とかく日本人は、移り気である。視点が短期的である。島国の思考方法には世界が見えていないし、時の流れの中でしか物事を考えようとしていない。拙書などで(下記参照)、地球上で飽食と飢餓が混在するばかりでなく、家畜が飽食状態にあることを何度も訴えている。が、多くの人は無頓着に見えてならない。
ここにきて、環境対策を追い風に、エタノール生産を穀物でやろうとする動きが急である。私自身も、やや言葉足らずながらオーマイニュース記事を書いてみた。ttp://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003941参照ください。
バイオ燃料とはまったく聞こえがいいが、アメリカの場合はコーン(トウモロコシ)から抽出される。つまり、食べ物からバイオ燃料は生産されるのである。人と人とが経済力の差から、貧富を生み出し飢餓と飽食を作り出している。さらに、家畜が貧困国家から穀物を奪い取る構図が出来上がっている。
そこに、バイオ燃料生産のため、車が割った入った形である。ある報告によるよると、飽食人口が飢餓人口を追い越したそうである。その一方で、8億5千万人が恒常的な飢餓状態であるといわれている。さらに、毎日2万4000人死亡している。(WorldWatchi)ほとんどが子供である。バイオ燃料生産はそれに拍車をかけることになるのである。
エタノール燃料による乗用車一台で、人一人の穀物を消費することになると試算されている。アメリカ農業貿易政策研究所によると、中西部のコーンベルト地帯を中心にエタノール蒸留所が建設され、すでに100カ所以上が稼動しており、年間50億ガロン(1ガロン=約3.8リットル)が生産されている。ちなみに、10年前までは10億ガロン程度であり、20億ガロンを越えたのはわずか3年前である。
車に食べさせる穀物の生産は、遺伝子組み換えであろうが化学肥料や農薬をどれほど振りかけようがお構いなしになるだろう。環境破壊ばかりでなく、やがてこのことがスタンダードになって、人にも家畜にもという事態のもならないと誰が断定できるであろう。
中西部のいくつかの州では、5年先には海外に輸出する穀物がなくなると、報告している。穀物価格の高騰と、品薄は日本など先進国の畜産形態を大きく変えることになるだろう。肥満や、高生産から開放される家畜にとっては朗報かもしれないが・・・
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