【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

入管難民法改正案2日間で14時間審議、本村伸子「トルコでクルド語禁止で暴力を受けて来日したが、サッカー選手になる夢はクラブに入るのが就職だからできないと入管に言われた」との体験談を紹介

2023年04月19日 17時54分15秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]陸上自衛隊セクハラ(性犯罪)を告発した元自衛官・五ノ井里奈さんはもともと東日本大震災の体験から陸自に入り、実名告発を決めたのだと、本人に代わって、防衛省人事教育局長・陸幕人事教育部長(右端)に話す本村伸子さん(左端)、きょねん2022年9月、衆議院議員会館で宮崎信行撮影。

 2年ぶりに提出され「入管難民法改正案」(211閣法48号)をめぐって、本村伸子さんがきょうも胸を打つ当事者の体験談を紹介しました。

【衆議院法務委員会 きょう令和5年2023年4月19日(水)】
 法務省は今国会に大量9法案を提出しています。野党の求めと違い「性犯罪の刑法改正案」(211閣法58号・211閣法59号)を後回しにしました。このため、「入管難民法改正案」について廃案を求める議事堂外行動が起きていますが、立憲民主党は徹底審議と修正、共産党は法案出し直しを提案しており、審議未了廃案をめざす統一歩調はできていません。

 与党も審議を急ぎ、きのうに続き、きょうも7時間コースの対政府質疑が設定されました。

 立憲民主党からは難民条約の柱で世界的に定着した「ノン・ルフルマンの原則」(追放・送還停止の原則)に反した内容が、準難民の認定などの条文に含まれているのではないかと指摘しました。

 2年前と同じく法務委員の共産党の本村伸子さんは、サッカー選手になれず入管から認定されなかったクルド人の体験談を話しました。日本民族(大和民族)には想像できませんがクルド人4000万人は過去1000年間に2年程度しか国家を持ったことはありません。

 本村さんは次のように語りました。本村さんは「軍隊に入れば自分と同じクルド民族への攻撃に加担させられるおそれがあり兵役を避けるためにトルコを出国し、日本に住む叔父を頼って来日した」としました。トルコ国のその小学校ではクルド語が禁止となっており、話すと教師から繰り返し暴力を受けたとし、これだけでも難民認定の対象になるのではないかとしました。本村さんは体験談を続けて、「サッカーの選手になりたいという夢を持っていて、高校1年生の1学期に入管局に出頭したときインタビューを受けて、将来の夢を話したら、日本にいてどんなに頑張ってもお金と時間の無駄だから国に帰ってと言われた」とのやりとりを紹介しました。その少年は発奮し「いい成績を持ってくれば認めてくれるかという気持ちがあって、勉強とサッカーを両立しながら2回ほど倒れたそうなんですけれども睡眠不足で、それでも良い成績を取るために頑張って実際に良い成績を取ることができた」と考えたそうです。しかし、3学期に成績表を入管に持っていったら「サッカークラブに入ること自体が就職になってしまって、それが禁止されているので、頑張ってスカウトされたとしても、君はサッカー選手にはなれないよ」と言われたとしました。

 サッカーの育成組織が一部リーグの会社が経営しているからだと思われます。本村さんによると、現在は大学に通い国連で働くことを夢見ているそうですが、近々2つ目の夢も奪われるのではないかとおびえていると紹介しました。

 本村さんは難民認定率がドイツ34%、カナダ74%、アメリカ41%だとして、日本はほとんど難民認定していないと問題を指摘しました。

 僅か2日間で14時間審議が進みました。斎藤健法相が少し集中力を切れた答弁をしているきらいがありました。次回はあさって21日(金)9時から。

【参議院本会議 同日】
 「第13次地方分権一括法案」(211閣法44号参議院先議)が共産反対、自公立維賛成多数で可決し、衆議院に送られました。
 これに先立ち「健康保険法改正案」(211閣法16号)が趣旨説明され、岸田文雄首相らが答弁しました。

【衆議院財務金融委員会】【安全保障委員会】
 「防衛財源確保法案」(211閣法1号)の連合審査会がありました。

【経済産業委員会】【環境委員会】【原子力問題調査特別委員会】
 「GX60年超ルール原子力規制法及び電気事業法改正案」(211閣法26号)の連合審査会がありました。

【内閣委員会】
 「孤独・孤立対策推進法案」(211閣法36号)の趣旨説明。

【厚生労働委員会】
 「水道行政の国土交通・環境省移管法案」(211閣法45号)の趣旨説明。

【外務委員会】
 「日本バーレーン投資協定」(211条約4号)「日本アゼルバイジャン租税協定」(211条約5号)「日本アルジェリア租税協定」(211条約6号)の趣旨説明。
【地方創生・こども・デジタル特別委員会】
 「マイナンバー法改正案」(211閣法46号)の対政府質疑1巡目。
【国土交通委員会 同日】
 きょねん4月23日の知床遊覧船犠牲者に対する黙祷の後、一般質疑。

【参議院地方創生・デジタル特別委員会】
 「特区法改正案」(211閣法37号)について岡田地方創生相が「全国どこでも便利なデジタル田園都市のためのスマートシティ」に向けた法整備が必要だなどと趣旨説明しました。

【資源エネルギー・持続可能な社会調査会】
 「ウクライナ危機での変化」について政府説明を求め、質疑しました。他の2つの調査会は開催されませんでした。

【東日本大震災復興特別委員会】
 一般質疑。

【情報監視審査会】
 開かれました。

●参議院憲法審査会は定例日ですが開催されませんでした。

以上です。