明日町に下記の要望書(全文)を提出します。数人の会員とともに、町の意向を伺うことと、啓蒙の意味を含め、現状認識の甘さを指摘するつもりです。
水沼猛別海町長
東日本大震災の放射能汚染がれきを別海町に持ち込まないことへの要望書
2011年9月27日
別海町放射性汚染がれきを拒否する会
別海町別海常盤町245-87
代表 岡井 健
常日ごろ、別海町民のため産業振興、健康・福祉向上に尽力されている貴職に、心から敬意を表します。
今年8月26日に、参議院本会議において「がれき特別措置法」が可決されました。本法案に先立ち、全国572の自治体や事業組合などが、震災地のがれき受け入れを表明しています。
「AERA」8月8日号によりますと、別海町は埋め立て処分に名乗りを上げていますし、焼却処分には『根室北部廃棄物処理広域連合』が手を上げています。
細野豪志環境大臣は就任早々に「福島の痛みは日本全国で分かち合うことが国の配慮だと思っている。福島を最終処分地にしない」と述べています。放射能汚染がれきの、全国への分散を思わせる発言をしています。これは同法の、52条に基づく地方自治体などへの協力依頼発言と思われます。
放射能についての安全基準は現実には存在しません。国が目安の数値を出しているだけです。がれき処理における放射性物質の国の基準値は、埋め立ての場合は放射性セシュウム1キロ当たり8000ベクレル以下としていました。ところが搬入された地区の焼却灰から、8000ベクレル検出されると、10万ベクレルまでに基準値を上げました。こうした政府の対応が今後とも繰り返される可能性などに、疑念を抱かざるをえません。
同法22条とガイドラインによれば、8000ベクレル以下は、一般廃棄物として扱われることになります。跡地の利用についても、人間生活を基準に指導されています。別海町のような、一次産業の過疎地ではこうした規定を適用すれば、農地や河川の汚染につながることになります。
又、根室北部4町の焼却処理施設は別海町にあり、別海町が特定された汚染地域になります。さらにこの焼却施設が、放射性汚染物質を特定しフィルター等にて捕捉する能力が完備されているのでしょうか。
爆発半年を経過した現在でも、福島原発は未だ終息しておりません。炉心はこれまで人類が経験したことのない、メルトスルーを引き起こしています。地下水などを含めた、放射能汚染の実態は見えていません。一方炉心の冷却は遅々とした進行にあり、年内の冷温停止についても願望の域を出ていないと思われます。
又、これからは広域に及ぶ放射能除染作業により、膨大な汚染物が排出されることになります。
今後取り組むことになる、炉心撤去には20年以上かかるものと推察され、放射性廃棄物は持続的に排出され、どれほどの量になるかすら見当がつきません。
これまでの東北の経緯を見ても解るように、放射能汚染による被害は一次産業に偏在的ともいえる大きな損害を与えています。とりわけ家畜を飼養する畜産業には、決定的な打撃を与えています。
別海町への放射性廃棄物の搬入は、過疎化と高齢化が進行するわが町にあって、未来を託す子どもたちの健康に、甚大な影響を及ぼすことが推察されます。
地域で受け入れたことによる風評被害は、汚染の実態とは関係なく一次産業に止まらず、観光産業などにも大きな影響を与えることは目に見えています。
別海町は、酪農畜産業と漁業を主体にした一次産業の町です。広大な風景を鑑賞しにくる観光客も、地域を支える大切な産業です。
たとえ少量であっても、この町に放射性廃棄物が搬入されると、別海町の産業は壊滅的な被害を受けることは火を見るより明らかです。
被災地を援助し助け合い支えることは極めて重要なことです。こうした、支援の美名に名を借りて、放射性物質が別海町に搬入されることは、上記の理由によりあってはならないことです。
別海町の住民の健康のために、また町の基幹産業の保全のためにも、放射性がれきの受け入れをすることがないように、切に要望いたします。
又、国などから要請があった場合には、その事実経過の公表をお願いいたします。
以上
※がれき特別措置法とは、「平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染への対処に関する特別措置法」のことである。