日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画が、先の選挙公約通りバイデンから禁止命令を受けた。これを受けて日本製鉄とUSスチールは6日、米政府を提訴した。
バイデンによる売却禁止命令は安全保障に関わる「政治的な理由」によるものだとしているが、明らかにトランプに甘い汁を取られないためのものである。 日本製鉄とUSスチールは声明で、今回の提訴について、両社が、政治的な介入があるものの、買収計画の成立に向けて引き続き関与していることを示すものだと述べた。
アメリカ最大の製鉄企業であっても世界24位である。 USスチールは昨年8月に、複数の企業から買収提案を受けていた。その中にクリーブランド・クリフスもUSスチールも買収を提案した企業に含まれる。クリーブランド・クリフスによる買収額は73億ドル(現在のレートで約1兆1500億円)だった。日本製鉄はその約2倍にあたる143億ドルを提示し、USスチールは買収で合意していた。
バイデンの買収禁止の大統領令は、モンロー主義でアメリカ孤立主義のナショナリズムの感情的なものといえる安全保障上の理由は謳い文句に過ぎない。違法性の根拠に乏しい。日本製鉄とUSスチールは、全米鉄鋼労働組合(USW)も同時に提訴している。
日本製鉄とUSスチールは、今回の提訴を通じ、禁止命令の無効を目指している。日本政府も表面上であるが日本製鉄を支持している。
しかし、アメリカ大統領令に抗うことなど、今や属国に堕した日本政府ができるわけもない。いずれ認めることになるだろう。