そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

シリア内戦が暴力的に解決されることはありえない

2018-04-15 | シリア

トランプ米大統領は、ホワイトハウスでテレビ演説でシリアのアサド政権の「化学兵器施設」に対する局所攻撃を命じたと発表した。首都ダマスカスの郊外とホムス近郊の化学兵器工場を、イギリス、フランスとの共同作戦で空爆した。化学工場に限定された精密な攻撃であり、今回一回で終わると述べている。シリア側の発表は、100発のロケットのほとんどを打ち落とし、三名が負傷したと発表している。損害軽微というわけである。上の図はアメリカの発表したホムスとされる衛星写真である。ピンポイントの攻撃という事であろうが、予告の空爆である。どれほどの実被害があたかは不明であるが、米英仏の恫喝の効果以上のものはなかったと思われる。
日本の安倍晋三は早速、「”核”兵器の拡散があってはならない」と述べ、アメリカの支持を表明した。後に化学兵器と訂正している。混乱しているというより、安倍はよく理解していない。
そもそも、今回の化学兵器をアサド政権側が使用したという根拠が、極めて薄弱である。判断が急激すぎて被害の実態も良く解らないし、子どもの映像ばかりである。毒ガス使用によるトランプの反応をアサドが軽く見ているとは思えない。アメリカの、あの政権が悪いという世界に流す情報は、イラクの大量破壊兵器の不存在以来、信ぴょう性を検証しなければならない。
仮に毒ガス弾が使用されていたとしても、前回のアメリカの化学工場の空爆の効果がなったことにもなる。トランプには学習能力がないのか。
アサド政権は極めて暴力的な政権である。反政府勢力への弾圧は非人道的で許されるべきものではなかったが、アメリカのイラク侵攻が引き起こした国家間や部族間や宗派間の対立が根底にあり、暴力性は日を追って厳しいものになってきたのである。
シリアの内戦は当初は国内勢力の構想であったが、ISが参入することでやがて大国が参入してきた。こんな小国が7年間も内戦を継続できるわけがない。シリア内戦の本態は多国間の勢力紛争に変質している。今回のような大国が複数で武力介入すれば、紛争はさらに激しくなることは解り切っている。早速、ロシアとシリアが反応している。和平が遠のいたとみるべきである。
これまでアメリカは、良くも悪くも世界の視察を自認していた。そうした意味で、紛争解決には中身はともかく積極的であった。ところがアメリカンファーストを言い続けるトランプが大統領になってから、お気に入りの国の片方だけを支援するようになった。イスラエルに首都をエルサレムにするなどその典型である。
シリア内戦の和平への道は、ともに背後に大国を抱えており暴力では不可能である。ただ紛争を更なる混迷へと導くだけである。
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人道介入という国際法違反のミサイル攻撃

2017-04-11 | シリア
トランプは予告もなく、シリアの空軍基地を巡航ミサイルトマホークを59発撃ちこんだ。シリアのアサド大統領が一線を越え、反政府軍地域に国際法で禁止しているサリンと思われる化学弾攻撃したことへの人道的攻撃であるとトランプは主張する。人道介入という理由を掲げるが、これはどう見ても矛盾だらけである。
国際法的には、自国が攻撃された場合、同盟国が攻撃された場合、そして国連決議があった場合の3通りがやむなき手段として認めている。今回はこれのどれにも当てはまらない。そして早速、イギリスと日本の政府が支援を表明した。
これはどこかで見た構図である。イランに侵攻したブッシュがとった行動そのものである。ブッシュは大量破壊兵器があると後に嘘がばれたでっち上げの根拠に基づいた行動、イラン攻撃である。国連は何度も確認された事実はないと決議したにもかかわらず、ブッシュは行動に出た。日本とイギリスが早速賛同したのも同じ構図である。
今回は、どうもシリアが化学兵器禁止条約に調印しているシリアが、廃棄せずに保持していたサリンのような化学兵器を使ったようであるが、ロシアのコントロールが効かなかったのかもしれない。プーチンは早速国際法違反と釘を刺している。プーチンに賛同はしたくはないが、ここは彼の主張が正しい。トランプのとった行動は明かに国際法に反している。小泉引き続き、安倍晋三も無条件でアメリカの決定に賛同を表明している。過去の失敗を教訓化できないトランプと安倍である。
トランプは選挙期間中の発言のほとんど、ヒラリーを刑務所に放り込むと言った以外のことを当選後実行している。実行できなかったものもあるが、政治の素人はこの点は公約に忠実であったといえる。しかし、アメリカは世界の警官にはならないと言った発言を、今回のミサイル攻撃は否定したことになる。軍事施設が標的とはいえ、ミサイル攻撃が人道的とは、まるで安倍晋三が積極的平和主義を唱えるようなものである。
勿論、化学兵器の使用は非人道的であり、国際法上も違反行為である。
実質的には初の外交デビューのミサイル攻撃であるが、トランプは世界の力関係が大きく動いたことを、予測し理解しての行動とは思えないのである。ロシアの離反とそれに伴うヨーロッパと中東の反応を計算した行動とは思えないからである。
それにしてもアメリカの巡航ミサイルの機能も落ちたものである。下の絵はロシアが発表したものであるが、59発撃っても基地内には44発しか落ちていないし、重要な施設をことごとく外している。

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プーチンがアメリカ非難、あんたが言えるか!武力行使の暴力の螺旋(スパイラル)はとめどない

2017-04-07 | シリア
アメリカは今日(日本時間7日午前)、シリアに軍事施設を標的にした巡航ミサイルを59発を発射した。アメリカがアサド政権に対して軍事行動をとるのは初めてである。アメリカは、アサド政権が禁止されている化学兵器を用いたことに対する報復であると述べた。実際シリアで猛毒の神経ガスのサリンが使用されたことは間違いないようである。
これに対し、ロシアのプーチン大統領は米国のシリア空軍基地に対する巡航ミサイル攻撃は、国際法違反である。米ロ関係に深刻な悪影響を与えると述べた。プーチンはアメリカの行動は、主権国家に対する侵略行為であると強く非難した。
プーチンにそんなこと言う資格があるか疑わしい限りである。国内の言論弾圧やチェチェンなどの強権的で非人道的な弾圧は枚挙に暇がなない。ウクライナでは、国際法に抵触するようなことを数限りなく、プーチンはやっている。残念ながら、プーチンの言うことは間違ってはいない。
今回のシリア北部の町への、サリン弾とおぼしき攻撃、非人道的無差別攻撃は、強く非難されるべきではある。しかし武力攻撃による対応であれば、また新たな武力攻撃への口実を与えるだけである。暴力の応酬は留まるところがない。シリアは大国の思惑によって動かされた、暴力の応酬が繰り返され被害になるのは、いつも弱者である。暴力は暴力しか生まない。そうした意味でのオバマなの中途半端な非暴力は、ある程度の意味を持っていた。
外交経験どころか政治経験もない世界最強の軍隊を持つ人物は、後先も考えることができない。シリア情勢は更なる混迷のスパイラルに入った。アサド政権が解りました、こちらが悪かった謝罪ですると思っているのであろうか。トランプは極めて危険なカードを切った。
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今思う、シリアの古都アレッポの人々はなぜ凄惨な戦争をするのか

2016-10-02 | シリア
シリアのアレッポを訪れたのは、20年ほど前のことである。イスラム諸国の人はお酒を飲まない。夜はとても静かで、人々は総じて明るい。陽が落ちて無防備で外に出られるのも、イスラム圏の良いところである。
昼の暑さを忘れるために、夜になれば人々は外に出てくる。夜店の周りで何やらざわざわ騒いでいる。イスラム圏の男どもは、明るくおしゃべりである。どこかの国のように、グダグダと酔いに任せて愚痴を言うわけではない。女性はさすがに出てくることはないが、子供たちは宵っ張りである。大人と一緒になってそこにいて、話を聞いている。女性は家族ずれなら、外で敷物を敷いて何やら飲み食いしておしゃべりしている。
言葉が全く通じないのであったが、夜店で音楽のカセットテープをかった。数人に取り囲まれて、わいわい何やら言われていたが、お構いなく出来損ないの英語でしゃべっていたが、相手も解ってはいない。シリアでは男女が手を組んで歩くことがない。しかし、男性同士が仲良く手を繋いで歩くのを何度も見ている。こいつらオカマかと思ったものである。
多くの公衆トイレは男性の場合、つながったところで共通の溝にすることになっている。彼らはワンピースの服を腰までたくし上げて、用を足す。下着をつけているのを見たことがない。おしゃべりしながら用を足すのは、別れていないためかもしれない。兎に角彼らは明るい。そして女性は、目鼻立ちが整って例外なく美しい。
アレッポの町の中核になっているのは、2000年経つと言われているアレッポ城である。いろんな時代のお建物が混在していて、イスラム教が普及してからかなり変質したようで、綺麗なステンドグラスが印象的な複雑な形をした城だった。
中東随一と言われるモスクがあって、素足でしか入れず整理されとても美しかった。これにつながって世界一大きなスークがあった。そこで1930年代の懐中時計を買った。数人が価格交渉に加わって、楽しい一時間ほどの時間を過ごした。2万円ほどだったオメガの時計を、5000円ほどまで値切った。買った後はみんなの祝福を受けた。お前はラッキーだと言っているようだった。
イスラムでは戦争があっても、お互いのモスクは攻撃しないのが原則であった。シリアの内戦は、シリア第二の古都を真っ先に攻撃し、世界遺産になっていたアレッポ城もモスクもスークも焼き落してしまった。その後の底が見えない戦争は、悲惨を極める。

私が思い起こすのは、あれほど平和で明るかったアレッポの人々が銃を持ち人殺しに奔走し、町を破壊し、際限のない殺戮を繰り返す信じられない現実である。彼らが好んで戦をやっているとは到底思えない。
2000年以上にわたって築きあげてきたきれいな街を、好んで破壊するわけではなかろう。イスラム教が戦争を起こすとは到底信じることができない。様々な国を訪れた経験があるが、その中でもシリアは平穏で穏やかな国家の一つであった。トイレでお喋りをして、人のを覗き込んできた彼らが凄惨な戦争、人殺しを好んでやっているとはとてもじゃないが、いまだに信じることができない。彼らは巨大な力によって、銃を持ち引き金を引くのである。あの親しげで明るい彼らの意思では絶対ない。
戦争とは銃を持って人を殺すことであるが、銃を持つ人たちも殺されているのである。人格を亡くし人の尊厳をも見返ることがなくなってしまうのが戦争である。

そうした戦争の本質さえ論議することなく、日本の国会は憲法を無視して、安保関連法(戦争)を強行採決してしまった。”あいつら”が悪いという論理が、彼らが正当性を主張させるのであるが、あいつらにも正当性があり、際限ない戦いに陥ることになるのである。特にシリアは内戦と言いながら、アメリカとロシアそれに宗派間対立の代理戦争である。日本以外では表現されない言葉であるが、集団的自衛権の行使の典型的な例といえる。
自民党と公明党の議員は戦争がどんなものか、シリアに行って無差別に市民に飛んでくる”善良な人たち”が自衛権を主張して撃った弾丸の雨を、体験すればいい。
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シリアの富裕層難民を受け入れるEUではあるが、シリアの泥沼は集団的自衛権行使のなれの果てと言える

2015-09-14 | シリア

ヨーロッパはシリアの難民の受け入れで混乱が生じている。積極的な受け入れを表明していたドイツは、ここに来て規制を始めた。EU各国で分担するハズであったが、どうやら貧乏くじを率いた感があり、やや手を引きかけている。それでもドイツは、10万人近くを受け入れている。ロイターが人口比を出しているが、上記の表を参考願いたい。それでもヨーロッパに向かったのは、35万人程度である。
上の表は、周辺国に逃げ込んだ人たちでおおむね408万人と推定される。ヨーロッパに向かった難民の12倍である。トルコが193万人とレバノンの111万人でおよそ305万人にもなる。シリア国内で逃げ惑う難民は、760万人と推定されている。
ヨーロッパに向かったのは富裕層である。特に陸路で向かった人たち、とりわけドイツなど北欧までたどり着いた人たちは、いわば選ばれたシリアの人たちと言える。
周辺各国に逃れ出た人たちは、一般人たちよりもすこしましな人たちと言える。圧倒的多数は、国内で逃げ惑うばかりである。シリアは1900万人の人口と推定されるが、上記の国内外の難民は1200万ににも及び、国家として産業どころか生活さえ成り立たない状況と言える。

シリアにはアサド政権が実権を握っていたが、アラブの春の運動で欧米に支援される「自由シリア軍」と呼ばれる反アサド運動が起きた。これを受けてウクライナ情勢も複雑に作用して、ロシアがアサド政権を軍事的に支えるようになる。イラクを追われたバース党員などが主体になって、ISIS(イラクとシリアのイスラム国)という残虐非道の勢力が、陰から支えるサウジアラビアによって勢力を拡大する。結局はブッシュが作ったISISであるが、軍事的な成果をシリアとイラクで収めながら拡大する。現在は自由シリア軍の流れは、相当少なくなったりISISに吸収されているように思われる。少数宗派のアサド政権は、イランとレバノンの支持もあって、容易に崩壊するとは思えない。アメリカに加えてトルコもISISの空爆に踏み切っているが、勢力の衰えは見られない。
この3つの勢力は、単独では存在することができないし、それぞれが利権を持ち特定の地域を抑えている。これに国境を越えたクルド勢力が加わり、全体像は誰にもわからない現状と言える。
これらは、周辺諸国ばかりでなくアメリカやロシアなどが加わり、今の日本の言葉で表現するなら、「集団的自衛権」をそれぞれが行使することで、このような利害関係が説明できない、軍事的紛争状況になっていると言える。お互いが正義を掲げ、利害ばかりかりではなく面子と報復のために泥沼の戦況になっているのである。

難民問題は人道的見地からもおろそかにはできないが、シリアに陰に表になって介入する世界各国が手を引かない限り、難民問題どころかシリア問題は解決しない。集団的自衛権の行使のなれの果てである。
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矢張りおかしなボストン爆破事件

2013-04-27 | シリア

時間が経つにつれて、なんとなく奇妙なことや、当局が隠そうとしていた事実が明らかになってきている。本ブログでも、21日に気になっていることを書き留めてみた。

奇異に思えるもっとも大きなことは、オバマの反応である。強い言葉で捜査を行うと表明し、法の裁きを受けさせると結んでいた。02
この事件そのものは、犠牲者には申し訳ないが、アメリカで年間10回ほどある銃乱射事件と、何ら変わるものではない。不特定の弱者を狙う卑劣な事件は、銃社会のアメリカでは日常的に起きている。政府の早い反応は、奇異に思えた。

ロシアの報道(RT)が、犯人兄弟の兄は数年前からFBIと接触があったと報じたのである。FBIはこれを渋々認めた。2011年に取り調べを受けていた事実も判明している。

ウオールストリートジャーナスが報じているが、母親や家族が、数年以上、どうしてFBIに監視されなければならなかったのか、ということと。家族全員が、FBIにあんなに厳しく監視されていたのに、息子がテロを計画していたなどとFBIが考えること自体、おかしいと驚いているのです。

また一部では、圧力釜爆弾の事実にも疑問を持っているようである。爆破現場には高いところから見下ろせるような、監視カメラがあって爆破の現場を映していたはずであるが、公表されていない。FBIが取り替えたというのである。

そもそも、これほどの大都会の真ん中で、監視カメラが無数にある中に、何の返送もなく登場している彼らの、無神経が信じられない。一部では、これは訓練のためのものであったが、それが失敗したとの見方もある。Photo_2
犯人捜査の仰々しさに驚いたのは私だけだろうか? おまけに犯人Photo_3射殺と拘束の後の、まるで9.11の犯人探しに重ね合わせるかのような、大騒ぎである。「USA、USA」と大騒ぎをして、「Thank you Police」と騒ぎ立てた。兄のイスラム化の発言を、複数の知人に証言させている。

今回の事件は、アメリカがテロの対象になっていると警告するための、官制の事件ではないかと思われる。思いがけない方向に走って、犯人として射殺された兄と、喉を切られ生涯発言できなくなった弟の、兄弟が哀れである。

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何処か奇妙なボストンマラソン爆破事件

2013-04-21 | シリア

15日ボストンマラソンのゴール少し前で、2個の手製爆弾が爆発した。3名が死亡Photo
し、180名ほどが負傷した。市民を狙った非情な無差別殺害事件である。
犯人は、チェチェン人の兄弟と特定され、追われて兄は死亡し弟も重傷ながら拘束されたようである。

この事件何か妙である。

いち早く反応したのがロシア政府であり、ロシアのチェチェン共和国である。どちらも我々政府とは何ら関係ないと、驚くほどの早い反応であった。特に親ロシア派のカディロフ、チェチェン首長は、「彼らはアメリカで長く暮らしたんだから、価値観もアメリカで出来たんだし、責任はアメリカにある。事件をチェチェンと結びつけないでほしい」と、コメントしている。

国外に逃れているチェチェン独立派のスポークスマンは、「チェチェン人がアメリカ市民を憎む理由はなく、我々は政治的目的を達成するためのテロを非難する。また、この事件をもって、チェチェンおよびコーカサスの一般の人々を抑圧することに反対する」と、発表している。

この兄弟は、幼いころからアメリカに住んでいる。専門学校に通ったり医大生でもあり、手製の爆弾を作れる学力もある。彼らがボストンの町の真ん中に、無数の監視カメラがあることを知らないわけがない。

まるで目立つような格好で、しかも爆発の直前に手製の圧力鍋爆弾を、カメラの前を堂々と通り抜けている。ネットに公開されると、無数の情報が集まっている。そんなこと判断できなかったような人物とは思えない。

それより何よりも、目的が判然としない。単なる愉快犯としても、テロ対策が厳しいアメリカでは捕まるのは時間の問題である。事件も無防備である。銃乱射事件と同質のものとしても、余りにも不可解である。

気になるのは、ダゲスタンの二人の親の話である。 「この5年間、息子たちはFBIにずっと監視されていた。こんな事件が起こせるはずはない。息子たちは、テロのことなど話したことがない。はめられた。無実を確信している」と、発言している。

この事件で最も喜んでいるのは、ロシアである。チェチェン人はとても怖ろしい、ロシアのの弾圧は正当化される。この事件で喜びを隠しきらないのは、ロシア政府である。プーチンにしてみれば、先ごろ長年の政敵がイギリスで不審な死を遂げてくれた。

何かしら、プーチンを巡っては奇妙な暴力事件や、暗殺事件が起きている。それらのすべてが彼に有利に働いているのも妙である。

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ロシアでまた暗殺事件

2009-01-25 | シリア

ロシアでまた暗殺が行われた。06年アンナ・ポリツフスカヤが、プーチンの誕生日に暗殺されPhoto た。彼女の係わったチェチェン紛争を封じ込めるための暗殺事件である。アンナのあとチェチェンの動きを追っていた、弁護士のスタニスラフ・マルケーロフ氏とアナスタシア・バブローフ女史が、1月19日にモスクワの路上で暗殺された。

これには一つの事件が関わっていた。チェチェンに攻め入ったロシア軍のブターノフ大佐がかねてお気に入りの娘を誘拐し、自宅で強姦し殺害した。ロシア軍は彼をかばったが肉親たちの粘り強い法廷闘争で、この男は有罪となった。この男は20011年までは収監されるはずだったが、1月15日に恩赦で釈放されていた。

このことを抗議する記者会見を、マルケーロフ氏が行ったのが、1月19日であった。この記者Anna_politkovskaya_silent_demostrat会見のほんの数分後、彼は路上で銃殺された。彼をかばって、一緒にいたバブローフ女史も殺害された。二人とも、後頭部から撃たれていたとのことである。プロの仕事と推察される。

マルケーロフ氏は、アンナ・ポリトフスカヤの後を受けて、チェチェンのロシア軍の行動を批判していた。ナスタシア・バブローフ女史は、暗殺されたアンナの後を受けて、ノーヴァヤ・ガセーダ紙の契約記者として活躍していた。

国家によって屈辱を加えられたり、殺害されたりするような事件を弁護するのが、スタニスラフ弁護士だった。彼はまたアンナ・ポリトコフスカヤの記事の執筆にまつわる訴訟事件でも、代理人になっていた。

アンナとリトビネンコの暗殺の後、メドベージェフ体制になっても、ロシアの言論の弾圧は続いている。彼らの体制に不都合な意見を、国家権力が容認しない。今回の、マルケーロフ氏とバブローフ氏の暗殺も、ロシア政府が強くかかわった形跡がありありである。

それにしても日本のマスコミは、オバマ一色である。どうしてこうした、人権や言論にかかわることの報道を差し控えているのであろう。

チェチェンニュース購読ください。 http://chechennews.org/index.htm

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噴出する中国の矛盾

2008-03-15 | シリア

中国は大きな矛盾を3点抱えている。ひとつは、共産党による一党独裁の堅持である。それによる民主化、あるいは国民の声を聞く体制・システムを持たないことである。そして、共産主義を貫くと言いながら、経済効率一辺倒の資本主義体制の無貞節な移行である。最後の一つが民族問題である。

現在の中国は、本来の漢民族を中心とする人たちの支配する中原(中央部)だけでなく、チベット地区、新疆ウイグル地区やモンゴル地区、それにほとんど同化しまった満州地区を周辺に取り込んでしまっている。

Fire_amid_tibet_protests_080314この中でも、ウイグル地域の民族とチベット民族は明らかに中華人民共和国とは歴史も民族も異なる。長年独立運動がくすぶっているところである。とりわけチベット地域は、毛沢東がダライ・ラマの印章を偽造してまで併合した経緯がある。

後年中国自身が、印章の偽造は解放のため必要だったと居直りの発言までしている。チベット自治区とは名ばかりで、最近はラサまで鉄道を引いて、中央政府の力を誇示しようとしている。

ウイグル自治区もそうであったが、街の中央は漢族が住み周辺に少数民族がみすぼらしい掘立小屋を並べるのが、こうした辺境の併合の通例である。中央の権力と財力で経済を握り、支配する。ウイグル地域などは資源まで収奪する。

10%前後の経済成長を持続することや上海や北京などのとてつもない富裕層の出現などは、上記の矛盾する3点をFire_amid_tibet_protests_08031402 貫くことで出現できたことである。今の中国には、民族問題を解決する視点はない。

今回起きたチベット地区の暴動も、アメリカから国家元首待遇の勲章を授与されたノーベル平和賞受賞者ダライ・ラマを非難し、武力的な鎮圧を繰り返すこことしかできない。この間も、着々と民族同化の現実は進められている。

チベット民族にとって、独立は悲願である。中国やロシアやスペインが、コソボの独立を認めないのは、チェチェンやチベットやバスクを国内に抱えるからであって、真に彼ら民族のことを考えているのではない。

今回のチベットの、穏健な僧侶たちの暴動が、組織だった運動になる見込みは薄いものの、武力制圧はさらなる矛盾を抱えることになる。とりあえずオリンピックまで全力で突っ走る中国は、その後にこれらの矛盾を吐き出すことになるものと思われる。

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アンナが暗殺されて1年経ったが

2007-10-08 | シリア

ロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリとフスカヤが暗殺されて1年が経った。アンナは、一年前の昨日、自宅のエレーベーAnna_politkovskaya_was_found_dead_oタ前で暗殺された。翌日が、プーチン大統領の誕生日である。誕生を祝ってもらう為政者は、独裁者と古今東西相場は決まっている。今年8月に、アンナを殺害したグループが10人ほど逮捕されたが、裏Anna_politkovskaya_assassinata_la_2付けが取れずに結局は全員が釈放され、捜査当局の担当者が解雇されてしまった。

彼女の暗殺の実態はいまだ解決されていない。その後に、ロンドンで同じようにプーチン政権を批判していた元連邦保安局職員リトビネンコが惨殺されたが、イギリスの犯人提供要請に対しロシアはこれを拒んでいる。

アンナは、チェチェンの弾圧に、現地に何度も取材を繰り返し、プーチン大統領の残虐な弾圧を訴 えていた。彼女の死後書簡を集めた、著書『ロシアン・ダイアリー―暗殺された女性記者の取材手帳』(NHK出版)は、チェチェンが単なる内紛やテロでないことを物語っている。

プーチンは、政権の末期にいるが、次期政権まで影響力を残していたいようである。メドベーチェフやイワノフを出し抜いて、無Putin_joins_new_actors_on_the_middl名のズブロフを首相に据え置いた。自らが、首相に収まるらしいとする報道もある。この国に、民主化は当分訪れそうにない。

ひたすらプーチンのカリスマ性が称えられ、彼の権限が増大し、周辺の批判勢力がことごとく潰されてゆく。モスクワの報道も、プーチンの動向の報道は個人崇拝に近い存在をうかがわせる。

ミャンマーでは9月27日に、デモを取材していた日本人ジャーナリストの長井健司さんが、治安部隊に至近距離から撃たれて殺害された。どうも狙い撃ちされたらしい。その時のビデオカメラは戻ってきていない。カメラを持った外国人が、軍事政府にとって目障りな存在である。権力は、不都合な真実を暴力的に隠ぺいする。

その効果は、絶大なものがある。プーチンにとって、武力弾圧、言論封鎖、テロ行為は止められない。

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そりゃ言論の自由がないだろ

2006-10-11 | シリア

チェチェン報道などで知られるロシアのジャーナリスト、アンナ・The_murder_of_anna_politkovskaya_made_th ポリトコフスカヤの葬儀が、モスクワの協会でしめやかに行われました。北朝鮮の核問題のさ中、NYタイムズはトップ記事で報道しています。日本の報道機関が無関心なのは驚かされます。

”彼女は希望の光でしたが。今は何もない””彼女は国家に殺されたのだ”と参列者は口にします。

プーチンが大統領に就任後、13名のジャーナリストが不信な死を遂げています。それらA_tribute_to_ms_politkovskaya_that_was_l のすべてが未解決です。ジャーナリスト防衛機構によると、ロシアはイラクやアフガニスタン同様極めて危険な地域になっているとされています。

チェチェン人の独立運動がテロなら、彼女が殺害されたのはなぜテロではないのだろうか?ソビエトに統合され、今又ロシアから他の少数民族同様に、独立が勝ち取れないチェチェンにとって、石油などが産出されるばかりでなく、西側への輸送の要衝になっていることが不幸であったのだろう。

いつの時代も、強者は弱者を踏み台にする。強者は正義すら自らのものにする。

彼女の葬儀に1000名を越す人が集まったと報道されています。せめてもの慰めでしょうか。彼女の日本訳のあるもう1つの本です。

プーチニズム 報道されないロシアの現実プーチニズム 報道されないロシアの現実
価格:¥ 2,205(税込)
発売日:2005-06-25

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そりゃテロだろ

2006-10-08 | シリア

01_4ロシア領の内戦、チェチェン戦争を追ってきたロシア人のジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤが、10月7日モスクワの自宅のエレベータの前で銃殺されました。その日はプーチンロシア大統領の誕生日です。彼にとっては最もうれしいプレゼントになりました。これは明らかなテロである。

今年6月17日にチェチェン独立派のサドェラーエフ大統領がロシア部隊によって殺害された。昨年は3月にマスハドフが暗殺されて、チェチェンの独立はかなり厳しいものがある。ご他聞にもれず、ここにも石油や天然ガスが豊富に産出され、黒海に輸送するための利権をロシアがどうしても手放したくないための弾圧である。チェチェンの独立運動は、こうした資源とは関係なく、旧ソ連の併合された時代からの長い歴史を持つ、民族独立運動である。中央の国家が少数民族の権利や自由や自治権を蹂躙する巨大国家への抵抗である。チェチェン人の戦いがテロであって、国家権力の殺害がテロでない論理はない。

アンナ・ポリトコフスカヤはチェチェンの独立を間接的に支援してはいましたが、チェチェンで現実に起きていることを報02_1 道していたに過ぎません。彼女がベスランの小学校が占拠されたときに仲介のために空路向かいました。その機内で毒を盛られ、九死に一生を得た話はチェチェンの全てを物語っています。報道規制は徹底されていますが、ジャーナリストとしての戦いだったのです。

彼女を私が知ったのは、下記の「チェチェン やめられない戦争」です。チェチェンの歴史と生々しい戦争を内側から報告しています。本書は書かれてから早い記事は数年、発行されたから2年経っていますが、現状は更にひどいものになっています。アメリカの9・11同時多発テロの以降、更に厳しいものになっています。

それにしても、チェチェンで起きていることに関して日本の報道は無関心であるのだろうか。チェチェンニュースなど参照ください。彼女の死は悲しい、寂しいニュースです。

http://chechennews.org/chn/index.htm

チェチェン やめられない戦争

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価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2004-08-25

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羅臼港

春誓い羅臼港