そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

ワクチン導入するのであれば

2010-05-19 | 獣医師

宮崎にワクチン使用をすることを、政府の専門家による牛豚疾病小委員会が提案し、どうもその方向で行くようである。現場の惨状を考えると選択として解らなくもない。

然しながら、ワクチン使用は地域と期間を限定すべきである。今回に限る対策とするべきである。何よりも、ワクチンの効能を確認しなければならない。委員会の主張は、排菌量を減らすことにあるとしている。そうした意味では認めなければならないかもしれない。

これで日本は、口蹄疫ウイルスの常在地帯になる危険性を容認することにならないためにも、ワクチン使用の牛の移動の禁止や、その後の抗体の検査なども継続してやらなければならない。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ワクチン導入は止めるべき

2010-05-18 | 獣医師

宮崎の口蹄疫が止まるとろを知らない。すでに131件となり12万頭が殺処分されることになった。拡大阻止にワクチンを導入する学者も現れ始めている。しかし、これまで日本の畜産関係者は、ワクチン導入をせずに頑張ってきたのである。日本は島国である。しっかりとした防疫、水際作戦で対応すべきである。

今回も、どうやら大陸からのわらなどの輸入飼料が原因と推測される。前回もそうであPhotoったが、何もかも海外に委ねようとする体質を見直すべきなのである。

ワクチン導入のメリットはある。しかしそのためには法律を改定しなければならない。何より、感染しても発病しないようにするのが、ワクチンである。このことは、感染した家畜がウイルスをバラまかれることが予測されるし、毎年ワクチン摂取しなければならない。

台湾などでワクチンの効力が全くなかったこともある。ウイルスの変異が少なからずあるからである。今回も、10年前の教訓が生かされなかったのも、症状や伝搬力にに大きな違いがあったからである。変異ごとにワクチンを作らなければならず、思ったよりも現実的ではない。

何よりも、これまで何とか頑張ってきている、現場の人たちの働きが徒労になってしまう。新たな感染が生じた場合、ワクチン処理をしていると、感染の広がりや診断に正確な判断ができなくなってしまう。現状は発生頭数の増加はあるものの、地域的には抑え込んでいるともいえる。

口蹄疫の広がりを、ワクチンで小さくした例はあるが、発生が抑えられた例はない。ワクチンの接種は、地域限定では対応できない。発生状況の把握も困難になる。極力ワクチンに依存するべきではない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一月経って動き出した

2010-05-17 | 獣医師

4月20日発生から一月経ってようやく政府が、宮崎県の口蹄疫対策に動き出した。どう見ても遅きに失した感は否めない。赤松農水大臣は、この間海外旅行の最中であったからとして、3週間も経って現地入りしている。私が来ると騒ぎが大きくなるから来なかったと、よく解らない言い訳をしている。しかし赤松は外遊から帰国すると、真っ先に参議院選挙での栃木の民主党立候補予定者の応援に行っている。

どうやら、初発を見逃しているといわれているようである。4月9日に口の中のただれ001 が確認された牛がいたが、これは見逃された後、20日になって口蹄疫の初発牛となっている。もう少し真剣な対応があってよかったのではないか。更に、3月に熱発などで加療されていた牛が、後ほど陽性と診断されている。6例目になっているがこれも疑わしい。

風評被害を恐れ、人に感染しませんということばかりが優先されて、実体の報道規制などもかなり行われた。県の宝とされている肉牛の種雄牛が陽性になって、初めて報道も大きくされるようになってきた。畜産関係者でもない人が、菌の運搬者になることも予想される口蹄疫である。深刻な報道を初期から行うべきではなかっただろうか。

17日になって、政府は口蹄疫対策本部(本部長鳩山首相)を政府内に設置した。本部長に赤松を持ってこなかったのは、正解であろう。ようやく現地に、山田副大臣を張り付けるなどして、本格的に取り組むようになってきた。

継続発生が続く中、見方によっては宮崎のしかも特定の地域に封じ込めているも言える。現場の人たちは良くやっている証拠であろう。私のところにも、応援の要請があったが、牛の診療をする者にとって、そんな危険なところにはとてもじゃないけれども行けないと、お断りした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酪農家の悲痛な叫び

2010-05-13 | 獣医師

しばらく留守のしていました。その間にも宮崎の口蹄疫は止まることを知らない。発生件数は相当な勢いで増えている。しかも、宮崎に限定されている。見方によると、口蹄疫は封じ込まれているのだろうか。今は結論は出せないが、緩慢な広がりを許してしまった結果にあると思われる。

20100513_1_kuruma_img_0184 対策本部では、とびとびの発生から風によるものではなく、人的な運搬よるものでないかと推察している。矢張り初期の対応が問題だったのであろう。これほどの広がりがあるのは、発見が遅れたのか、その後の移動規制が十分でなかったのではないだろうか。

宮崎の畜産農家のブログが、涙なくしてみることができない。陽性とされた牛舎では、全頭殺処分されるがそれまでは飼育しなければならない。殺すまで、毎日餌をやって搾乳していた、愛牛たちにどう接すればいいのかと、悲鳴が聞こえてくる。http://green.ap.teacup.com/mutuo/

無責任に近いコメントもあるが、概ね同情的で好意的である。彼を見ていると、行政にしろ国にしろ現場で起きている苦悩を理解できないまま、粛々と法にのっとって処分するだけである。最早、風評被害の段階ではなく、情報を可能な限り公開するべきである。取材制限を解除するべきではないだろうか。

その一方で、乳牛や肉牛の個体価格は順調に右肩上がりである。この増加した部分を、被害農家に還元できる方法はないのだろうか。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どうする口蹄疫

2010-05-09 | 獣医師

宮崎県での口蹄疫の発生が止まるところを知らない。本日(5月9日)現在、56戸の発生が確認されている。このところ、毎日数軒確認されている。かなりの勢いであPhoto る。しかも、ひと時豚に限定されて広がりを見せていたが、現在はの肉牛が主である。

殺処分対象の家畜は6万4354頭にもなった。この記事を書きながらも数戸増えた数を足している。新たな発生個所から、半径10キロ移動の禁止処置がなされているが、一向に減る気配がない。

21件目以降の殺処分対象家畜は、4万頭ほどになると思われるが未処分で、埋却場所も決 まっていない。

3万頭を超えた時点で、宮崎の状況を考えると壊滅的な状況と思われるが、ついに6万頭を超えてしまった。報道管制が強くされていて、現状がはっきり確認できないが、北海道での肉牛農家が発生した10年前の状況を実施者から聞いたが、悲惨な状況であった。この時は1戸で1000頭に満たない頭数であったがPhoto_2、殺処分も埋却も相当な労力がいったと聞いている。狭い宮崎県では、さらに悲惨な状況になっていると思われる。担当者の疲労困憊が目に浮かぶ。

自衛隊の要請も遅きに失した感がある。京都などでは、鳥インフルエンザの時には、畜産関係者のひ弱な労力は自衛隊員によって、大いに助けられた。先週まで、中南米を視察旅行し、危機感がないといわれていた赤松農水大臣もやっと、現地入りするようである。

報道は、人には感染しないとする宣伝が効いているのであろうが、これが災いしているのだと思われる。もう少し騒いでいいのではないか。北海道に飛び火したら、最悪の状況になるであろう。

初期対応が遅れたことが全ての原因であろうが、それは後でも構わないから、自主淘汰の推進を主体にして積極的な対応をしなければ、宮崎県に止まっている奇跡すら覆ることになるであろう。

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さらに広がる口蹄疫

2010-05-05 | 獣医師

宮崎県の口蹄疫の広がりが、止まるところを知らない。すでに23例目となった。殺処分対象は3万頭を超えた。5月に入ってからは、圧倒的に豚の発生が確認されている。先日も指摘したように、この広がりはこれは明らかに初動対策の遅れである。

自民党が対策本部(本部長は総裁・宮腰光寛事務局長)を5月2日に立ち上げた。現場でも民主党の予算切りにあって、十分に対策がとれていないというのである。自民党のパフォーマンスとばかりではないように思える。赤松農水大臣が外遊中だとかいうのもいいがかりような気がするが、どうもし100429っかり動いていない気はしてならない。宮崎県と畜産関係者だけの対応では、もう限界に達している。

隣の県の鹿児島では、ほとんどのイベントを中止しているがそれもやり過ぎだとかで対応していないようである。これほどの広がりになると、畜産関係者だけの出来ごとに納めてはならない。あらゆる移動を禁止するべきと思われる。

自民党の対策本部の指摘する初動対応の遅れの内容は公表されてはいないが、先に指摘したように、このところの発生をみていると子豚などで発生していた初期の段階を、看過したことが強く示唆されるところである。

その後の対策も、殺処分と検査だけに終始しているようである。現状のスタッフが3万頭もの牛豚を処分するには、相当困難をきたすであろう。早期に自衛隊を依頼するべきだったが、いまだに取り組まれていないようである。

口蹄疫が、人には感染しないことを強調するあまり、ことの大きさを封印した感がある。口蹄疫に関しては自主対策事業があるが、それに載って発生以前に淘汰している農家も沢山いるはずである。自主淘汰を入れると、相当な数になるものと推測される。宮崎県の畜産は壊滅的打撃を被っているであろう。もうすでに、少数である畜産関係者に限定した事件と見なすべきではなく、報道ももう少し大きく取り上げるべきではないか。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

異常な広がりの口蹄疫

2010-05-02 | 獣医師

口蹄疫の発生が止まるところを知らない。ついに15件目の発生が確認された。(5月1日現在)全てが宮崎県である。この広がりをみると、初期の発見が遅れていたことを物語っていると思える。いくら空気伝搬があり周辺の発生であるといっても、この広がりは異常である。

10、12、13、14件目が養豚農家である。豚だけで6373頭が処分の対象になる。最初の頃の肉牛を含めると8867頭にもなるなる家畜が処分されることになる。口蹄疫発生農場では、治療はなされることなく、同居の偶蹄類は全て殺処分の対象になる。

この流れだけでは即断できないが、初期に発生していたのは豚ではないかと思われる。経済価値が低い豚の場合の管理や観察は牛ほどのものではなく、症状を見逃すことが少なからずあ100429る。豚の発生も確認して見つけた例がほとんどである。しかも子豚のようである。

前回も書いたが、韓国の発生が確認されると間もなく、なぜか宮崎県で発生が起きている。飼料の輸入か、畜産関係者などの人的な交流が推察される。このことに関する報告はないが、少なくとも調査されるべきである。

和牛生産地区では、宮崎県に行くのを控えるように申し合わせてるが当然のことである。畜産の現状に疎い報道関係者が過剰反応と断じているが、それは発生した場合のことの想定が甘かったり、口蹄疫の実態を知らないからである。

北海道では共進会の開催などを自粛する動きが起きている。そもそも、家畜、とりわけ牛をあちこち移動すること自体がなされるべきことではない。更に家畜の飼料は原則的に、自賄いするべきなのである。少なくとも地域で飼料は調達されるべきなのである。

経済効率を求めて、世界各国を安価な資料を求めて探し回るのは、畜産の基本的な飼養形態を崩すものである。商流の激しい動きは食料の過剰な動きとなっている。今回の口蹄疫騒ぎを教訓にして、家畜の飼料自給率を上げるべき方策を真剣に検討するべきである。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

口蹄疫が発生しました

2010-04-20 | 獣医師

宮崎県の黒牛の繁殖農家で、口蹄疫が発生した。口蹄疫は偶蹄目(蹄が二つある動物)に発生する、ウイルスによる病気である。極めて伝染性が高く空気感染が起きるとされている。口の周りと蹄の周りに水泡が出来る病気である。これ単独感染ではそれほど重大な病気ではない。

かつては、列車と同じスピードで伝搬するとまで言われていた。最近は多くの変種が見つかっていて、それほどの伝搬力はないがそれでも恐ろしい感染力ではある。兎に角家畜の伝染病で最も厄介な病気である。対策が遅れると一気に広がってしまう。

今回の発生は、10年前の発生に酷似している。今年になって、韓国で口蹄疫の発生が確認されている。今年の3月に鹿の口蹄疫発声している。その直後の発生である。そのときも宮崎であった。この2つのことは10年前と同じである。何かあるのだろうか?

前回はその後に周辺で発生が見られて、その後北海道に飛び火した。今回もそうならないよう願いたいものである。前回は、どうやら輸入した稲藁が持ち込んだのではないかと思われている。確認はされていないが、推定である。

何でもかんでも安ければどんな国にでも出かけて、買って来るというシステムは見直すべきである。これは人の食い物も同じである。

農水省の対応は今のところ迅速である。大臣を貸先本部長に据え、半径10キロほどの移動禁止が敷かれることになる。人への感染は確認されいないが、類似の病気はある。

それにしても10年前の初回発生と構図が似ているのが気になって仕方ない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イギリスで口蹄疫また発生

2007-09-13 | 獣医師

先月8月4日にイギリスで、口蹄疫の発生がありその時は2件の発生で終わった。先週9月7日に終息宣言が公式に出されて、ちょうど1週間目である。その時のことについては、本ブログの8月4日参照ください。http://okaiken.blog.ocn.ne.jp/060607/cat6087453/index.html

先月の口蹄疫の発生はどうやら、初発農家に隣接する、政府の家畜の実験場(研究所)から、口蹄疫ウイルスが漏Fmd_in_uk05出  したようである。それをほぼ特定しての終息宣言だっただけに、政府機関は8000万ポンドの支出以上に大きなダメージを受けている。

今回の発生も、わずか一軒でしかも明確な症状もなく、検査結果で判定されたのである。先月の発生農家から、わずか10キロしか離れていない。同じウイルスであるか、伝搬したかの証明はできないが、これまでの経過とウイルスの特性から考えると、先月発生農家から伝搬したものと思われNfandm113bigる。

先月は、ブラウン首相が就任した直後の発生であった。相当勢い込んで対策に当ったのであるが、今回の発生はショックは隠せない。EUの10月半ばには、イギリスからの輸入解禁を打ち出したところでもあった。

口蹄疫は、人には感染することがないが、相当伝搬力が強く今回の発生に限らず、どこの国でも同居牛はすべて処分されることになっている。周辺の、家畜の移動は禁止され、人々の移動も相当制限される。それでいての再発である。

日本は、BSE以後イギリスでから牛肉は輸入してはいないが、海外から食料を輸入するといことはこのような危険な環境も、容認すると言うことでもある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イギリスで口蹄疫が発生

2007-08-06 | 獣医師

Fmd_in_uk_2007イギリスで8月4日口蹄疫の発 生が確認された。 口蹄疫とは、牛や豚などの偶蹄類に発生するウイルス病である。伝搬力がきわめて強く、かつては汽車と同じ速度で広がるとまで言われていた。人には感染することはない。

日本では、家畜の法定伝染病に指定され、治療することはなく群単位で淘汰される。今回の発生を受けで、イギリスでも既に牛群単位で淘汰されている。Foot_and_mouth_disease_closed

日本とアメリカは、ただちに豚肉の輸入禁止処置を行った。わが国もアメリカも、BSE発生国として牛肉の輸入は行っていない。

新任のブラウン首相は、急遽予定をキャンセルして現場で指揮を執っている。それというのも、2001年にイギリスで口蹄疫の大量発生があったからである。この時には、700万頭の家畜が処分されイギリスは80億ポンド費やした。さらに、その35年前にも大量発生が起きている。

Foot_and_mouth_disease_burning今回の発生は、発生した肉牛牛舎の周辺にワクチン製作研究所施設があったことが、今回の発生との関係で取りざたされているが、詳細は不明である。

なぜこのようにイギリスで、何度も口蹄疫が発生するのであろうか?またBSE発生も120万頭ほどの大量発生で、世界を震撼とさせたことは記憶に新しい。口蹄疫と併せて、イギリスから一時牛がいなくなった状態になった。

食料を海外に依存することは、こうしたずさんな管理を容認することである。食料が安価であることは、その理由が当然あるのである。食糧の安全保障は量、質とも国内で自給しなければ保障されることはない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港