刑事訴追を受けるからと、国会の証人喚問で核心について証言拒否した佐川宣寿元理財局長である。ところが大阪地検特捜部は昨年5月に不起訴の処分とした。
国家公務員が、国家の基本、民主主義の根幹にかかわる公文書の隠ぺい改ざんを、安倍昭恵のために、ひいては安倍晋三のために行った。改ざん命じられた下っ端のまともな感覚を持つ公務員は、自殺した。それらの一連の不正行為の頂点にいた、佐川宣寿をはじめとする全員が無罪という判断を大阪地検はやったのである。佐川はその後、起訴どころかご栄転している。
この判決を不服とした弁護士グループなどが、不起訴を不服として検審に審査を申し立てていた。これを受けて、この大阪地検は「不起訴不当」とする議決書を公表した。彼らの不正行為の実態と、不正行為の目的(安倍昭恵の擁護)が今後明らかになればいいが、権力に忖度しかできない現在の司法では、それも危うい限りである。
もう一つが、女性ジャーナリストを強姦した元TBS職員の山口敬之の件である。山口の官邸との関係を知らない下っ端の警察は山口の逮捕状を懐ろに出かけたが、上からの通達(中村格警視庁刑事部長)で山口を目の前で見過ごしている。山口も不起訴になるのであるが、今度は逆にこの男は強姦した女性に、1億3千万円の損賠賠償を請求した。性被害を商品にして儲けたが、自分は損害を被ったというのである。不起訴してもらっただけでは不満なのであろうか、この男は。
安倍政権になって7年を超えるが、数々の不祥事や不正行為、明らかに犯罪性のある事件も数多くあった。しかし、誰一人として責任を取らないのである。むしろ、従順に従っていた職員は出世する、政治家は新たなポストを受けることになる。
嘘だと誰もが解っていながら、権力者の発言を咎めることができない国家に成り下がってしまった。ついには政策結果まで粉飾した数字を披瀝され、安倍晋三はご満悦なのである。正義と倫理を失った国家、膨大な債務を抱えた国家、理念を漂流させる国家こそが、安倍晋三が望む軍事国家なのである。