職員を集めて挨拶する稲田は、実質更迭されるという実感もなければ、防衛省内を土足で踏みにじりまわしたことへの意識もない。制服組からも背広組からもこけにされた実感だけが残って、生々とした顔して去ってゆく。この女の本質を見た気がする。
成長の家の思想に傾倒したしたならもっと、脱世俗的であるべきである。夫名義で防衛関連会社の株を大量に購入して、額面5億円もの利益を上げ、土地ころがしで大儲けする、人間としても政治家としても極めて質の低い俗人でしかない。
安倍晋三が稲田朋美を買いかぶったともいえるが、この女は所詮脳の中でしか追及することのできない右翼思想にまみれているだけだった。政治家としての志向もなければ何らかの組織の中で働いたこともほとんどなく、ましてや大組織の日本官僚の頂点に立つほどの力量も度量もないのである。自民党内ですら、髪を切って満面の笑みで辞任の挨拶をする稲田朋美に対し、極めて不快感を隠さない議員もいる。自分の置かれている立場すら理解できない稲田朋美である。
防衛省にとっては、最悪の人物を大臣に招いた11ヶ月と言える。安倍が期待した安全保障関連の政策的実行すら何も手が付けられていない。それどころかPKO派遣で逆に大きな穴をあけてしまった。陸幕長と政務次官の辞任が何を意味するのか、稲田にはそれすら解っていない。解っているならせめて謝罪くらいあるべきであった。
せめて閉会中審査に応じるかと思いきや案の定欠席する。稲田が欠席した日報隠ぺい問題など意味がない。南スーダンへの自衛隊派遣は、PKO5原則に違反することが本質であって、日報を隠ぺいしたことではない。日報の隠ぺいはそのためになされたことこそ問われるべきなのである。稲田のあほ挨拶と嬉々とした笑顔姿は、安倍政権ばかりではなく日本の政治家の質の劣化を象徴しているかに見える。