【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

野党「こどもたたき台」で対決色強まる、小川淳也・厚労委筆頭「防衛費だけ聖域なので、総裁選に向けて宏池会が清和会に配慮しているのか」と語る

2023年04月12日 17時19分33秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]小川淳也・衆議院厚生労働委員会筆頭理事、おととし2021年10月、香川県高松市で、宮崎信行撮影。

 統一地方選前半戦の自民党の98議席減、立憲民主党の10議席増の勢いも受けて、与野党対決色が強まりました。

【参議院憲法審査会 きょう令和5年2023年4月12日(水)】
 今国会2回目の開催。7分遅れで始まり、参議院の緊急集会に関する各会派の考え方について、発言し、参議院法制局長への質疑をまじえた議論となりました。

【参議院本会議 同日】
 「地域公共交通活性化・再生法改正案」(211閣法17号)で、斉藤鉄夫国交相(公明党副代表)の趣旨説明とそれに対する質疑だけがありました。共産党はこの政策を統一選の目玉としていましたが、前半戦では不発となり4分の1の議席を失いました。田村智子副委員長は質問で「千葉県内の路線、JR東日本がバスを前提にしている」と指摘し、大臣は「JR東日本は再構築協議会で、バスを選択肢として出しただけだ。今後、JR東日本がバスにこだわるならば、省としても指導していきたい」と述べました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】
 「健康保険法改正案」(211閣法16号)が自公のみの賛成多数で可決すべきだと決まりました。
 採決に先立つ対総理質疑では、立憲民主党の小川淳也前政調会長が「こども子育て政策よりも、防衛費を聖域化している」と防衛増税を批判。首相は「令和5年度予算においても予算全体の6割以上は社会保障であったり教育費に割り当てている」とはぐらかしました。小川さんは「防衛費優先するために法案(211閣法1号と211閣法20号)を出してるじゃないですか」と反撃しました。
 小川さんは「私、大平正芳さんの地元なんですよ、香川。自民党宏池会はどうなったんですか。2%の防衛費、敵地攻撃集、団的自衛権。岸田さんの視線の先にはおそらく、自民党清和会があるんでしょうね。そしてそれは来年秋の自民党総裁選の再選を最優先に考えている。あらゆる政策決定の背景にそれがあるんですよ」としました。
 小川さんは重ねて「3月11日に福島に行って中学生と懇談しましたね。そのときになぜ総理大臣を目指したかと聞かれて、一番権限が大きいだからだと言った。私これぞっとしたんですよこの報道を見たとき。総理は自民党右派に気を使って政治信条を軽々と飛び越える」「せめて、私はこういう社会にしたい。あるいはこの課題を解決したいだから総理大臣を目指したと言えるような総理大臣であるべきじゃないんですか」と語りました。首相は「派閥単位の議論に矮小化するなどということは全く考えていません」「どの立場であっても、この政治の責任を果たすために全力で取り組まなければいけない」とはぐらかしました。

【衆議院外務委員会 同日】
 速報の記事で書いた通り、条約承認案12件のうち1件の提出が遅れています。きょうは、「日米宇宙協力協定」(211条約3号)「二国間航空協定に関する日・EU協定」(211条約7号)「サイバー犯罪に関する条約の追加」(211条約9号)の3つが趣旨説明されました。

【衆議院農林水産委員会 同日】
 「グリーンウッド法改正案」(211閣法31号)が全会一致で可決しました。今回も、金子恵美ネクスト農相が独自の修正案を提出しました。先週木曜日の次の内閣で決定したのは「附則第4条に、政府が違法伐採の状況を勘案して適切に合法性の確認を確保する措置を検討する項目を追加する」などとした修正案でしたが広がらず。党は政府案について金子ネクスト農相に「一任する」と決定していましたので、政府案に賛成に回り、全会一致での可決となりました。

【衆議院内閣委員会 同日】
 「医療ビッグデータ法改正案」(211閣法38号)が共産のみ反対して、賛成多数で可決すべきだと決まりました。

【衆議院法務委員会 同日】
 「仮釈放者にGPS装着を可能とする刑事訴訟法改正案」(211閣法41号)は共産のみ反対、自公立維国の賛成多数で可決すべきだと決まりました。共産委員は、性犯罪刑法など犯罪の種類に応じた規制をすべきではないかとしました。

【衆議院文部科学委員会 同日】
 「著作権法改正案」(211閣法51号)の質疑1巡目で、自公立維の4党だけで、次回に持ち越しました。

【衆議院国土交通委員会 同日】
 「海上運送法改正案」(211閣法42号)が全会一致で可決すべし。

【衆議院経済産業委員会 同日】
 重要広範議案「GX原子力規制法・電気事業法改正など電源法案」(211閣法26号)の対政府質疑。

【衆議院北朝鮮拉致問題に関する特別委員会 同日】
 大臣らの所信に対する質疑がありました。この委員会はずっと見ていると、県議出身の当選1回生が「長年、拉致問題に関心を寄せていた」として質問を希望する傾向があります。そのため、議論全体として前に進んでいないというイメージを持たざるを得ません。

【参議院3つの調査会】
 定例の水曜日の本会議後に開かれ、明石康さんらから意見を聞きました。

 以上です。

【速報】健康保険法改正案は与野党対決、自公のみの賛成で可決、総理入り質疑で国民「出産の保険適用で混乱」強く批判

2023年04月12日 16時41分44秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]共産党の反対討論に立った宮本徹・衆議院厚生労働委員(右)きょねん10月、国会内で宮崎信行撮影。

 「健康保険法改正案」(211閣法16号)が自民党・公明党が賛成し、立憲・維新・国民・共産の野党すべてが反対して、さきほど衆議院厚生労働委員会で可決しました。

 国会対策委員長の紳士協定「重要広範議案」のため、岸田文雄首相も同委員会に出向き、1時間強「対総理質疑」にのぞみました。対総理質疑は衆参あわせて8時間となりますが、今国会は例年と違い、野党が予算関連法案での重広指定を避けました。そのため、4月中旬という遅い時期での第1号の対総理質疑となりました。

[追記・訂正 17時半]「新型インフル特措法及び内閣法改正案」(211閣法6号)は衆議院を3月30日(木)に自公維国の賛成で通過しており、これが重要要広範議案の衆議院通過第1号でした。対総理質疑は衆議院で2回行われ、参議院では現時点でゼロです。誤りに自分で気づきましたので、訂正します。[追記・訂正終わり]

 国民民主党の田中健さん菅義偉前首相も含めた政府の「出産費用保険適用と大きく報道されたことで、すぐにでも保険適用になると思っている国民が多く、現場で混乱もあるようだ。3年後をめどでは遅すぎるのではないか」と問いました。

 首相は「出産費用の保険適用について検討を行っていく必要があることから、令和8年度をめどに検討を進めることとしております」と語りました。

 国民民主党の玉木雄一郎代表がきょねん「検討使」と揶揄。これを受けて、SNSでの岸田さんの物まねなど世論で「検討を進める」は常套句としてかなり浸透しています。

 首相は「この国会においても各党から様々な意見がありました。そうした議論を踏まえて、この度出産費用の見える化を進めて検証を行った上で、次の段階として、この出産費用の保険適用を含め検討を行う。こうしたことをこども子育て政策のたたき台の中に盛り込んだこうした経緯をたどりました」としました。この出産の保険適用については、先ほども議論の中にありましたがメリット、デメリット、様々な指摘があります」と煮え切らない姿勢を示しました。

 一方、与党・自民党は小泉進次郎さんが先週の本会議に続き質問に立ちました。5分間の持ち時間ながら「先週統一地方選の応援の際に大磯駅で見つけた」として、子ども用車いすに配慮するよう求めた看板をパネルにして「私も3歳児の父として時々ベビーカーを使うから分かる」と聞きました。与党議員、閣僚経験者、持ち時間5分のいずれの要素からも、国会中継がない質疑で、パネルを使うのは異例で、小泉さんの存在感を示そうとの考えが浮き彫りになりました。あるいは焦りなのかもしれません。

 以上です。

【独自】日本クロアチア航空協定の国会提出遅れる、署名ができておらず、見通し立たず

2023年04月12日 15時06分16秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
 政府が1月23日の衆参議院運営委員会で「2月下旬に提出したい」とした「日本クロアチア航空協定の承認案」の国会提出の見通しが立っていないことが分かりました。外務省が当サイトの取材で認めました。外務省は二国間の署名がされていないことを理由としてあげました。

 今国会では「日本学術会議法の改正」と「日本クロアチア航空協定の承認案」の2つが提出の見通しが立たない状況となりました。

 今回の第211回国会の会期は6月21日(水)まで。

 以上です。

【独自】[訃報]先代の北区長・北本正雄さん102歳で逝去 花川よそうた現職区長88歳(投票日)の出馬で話題

2023年04月12日 15時00分00秒 | 地方
[写真]北区の区長室・区議会が入る庁舎、おととし2021年10月、宮崎信行撮影。

 1つ前の東京都北区長だった北本正雄さんが102歳で、7日までに亡くなったことが分かりました。同区役所が取材で認めました。政府は先週2023年4月7日金曜日の閣議で「従四位」の叙位を決定していました。

 北本さんは1983年に62歳で区長に当選し、5期20年、82歳までつとめました。北区生まれで、都庁(有楽町)に入庁してから、中央大学法学部(駿河台)を卒業。その後都区の役割改革で、北区職員に転籍。助役(副区長)から相乗りで区長となりました。当時、都庁入庁・中大法卒・都区改革で区役所転籍・助役から区長になるキャリアパスは近隣の区でも複数ありました。

 この後、2003年から、自民党都議だった花川よそうた(花川與惣太)さんが68歳で区長に当選し、次の次の日曜日に告示される区長選に出馬(投票日時点で88歳)するため、全国的に注目されています。この選挙には、自民党女性都議、諸派女性区議、女性経営者も出馬表明。なお、元ジャニーズ有名タレントの大沢樹生さんも出馬することを発表しましたが、花川さんと政策協定を結ぶ記者会見を開き、撤退しています。

[追記・訂正 17:45]次の次の日曜日ではなく、次の日曜日でした。初回投稿記事本文も訂正しました。[追記・訂正終わり]

 歴代区長が長寿であることも、北区の政治文化の土壌にありそうです。

 以上です。