太陽光発電に象徴的な技術大国日本の地位の急落、失墜。上図を見れば明らかである。15年ほど前に途上国支援の現状に触れたことがある。そこでは懸命にドイツやフランスの人達がアフリカの森林伐採に取り組んでいたが、薪確保の代わりに太陽光発電パネルを設置していた。そのパネルはどこでも日本製であった。圧倒的なシェアーを日本の技術は世界に誇っていた。今や1%にも満たない現状である。なぜこれほどまで落ち込んだか。
原因の一つが中国の台頭でろう。中国は国家資本主義国家である。中国は2035年以降の新車販売は、電気自動車や新エネルギー車に限定する方針である。決め事に対する動き、その後のエネルギーの投入は恐ろしいものがある。政策選択に国民不在なのは、あってはならないと思われるが、中国共産党はお構いなしである。
もう一つの要因が原発事故の教訓化である。ヨーロッパの多くの国では原発からの脱却を明言している。きっかけは日本の東日本震災による、福島原発の事故である。当の日本は原発を放棄しないどころか、推進を明らかにしだした。スペインでは天然ガスと風力、水力バイオで70%を占めている。デンマークでは55%が風力それにバイオで80%を占める。脱原発を表明するドイツでは、再生可能エネルギーへ大きくシフトしている。
それと、最も大きな要因は、安倍政権の軍事に特化した技術開発の奨励である。日本は就任直後から菅義偉首相は、原発再稼働の容認、更には新規建設まで閣僚に発言させている。ここぞとばかりに、少子高齢化に喘ぐ地方は補助金欲しさに次々と原子力に理解を示し始めている。日本は地盤のないところに唐突に菅首相は、脱炭素社会を打ち上げた。その脱炭素とは、2030年に現在2%の原子発電を20~22%にするというものである。
原発推進は再生可能エネルギー開発を疎かにし、未来を見誤る軍事技術に特化した安倍晋三の時代に、この国は技術先進国の誇りをも捨て去ったのである。