前原誠司外相が「農業は日本のDGPの1.7%に過ぎない。平均就労者は68歳になる。こんな産業のために、日本を犠牲にするのか」と発言している。なるほど。はっきりしていてそれはそれで良いことである。民主党議員の多くは、あちこちに良い顔をして何を言っているのか分からない議員が多い。その中にあって、前原ははっきりしていてそれは評価されるべきである。
しかし、誰が農業をそんな産業にしたのか?どうして、高齢化が進んでしまったのかをまず考えるべきである。自民党政権が、長年にわたって理念がなくただひたすらに、外貨獲得のため輸出産業の育成に腐心したためである。商工業製品と異なり、農業は誰もが毎日必要とする食料を生産する産業である。他の産業と比較すること自体あってはならないと思うが、百歩譲ってもそれを価格だけで評価するのは許されることではない。
例えば、オーストラリア牛肉は確かに安い。数年前であるが、一つの飼育場で炭疸(たんそ:人にも感染する)が100頭単位で発生している。しかも短い期間に連続発生している。日本では絶対にこんな管理はあり得ない。日本では牛の履歴が簡単に解り、消費者がその気になれば食べた物を知ることもできる。牛乳が安のには理由がある。安ければいいわけではない。ましてや食料は人の生命に係わるものである。食料は評価基準を価格だけで行うようになる、自由貿易には馴染まない商品である。
たった1.7%のGDPで40%もの国民のカロリーを賄っている農業者の努力は、前原には解るものではない。前原は自主防衛論者である。反米右翼の思想は、軍事オタクの元防衛長官の石破と懇意の関係にある。小泉純一郎に、メール問題で失脚した時に本会議場で激励を受けている。彼が何のために民主党にいるのかは分からないが、相当な危険人物である。
農業者が高齢化しているから、今更援助するべきではないと、前原は主張するがそれも自民党農政の結果でしかない。高齢化は、へき地が都会に先行して起きる。へき地の高齢化は、都会に水や酸素を供給し食料を届ける機能の喪失を意味する。その食料部分だけの問題と、矮小化することはあってはならない。
北方領土を「不法にロシアが占拠する」と、根室で発言しロシアをいたずらに刺激したり、いったん収まった領土問題を、日米安保を担ぎ出して中国にへそを曲げさせたり、このところの前原は外相でありながら、交渉努力をするつもりのない発言や態度が目立つ。このところ日露は領土問題で緊密に連携している。隣国の動きすら察知できない外相は、罷免の対象にするべきではないか。