日本では、原発を無根拠の安全基準で再稼働させたり、あきれるような言葉のやり取りの政治の世界や、親族内の殺人事件などが報道され、閉塞感を実感する。そうした日本の報道の偏向に失望を隠せない。
チェルノブイリを抱えるウクライナでは大統領選挙があり、収監されているヨーロッパ寄りの女性候補は立候補もできず、ロシア寄りの大統領が勝利したようである。
このウクライナで、今月15日に小麦の輸出禁止令を出したばかりである。ウクライナでは、干ばつによる穀物収穫が深刻な状況にある。今年の穀物生産量4100万トンで、例年の86%であり、とりわけトウモロコシは75%となっている。
これはウクライナに限ったことではない。左の上の表は世界の小麦生産量と消費量それに備蓄量である。今年になって、生産量の備蓄量も下がっている頃がわかる。(世界穀物研究所によるものでクリックると大きくなります)
その下の表は、世界のトウモロコシの生産量と消費量それに備蓄量である。干ばつに弱いトウモロコシ消費量と生産量が減っているばかりでなく、備蓄も危険水域になっていることが判る。
概ね、8年ほど前の生産量に近い。それでは8年前には消費する人たち、人口はどれほどであったであろう。世界人口は、昨年の今頃70億人を突破した。8年ほど前には、人口は62~63億人ほどであった。現在は71億人を少々切る程度である。ざっとした数字で、8年前より10億人ほど増えているのである。
10億人増えたにも拘らず、食料生産が追い付いていないことになる。されにもっと深刻な問題は、増えた人口は高齢者と途上国の都市人口なのである。
世界の増えた人口は、購買力の低い国々と老人であるにもかかわらず、農民が減少しているのである。食糧問題は日本では、円高によって低く評価され、都市人口の増加によって深刻さが理解されない状況にある。
原発や消費税が些細な問題といった、富裕層出身の右翼の石原の言葉を借りれば、尖閣や政権交代など些細な問題である。
食糧は、毎日人間が生きてゆくためになくてはならない物である。ウクライナが輸出禁止をしたように、食糧については金の問題ではない。そしこれは自らが解決するしか方法がないのである。食糧問題、農業問題を最優先課題ととらえるべき時がやってきたのである。