バイデンがアメリカ大統領になって、1週間が過ぎた。3日ほどで大統領令を42本も署名した。素早い行動のように見えるが、多くが新たな政令などではなく、トランプの手掛けた悪行を元に戻す取り消すだけのものがほとんどである。パリ協定やWTOへの復帰や国境の壁建設の中止などである。
バイデンのやった素早いことは人事である。4年前は行政に全くの素人が取り組んだこともあって、閣僚どころか多くの官僚さえほとんど決まっていなかった。4年前とは比較にはならないが、バイデンの意向が強く表れた閣僚の顔ぶれになっている。そうした意味では解り易くはある。
そんな中バイデンは、「COVID-19(新型コロナウイルス)で、40万人死亡している。これは第二次世界大戦の死者数を上回っている。これは戦争である。」と強い危機意識を示した。先ずはCIVID対策で、経済はそのあとだと強く述べている。バイデンはワクチン開発に2兆円投じている。秋には90%をカバーするという。トランプはこのウイルスを忌み嫌いマスクさえ渋々やる男で、対策も州に任せるような無策に近いものであった。
一方で、プリンケン国務長官は明確に、「トランプの対中国政策は正しかった。ウイグル族のジェノサイド(集団虐殺)が起きている。」と述べ、人権問題を重視する民主党は、中国外交はより厳しくなることになりそうである。
トランプの弾劾裁判は2月8日から始まるが、共和党は4年後のトランプの大統領選出馬対策として、賛成に回る議員が数人は出る可能性がある。17名出れば弾劾は成立する。すでに大統領職にいない人物の弾劾に意味があるとすれば、彼から公民権を奪うことである。そこまで共和党員が望むかどうかが、反乱者の人数を決めることになろう。
ロシアに対しては電話でプーチンに、大統領選挙などの介入やサイバー攻撃への問題をしっかり指摘している。それでも新戦略兵器削減条約(新START)の延長は決めたことは、消極的にでも評価したい。