【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

自民党世襲大臣の「親米保守観」は真の保守か問われる衆議院審議がスタート、首相「安保3文書は総合的国力に」小泉進次郎「中国が脅威で、中国は一党独裁から一人独裁になった」とピンボケ質問演説でスタート

2023年04月04日 18時48分12秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]昨年末、知事・市長も知らぬ間に突然基地化した、米陸軍の常駐特殊揚陸部隊の「横浜ノース・ドック」(瑞穂ふ頭)横浜市の「三菱地所・ランドマークタワー」で、先月2023年3月、宮崎信行撮影。

 政局は衆議院に戻りました。

 統一教会救済法成立後に、岸田文雄首相(元外相・元防衛相)は前倒し防衛大綱で5年で43兆円・トマホークを決定。林芳正外相・浜田靖一防衛相はガイドライン改定こそ見送られましたが、横浜市の瑞穂ふ頭が米陸軍の荷揚げ基地から突如常駐兵の揚陸部隊基地となりました。そして税制改正では増税のプログラムが明記されました。

 きょう、初めて岸田文雄首相が「安全保障3文書」の政府演説をして、それに対する代表質問がありました。木曜日、金曜日の本会議も防衛増税になります。立憲民主党は共産党と通じつつ、立維共闘も維持するかまえ。民主主義を踏みにじる自公政権の地方組織と対峙する統一地方選を戦う仲間に風を吹かすことももくろみます。

【衆議院本会議 きょう令和5年2023年4月4日(火)】
 「国家戦略特区法及び構造改革特区法改正案」(211閣法37号)が立憲・共産・れいわ反対、自民・公明・維新・国民・有志が賛成して可決し、参議院に送られました。

 この後、岸田首相が「国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画に関する報告」をしました。首相は「昨年12月16日国家安全保障会議及び閣議において決定いたしました。以下これらについてご報告申し上げます」としました。

 首相は「本戦略は外交防衛のみならず経済、技術等を含む多岐にわたる分野の安全保障上の問題に対し総合的な国力を最大限活用」するとし「国益を確保するための安全保障に関する最上位の政策文書です」とし、経済安保・防衛増税を正当化しました。首相は「自由で開かれたインド太平洋のビジョンのもと、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化等の方針を示し」て、「2027年度において防衛力の抜本的強化とそれを補完する組へ取り組みをあわせそのための予算水準を現在の国内総生産の2%に達するよう所要の措置を講ずることとしております」と一方的に国会に報告しました。
 
 自民党は米海軍・日本海自横須賀基地を事実上の母港としてきた原子力発電で動く空母の至近距離で生まれ育った小泉進次郎さんが登場。


[写真]米海軍・日本海自「横須賀基地」から乗船した護衛艦「しらね」に乗った筆者、今から26年前の1997年撮影。

 小泉さんの祖父は防衛庁長官で、東京大空襲の計画を立案した米軍人カーチス・ルメイ(のちに人種差別を公約にした政党の副大統領候補となり落選)に勲章を渡しています。また、小泉邸は、日本で最も原発至近距離の住宅地にありますが、地元の人は「だから逆に、日米同盟を信頼しきる性格になったんだと思う。それでいて、お父さんは引退後に反原発を言い出したのかもしれない」という声が複数あります。

 小泉さんは「自由民主党を代表して主に3点質問いたします」と語りました。小泉さんは「我が国の安全保障に最も重大な影響を与えるのは言うまでもなく、中国です」と北朝鮮ではなく中国だとの認識を示し「中国が一党独裁から一人独裁に変容している中、岸田総理と習近平主席が向き合い、言葉を交わすことがますます重要となってきます」と国家・党よりも、習さんが脅威だとの独自の認識を示しました。

 首相は答弁で「まず、さきほどの5年間の防衛力整備計画における所要経費43兆円程度と申し上げるべきところ42兆円と発言したようであります。正しくは43兆円程度であります訂正させてお詫びを申し上げます。その上で質問にお答えさせていただきます」とし、「まず優先されるべきは積極的な外交です」とそらぞらしい答弁を続けました。

 小泉さんの「北朝鮮でなく中国が脅威」は日本の国益か、アメリカの国益か。おそらくリチャード・アーミテージの利益です。

 あさっての本会議は「防衛財源確保法案」(211閣法1号)が鈴木財務大臣から、しあさっては「防衛装備品関連生産基盤強化法案」(211閣法20号)が浜田防衛大臣から説明され、世襲議員の対米保守観も問われる議論が始まります。

【衆議院安全保障委員会 同日】
 浜田防衛大臣が「日豪円滑化協定実施法案」」(211閣法33号)と「日英円滑化協定実施法案」(211閣法34号)を趣旨説明しました。法案審査は次回あさって9時から。これに先立つ条約は3月29日と30日に外務委員会の審査を経て承認され、参議院に送られています。

【参議院第一種常任委員会 同日】
●参議院外交防衛委員会は定例日ですが開催されず、次の4つの第一種常任委員会が開かれました。
●参議院法務委員会「裁判所職員定員法改正案」(211閣法10号)が趣旨説明され、散会しました。
●参議院内閣委員会は、小倉正信こども家庭庁担当大臣があいさつ。一般質疑で、官邸官僚の新原浩朗さんが組閣構想をメモした行政文書が存在することが杉尾秀哉さんから暴露され官房副長官が認めました。最後に「DV防止法改正案」(211閣法24号参議院先議が小倉男女共同参画相から説明されました。立憲民主党は既に「不十分ながら政府原案に賛成する」と次の内閣で決定済みです。

●参議院財政金融委員会では「国際協力法銀行改正案」(211閣法14号)と「世界銀行法改正案」(211閣法15号)が鈴木大臣から趣旨説明されました。

●参議院国土交通委員会では「気象業務法及び水防法改正案」(211閣法25号参先議)が趣旨説明されました。

【衆議院法務委員会 同日】
 3法案の一括審議で全会一致で可決すべきだと決まりました。なお、野党各党は3法案一括の段取りには反対していました。
 「仲裁法改正案」(211閣法28号)と「調停に係るシンガポール条約国内実施法案」(211閣法29号)と「ADR裁判外紛争手続法改正案」(211閣法30号)。なお、211閣法28号が審議入りしたことを前回までの記事で書き漏らしていました。今国会は書き漏らしが多いので、立て直していきます。

【衆議院環境委員会 同日】
 「気候変動適応法改正案」(211閣法32号)が趣旨説明されました。気候変動に関する京都議定書・パリ協定の条約の国内実施法に「熱中症アラート」を書き込む内容。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
 「健康保険法改正案」(211閣法16号)の参考人質疑。
【衆議院国土交通委員会 同日】
 「道路整備財源特措法改正案」(211閣法18号)の参考人質疑。

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