経済制裁も支援も受ける側の国の事情で、制裁も支援も真逆になる。非民主国家で情報制限が強い国家では、制裁するとその国の貧困層が真っ先に被害を受ける。逆に支援にしても、体制側が甘受して貧困層にまで届かない。
そのいい例が北朝鮮であるが、制裁を加えると国全体が困窮するわけでもなく、支配層や富裕層はほとんど変わることないが、貧困層が更に貧しくなるだけである。食糧支援などをすると、支配層や富裕層に行き届き、本来の目的の貧困層には行き届かない。支援も制裁もする側の意向通りにはいかないことが多い。
現在世界はこぞって、ウクライナに侵略するロシアに対して経済制裁をしているロシアは困窮する・・・、と多くの日本人は信じている。制裁のレベルや内容はさまざまであるが、実質ロシアに対して経済制裁を加えているのは、40カ国程度でしかない。
ところがアフリカや中東諸国はこれに加わっていないし、アジア諸国でなんらかのロシア制裁をしている国は4カ国だけである。EUにアメリカや日本が加わり、経済的にはロシアは国家として大きな痛手ではあろう。ところがEU諸国は特に天然ガスの供給が滞り、ロシア以上の痛手を被っている。ドイツは原発再稼働を検討し、石炭発電やむなしとの動きもある。
ヨーロッパ諸国はウクライナ支援の厭戦気分も生まれているし、バイデンは抱える軍産企業の振興に躍起である。NATOはウクライナに。血を流すのはお前たちだというのである。
戦争は人殺しであり、人権も国家の主権も奪う愚かな行為であるが、ロシアのウクライナ侵略戦争と、ロシアに加えた制裁はそれ以上に、世界的混乱をひき起こしている。環境破壊や食料問題それに核の脅威とパンデミック、これから人類が直面する問題を先取りする形で顕在化してくれた。それらは侵略行為によって生じた者というより、ロシアへの経済制裁で波及的に生じたことといえる。
国家間の交流も信頼もなくしたのは、ロシアのウクライナ侵略行為もさることながら、世界に広げたのは経済制裁といえる。
ロシアは貧困国家である。定年後離婚してロシア女性と結婚した、私の我儘な友人がいる。現在はハバロスクの郊外に夫婦で住んでいるが、この春から連絡が何一つとれなくなってしまった。
彼の住む極東では、ウクライナの問題はほとんど語られることはないという。話題に上がってもソ連崩壊後のロシアを立て直した、プーチンへの信頼は厚く特に高齢者の支持は高い。プーチンの支持率が70%以上あるのは事実である。
ロシアは産業活動も活発ではなく、物価が上がっても物がなくなっても、食料はほとんど自賄いの比率も高く、お金のかかることはもともとやっていないので、経済制裁は庶民にそれほど影響はないという。
天然ガスや石油の税収はそっくる国家に納められる。経済制裁で困るのは国家である。貧国ロシアも民は貧困がさらに下がっても我慢するだけである。経済制裁でより困っているのは制裁した側である。かつての戦争のように、勝者が敗者から賠償金も取れない。そもそも勝者も敗者も明確でない。経済制裁がの死ほど保障をさせることもない。
戦争はrしあのような言訳をいくら数並べてもやるべきではない。勝者になるの幻想を抱いて戦争は行われる。何のメリットもない軍事費を増額するが、貧困転落寸前の国家がするべきことではない。