【衆議院本会議 2013年11月19日(火)】
●電機産業再編で、打倒サムスンだ!
産業競争力強化法案(185閣法3号)が、自民党・民主党・公明党の3党共同修正により、衆院で可決しました。
討論では、自民党、民主党が賛成し、維新、みんな、共産党が反対しました。
参・経済産業委員会はすでに「電気システム改革法」を成立させていて、日程があいているので、今国会(来月6日まで)での成立は確定的となりました。施行は、「公布から3か月以内の政令で定める日」)なので、2014年2月から3月になる見通し。
いわゆる「3本目の矢」を具体化する法案の衆院通過はこれが初めて。国家戦略特区法案は委員会審査が遅れています。
「日本国内の過当競争、過少投資を是正する」のがねらいで、具体的には、おもに、電機業界や、自動車・自動車部品業界などで、国内での合併を促進する法律。促進に限らず、企業分割も含めた企業再編を「産業活動における新陳代謝の活性化」をめざしています。5年間限定の集中改革計画です。
安倍官邸で主導権をとった経済産業省が書いた法案ですが、起業合併による利益の増加は、法人税を企画する財務省の悲願でもあり、広く賛同をえたものと考えられます。
基本的には、電機業界での再編で、韓国サムスンに匹敵する日本企業の誕生をめざしたいところです。
「打倒サムスン!」とまいりましょう。
●法案は民主党田嶋要筆頭理事が、質疑、修正、附帯決議をリード、単独企業での規制緩和に懸念も
法案は、10月29日の本会議代表質疑から、修正協議、附帯決議にいたるまで、今国会から衆議院経済産業委員会の野党側筆頭理事になった民主党の田嶋要・元経済産業大臣政務官がリードしました。
3本目の矢といえば「規制緩和」です。
委員会審議では、法案の「企業実証特例制度」について、単独の企業に規制緩和を認めることについて、経済産業大臣の企業の指定に関する、恣意性の排除が議題になりました。そこでこれについて「国会への報告」が修正案で加えられました。これについては民主党は本会議でも、奥野総一郎さんがなお懸念を示しつつも、修正に賛成すると討論しました。
本当に必要な規制緩和なら全国でやればいいのに、国家戦略特区、企業実証特例という安倍巨大与党。岩盤のような巨人が安倍自民党の前に立ちふさがっているとしか思えませんが、自民党政権下では、その岩盤のような巨人の姿が目に見えません。
●きわめて異例の審議
この法案のは、二大政党国会対策委員長が「重要広範議案」とされる紳士協定を結びました。しかし、「重要広範議案」の紳士協定では総理は本会議で答弁することになっていますが、この法案は極めて異例なことに、安倍晋三首相がトルコ出張のため欠席のなか開かれました。
これについては維新の会(木下智彦議員)からも「「首相が年に百日は海外に行ける国会運営」とうた」ったいますが、「総理みずからが」「成長戦略実現国会と言われている中、成長戦略のかなめとなるであろう本法案の趣旨説明、質疑に御出席いただけないことは、総理の意気込みが本当であるのか、疑問を示さざるを得ません」と苦情を言いました。総理のトルコ出張は良かったと思うのですが、法案自体の衆院通過へのスピードが遅れたことはまずまちがいないでしょう。
この総理欠席について。この法案は明らかに、再編企業に対して、後々、なんらかの減税措置をするための「箱」をつくっているように思えます。しかし、そこに「あんこ」が入るかどうかが見えてきません。そこで、経済産業委員会でありながら、麻生太郎財務大臣の出席を求める声もあったようです。
とはいえ、自民党政権ですから、総理、財務大臣も「11月の自民党税制調査会、連立与党税制改革チームの検討を経て、12月中旬ごろ政府税制改正大綱で決定します」としか答弁できなかったのではないでしょうか。税制改正に関して答弁の当事者能力者がいないという日本の国会の問題点が浮かび上がりました。これから3年間ほど、この「税制改正の答弁者」「与党税調」「国会答弁しない党税調会長」がどうなっていくかがキーポイントになりそうです。
総理のトルコ友情の旅は良かったと思います。日程の問題を指摘しました。
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衆院本会議では、このほか、
日本ハンガリー社会保障協定の締結を国会が承認する件(185条約7号)
障害者権利条約の締結を 国会が承認する件(8号)
が全会一致で可決し、参院に遅れました。なお、参委員会がやや渋滞しているため、会期内に成立しない可能性はなくはありません。
このほか、「社会保障制度改革プログラム法案」(185閣法2号)が議題になっています。
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参院委員会では、
19日(火)の午前中に
「タクシーの特定地域での減車を含む台数適正化法案(185衆法2号)=自民党・民主党・公明党3党の衆院議員提出=附帯決議つき」
「自動車運転の重過失の処罰強化法案(183閣法52号)=条文によるてんかんなど障害者差別がないよう配慮する附帯決議つき」が可決しました。
あす2013年11月20日(水)午前10時からの参議院本会議で可決し、成立する見通し。