そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

お米がないのではないコメ業者が競って買い漁った結果で茶番劇である

2024-08-31 | 農業と食

深刻なコメ不足との噂である。都会などのスーパーマーケットの棚からジワジワとコメが消えてしまったとのことである。コメの収穫は落ちてはいるが消費も落ちている。国の備蓄米もないわけでもなく、予期できない回避もできない外的な要因があったわけでもない。
なのにとりわけ都会のスーパーなどから消えたのである。しかもこれからコメは収穫に入る。コメ不足が仮にあっても程なく解決される。パフォーマンスで生きているような吉村大坂知事は、政府に備蓄米を放出するように促している。
農水大臣が官僚のペパーを訥々と読むさまは頼りないが、内容はその通りである。備蓄米は十分あるが、備蓄米を収穫時のこんな時期出すと市場は混乱し、コメインフレになるだろう。農水大臣は頼りない発言であるが、ペーパーの内容は間違っていない。
何故どうしてコメ不足が起きているのか。南海トラフ地震の危機を政府が煽った、日照不足で今年は不作になる、ウクライナ戦争で小麦の値段が上がりコメも上がる、コメ農家の高齢化が進んでいる等々、もっともらしいことが言われているが、どうもどれも的外れとは言えないまでも原因とまでは思えない。
有難いことに、消費者はおコメの食べることを止めるか減らすかして、他の食べものに変えるかしてしのいで。パニックにもなっていない。食べ物はなくはないからである。
原因を特定することは推測の域を出ないが、コメを買い漁って転売する業者の存在を声高に指摘するコメ農家がいる。どうもこの発言にはリアル感がある。上記のような複合的な不安感が社会に広がることが背景にあるだろうが、堅調な売れ行きのアルファー米などの加工御者や、たんまり在庫をかかえる通常の米穀店やコンビニチェーン店も少なくないという。
こうしたことを受けて、在庫を減らして回転を速めるスーパーが、営利至上のコメ加工業者の買い占めなどのターゲットとなって、被害にあったというのが現状のように思える。
米騒動と言うまでもないが、令和の米騒動は茶番劇である。消費者がコメや食料のことを考える機会になってくれるならそれも良いだろう。
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「日本農業は過保護だ」というデマゴギーを掲げて、食料の海外依存率を高めてきた

2024-08-25 | 農業と食
上の表は、日本の食料危機を訴える東大の鈴木宣弘先生の示されたものである。この半世紀の日本予算の推移である。国の総予算は14.4倍に膨らんでいるのに農水予算は僅か2.3倍にしかなっていない。国家予算に占める割合は、11.54%から1.83%と激減している。つまり農水予算は、この半世紀で七分の一に削られているのである。
この事実を誤魔化すために、「日本の農業は過保護だ!」という、デタラメキャンペーンである。事実は全く逆である。
その一方で、安全保障をうたい文句に防衛予算は驚異的に増えている。農水予算の半分だったものが、今や10兆円規模で18倍にまで膨らんでいる。日本の安全保障は食料を放棄し、軍事に特化したものである。ちなみに再生可能エネルギー(太陽光発電)からの電力買いとりで事業者に払われている金額だけで4.2兆円で、それだけで農水予算の2倍である。
通常の国家は軍事・食料・エネルギーが国家立の三本柱とされているが、日本はヒトの生命を支える最も重要な食料を外部に依存しているのである。
この表からも一つ教育予算の減額が目につく。農水予算のほぼ半量で減らしてきているの教育費(文科省予算)である。
農水予算と教育費には大きな共通点がある。農家を支援するためにはと、道路が立派になり意味不明の公民館や交流施設がどんどん農村に作られる。教育に予算を使うためには、ドンドン立派な校舎や体育館が建てられる。つまり、農水予算は農家に届く前に土建屋にすっかり吸い上げられるのである。教育費も同じである。教員や教育体制より土建屋に優先して予算が使われるのである。本来の予算の使い方というより、政治的に予算が使われると言って良い。土建国家日本は教育と食料を食い物にしているのである。
このままでは食料医給率はもっともっと下がる。
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ニュージーランドの学び持続可能な農業を

2024-06-09 | 農業と食
「持続可能な酪農をリードするニュージーランド」荒木和秋編著(筑波書房:2,200円+税)は、コロナのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻以後出版された、日本の酪農のみならず農業全般或いはあらゆる産業にとっても警告と指針になる良書である。
私がニュージーランド(以後NZ)酪農を、直接学習に行ったほぼ20年前から大きく変わっている。NZ酪農産業は主に輸出され、全世界に流通する酪農製品の3割を占めている。輸出金額は2兆円にもなって、450万人の小国にしては相当な金額といえる。
20年前に比して乳牛の頭数はほぼ倍になり、農家戸数と農地は微増しかしていない。乳牛の遺伝的改良と、放牧一辺倒の草だけから穀物の投入など、行われる牛群も出ている。
然し牧草が大きく生乳生産の50~99%を担っている。日本では、大型酪農家になると、30%程度と思われる。
生乳世産量がっく段位上がったNZでは、河川と海洋の汚染などが起きて、「水条約」という具体的な規制が酪農業者と国と地方自治体などで結ばれるようになっている。NZ酪農生産に係わる温室効果ガスの排出量が世界最低となっている。
NZでは親子間の農場の無償継承は禁止されている。そのために、非農業者でも酪農に算入できるが、新規参入者はそれなりに厳しいステップの訓練が求められている。
健全な土地、健全な乳牛そして健全な乳製品というステップを蔑ろにした農業政策が、日本では進められてきた。NZでは酪農家には補助金は存在しないが、市場開拓など政治的支援は巨大な力が発揮される。
外部資源(輸入穀物)と外部資本(補助金)に頼らせた酪農が、温暖化や円安や食料の輸入規制などの世界動向が起きている現在、大きな打撃を被っているのである。NZの酪農に大いに学び、持続可能な農業を模索するべきである。
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農業など一次産業を軽んじてきたこの国の政策の結果の消滅自治体

2024-04-25 | 農業と食
有識者グループ「人口戦略会議」は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに20代から30代の女性の数、「若年女性人口」の減少率を市区町村ごとに分析し、人口動向の指標とした結果を公表した。
2050年までの30年間で、若年女性人口が半数以下になる自治体は全体の4割にあたる744あり、これらの自治体は、人口が急減し、最終的に消滅する可能性があるとしている。出産年齢の女性の動向という、シンプルな調査であるが実態を反映している。
東北地方が多く、次いで多い北海道では、2050年までに117の自治体で20代から30代の女性の数が半減し、最終的には消滅する可能性があるとのことである。
トップは歌志内市の86.7%、次いで木古内町と松前町で82.8%、そして上砂川町で82.1%だった。特にかつての炭鉱町歌志内市は、4万6千人が現在2600人である。10年後には1000人を切る予測もある。極めて現実的な消滅予測である。
北海道は山間部の石炭や金や硫黄などの鉱山産業が振興されたが今は見るかげもない。平地では森林を伐採、開発し農地に変えて多くの農業が行われたが、度重なる農業政策の失敗で、食料自給率を下げられかつての姿は見られない。そして海辺で豊富な資源を背景に栄えた漁業は、200カイリ問題などで衰退し、更に温暖化の直撃を受けている。
一次産業で北海道は栄えたといえるが、資源を掘り尽くした鉱山産業はともかくとして、漁業は漁業者の二・三次産業化への取り組みなど巧みに生き抜いているが、農業に関しては国は食料の海外依存を進め、農業には工業化を促す形で疲弊してきた。
今日の日本各地での消滅社会は、1961年の農業基本法そして1999年の食料・農業・農村基本法の失政が最も大きく関わっているといえる。
農業を都会の企業従事者と収入をかわらにようにと、農業には規模拡大を促し、食料には付加価値を与えるなどという、およそ農業のあり方、食料生産の基本を怠っての政策であった。
結果、世界で一番農薬を使用する形態となり、農業者は世界で最も高齢の集団になり、自給率を先進国で一番下げる結果になってしまっている。
そしてもう一つが少子化対策である。少子高齢化は突如発生したものではない。少なくとも50年前には十分予測できたことである。年金問題も十分予測できたことでは類似するが、行政も政治も目先のことに功績を求め、全く取り組んでこなかった。
ようやく腰をげ高と思えば、やることは金を配ることばかりである。バブル時代の華やかな政策を掲げる時ではない。金ではなく人を中心とし、21世紀の産業のありかたを整え、今となっては止めようもない少子化を前提とした政策に転換するべきなのである。
今回の分析では、2050年までの若年女性人口の減少率が20%未満にとどまっている、65の自治体を「自立持続可能性自治体」と名付け「100年後も若年女性が5割近く残っており、持続可能性が高いと考えられる」としています。
今回新しく試算されたのが「ブラックホール型自治体」であるが、出生率が低くほかの地域からの人口流入に依存している25の自治体を、あらゆるものを吸い込むブラックホールになぞらえて「ブラックホール型自治体」と名付けている。
ブラックホール型は、2050年までの30年間に20代から30代の女性の減少率が、人口の移動が一定程度続く場合には半数未満にとどまる。該当する25の自治体のうち、東京の特別区が16を占めている。都会型に加えて、特殊な地域産業を抱える自治体と思える。分析の意味が良く分からないが、出生率の問題はなおざりにされたままといえる。
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農業政策は明らかに失敗し、国民の食への無関心の拡大こそ問題でその反省もないまま更に突き進む農業基本法改正案は南尾解決にもならない

2024-04-19 | 農業と食
食料自給率の低下は、農業政策の失敗と消費者の食への無関心である。上図はコンビニエンスストアーの経費の内容であるが、食料廃棄が20%を超える負担となっているのである。食べものに対する消費者意識が極めて弱いことが見て取れる。そこには食べものを見た目に加えて、賞味期限が大きく関わっているのである。
こうした食に対する低い国民意識に、世界では農業が小規模家族型へ、そして有機農業へと向かっていることを知らせるべきである。そしてそれが紛争が絶えなく、世界が人口増加へと向かう、農業の在り方であることも理解捨て貰うことを念頭に、農業の在り方を問うべきである。
衆院農林水産委員会は昨日(18日)、15年前の食料・農業・農村基本法改正案を、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決した。一部維新の修正案を反映して賛成に取り込んだ。立憲民主党と共産党と国民民主党の農業所得の確保や家族型農業などの取り組みなどの修正案は否決した。
改正案は19日の衆院本会議で可決され、参院に送付される見通しである。
これまでの基本法が、国内生産を減少させ高齢化を招いたことを全く検証していない。スマート農業や効率化や高生産を目指しているが、そうしたことが今日の状況を産んでいるのである。
これは裏金問題の検証をしないまま、政治資金規正法を見直すのとする自民党の姿勢となんら変わらない。
そして大多数が消費者のであることを踏まえれば、上述のように国民の食に対する姿勢などの教育も重要なのである。
数にのピンクの部分は破棄される食料である。外食や小売業で多いのは、見た目の問題が大きいのであろうが、廃棄食料を減らすことは牛のゲップ以上のメタンガスの廃棄にもつながる。
改正案には、食料自給や持続農業を謳ってはいるのは評価しても良いだろうが、金出すばかりの政策に終わるであろう。農村の疲弊は本法案改正案では止めることなどできはしない。

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この半世紀農業予算が削られっぱなしで、食料の実質的、現実的な自給率は10%を切っている

2024-04-17 | 農業と食
上の表は、鈴木宣弘東大教授が本当の食料自給率を表したものである。公表されているカロリーベースの自給率は37.6%(下段の青)、これにほぼ100%輸入されている肥料が仮に半減した場合には更に下がり22.0%(下段の薄緑)、更に自民党が着々と進める種子の自由化、大企業依存が進んでしまって10%になった場合には僅か9.2%(下段の黄色)になるというのである。
農作物を巡るも環境を考慮すれば、日本の食糧事情がいかに悲惨な状況であるかがわかる。
これに加えて、この円安の結果も深刻である。特に大型機械は異常に高騰している。畜産を支える穀物価格もウクライナ戦争後世界的に高止まりの上に、円安で三割も高くなっている。
もっと大きな担い手の高齢化という現実がこれに加わる。農業従事者の平均年齢が、68.7歳という衝撃的な数字は計算外である。
「日本農業は過保護だ」という、何処から出たのか事実を踏まえないデマが巷間繰り返される。
下の表は立憲民主党の公開したものである。ただでさえ国家予算に占める農業予算は10%にも満たないのに、半世紀の間置いてきぼりであったことが分かる。この50年で国家予算は14.4倍になったのに農水予算は2.3倍で実質6分の1となり、15%ほどのになったことが判る。別の言い方をすれば、農水予算は85%削られたともいえる。
そして打ち出される政策は周辺企業が潤うばかりの、大型化奨励のものばかりである。労働力は都会に吸い上げられ、農産物価格は抑えられ、海外依存を高め、農村は体力を失い工業化してきたのである。
こうした半世紀にもわたる農業政策の失態を検証しないで、食料自給率など高まることはない。なのにいまだに、効率化やIT化などの取り組もうとし、農業・農村は周辺産業の収奪の対象に晒されたままである。

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循環や環境を無視した大型化への農業政策の失態を、さらに繰り返そうとする

2024-04-16 | 農業と食

日本の農業従事者の平均年齢が、68.7歳という衝撃的な数字は、このままでは後10年もすれば農村・農業は崩壊することを意味している。このことは、1961年の「農業基本法」と1999年の「食料・農業・農村基本法」は失敗だったことを如実に物語っているのである。その検証がなければ先はない。
実体二、三次産業の高度経済成長に伴走しようとし、一次産業の本質を見失ったからに他ならない。農民にコメを生産しなければ金を出すとか、土地生産性には限度があるのに、労働生産性当たりの生産額に奔走した結果、勤勉な農民から労働意欲を奪い、化学肥料や農薬に大きく依存し、環境への負荷を高める農業を助成する結果になった。一方で農村から労働力を奪って都会へと大きな流れを加速させた。
日本農業は生産性が低く、土地が狭く規模が零細であるという妄信から、規模拡大を奨励したのである。
その結果として、食料自給率は基本法を作る度に下がり続けたのである。経済という商工業の論理で、農業を叱咤激励してみたが、日本の補助金は硬直した制度で、農家の自由度が全くない。
東京大学の鈴木宣弘氏の指摘するように、農業を金(補助金)で指図する、農民は非効率であるという考え方から脱却するべきである。コメにしろ牛乳にしろ、生産過剰となれば廃棄や転作を奨励したり、牛を淘汰すれば金を出す。これでは農業の経営の転換を自在にできはしない。EU諸国のように生産スタイルには手を付けずに、国が余剰精査物を買い取って、途上国などに捌けばいいのである。
こんな単純なことに日本が取り組めないのは、補助金が農家に回っているようで実際には、周辺産業が潤うしシステムになって、周辺産業が潤い政治に直結しているからである。
更に国が推奨する大型農業は、生態系を無視し化学肥料や農薬、畜産では輸入穀物を大量に投与する、大型機械を大量に操り、時には遺伝子組み換え作物にまで取り組む。
こうした国の奨励する大型農業は、大量のCO2を排出し、大量のエネルギーを消費し、大気も地下水など環境悪化に貢献するシステムでもある。
日本の少子高齢化は均等には起きてはいない。高度成長期に労働者を大量に送り込んだ僻地、農村が先行して起きている。限界集落の多くはすでに消滅集落へとなっている。
流石に国もあわてて、25年前の基本法を”検証”する姿勢を見せているが、時遅しの感もなくはないが、改正案が秋には国家にだされる見込みである。見直し案には、底流に食料自給の考えや、環境問題に取り組む姿勢も希薄である一方、IT化やスマート農業や規模拡大や、経済効率の考えが底流にある。
軍事拡大への勢いと対比される消極的な農業政策では、地域の疲弊も食料自給も上がるとは決して思えない。
この記事は、4月16日の鈴木先生の農業新聞記事である
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真剣に食料の問題考えて頂きたい、もう猶予のないところに来ているのです

2024-01-28 | 農業と食

今、世界の食料情勢は、コロナ禍、戦争、気候変動、円安のクワトロ(4つの)・ショックに大きく影響を受け、危機的状況にあるとは、鈴木宣弘東大教授の言葉である。その中、農家は生産資材の高騰を価格に反映できないでいる。
人口が増えグローバル化が進行した現在、食料供給に安定した社会情勢と気候の安定が欠かせない。ところが、世界は一層戦禍を広げ、際限ない気候の変動悪化の中にある。止めどなく広がると言った方がいいだろう。戦火はガザに飛び火し、経済力のない善良な団体声高に叫んでみても、温暖化の進行は止まることはない。熱帯雨林は伐採され先住民族や野生生物は追いはらわれる。
日本が買いつけていた穀物は、圧倒的な中国の進出で、金出しても買えない時代に突入しつつある。
中国のトウモロコシ輸入量は2016年に246万4000㌧だったものが、2022年には1800万トンと7.3倍になっている。中国の大豆輸入量は年間1億トンにのぼり、大豆消費量の94%を輸入に頼る日本の年間輸入量は300万トン程度でしかない。市場では全く勝負にならない。大豆は英語でSoybean 即ち醤油の豆という意味である。本来東洋の人達の作物であるが、今はアメリカとブラジルが主生産地で、中国や日本が輸入しているのは皮肉なものである。
大雨が続いても干ばつになっても誰もが驚かないような時代になっている。人口減少の日本では考え難いことではあるが、世界は人口が爆発状態であるので、上記のクワトロショックとは無関係に、食料問題は予見確実のことである。
 
さらに日本では、高度成長を掲げて農村から大量の人々を、都会に送り込んで二次、三次産業を支えた。その結果が下の表である。農民人口の減少は、消費者から食料生産場所から遠ざけたことが、「金を出せば買える」と思う人が増えた遠因になっている。
農民人口の減少だけではなく、高齢者の比率が高く、先がないことを物語っている。これ等は全て農業政策の失態である。

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肉生産を家畜の生理にあった飼養管理に戻すことで正常化を図るべきで、人工肉などもっての外である

2023-10-16 | 農業と食

現在の肉の生産が極めて異常な状態である。異常なのは大半の肉を生産しているシステムの大型畜産農家である。農家というより最早、動物工場と言われる大型畜産は、大気に、地下水に、家畜に、国際経済に、そして何よりも人間への多く負荷をかけることが、ようやく広く知られるようになってきた。
現在消費されている多くに肉生産は、狭いところに置かれ、大量の遺伝子組み換えで肥培管理不明の穀物を大量に給与する施設で生産されたものである。
環境に極めて大きな負荷をかけ、フードマイレージも極めて高いものである。
こうした現状を嘆くことは当然である。そこで畜産の飼養形態を問うのではなく、登場してきたのが、人工肉あるいは人造肉と呼ばれるものである。
人工肉の一つが代替肉(食肉代替品:Meat analogue)と言われるものである。極めて衛生的に作るというのであるが、この代替肉は蛋白質を大豆に求めるのである。世界で生産される大豆の九割は畜産向けである。更に代替肉を支えるために、新たな大豆の生産をしなければならない。もうすでにそれは始まっていて、ブラジルの境最大の熱帯雨林は、経済の弱い国の犠牲になり始めている。代替肉は新たな環境破壊を産む結果になっている。
もう一つの人工肉は、培養肉(Cultured meat)である。これは一部のDNAを操作するのではなく、新たに筋肉を栄養供給によって作り出すものである。生態内では様々な異物などへの抵抗をする免疫などシステムがあるが、これには一切ない危険なものである。無菌的に作るというのは、細菌いないというだけであって、他の免疫機能はどのように働かく何もわかっていない。
試験管内で細胞を造成させるのであるが、極めて大がかかりな設備が必要になり、価格も数千倍と言われ極めて高価な”肉”になる。
エネルギー効率も極めて低く、そもそも成功するかもわかっていない。高価で危険な培養肉は、ラボの中での研究者レベルを脱することもない。
現在の集約的な、資源を消耗するような富める国の生産システムを否定し、家畜の福祉(アニマルウエルフェア)に配慮し、循環を重視した管理に変える方向への運動に切り替えるべきである。

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中国の海洋進出より怖い食料の世界進出、それは追う始まっているが誰も報じない

2023-10-09 | 農業と食
日本は中国は怖いいぞ怖いぞと言い続ける。西南諸島に海洋進出する、基地をつくる。漁船が追い払われる。かつての盟友ベトナムとも領土の諍いが起きている。
尖閣列島に戦艦が来た。敵軍上陸作戦を自衛隊がやる、アメリカがやる、台湾もやっている。台湾有事が起きるぞ、中国が攻めてくるぞ、と勇ましい。
確かに中国は不遜の輩ではある。経済成長を国家資本主義で成し遂げたといえる。しかしこれらの喧伝は、すべて日本政府の発する、国家に忠実な日本御マスコミはこれを垂れ流す。軍事予算の拡大への布石である。軍事予算増高を、「仕方がない」という風潮をつくるためのものである。

しかしこれらは一部始まっているのもあるが、思い込みの部分も少なくはない。
現実に中国が進出しているのが食料である。中国は昨年食料自給を上げる政策を発表した。食料自給率が80%を切ったからである。先ずは肥料などを輸出を制限したが、主体はコメの生産地域(中国の平原と呼ばれる地域であるが)を有機農業に切り替えるというものである。日本農政を見るとその落差には、図り切れないものがある。しかも中国は国家資本主義体制である。個人の人権や所有権などお構いなしに政策を、ドンドン進める。大食い競争や、食を軽んじる番組の放送なども禁止された。資本主義国家の政権が羨むものがある。
中国の食料の世界戦略はもうすでに始まっている。絵空事ではない。上図は、東大の鈴木宣弘先生の資料から失敬した、クローズアップ現代+のものである。
EU食への有機農産物の輸出額である。中国は2位以下の南米諸国の倍する量を輸出している。因みに53位の日本の200倍超の量である。絶句の極みである。
下の表は、以前にも紹介したものであるが、世界の穀物備蓄量に占める中国の比率である。トウモロコシは68%、コメは61%、小麦は51%を中国は備蓄している。
軍事侵略を受ければ、まいりましたと言えば生き延びられるであるが、食料は攻め込んでもいないのに、必要量が70%を切れば餓死者が続出する。
戦争は始まってもいないが、食料争奪戦はとっくの昔に火ぶたは切られている。
いつまでもアメリカのおこぼれ、しかも遺伝子組み換え作物や、農薬やポストハーベストが、たっぷりかけられた食料を買わされて、ご満悦している時代ではないのである。
しかも、畜産分野では大量の穀物を与え、カロリー価を、玉子で8分の1,牛乳で15分の1,豚肉で22分の1,牛肉では30分の1以上に落とすのである。これは食料自給悪化に貢献し、家畜を不健康にして消耗させる。
たった37%、それも現実には10%を切っていると思われる、日本の食料は風前の灯火である。

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やがて日本から食料が消える

2023-10-02 | 農業と食

一年前に、<ウクライナのような事は世界中どこでも起きる>と、本ブログで書いた。 これは食料問題の入口の意味なのであったが、多くの日本人は右翼の口車に乗せられ、ロシアに見立てた中国が攻めてくると騒ぎ立てている。アメリカから底知れない兵器を買うためのガサネタの流布である。
世界中のどこにでも起きるのは、食料問題である。一年前より更に事態は深刻になっている。日本の農業政策は、お金で農家の目先をごまかしながら今を繕っているに過ぎない。
日本は、食料の本質、農業の本来の在り方を無視したままで農政を進めてきた。鈴木宣弘氏による、下の表で最も深刻なのがお米である。コメを生産する人たちの多くは70才を越えている。いくら制度をいじったところで、生産者がいないし土地は放棄されたままである。限界集落の多くは消滅集落となっていくら金を出しても、米など作る人がいなくなるのである。
もっとも激変するのが鶏卵である。自給率が2%とという数字を鈴木先生が出している。卵が高いの安いのという以前にものが無くなる。ケーキは1000円以上になるかもしれない。
因みにこの表は、ウクライナ戦争後に示されたものではありません。鈴木先生は今日本で最も忙しい先生で、1昨年出版の「農業消滅}の中の一例に過ぎない。
農家サイドから見るとこのような状況でも有機農家や、放牧養鶏などは電気や水道代は高騰するが、農業としてはほとんど影響を受けていない。食料を農家の換金作物としてだけ見る、その後幾度かの農業基本法は改定されても、日本農政の本質は何ら変わるものではない。

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木材の自由化を金だけで考えた愚かな日本、食料も同じ道を辿ることになる

2023-07-30 | 農業と食

私は大学を出ると、ある地方小都市の農協に就職した。乳牛と和牛の診療と人工授精と豚や鶏などの管理をしろいうのである。1960年半ばのことである。農協には6000戸の組合員がいた。17農協が合併した直後である。このころは多くが森林組合と何かと重ねることが多く、組員も8割は重なっていたと思われる。
異なるのは、森林組合の森林は数人で8割以上の林野を所有していたことである。つまり農地解放の対象にならなかった林野は、多くは大地主が所有していた。役員は彼らがたらい回して就任していた。
そして1964年(昭和39年)に木材を自由化し関税を撤廃した 。木材の自由化は、圧倒的自民党支持者の大地主の存在がある。そしてこの木材の自給化は、半世紀経って日本に多くの障害を残した。スギ花粉症の増加と世界各地の森林伐採を売んG氏。環境悪化を招いている。
更に日本の林野更には市街地などで、”楢枯れ”という現象を起こし深刻な状況でもあるという。かつての森林所有者は、楢や柏は80年程度で、つまり二世代後に伐採されることを前提に植樹していたが、今はそれもできない。老齢化した楢にはカシナガ(カシノナガキクイムシ)という虫が付き枯らしていく、楢枯れが起きているというのである。
二千年間守ってきた植林木の管理を、たった80年で放棄した結果であると関係者は述べている。楢は切り株の横から芽が出る、つまり萌芽更新される便利な木なのである。
燃料に薪や炭を使っていた木材文化、薪炭の放棄に温暖化が追い打ちをかけている。薪炭の放棄は温暖化に直接つながってもいる。
木材の自由化は、安価な外材を輸入することで、消費者は恩恵を受けていたと主張するであろうが、海外の熱帯雨林やツンドラなど寒冷地の針葉樹の伐採による弊害など考えもしない。同様に国内にあっては、今回の楢枯れや花粉症の増加や、山崩れや洪水などの被害を予測だにしていない。
TPPによって、食料の関税が現在でも世界で最も低い日本が、食料無関税にしたら何が起きるであろうか。食べ物だけの問題ではないのである。農産物の自由化はへき地の問題や洪水や熊などの予測外の問題にまで及ぶ。その時に権力者は想定外を口にする。
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世界の大豆市場を混乱させたり、遺伝子組み換えを凌駕したりの人工肉に反対する

2023-06-09 | 農業と食

肉生産が環境破壊して、人にとって不健康なものになる、だから人工肉にしようといういう動きがある。
遺伝子組み換えもしないし、大量の土地も使わなないし、CO2の排泄もないし、食料危機を救うし、家畜を殺すこともないし、衛生的で安全と、人工肉が喧伝される。
果たしてそうであろうか?
現在人工肉には大きく分けて次の二種類がある。一つは代替肉(食肉代替品:Meat analogue)といわれる、主に大豆などを使って”肉らしく”見せかけて、調理で肉にように食べる。
これが、現在でも世界で生産される大豆の、九割が牛と豚と鶏に給与されている。肉や卵や乳は高蛋白であるため、高蛋白が必至である。時には動物蛋白を給餌したことが、BSE:狂牛病発症の原因にもなった。
そこの代替肉の参入である。またどこかの熱帯雨林が伐採されることになる。

もう一つが培養肉(Cultured meat)といわれる、動物から組織または細胞を取り出して培養して作られる肉がある。試験管培養と言って良い。
筋肉を細胞からラボで培養するのであるが、遺伝子組み換えはごくごく一部の遺伝子操作であるが、これは一つの細胞全てを、牛肉や豚肉や鶏肉や魚肉など自在に培養生産するというのである。味も種類も好みに合わせて作れる。
環境を汚さない、動物倫理に触れない、衛生的で農場を必要しないということも、空々しい。培養にかかるエネルギーの効率のロスもバカにならない。

そもそも人工肉に飛びついているのが企業である。もうすでに様々な製品を市場に送り込んでいる。企業が食料に参入して成功したためしがない。それらの企業はすべてSDGsを掲げている。どのことを言っているのかわからないが、実態や背景を塗りつぶして考えているのであろう。
企業は収益が上がれば成功というだろうが、現実には適当な時期を見計らって撤退するのがオチである。
これら人工肉の登場は、現在の肉生産の環境破壊性が拾ことに起因している。健全な肉牛生産に戻せばそれらのすべてが解決できる。
人工肉の生産に反対する。
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畜産物が健全であるためには、安価な穀物の給与を止めさせるべきである

2023-06-08 | 農業と食

肉食は悪であり環境破壊をするという人たちがいる。特に牛肉を食べると地球温暖化に貢献し、極めて不健康な食料を生産することになるというのである。多くの牛肉は彼らの指摘通りである。安価な穀物を大量に与えて、高価な牛肉や卵を生産するのである。牛たちにとって、”甘い”穀物は嗜好性が高く、死ぬことを恐れずどんどん食べてしまう。畜産農家は、発病寸止めで穀物給与の制限の限界を見極めるのが技術である。
大学時代の恩師は、大型の近代経営の畜産を「まるで発病試験をしているようだ」と述べられたが、全くその通りである。こうした工業型畜産で、出来上がった牛肉は、オメガ不飽和脂肪酸6が異常に高くなる。正常値の数倍になる。オメガ3とオメガ6の比率が、自然界では1:1であるが、1:10~16程度まで上がる。オメガ6は血管を硬直させる。動脈硬化や多くの心臓病や脳梗塞などの、直接的な原因にもなる。
ところが困ったことには、こ。うして生産された牛肉は美味しい。サシが入った赤身の肉は市場では極めて効果である。
日本はこうした赤身のサシが入った牛肉を基準に、Aランクにと位置付ける。不健康になる赤身の牛肉を基準にした評価を見直すように、草(粗飼料)中心に健康な牛の牛肉の評価を見直そうとする運動がようやく始まった。
現行のサシが入った赤身を高評価すシステムは、健全な牛肉を駆逐することにもなる。
穀物生産の場は最悪である。遺伝子組み換えされたトウモロコシ種に、化学肥料に農薬がたっぷりかけられ、生態系を無視し開発された農場で、生産されるのである。
牛肉は世界を潰すと、批判する人の声は正しいが、まともな牛肉生産に戻せばいいのである。穀物メジャーを喜ばすような、大量穀物投与を止めれば済むことである。
牛肉が世界を壊すと、一切の動物食を止めようという方々がいる。ヴィーガンという人たちである。狩りをしていたホモ・サピエンスには犬歯が残っているように、肉食は必要である。忌み嫌うことは逆に人類の否定にもつながる。
肉も牛乳も玉子も、工業型生産方式を止めれば、彼らも納得してくれるであろう。
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「振り返れば未来」と言った山下惣一の予言した時が始まる

2023-05-24 | 農業と食

昨年7月亡くなられた農民作家山下惣一さんの最終本であるが、山下さん自身の著作ではなく。彼をよく知る編集者による発言や著作を集めたものである。
「振り返れば未来」に、サブタイトルのように付け加えられるように。「明日を切り拓くヒントは 未来ではなく 人々が歩いてきた跡、つまり人類の歴史の中にある。」と書かれている。
佐賀県唐津の百姓(山下さんは農民という言葉を嫌い百姓という言葉をこのんでつかっていた)で、中学卒業してからの70年間、この国の農政を百姓として見てきた。日本という国が食を捨てるそうした真っ直中で、農政を厳しく非難してきた。山下さんが農業を引き継いだ10代に国の事業で植えたミカンを、数年後切るという理不尽な政策転換を射強い怒りを持って受けとめた。
一昨年食料自給率が80%を切ったと、中国は大急ぎで農業政策を見直している。しかも、生産量ではなく土壌の有機的保全を打ち出している。
日本農政は、生産過剰になると、生産を抑制した農家に金を出す。足らなくなれば、生産基盤に金を出すというような、農家の持つ農業の抱える勤勉さや生産の循環などお構いなしの、金による生産調整を繰り返し、農村も農業も農民の心さえ疲弊させてゆく。
実体を無視した食料自給率でさえ、37%まで落ち込んでいる。鈴木宣弘東大教授は実質10%程度と危機感を訴えている。山下惣一さんは、懸命の一百姓として抗ってきた。
唯一留飲を下げたのが、国連の家族農業の支援に拍手した。俺が長年言い続けてきたことを国連は打ち出したというのである。今や世界は家族型の小農と有機農業にシフトを切っている。
大量投資の大量生産は、循環を無視した金計算で食料を計算した結果である。今だけ、金だけ、自分だけ政策の結果が自給率37%の日本である。山下さんは十分日本の農業政策を毒づいい兵士生産基盤をなくしてきた。てこの世を去った。為政者はいまだに、生産しなければ金を出す減反政策を続けている。そのぶり返しを繰り返し、農村も農業も農民の心も疲弊し、食料生産基盤はなくなってきた。本書はその本質を長年の経験をもとに書かれた本である。
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羅臼港

春誓い羅臼港