2004年1月から2年半戦後初めて日本の実力部隊が海外に派兵された。アメリカの虚偽の根拠に基づくイラク侵攻を真っ先に支援した小泉内閣が、イラク特措法を通し行われた、「非戦闘地」への自衛隊の派兵である。現地で自衛隊がどのように活動していてかは、集団的自衛権行使容認に基づく、安保関連法(戦争法)の論議に不可欠であったが、日報は隠ぺいされたままであった。国会には黒塗りの文書が提出されていた。
昨年2月には防衛大臣の稲田朋美が存在を否定していた。ところが、その数カ月後には存在が分かっていたが、今頃になって小野寺防衛大臣が、ノコノコと1万5000枚、435日分の日報を提出してきた。各省庁で公文書の隠ぺい問題が明らかになっているので、これは拙いと判断したのであろう。あるいは今ごろ提出しても、イラク戦争に特措法すら否定する派遣地が戦闘地であったことがバレてもかまわないと判断したのであろう。
日報には、「戦闘」という文字が頻繁に登場している。サマワが戦闘地のただなかにいたことが解る。「自衛隊の派遣されているところが、非戦闘地である」と言い放った小泉の言葉が嘘であったことをこの日報は証明している。当時の派遣自衛隊員は、「我々は隠す必要はない。むしろ積極的に自衛隊がないをしたか公開して欲しい立場だ。」と述べている。日報を隠蔽したのは政治である。戦闘地への派遣、他国との武力行使の一体化が行われていたものである。
ブッシュ大統領が国連の制止を振り切ってここなったアメリカのイラク侵攻、戦争は今日の中東を暴力の連鎖の坩堝に貶めた原因である。一旦はアメリカに協力した国々も、その不法性や不当性、不条理性を検証している。アメリカに次いで最も積極的であった、イギリスでは首相すら過ちを認めている。日本だけが検証すら行っていない。民主党政権下で出てきた検証もどきの文章は、A4枚のものであった。
日本の政治は、権力者の意向のために働き不都合が起きても後に、検証もされない。不都合な資料は、廃棄したというか、黒塗りで提出するか、隠蔽するか改竄するか、せいぜい忘れた頃にこっそりと公開するのである。膿を出すと言った人物が、自らが膿であることに気が付かない、哀れな首相がいる限り政治が浄化されることはない。