今年夏の甲子園である第106回全国高校野球選手権大会は、京都国際高校がが2-1で関東第一を破り、春夏を通じて初優勝を果たした。
私の古里京都の高校の優勝は68年ぶりであるそうだ。9回終わって0-0の好ゲームで、我々世代には馴染の薄いタイブレークを制しての勝利である。地元なのにあまり聞いたことがない名前だと思って調べたら、戦後間もなく開校した韓国系民族中学校が前身で、校歌が韓国語である。私たちの校区には普通に朝鮮人学校があって、シマチョゴリなど違和感なく幼いころから見ていた。今回優勝したことで、誹謗中傷する声があるというのである。
資格の問題を問う声非難やベストフォー四になった時には、脅迫電話などもあったというのである。
そうした違和感に、京都国際高の白承桓校長は今日は優勝した良い日だからとコメントを避け、西脇京都府知事は「差別的な投稿や誹謗中傷など、あってはならず、許されない行為だ」と差別的な投稿は厳に慎むよう呼びかけている。 韓国メディアも高い関心を示し、聯合ニュースは「民族学校が奇跡の歴史を刻んだ」と速報。尹錫悦大統領もフェイスブックに「在日同胞に誇りと勇気を与えた」と優勝を祝うメッセージを投稿している。
こうしたことも背景のあるのだろう、皇国史観を掲げる嫌韓の人達が騒いでいるのであろうが、高校生の爽やかな汗にそうした概念を持ち込む愚かさを自覚するべきである。古里の高校生の優勝を祝いたい。
上の図は、2021年時点の最新のゲノム解析によって行われた新石器時代から青銅器時代(概ね5000年前)になるころの、ヨーロッパ地域での人(ホモ・サピエンス)の拡散状況である。すでに、ホモ・サピエンスと交雑していたデニソワ人もネアンデルタール人も、絶滅して久しい。
以下は、人類学のゲノム解析の国内第一人者の、篠田謙一著:「人類の起源」古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」中公新書:1,056円(税込み)を引用したものである。
シークエンサー(アミノ酸配列決定機器)の劇的な発達によって、ゲノム解析が急速に進んだ。これまでの人類学が形態や風俗などでの推測の域を出なかった歴史は、科学的に否定されたり決定される時代になったのである。
青銅器時代が始まるころ、ポントス・カスピ海草原のヤムナヤ文化が西に拡散していった。ポントス・カスピ海草原とは、上図大きな斜線地域の東アジアのステップ地帯である。
その中枢となったのが、現在のウクライナで牧畜を主体とするヤムナヤ文化である。ヤムナヤ文化は、車や馬を利用することで牧畜文化が農耕文化を凌駕し急速に拡散し、ヨーロッパ文明の礎を築いていった。多くは北東、中部ヨーロッパに分布し、縄目文土器文化と呼ばれる。
現在に続くヨーロッパ人の文化や地域差は、基本的にはこの青銅器時代(5000年前)の農耕民とヤムナヤ文化の混合の仕方に起因するものでしかない。
『人々の持つ遺伝子は、歴史の中で複雑の絡み合っていて、「民族の血統」などというもの実体などなく幻影にすぎない。』と篠田氏は断じる。
かつて今では存在すら危ぶまれるアーリア民族なるものの、優位性を口実に、ユダヤ人を大量殺害し周辺国を侵略したヒトラーは、非科学的な思い込みでしかない。
全く同じように、今日のプーチンのウクライナ侵略理由に根拠がなくなる。それよりヨーロッパ文明の揺籃はウクライナだと聞いたら腰を抜かすだろう。それとも承知の上かもしれないが。
民族の純潔性などというものはせいぜい数千年前のものでしかなく、科学的に分類不可能なものである。しかし、風土が生んだ文化や歴史や宗教は、国家を作り制度や経済を支え、人々の心の拠り所になっていることまでは否定してはならない。
テニスの大坂なおみが4大メジャーの一つの全米オープンに二度目の優勝をした。彼女の優勝もさることながら、彼女がマスクに込めたメッセージのインパクトも大きい。日本では大きく取り上げられてないが、彼女は毎回人種差別で殺害された人の名前を黒いマスク白文字で書いたのをしてインタビューに応じていた。大坂は自らは黒人であるとも発言している。決勝まで残れたことで、用意した人物のマスクはすべて使った。このことが彼女を励まし、弱いといわれた精神面の支えにはなったと思われる。
彼女のインタビューの受け答えもこれまでにもなかった一段格を上げた感がある。そのマスクの意味はと問われ、「あなたがどう感じたかを教えてくれたら、それが目的です」と答えている。
人類の歴史は750万年ほどであるが、我々ホモ・サピエンスが誕生してせいぜい50万年しか経っていない。言葉など文明の礎になるものを獲得してからでも、10万年しか経っていない。7万年前にアフリカを出て世界に拡散して、文明らしきものを持ってからでも1万年しか経っていない。これ等はミトコンドリアなど最新の解析によって、多くのことが明らかになってきたのである。日本人の多くは2万年ほど前には大陸の平原地帯、中国にいたことが解っている。鳥取の青谷上寺地遺跡の弥生後期の遺跡の人骨の多数が大陸からの渡来人だったことが解っている。
人類が国家を形成したり民族意識を持ったのは、地域による差は大きいが、せいぜい2000年程度である。日本は皇国史観を抱き天孫降臨を国家の始まりとして建国記念日を掲げる国家観は虚偽である。ましてやそれがために命を捧げるなどという過去の歴史は恥じなければならない。
最近でも特にアスリートに様々な民族の子どもたちが成果を上げている。日本に限らず民族の壁は確実に低くなっている。
そもそも、民族は科学的に規定などできない代物、DNAで分類などでるものではないのである。ましてや国家などというものは、人間の経済や宗教や軍事力などの都合で作られたものである。国民に向けて、愛国心を鼓舞したり、民族的な優位性を強調したり差別することなど何の科学的な根拠はないのである。国家も民族も単に成り行き、歴史が生んだ虚構の産物でしかない。
国家や民族はあってはならないという主張をしているのではない。育ててくれた風土や文化や親兄弟は心のよりどころでもあるし、それを否定できるものではない。しかし、それがために、国家や民族を背景にしてそれを理由に忌み嫌い、排斥することなどはってはならないことなのである。
国会の予算委員会で森まさこ法務大臣が、安倍晋三が寵愛の検事の定年を突如として、検事に規定から外した解釈で定年延長を行った。前例のないことで、しかも内部協議や審議もなく安倍晋三が独断で決めた。審議したとか協議はあったし決済もしたと、事前の打ち合わせもなかった森まさこ法務大臣は、口頭決裁したというこれまで誰も聞いた事がない、決済で決めているとのべた。お笑いもいいところで、バレバレの誰も信用しない、誰もがお見通しの嘘で乗り切った。と、本人は思っているようである。
そこで、予算委員会で、なぜ解釈が変わったのかと問われ、「社会情勢が変わったから」と回答した。そこで、どんな具合変わったのかと問われ、「例えば東北大震災で、検事が拘束中の容疑者を逃して、自分がまっ先に逃げた」と回答した。
それが事実かと問われ、「事実です」と回答したが、その後の参院予算委では「私がこの答弁をしたこと自体は事実です」とな回答している。回答したことが事実と回答した。バカみたい。
その後、どこの誰かと問われ返答に困った、法務大臣は。「個人的見解である」と回答した後に「検事は被疑者の拘束は困難だった」などと述べている。が、検事が逃げた事実は触れなかった。トーーベンにもなっていない。なんのこっちゃ。
それが検事トップの定年延長しなければならない理由にどうしてつながるのか、さっぱりわからん。
法治国家のトップの人物が、三文芝居、猿芝居も足元にも及ばないような、馬鹿げた理由を口にているが、これで日本は法治国といえるのだろうか。頭が腐っているから、平気で腐った答弁ができるのだろうが、私にはじぇーんじぇーん解らん。
ウォルマー社が、西友を完全子会社化した。これは今までのこの会社のアメリカでの活動を見ると、彼らの目的の一つを達成した感があるように思える。
ウォルマー社は、世界最大の小売り販売業者である。販売額を、GDPとして評価しると世界第19位の国家に相当する世界最大の企業である。雇用労働者は160万人になり、ペンタゴンと太いパイプもあり、政治的影響力も強い。巨大な資金力と、ICタグ技術で世界を席巻する。
この会社は、アメリカの地方に進出して、安売り合戦を繰り返し地域の業者を潰してしまう。その後、地方で販売効率が悪いとなると早々と撤退して、地域の疲弊を促進させることの一役買っている。ウォルマー社の進出で閉店に追い込まれた店舗 が、1万3000店に及ぶと言われている(UFCW:国際食品労働組合)。
さらに影響のあるのが、労働条件を悪化させたことである。社会保険も年金も負担しない、時給労働者を主体にしたことで、コストの低減をなし労働市場を混乱させている。進出した地域に限ることなく、労働条件レベルを極端に劣化させている。
政治力を駆使して、進出地域や国家に道路や港湾などのインフラを整備させ、他企業をの条件格差をもうけたり、
イギリスでは、1990年代になって、郊外の大型店舗の進出に規制を加えるようになった。日本は、小泉・竹中路線が規制撤廃に動き、相当程度のチェーン店の進出が地方の疲弊・格差を増大させている。ウォルマーの進出で、日本がウォルマー化する条件が整った感がある。
ウォルマー社の日本進出には、大きな規制を加えなければ、巨大し資本と政治力を駆使した企業に席巻され、格差はさらに広がることになる。
羅臼港
春誓い羅臼港