在野の昆虫学者はこの30年で昆虫が激減したと述べている。昆虫は他種で、未だに新種が発見される世界である。数も良く分かってはいない。
私は日本野鳥の会を先年卒業したが、50年ほどの野鳥観察者ではある。ざっくりと言えば、ほぼこの50年で野鳥は半減している。シマフクロウやタンチョウのように国や研究者たちによって保護された品種は増えつつはあるが、主に草原などの野鳥、ノビタキ、ノゴマ、ヒバリそれにオオジシギなどは確実に減少している。
「サイレント/アース 昆虫たちの『沈黙の春』」を著わした生物学者、ディヴ・グールソンは、「昆虫がいなくなったら、地球は動きを止める」まで述べている。
乳牛の診療をする身にとってずっと気になっていたのが、化学肥料の多様で大量の使用が目立つし、早や刈りが定着し野鳥たちの孵化時期に合致するようになったこと。それに牧草地の改良として、以前はプラウで起すと大量の野鳥が起こされた土をめがけて大量に集まったものである。それがなくなったどころか、大量の肥料や農薬特に多くの国で禁止されている、ネオニコチノイド(主成分グリホサート)が大量に投下される。草地改良・更新には国と自治体から補助金が出る。一定の指標が求められ、ネオニコチノイド必須条件に組んでいるところもある。昆虫の駆除ばかりではなく、特定の作物のための肥料などが投入される。農家は負担額が3割程度になるので取り組みやすい。
夏の牧草地を歩いてみても、以前のように昆虫の姿が見えない。昔は気になるほど飛んでバチバチ顔などに当たったものである。増えたのは、人や牛に依存するハエやアブばかりである。野鳥の餌にはならない。野鳥も増えたのはカラスと牛舎依存のハトばかりである。
野鳥の減少を昆虫に比例して評価するのには無理があるだろうが、大きな餌であることには変わりない。在野の昆虫愛好家たちもこの30年でほぼ半数になったと言われている。
昆虫の減少には、温暖化や外来種の侵入や環境の変化それに、人の経済活動が大きく関与している。そのほとんどが農業である。国は農業に生産効率を求めるあまり、生産量を基準にしたり単作化とどの集約化(団地)を奨励してきたためである。つまり循環を忘れた結果といえる。
上記の生学者グールソンは、ネオニコチノイドが欧州から消えたが、新たな同様の駆虫剤が開発されていると主張する。博士はこれ等は数十年後蓄積され問題を起こすことになると警告する。
温暖化や気候変動が深刻になりつつあるが、古くは昆虫など動物は新たな土地を求めて移動したものであるが、80億人ともいわれる人類の活動はそれを許さないほど、地表を埋め尽くしている。
農薬投入の生産物、即ち食料に問題があることは珍しくはない。21世紀は有機農業の時代と言われているが、当分は生産量を求めて農家は進むであろうが、そのことが地球のあらゆる生物の生存権を奪うことにつながる。
農業の有機化を進めることは、人類にも他の生物にも優しく、土壌や水の環境にも貢献するはずである。昆虫を経済的評価ではなく、生物の多様性の象徴的存在として理解するべきなのです。
で2025年はどんな年になるのだろう。生物界も政治的にも環境的にも、あらゆるもの崩壊の始まりの年になる様な気がしてならない。