そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

技術先進国を放棄させる原発の影

2020-11-15 | 再生可能エネルギー

太陽光発電に象徴的な技術大国日本の地位の急落、失墜。上図を見れば明らかである。15年ほど前に途上国支援の現状に触れたことがある。そこでは懸命にドイツやフランスの人達がアフリカの森林伐採に取り組んでいたが、薪確保の代わりに太陽光発電パネルを設置していた。そのパネルはどこでも日本製であった。圧倒的なシェアーを日本の技術は世界に誇っていた。今や1%にも満たない現状である。なぜこれほどまで落ち込んだか。
原因の一つが中国の台頭でろう。中国は国家資本主義国家である。中国は2035年以降の新車販売は、電気自動車や新エネルギー車に限定する方針である。決め事に対する動き、その後のエネルギーの投入は恐ろしいものがある。政策選択に国民不在なのは、あってはならないと思われるが、中国共産党はお構いなしである。
もう一つの要因が原発事故の教訓化である。ヨーロッパの多くの国では原発からの脱却を明言している。きっかけは日本の東日本震災による、福島原発の事故である。当の日本は原発を放棄しないどころか、推進を明らかにしだした。スペインでは天然ガスと風力、水力バイオで70%を占めている。デンマークでは55%が風力それにバイオで80%を占める。脱原発を表明するドイツでは、再生可能エネルギーへ大きくシフトしている。

それと、最も大きな要因は、安倍政権の軍事に特化した技術開発の奨励である。日本は就任直後から菅義偉首相は、原発再稼働の容認、更には新規建設まで閣僚に発言させている。ここぞとばかりに、少子高齢化に喘ぐ地方は補助金欲しさに次々と原子力に理解を示し始めている。日本は地盤のないところに唐突に菅首相は、脱炭素社会を打ち上げた。その脱炭素とは、2030年に現在2%の原子発電を20~22%にするというものである。
原発推進は再生可能エネルギー開発を疎かにし、未来を見誤る軍事技術に特化した安倍晋三の時代に、この国は技術先進国の誇りをも捨て去ったのである。

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再生エネルギーを推進しない、パリ協定にも知らんふり

2016-10-04 | 再生可能エネルギー
日本の再生エネルギーの利用が進まない。最大の理由は、自民党政権になって、具体的には安倍晋三が首相を務めるようになって、原発を見直すようになってからである。政権を奪回した選挙では脱原子力を訴えていた。福島原発事故の現実を否定すると票にならないと思ったためである。嘘ついて政権後にはエネルギー政策を転換した。TPPも同じである。
菅直人が首相の時に退陣と引き換えに成立させた、再生可能エネルギー固定買取制度は政権交代があったり、円安や制度の不備などもあったりして、民主党に良いところを持っていかれたくない自民党は、決定的に避退することになったためである。きっかけは、九電ショックと言われるものである。
固定価格としてはずっと続かないだろう問題や、金だけもらって事業を閉じた企業が次々出てきたこともあった。そうしたことを背景に、九州電力が2014年に、不安定供給で電力の需給バランスが崩れるとして、安倍晋三に訴えたのである。買取を義務化された電力会社の反発である。九州電力の我が儘を多くの電力会社が追随することになった。
買取電力の不安定さの問題は、原発を存続させることの問題より、うんと小さい。安倍政権には、電力会社の政治献金や財界の反発を恐れ、目先の問題を優先させ、財界の言いなりになったのである。TPPも同じである。

EUは9月30日に、臨時環境相理事会を開き、先進国と途上国双方に義務を課した画期的な、COP21パリ協定に批准を決定した。すでに、京都議定書ではすっかり悪者になった、中国もアメリカも批准している。主要国で日本だけが批准していない。
温暖化はこの数年現実のものとなって、これまで見たことのない台風が吹き荒れたり、世界各地で干ばつが続いたりしている。確実の地球環境は不安定化している。

安倍晋三は政権奪回後は、原発は再稼働させるし、再生エネルギーの発展を阻害するし、技術開発をもブレーキをかける始末である。その一方で、人殺しの兵器の開発には御執心で、販売や輸出まで手掛けるようになっている。

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行き詰るバイオ燃料

2010-01-12 | 再生可能エネルギー

石油の高騰を受けて、世界的にバイオ燃料を世界各国が開発し始た。良く知られているのは、ブッシュが進めた、アメリカのコーン(トウモロコシ)から採るバイオエネルギー政策です。ブッシュは、海外の石油依存からの脱却として、この転換に多大の補助金をつぎ込みました。同じようなことが、ブラジルのサトウキビでも行われこの2国が世界最大のバイオ燃料国家となりました。人様に食わせるものを、車に食わせる問題をこのブログで何度も指摘た経緯もある。

ところ昨年辺りから、石油価格も安定するようになり、アメリカがすっかり生産を落としてしまいました。2000年には僅か2万ガロンだったのが、2008年には700万ガロンまで延びました。ところが昨年(2009年)は、300~350万ガロンと半減してしまった。最大の顧客であるEU55が国内産業保護のために関税価格を上げたのである。もともと割高なバイオ燃料は、国内的にも18%も下落した、石油燃料に太刀打ちできなかった。

更に、かんな屑やのこ屑によるバイオ燃料生産に5億ドルも補助金を出した結果、製紙会社の採算が悪化し雇用問題や製紙の生産に影響が出て社会問題化し、どうやらこのほう行き詰るようである。セルロースからのバイオ燃料生産は最も奨励されるはずであったが、政策がちぐはぐ であった。更に、ブラジルもサトウキビの不作と糖度の低下で、バイオ生産効率が落ちたことで一気に生産量が落ちた。

カナダでは、バイオ燃料の生産工程に係わる問題が指摘されている。生産物がエコであっても、生産過程は効率の悪い作業となっているというのである。環境問題の解決にはならないと結論されているようである。

価格の高騰を見込んだり、石油依存の国家体質の危うさの解決のために、本来人に与えられるべきであるものを燃料にしてしまうのは、考え方そのものに問題がある。燃料や食料に対する基本姿勢が、最も問われなければならないのである。今回のバイオ燃料生産の低下の問題を教訓にするべきである。

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バイオ燃料は「地球にやさしい」か?

2008-07-12 | 再生可能エネルギー

マレーシアの首相が、農地でのバイオ燃料生産転換を停止するよう、イスラム途上国会議で要請した。世界的な食糧高騰が、途上国の農地を燃料生産に転嫁するために、さらに食糧高騰 5 に拍車がかかるということである。

その典型が、インドネシアのパームオイル生産である。フランスなどの、ジーゼル燃料の原料になるため、この数年で広大な熱帯雨林が伐採されている。森で暮らす人たちが、住処を失いさまよっている。

2 ジーゼルエンジンが稼動するその局所を捉えると、確かに「地球にやさしい」燃料であり、動力のように見える。そのために、インドネシアの熱帯雨林が伐採され、河川が汚染されていく現状を無視してはならない。先進国が、貧国の環境に金を出すことで、パームオイルを生産しているのである。

政府は、無活用地として業者に伐採許可を与えている。外貨が稼げるから解らなくもない。それも、どうやら一部のようにみえ、多くの所が無許可で伐採されているようである。現在は、増産に次ぐ増産である。

パーム生産農場は、プランテーションと呼ばれるような、きわめて大型農場である。今回の、洞爺湖サミットは、バイオ燃料生産を推進している一方で、食料安全保障も盛り込まれている。

バイオ燃料は、競合しないことが大前提であるが、「健康のためなら命も惜しくない」論になりかねない。温暖会対策として、フラン6_2スの原子力発電重視も類似の論理である。

先進国が、金銭的に途上国を支配する関係は、今回のサミットの途上国の主張に符合する。市場経済に重きを置いた、グローバリズムは同じことを繰り返すばかりである。先進国の張ってのために、途上国が金をもらって溜飲を下げる図式は、同じことになる。

バイオ燃料は、先進国の懐と空気にやさしいが、発展途上国にとってはやさしくない。

環境に重きを置いた、グローバリズムこそ必要でないか。国益を見据えながらの、グローバリズムは、再び世界を南の国に恵みを与え、発展する北の国を生みだすばかりである。

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世界各国が見直し始めたバイオ燃料

2008-02-23 | 再生可能エネルギー

世界各国がバイオ燃料を見直し始めた。バイオ燃料は、使用する時点では確かに環境に優しい。しかし、急激な社会変化で、その生産過程で多くの矛盾が起きている。

例えば、フランスをはじめとするヨーロッパ諸国では、バイオジーゼル燃料になる、パームヤシの獲得に躍起である。その結果、金になるパームヤシを大々的にマレーシアが作付するようになった。熱帯雨林は破壊されている。環境に優しいのか?

アメリカでは、家畜用のコーンが根こそぎエタノール産生に向けられている。政策的な援助があり、あまりにも急激な生産支援で、コーンは投機の対象にもなっている。その年の生産高とThis_hydrogen_fuel_cell_car_is_le_2 備蓄量で価格が決定されていた、農産物の姿はそこにない。とりわけアメリカのコーンを家畜に給与している日本は、悲惨である。あと数年で、コーンの価格は倍になる。倍になっても輸入される量が、極端に少なくなる。

アマゾンでは、エタノール産生効率の高いサトウキビの栽培のために、大豆畑などからの転用や新たな農地を熱帯雨林を破壊してまで進めている。多品種の高騰や環境に影響を与えるようになっている。

アメリカのブッシュ大統領は、「スイッチグラス」は、エタノール生産にうってつけの草だと持ち上げた。芦のような、食べることもできないこの草は、どこでも生える。相当栄養が少ない土55 地でも生産できる。ところが、スイッチグラスの生えているところは、極端と思えるへき地山間地ばかりでる。おまけに、中が抜けていて軽い。早い話が輸送料が高くつき、生産効率も悪い。

イギリスの運輸省は、生産にかかわる輸送や生産効率などを検討し、再生可能輸送燃料義務を業者にかけるようである。

地球規模で、農産物の需要拡大が予測されている。こうした中で、人と競合するような農産物からの転用や、作付に環境破壊を起こすようではバイオ燃料の生産に矛盾が生じることになる。

現行のバイオ燃料は、CO2排出がガソリンの倍になるとする研究者もいる。生産過程で相当のエネルギーを消費するからである。日本では、廃材からの生産や廃棄食材からの生産を研究する健全な研究者ちがもいる。

バイオ燃料にかかわる問題は、ほとんどが生産過程にある。誰もが、燃料そのものの有効性は信じてはいる。こうした世界の動きに、相変わらず日本政府はほとんど無関心である。

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悪の連鎖かエタノール

2007-12-03 | 再生可能エネルギー

石油が高騰する。産出国が儲かりオイルマネーが行き場を失う。脱石油を目指して飼料用トウモロコシからエタノールを生産する。

トウモロコシが高騰する。トウモロコシ作付に農家が走る。トウモロコシや小麦や大豆が市場に出回らなくなる。小麦や大豆も高騰する。

Sisidoトウモロコシ依存する先進国の家畜飼料が高騰する。乳製品が高騰する。卵が高騰する。牛や豚や鶏の肉が高騰する。飼料の絶対量が不足するために畜産製品の生産量が減少する。

アメリカ政府がエタノール生産に補助金を出す。トウモロコシ作付農家が必死に生産量を増やす。食料でないため化学肥料や農薬やGM品種が何の制限もなく作付される。トウモロコシは大量の水がいるため水不足になる。

市場の出回るトウモロコシににオイルマネーが買い付けに走る。世界中の穀物価格が高騰する。貧国は穀物買い付けにより一層の金がいるようになる。

貧国の下層の人たちに食料が届かなくなる。豊かな国は、いっそう豊かになり貧しい国はより一層貧しくなる。

バイオ燃料使用エンジンが改良されエタノール価格が高騰し、サトウキビなどの作付にブラジルは走り熱帯雨林を伐採する。

世界中の穀物価格を上昇させ、水不足などの環境悪化を促し、先進国の畜産を壊滅させる。結局は、上からお金で生産を促された生産構造は歪な世界を作り出すことになるのである。

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先にやることがあるだろう

2007-11-24 | 再生可能エネルギー

消費税のアップが真剣に検討されている・・・ようである。選挙前に打ち出すと、誰の目にも毎日見えるため消費税は不利になるだろうとする、政治的判断で見送られている。諦めているわけではない。ここにきて、大連合すればできそうなどと、真剣に話されているようである。

その前にやることがいっぱいあるだろう。現在、この地で糞尿処理のために作られている施設が、約一億円である。本人負担は約5%程度である。誰もいない道路が、びっくりするほどの舗装道路に改修されていることがある。こんな無駄をのさばらせておいて、増税もないだろう。

近頃ペットボトルの再生はエネルギーをかなり使ったり、回収に係る費用や燃料を計算すると赤字になると主張する学者と、資源の有効利用を唱える学者が論争しているのを読んだ。どちらの主張も正しいと思ったが、どこかおかしい。

その前にやることがある。ペットボトルなど買わなければいいのである。我が家では、鳥の餌を下げるためのペットボトルを探すのに苦労するとほどである。やっと見つけたペットボトルを、3年使っている。ペットボトルの消費を減らすのが先決だろう。

バイオエタノールの生産が盛んになってきた。地球にやさしいだの、排気ガスに硫黄が含まれていないなどと、半可通の評論家には評判が良い。石油の使用量を減らし、温暖化防止に役に立つと言うのである。ところが、貧国の人から食料を奪い、先進国の家畜から食料を奪い、車に与えるのである。それでいいのだろうか。

その前にやることがあるだろう。車のエネルギー効率を減らすだけで、アメリカの目論む量の石油は簡単に節約できると、レスター・ブラウン博士は分析する。世界の穀物事情を、劇的に豊かな国に有利に働く、トウモロコシからの利用は、倫理的にも問われる。廃材や人が食べることのできないものから、エタノール生産をやるべきでないのか。

原子力発電が温暖化ガスを排出しないから、環境にやさしいなどと、信じられない広告を電力会社が頻繁にやるようになった。排せつ物の処理機能がない原発を、温暖化だけの環境面から評価する一面性に危機感を感じる。

その前にやることがあるだろう。電力の地域、地域でそれぞれの有効な発電を模索してこなかったのは、巨大な電力会社が電力とその技術を独占してきたためでなかったのか。風力や地熱や波力など小さなエネルギー開発が今こそ求められている。

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そりゃ自給率が低いからサ

2007-09-22 | 再生可能エネルギー

生半可な知識で解説する評論家はいつの時代にもいる。この頃マヨネーズが値上がりしたし、インスタントラーメンが来年に10円ほど値上がりする。それは、バイオ燃料のせいだと解説するのである。

現象的にはその通りである。アメリカは、今まで家畜に向けていた、トウモロコシ(コーン)を補助金を出して、エタノール生産を奨励している。そのため、家畜に投与されていたコーンが値が上がり畜産製品価格が上昇する。また、コーン生産へ多くの農家がシフトするため、小麦農家もコーンに転作する。結果、インスThis_hydrogen_fuel_cell_car_is_leading_aタントラーメンが値上がりする。

構造的にはその通りである。アメリカ産の穀物に依存する日本の畜産体系と、アメリカが多くの選択肢がある分野を潰してでも、コーン一辺倒のバイオエタノールの生産をやっていることを、説明はしていない。

こうした構造を許しているのが、日本の食料自給率の低下である。あるいは食糧海外依存率が、高くなっているために、彼の国の思惑に翻弄されることになるのである。アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪をひく構造である。

コーンからのエタノール生産は、中東情勢の不安定や石油価格の高騰を睨んだ、戦略的な利用に抗するものである。そのたSippo_1めの国家的戦略の一環として、信じられない補助で育成する、バイオ燃料事業である。コーン生産に大量の、石油などのエネルギーが 投与され、蒸留にさらに大量のエネルギーが必要になり、結果的には1.1の効果しかないとされている。

又、バイオエネルギー生産には、コーンのように人や家畜と競合する穀物ではなく、廃棄物や人が消化できない、セルロースなどや、あるいは廃棄された食糧や農産物に依拠するのが本来の「バイオ」の考え方である。

地球上には、8億人を超える人たちが飢餓にある。人に食べさせる可能性のある食料を、家畜やましてや車に食べさせるなどという、非倫理的な食糧事情は許されるべきではない。

お人好しの国民からは、「地球にやさしいバイオ燃料のためだから、少々高くなっても我慢しよう」などという発言が出てきたりする。評論家諸兄は、現象の説明に止まるのではなく、食料の問題や地球環境の本来あるべき姿を忘れすっかり歪になったこの国に、こうしたことを踏まえた提言をするべきな のである。

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そりゃ酪農家は頑張るさ

2007-08-30 | 再生可能エネルギー

牛乳の生産量が落ちている。酪農家戸数飼養頭数も減っている。消費者の方々はこれは同じことと思われるでしょうSisido_2 が、これまでは牛乳の生産量と飼養頭数と酪農家戸数は連動していなかったのです。

乳用牛の飼養戸数は2万5400戸で前年に比べ1200戸(4.5%)減、飼養頭数は159万2000頭で4万4000頭の減少となっている。酪農家戸数も北海道は3.3%の減少となっているし、府県では5%の減少となっている。

これまでは、酪農家戸数が減っても、国内で生産される牛乳の量はほとんど減ることがありませんでした。酪農家戸数が減っても、乳牛の頭数はほとんど減ることもありませんでした。この2年で、酪農家戸数も乳牛頭数も、生産乳量もやっと減少してきたのです。輸入穀物の高騰がその原因です。

酪農家戸数が減っても、乳牛の頭数が減らないのは、一戸当たりの飼養頭数が増えたことを意味します。乳牛頭数が減っても、乳量が落ちなかったのは、一頭当たりの生産乳量が増えたからです。

これれの二つを同時に可能にさせたのは、輸入穀物の多給でした。草などの自給飼料を中心に飼うと、広い草地面積が必要になりますが、輸入穀物を与えていれば、その心配はありません。輸入穀物は、カロリー価が高いため、大量に与えると乳量が増えてくれます。ところが、これでは経費がかさむし、処理しきれない糞尿で環境が汚染されるし、乳牛の不健康が常態となります。

それでも、酪農家がせっせと輸入穀物を、輸入穀物販売業者の手練手管に乗せられて、給与し続けるられたのは安価な穀物が安定的に得られたからです。そのための「良好な日米関係」が必要なことも事実ですが、ここにきてアメリカは、日本の家畜に与える穀物(コーン)を、補助金まで出して国内のバイオエネルギーに振り向けると言い出したのです。「良好な日米関係」は何処に行ったのか知りませんが、これが食糧自給を放棄した国家の現状です。

世界的な穀物価格の高騰は経営を圧迫させて酪農家は減少し、乳量は減少してきたのです。一面ではいいことかもしれませんが、乳価も安くなり、酪農家はダブルパンチの状態にあります。そこで、自給飼料を増やして乳量を減らし、経費を極限まで押さえて頑張っています。拙書参照ください。

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問うそりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)

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-どこかおかしいバイオ燃料

2007-07-09 | 再生可能エネルギー

EU委員会が、バイオ燃料(アグロ燃料;Agrofuel)産業の暴走に、警鐘を鳴らしている。バイオ燃料の問題に火をつけたのは、今年の年頭教書ででのブッシュ大統領の発言である。その時点で、アメリカはコーン(家畜の飼料用である)を大量にエタノール産生に向けて補助金を出すなどして動いていた。55_13

地球温暖化対策に向けて、バイオ燃料はとりわけ車の燃料として切り札のように思われている。クリーンであるはずのエタノールがガソリンに比して20倍排出すると言われる、発がん物質化学物質アセトアルデヒドの評価が不明である。

バイオ燃料の生産過程で、大量の燃料が使われる矛盾を当座の間は、補助金や理解ある人たちに支持されてもそれが持続する保証などどこにもない。燃料のバランスの悪さは、コストに振り替えられることになるが、その先行きはさらに不安になるものと思われる。つまりエネルギー効率でも経済効率でも、持続可能でないことになる。

とりわけ、アメリカが現在行っている家畜飼料用のコーンのバイオ燃料転換は、モラル面での検討もなおざりにされたままである。人との競合を抑えてまで家畜に給与する矛盾を、今度は車に給与するのである。飢餓線上にある10億近い人間から直接だけでなく、価格高騰で間接的にも奪うことになるのである。

コーンからの転換は、エネルギー効率が1.3しかない。サトウキビの効率が9.0であることを考えると、大きな損失が生じる。ブラジルが勢いづいているのはこうした背景がある。 そのブラジルでも、サトウキビ生産への大量転作は多くの農作物の高騰を生みだしている。

食料の海外依存率が、60%を超える日本では多岐多種にわたる食料の高騰がおきる。とりわけ、畜産製品ではその傾向が直接的に発生する。大規模農家しか容認しない、現政府の政策は農業を知らない都会の若い国会議員たちには矛盾としても映っていないようである。

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バイオ燃料こそエコバランスを

2007-06-28 | 再生可能エネルギー

バイオ燃料をその言葉だけで、環境保護の側に立つきれいな燃料と思ってはならない。石油が、戦略物資としての様相が高まる中、アメリカのようにほとんど強制的とも思える、飼料用穀物からの転換などはその良い例である。

現在アメリカ中西部の穀倉地帯では、政府の補助を受けて数年で建設中の蒸留施設が完成すると半数以上の州が、飼料用コーンの輸出ができなくなると予測している。燃料生産効率がコーンは1.3倍であるのに対してブラジルが主に生産しているサトウキビは9.0程度である。

Fao_food_price_indiced

アメリカの強引な「バイオ」政策が際だって見える。アメリカの飼料用穀物に大きく依存している日本の畜が大きな転換を迫られることになる。とりわけ、酪農乳製品の高騰をFAOが予測している。

表のグラフの一番上が乳製品で、2番目が穀物である。肉の価格は余り変動しないと予測している。コーンに依存している、もう一つの畜産製品卵もかなり高騰が予測される。

ところで、日本の酪農乳製品はだぶつき気味である。テレビなので盛んにCMを流しているが売れない。酪農家には、この2年間生産調整の枠がはめられている。Bird_flu_hits_one_more_vietnamese_locali

酪農家は、こうしたことを受けて穀物の多給を控えるようになっている。この2年で乳牛の生産病と言われる病気が急減している。

そのことは良いことであるが、酪農家の方は穀物価格の高騰と乳価の下落と生産調整で、青息吐息である。

急激な、バイオ燃料へのシフトに対して世界各国では、法の整備が盛んである。そもそもが、燃料生産の作付け産品が、農産物かどうかの規定すら曖昧である。我が国では、農業の一分野として扱うようであるが、そのこととすら検討されていない。

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原子力はエコであるか?

2007-06-22 | 再生可能エネルギー

温暖化対策として、急速に原子力発電が「エコ」エネルギーとして強調されているようである。確かに、原子力は温暖効果ガスを排出することがない。一方ではスリーマイル島やチェルノヴイリのような悲惨な事故と、放射能の恐怖を解決できないでいる。

原子力発電の経済性には大きな疑問がある。電力会社は、コストの低さを強調するが、建設に関わる費用、廃棄物処理、廃炉や事故に関わる費用の多くは、税金の負担にな55_6っている。

しかし、原子力事故はどんな対策をやろうとも予防はできない、とする現場の声もある。原子力発電所に関わる作 業員は、長期的に働くことを禁じられている。場所によって異なるが、最も危険な部署は3年ほどで交代することになっている。早い話が、原発の作業員にベテランはいないのである。発生する事故のほとんどが初歩的な手違いであるのはそのためである。

原子力発電の最大の問題は廃棄物処理である。最終処分場を巡って、新聞紙上を何度も賑わすが、結局は日本では決まっていない。お金は欲しいが危険は欲しくない僻地の苦悩につけ込むような政策も、胡散臭い。テロリストにとっては格好のターゲットでもある。

資源の少ない国家にとっては、原子力は発電量の多さや安定性から極めて魅力的なものである。我が国の電力の30%程は原子力である。

風力や太陽光など再生可能発電を、アイドル歌手に喩えることがある。可愛くて見ている分に良いが、実力がない。それでも、我々の未来はこのアイドルに託すしかないのである。

電力を特定の会社に独占させてきたことの弊害も大きいのではないか。地方で小さくても発電できないような状況を作ったり、消費者が電力を選択できない電力会社を養護してきた政策にある。

放射性廃棄物の最終処分が、地球上では不可能な原子力発電は、とてもエコとは思えない。

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バイオ燃料に正しい評価を

2007-06-18 | 再生可能エネルギー

バイオ燃料が無条件で、環境に優しいわけでもなく、無害でもない。バイオ燃料についての評価を1)食料との競合2)生産工程全般の評価3)エネルギーとしての質、の側面から評価しなければならない。

1)アメリカのように、家畜用の飼料(コーン・トウモロコシ)からの蒸留を、石油の高騰に対応するような政策的な意味合いで急速にWq_cows_2押し進めると、結局は家畜の飼料ひいては畜産物の生産に大きく影響する。

廃物や、材木などの廃材から生産することで人との競合をなくすることができる。が、これまでにも、家畜に大量の穀物を与えてでも、高生産を先進国が行ってきた経過もあり、金になるなら、人との競合など先進国は考えもしないだろ55_5う。セルロースからの生産技術が待たれる。

2)蒸留工場を造ったり、遠隔地から運搬したり、肥料を大量に使うことで大量のエネルギ ーを消費することで、結局はエネルギーとしてのバランスがマイナスになりかねない。

農業者と呼ばれるか解らないが、食料でないために、何よりも生産を優先させるために、大量の化学肥料や農薬それに遺伝子組み替え品種が、無制限に使用されることが危惧される。環境問題を考慮しなければならない。

補助金のある間は何とかやっているような状況では、少なくとも地球温暖化防止には貢献することにならない。

3)エネルギーの質については、未だ不明のことが多く、ガソリンの20倍になる排出物質のアセトアルデヒドの発ガン性の問題や、エンジンの開発技術の向上などは、最後まで残る課題と思われる。

バイオ燃料は、広範囲のエコバランスの評価をやらなければならない。

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再度食料自給率を考える

2007-05-20 | 再生可能エネルギー

食料自給率がカロリーベースでおよそ40%程度である。自給率と言うとなんとなく安心感があるが、これを逆に「食糧依存率」として考えると良い。食糧依存率は60%にもなっているのである。

Photo_119 独立国家としての意味がなくなる。拙書「そりゃないよ獣医さん」新風舎刊などでも主張しているが、この歪な国の体系を作ったのは、市場経済である。食糧依存率がダントツに高い日本が、世界中どこからでも食べ物を買い付ける結果、食料の価格を吊り上げているのである。

世界中で8億人の飢餓人がいるが、昨年肥満人口がこれを上回ったとFAOが発表している。

食料が足らないのではない。偏在しているだけなのである。わが国の食べ残しは、年間で1100万トンにもなるが、これはWFP(国連世界食糧計画)が、年間援助する量の約3倍にもなるのである。

貧困国家に食料を援助することも問題である。彼ら自身に生産させることが、先決でWq_cows_1 ある。また、貧困の原因を探ることも、先進国の重要な責務である。多くの場合、先進国の収奪や利権争いなどが貧困の原因であることが多いからである。

あるいは、先進国が海外依存を下げることも重要である。先進国は、消費穀物の半分以上を家畜に与えている。その家畜が肥満状態の発病寸前である。ところがここにきPhoto_120 て、家畜ではなく車に穀物を与えようとする動きが、更に貧困国家の飢餓を促進させてりる。

エタノールは、余剰農産物や非食料炭水化物のセルロースなどを対象にして、人と競合させてはならない。農産物価格が他産業に比べて極端に抑えられている先進国では、安価な労働力で生産される発展途上国から何時までも、市場論理で買い付ける横暴を反省しなければならない。

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そりゃ車が食べることになるさ

2006-12-15 | 再生可能エネルギー

原油の高騰と、地球温暖化を背景に、アメリカでは急速に穀物から抽出されるエタノール燃料へと転換がなされようとしている。

アメリカでは、エタノール生産1ガロン当たり51セントの補助金が2010年まで支払われることになっていることを背景に、中西部のコーンベルト地帯を中心にエタノール蒸留所が建設されて、すでに100ヶ所以上が現在稼動している。アメリカのエタノール生産量は年間50億ガロンが生産されている。因みに、10年前までは10ガロン程度であったが、20億ガロンを越えたのは僅か3年前である。

現在58のプラントが増築もしくは建設の計画がある。これらの全てが稼動する2012年には、アメリカは750億ガロンのエタノールを生産することになる。

政府は、これらエタノール生産には家畜用のコーンを当てることになり、国内外の家畜飼料の市場に大きな影響をも与えることになるとしている。Photo_55

国内では、家畜向けのコーンは大きく減ることになり、輸出用のコーンは相当量減少することになると、アメリカ政府は予測している。

アメリカでは、”現在、農業分野で最も過激に伸びる分野”と言われている。また”エタノール生産はコーン市場を大きく変革する”とも言われている。

日本は、2600万トンの穀物を輸入している。そのうち半分以上の1500万トンが家畜に与えられている。この8割がコーンである。日本の畜産が、バイオ燃料で大きく変革を余儀なくされる。

日本の家畜に与えられる穀物が減少することになる。高い穀物を与えることが、経営上問題になり、市場価格が高騰することにはなるが、家畜たちは健康にはなる。

日本の畜産が、正常に戻るチャンスでもある。

それにしても、人よりも家畜、家畜よりも車に優先させて、穀物を与えるシステムは異常であると思える。

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