国会の会期を延長しておきながら、衆議院同様に参議院でも、阿部内閣は強行採決を行った。良識の府・参議院はどこへ行ってしまったのだろうか。戦後しばらくは、参議院では政党に支配されない、緑風会などの非政党的な色合いが強かったものである。
現在のように、衆議院と同様に政党の数の論理で推し進めるなら、参議院など必要ない。衆議院の二番煎じ、リプレイをやっているようなものである。
一昨年のように、衆議院を可決した郵政民営化を差し戻したりすると、党議拘束とやらで、次々と政党論理で締め付けを小泉純一郎がやったことが強く影を落としている。参議院が存在価値を急速に失ってきたのである。
衆議院から重要法案とやらを、阿部内閣は何本も強行採決の連続で乗り切った。何のために会期を延長し たのか理解できない。選挙対策なのだと言われている。時間が経てば、アホな国民は与党に不利なことなど忘れると思っているらしい。
祖父の岸信介は強行採決で、内閣総理大臣の辞職に追い込まれた。時代が違うといえばそれまだけであるが、野党にも活力がないのも事実である。
数の論理は政治的手法ではあるが、民主的手法ではない。解散のない参議院こそ、じっくりと討論してしかるべきなのに、これでは単なる衆議院、あるいは与党の認可機関でしかない。
国民に法律としてやがて押し付けられることになるものである。殆んど論議なしに、決められることに対する切実感を、国民とりわけ若年層にないことも情けないことである。