴールデンウィーク返上で足立区議選の応援をする」と意気軒高。国会職員・秘書らも久しぶりの墓参りもできそうです。

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