経営実態調査から
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マイペース型酪農20戸の平均
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根室管内A農協の平均
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草地面積
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54ha |
80ha |
成牛頭数(総頭数 ) |
42頭(65頭) |
73頭(120頭) |
放牧農家
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全戸昼夜放牧 |
80%の農家が放牧 昼夜放牧は50% |
濃厚飼料(1頭/年 ) |
876 kg |
2599 kg |
化学肥料施肥量
(10a当り ) |
放牧地 8㎏ 採草地 22㎏ |
放牧地 30㎏ 採草地 50㎏ |
年間出荷乳量
明日で地球の人口が70億人になると、国連が推計している。恐ろしい数字である。日本は人口減少に差し掛かっている。人口増加の意味をこの国の人は、どうも実感していないようである。 国連の推計では、2050年に90億人、2080年には100億人に達すると見られている。人口問題は即、食糧問題である。 1億人以上の国民を抱える国は、11カ国である。穀物自給率に限ってみると、アメリカの180%を例外にすれば、100%を超える国が6カ国、80%以上が3カ国である。低いのはメキシコで66%である。 そんな中にあって日本は驚異的に低く、わずか28%である。しかも輸入する穀物の50%は家畜に与えている。家畜に与える穀物は、無関税である。 日本は強い円を背景に、世界の穀物を買い漁っている。買い漁って、穀物価格を吊り上げている。途上国から食料を奪っていることになる。 それがあるうちは、まだ経済原則が優先されても、評価あるかもしれない。しかし、世界各国の貧困層を飢えに追いやるとなれば、いささか問題である。 国情を考えることなく、無関税は日本のような高い通貨を持っているところが、平気で飢える人たちから穀物(食料)を奪い取ることになる。 そして社会不安を引き起こし、国家間の格差を拡大させ、戦争の口実に仕立てられてゆく。 アメリカはなるべく目立たないように振舞っているが、穀物は最大の戦力物資である。都合のよいことに、その穀物価格は高騰している。 悠長にTPP論議などやっている場合ではない。グローバルな視点に立てば、今なにを先進国がやらなければならないかは、明白である。 環境省のがれき受け入れ依頼に、焼却処分として受け入れを表明していた、釧路市・鶴居村などによる釧路広域連合が、受け入れ撤回を表明した。 先ごろ、札幌市の上田市長は放射性廃棄物の受け入れ拒否を表明したが、これは大いに問題のあるところである。受け入れ拒否については、評価するべきであるが、何しろこれまでの国のやり方が汚い。 一般がれきの受け入れ打診をして、これに応じてくれてから、昨年まで100ベクレル以上が放射性汚染物質と規定していたのであるが、8月になって8000ベクレル以上が汚染物質と言い出した。 8000ベクレル以下は、一般廃棄物である。受け入れ表明したところは、狐につままれたようなものである。さらに、埋却については10万ベクレルまでいい、コンクリートで囲むなら10万ベクレル以上でもいいと言い出したのである。 この先どこまで「放射性汚染物質」のレベルを、国は上げてくるかわからない。なにしろ、福島では”除染”・除染の毎日である。さらには、廃炉になる原発の処分も残っている。これからどれほどの汚染廃棄物が出てくるかわからない。いつまで8000ベクレルでいられるかもわからない。 せっかくの自治体などの善意の復興協力を、後ろ足で砂をかけるような態度である。今回の釧路広域連合の受け入れ撤回は、大いに評価されるべきである。 放射能については、拡散するような対応は間違っている。居住禁止地域の設定などに早急に取り組み、封じ込めを行うべきである。 フォトアルバム<今年も来ました冬の使者>をアップしました。 TPP参加と普天間基地移転問題で、野田民主党政権は対米従属への道を鮮明にした。 野田は政権の座についてから、サミダレ的に沖縄に担当大臣、防衛大臣、外務大臣と閣僚を送り続けた。普天間の辺野古移転を既定の路線とするためである。 今回は本人が、仲井間知事と会ってアメリカの言い分を伝えた。野田は巧みに地ならしをしてきたつもりのようであるが、鳩山の虚言に翻弄された後の沖縄の意見は微動だにしない。 一方、TPP参加についても、乗り遅れ理論を展開して参集をほのめかしている。これも単に対米従属への道筋である。 自民党は、総合農政・貿易調査会(加藤紘一座長)とTPP参加の即時撤回を求める会(森山裕代表)が、それぞれTPP参入中止を谷垣総裁に申し入れた。自民党は、民主党に亀裂を入れるに絶好の機会である。自民党が、TPP反対をするという、やや不思議な構図となりそうである。 政権交代は、あらゆるものを犠牲にして対米従属で経済発展を遂げてきたこの国への警鐘になると、私は大いに歓迎した。ほぼ同時進行的に、アメリカの一極支配が終焉を迎えつつあった。ロシアや中国の台頭やEUの発展、何よりも中東諸国の反米闘争が、ブッシュの思惑と反して大きくアメリカを疲弊させていた。 そうした中、グアム移転を検討していたアメリカであるが、順次沖縄から米軍基地をなくすにはまたとない、政権交代であった。・・・筈である。 ところが、鳩山腰抜け坊ちゃまは、東南アジア構想をぶち上げたまでは良かったが、官僚に説得されてヘナヘナになってしまった。解読不能な言語を並べ立てて、日米合意をやってしまった。いや、この坊ちゃまは本当に知らなかったのかもしれない。 TPPは実質日米協議であるが、かといってもFTA(2国間協議)でもない。原則無関税のTPPは、相互の関係を話し合うFTAの2国間交渉ではない。もうすでにかなりの分野で、FTA交渉は進んでいる。それらを壊してしまうのが、TPPの無関税貿易である。 野田政権は、多極化した世界情勢の変化を理解することなく、相も変わらず自民党が戦後行ってきた対米従属を深めようとしている。日本は政権交代という、格好の自立する機会を投げ出してしまって、アメリカの従属国家になってしまった。 左のフォトアルバムに<今年も来ました冬の使者>をアップしました。 リビアのカダフィが、国際法に反する形で殺害された。新生リビアがここから始まるわけではない。カダフィが、欧米の予測に反して思ったより善戦し たことに注目したい。 反カダフィ勢力は、カダフィを倒すだけの力がなかった。NATOが空爆で支援するようになって、ようやく攻勢に転じたのである。カダフィは独裁者ではあったが、40年間居座った最高権力者の地位は、それなりに支持を受けていた時代はあったのである。 欧米の民主主義と資本主義に、国家として立ち向かった時期があった。財政的には豊富な石油による資金を背景に、医療と教育は無料であった。 独裁政権は、浄化能力がないのが最大の特徴である。カダフィも例外ではなく、周辺を近親者で固めた。私服を肥やし続けた。北朝鮮の政権もそうであるが、自浄能力のなくなった独裁者のすることは似通ってくる。 カダフィの亡き後に訪れるのは混乱である。カダフィはあらゆる政治団体を認めなかった。結局拠ってくるところは、イスラム主義となる。しかもこれは乱立が予測される。当分は武力を伴った混乱が続くであろう。 さらには、石油利権を巡ってEU諸国やアメリカが、カダフィ打倒への論功行賞を競い合うことになる。結局は、カダフィが政権をとった時期に戻ることになりはしないか。 民主化とは、アメリカ化になることとアメリカは思っているが、親アメリカ政権は生まれないだろう。エジプトの民主化を支持しては見たものの、反イスラエル・反アメリカ政権が生まれようとしている。アメリカの思惑の傀儡政権は、イラクでもアフガニスタンでも起きなかった。 中東の民主化運動は、スーダンとシリアが残っている。それにドバイとサウジの親アメリカの王政の今後もある。 中東は新たな社会体制を作り上げなければ、新たな混乱の中に入ってゆくことになりかねない。 放射性物質汚染対策処理特措法に基づく基本方針骨子案へのパブリックコメント
私たちの住む別海町は、北海道の最も東にある平坦な台地で、酪農業と水産漁業を主体にする、人口密度の極めて低い一次産業の街です。 別海町と、同町に施設を持つ4町(羅臼、標津、中標津、別海)出資による根室北部廃棄物処理広域連合(以下広域連合)に対し、4月に東日本北海道大震災の災害廃棄物処理の協力打診がありました。国難といわれる事態に協力するのは当然のことと、一般がれきとの認識のもとに、災害廃棄物処理の受け入れを別海町は埋却に、広域連合は焼却に容認の返答をいたしています。 この時点では、環境庁は搬入依頼については「災害廃棄物」としか表現していません。さらに、放射性廃棄物の基準と処理については、科学的にかつ具体的に今後定めるとしていました。
しかし8月になると、がれき特措法が可決されました。同法52条では、全国に自治体への処理の協力依頼が明記され、21条と22条で放射性物質は外すとしています。 またガイドラインで、放射性セシュウム濃度8000ベクレル/kg以下は、放射性汚染から外ししています。結局、汚染のガイドラインは根拠も示されることなく、8000ベクレルとされました。 私たちは、従前の100ベクレルであっても不安を抱いています。8000ベクレルは十分放射性汚染物質の範囲と認識しています。国は今後さらに増えるであろう放射性汚染廃棄物を、処理にために基準を上げたと理解しています。
こうした国の基準見直しを受け、私たちは町に対して、放射性がれきの受け入れについて、町への質問と合わせる形で持ち込まれないようにと申し入書を提出いたしました。町や広域連合は災害に係る一般廃棄物とだけ認識しかなく、放射性廃棄物への認識はほとんどありませんでした。
本骨子案は、一般国民の復興支援という美名のもとに協力を呼び掛けていますが、放射能汚という特質からすれば、何よりも封じ込めることが先決と考えています。被災地に対して、行政あるいは政治家の方々は表明し難いことは十分理解しているつもりです。 今回の行政等への協力依頼は、むしろ拡散を推進する形になると思われます。その方便として、8000ベクレルと言う数字を出されたのだと思われますが、放射能についての安全基準は存在しないのが現実です。 放射性汚染物質は、汚染地域での除染やいずれ取り組むことになる原子炉の廃炉にかかわって、膨大な量になることも予測されます。 例え8000ベクレル以下であっても、私たちの町に大量に搬入されることがないかと、大変不安に思っています。一次産業を基盤とするこの町は、風評被害はもちろんのこと、冷涼な湿原地帯の当地は浄化能力も低く、きわめて深刻な実被害を受けることも予測されます。 放射性汚染物質の処理は移動を制限し、非居住区を設けるなどの現実的な対応が求められる、科学的対応だと思います。
別海町放射性汚染がれきを拒否する会 左の表をご覧になってください。これは、穀物等の国際価格の動向です。例えば、もっとも家畜に与えられているトウモロコシは、2006年にトン当たり90ドルだったのが280ドルになっている。3倍強のです。(クリックすると大きくなります) 国際取引価格はこのように異常な高騰を続けています。本ブログで一昨日とその前の日に引用したのは、食料一般の価格動向です。アメリカが中心になって、世界に売り込む穀物は、それ以上の動向を示している。 ところが日本の畜産農家、牛や豚や鶏を飼っているは、こんな国際価格の高騰など知らないのです。農家が受け取っている、穀物(配合飼料)価格はほとんど動きがないからです。 次の表をご覧ください。この5年ほどの飼料穀物価格の動向です。3色になっていますが、一番下が農家の負担額です。トン当たりの日本円表示であるが、5年前に4万5千円ほどが5万5千円ほどになった程度です。20%程度しか上がっていない。 一つは農家が積み立てている、価格急変に対する積み立てが機能しているからです。中間の色がそうです。一番上の薄いのが、その積み立て補填額です。農家の経営安定のための自主防衛です。 しかしなんといっても大きいのが、円高である。2006年には110円ほどだったのが、現在は75円にもなっている。80%も上がっているのである。 こうして、生産者も消費者も現在起きている、きわめて深刻な世界的な食糧事情を知ることがない。 畜産農家は、海外から大量の穀物を輸入しながらも、その動向に無頓着になっている。家畜に与える大豆を含む輸入穀物は、国内で消費する人の食べる量とほとんど同量である。 穀物の国際価格が高騰するのは、投機マネーによるものが大きいが、収量不足などで食べられない人が10億もいることがなんといっても大きい。 円高になった日本は、飢餓に頓着することなく世界中から穀物を買い集めて、大量に家畜に給与している。給与された家畜は、高生産を強いられて消化器循環器など生産にかかわる、臓器の慢性的な病気になっている。 グローバル化とは、こうした食料の動向や、飢える人たちのことを考えることである。関税を撤廃し、強者が残るシステムにすることではない。 TPP論議などやって、自国の農業を疲弊させようとするのは、もってのほかである。生産者も消費者もそのことを、深刻に考えてもらいたいものである。 左の表は、昨日と同じくFAOが今月発表した食料の国際価格の、年度ごとの動向である。2002-2004年を100とした、月ごとに変移である。 毎年、在庫が豊富な、北半球で作付けされる春には低く、収穫期に向かって、高くなっている。ところが今年(赤線)、は高い水準を示しそのままである。 しかも、数年前の2.3倍で推移している。世界の食料価格は、極端に高くなっていて、しかもそれが下がらない。2008年も前半は今年と同様の動きをしていたが、リーマンショックの反動で、一旦上がった価格が下がっている。 穀物価格の動向は、一つには新興国の経済成長と人口増加である。これはある意味、物理的な動きでわかりやすい。 もう一つの要因が、投機マネーである。これは、人口の動向や収穫の過多とは無関係である。投機マネーが、穀物を買い付けるのであるが、食料を確保してそれを販売するのではない。単に、投機の対称にしているだけである。 リーマンショックの後は、石油を買い付けていたマネーが買い込んだのである。幼いころ、親に食べ物を粗末にするな、お百姓さんを思って残さず食べろ、食べ物で遊ぶなといわれたが、まさしく投機マネーは食べ物を粗末に扱い、遊んでいるのである。 モラルが通用する相手でないことはわかっているが、世界の10億人が飢える原因にもなっているとなると、何らかの規制があって然るべきであろう。食べ物に限らない。金融経済は、実体経済とかけ離れて存在する、虚業の世界である。ウオールストリートのデモはその意味で、現実を反映している。 今月末に世界人口は、70億に達する。今世紀初頭には、20億人になったが、10億人増えるのに125年要している。ところが、60億人になったのが1999年であるから、わずか12年で10億人増えたことになる。やや鈍化したというものの、驚異的な人口増加である。 投機マネーにいいように買い込まれ、もてあそばれている場合ではない。食糧問題は、深刻なりつつある。特に海外依存の高い日本は、しっかりした農業への取り組みが求められる。 リビアのカダフィは殺害されたが、食料自給率の低いエジプトのデモの発端は「パンと自由」である。中東はどの国も、小麦輸入大国である。 日本は、目先の経済的効率のみを追求する、TPPなどというものを論じている時ではないのである。 左の表をご覧ください。FAO が今月発表した1990年からの、食料の国際価格の変動です。この21年間で、実に2.3倍になっています。(クリックすると大きくなります) 2007年までは大きな変動はありません。これは、リーマンショックを受けての、投機含みなどによる価格高騰である。 さらに昨年の、ロシアの穀倉地帯の干ばつによる穀物輸出禁止がこれを後押しした形です。リーマンショック以後に、ほぼ倍になっていることがわかる。 ところがこうした世界情勢の中にあって、日本は安穏としている。ほとんどのメディアは騒がない。どこも高騰の実感がないからである。 この時期、偶然かどうかわからないが、急速な円高化と重なっているからである。国際価格は高騰しているにもかかわらず、日本は食料の価格と供給量について、鈍感になる原因がここにある。通貨の評価は水物である。いつ円安になるかわからない。 日本は、円高によって消された食料高騰といえる。酪農家など畜産農家は大量に、輸入穀物を家畜に給与する。実際に酪農家は、これだけ円高になったのに、下がらない輸入穀物価格に首をかしげているのが現状である。 これほど世界が、食料を巡って激しく動いている最中に、こともあろうかTPP論議をする政治家たちは、日本の食料について何も考えていないといえる。 そんな時ではないのである。10月17日は世界食料デーである。ローマで開催された、FAOのこの会議では、乱高下する価格に警戒感を発している。わが国では、報道すらほとんどない。 今月世界に人口は70億に達する。大局的見地に立てば、TPP論議すら子供じみて見える。 NHKの調査で、電源三法交付金を4つの自治体が、南相馬市に続いて申請を辞退していることがわかった。 この交付金は申請するわけであるが、来年度に向けて南相馬市、浪江町、鹿児島県、薩摩川内市がしなかったというのである。 この交付金は、これまで44の自治体が受け取っている。つまり、こんな状況でも40の自治体は、交付金くださいと申請しているのである。東海村などは、廃炉を申請しておきながら、お金はくださいと申請している。 地方はいろんな意味で、疲弊している。お金が入ってこないのである。そうした中での、巨額な原発がらみのお金ありがたい。それでも、これまで筋をとしてお金など要らないと言った、自治体もわずかではあるがあった。本ブログでも評価をしながら述べたこともある。 http://blog.goo.ne.jp/okai1179/d/20110804 電源三法はこの40年余りで、9152億円も支払われている。地方にとってありがたいのは、この法に基づく金は調査段階から支払われる下にある。 核燃料税は、稼動していなければ払われない。請け負った自治体が、危険を知りながらも、稼動を願うのはこのためである。これまで、6759億円支払われている。 また一旦原発を引き受けた自治体が、ほとんど例外なく、増設を希望するのはこうした理由からである。 固定資産税は最も多く、1兆3441億円支払われている。とてつもなく高価な施設であるから、請け負った自治体はありがたいものである。電力会社は、当然これは料金に上乗せすることになる。つまり消費者が支払っているのである。 このほかに、正体不明なのが電力会社が支払っている、寄付金がある。上記のもそうであるが、こうした金は懐柔策でしかない。黙って出す金に理由がないわけがない。 いずれにしても、これらは国民の税金で賄われることになる。われわれの負担になるのである。 日本と北朝鮮との最大の懸案事項は、いわずとも拉致問題であることに変わりはない。北朝鮮が、日本を抱き込めばアメリカとの対話の窓口になるかと、小泉に色気を見せた。 北朝鮮政府自体が、拉致問題の全容を把握していない。重要問題と捉えていなかった。数人返すと、日本は溜飲を下げると思ったに違いない。ところが、拉致被害者家族は、拉致事実の解明と全員の救出を求めた。当然のことである。 膠着した日朝関係に、拉致被害者家族は、北朝鮮への経済制裁を求めた。自民党政府は次第にそのボルテージを上げ、最高レベルの現在に至っている。 本ブログで何度も述べているように、最大の北朝鮮問題は北の人たちの食糧問題、人道問題である。食糧援助しても、支配層が潤うばかりである。制裁をしても、一般国民が飢餓に陥るだけである。支配層にとって 何の効果もない。 北朝鮮自身が修復能力を喪失している。独裁政権、権力の世襲と弾圧と貧困。どれをとっても、非人道的体制である。太陽と風ではないが、経済制裁だけでは、国家間の不信がつのるばかりで、話し合いの糸口も見えてこない。唯一の糸口である6者協議から日本を外すことすら、北朝鮮は提案している。 そうした中、ロシアがわずかに接する国境を抜けて、露朝鉄道を開通させた。建設費用の250億円は、全額ロシアが負担した。ロシアの望みは、天然ガスの供給である。露朝鉄道は、韓国まで延ばし、釜山(プサン)港まで行く計画である。鉄道に沿って、天然ガスを送る算段である。 ロシアは、成長の止まったヨーロッパより、経済成長著しい東南アジアや日本に天然ガスを売りつけたいのである。 南北朝鮮は、パイプラインの使用料として、毎年1億ドル金が落ちる。もちろん鉄道の経済的効果も、相当高いもの望める。 ロシアは、北朝鮮カードを独り占めする中国に対しても、敵対するアメリカに対しても、北朝鮮の抱きこみは政治的効果が高いと読んだのである。 北朝鮮を経済制裁し続けると、日本が孤立するだけである。硬直化した日本の外交は、そこまで読みとることすらできない。 野田首相が打ち出したTPPの来月結論をめぐって、新聞の論調は各誌各様である。概ね、拙速であり論議が不十分だという声が多い。 琉球新聞は、来月結論を乱暴であると断じている。農業に対する十分な支援策もない。その他環境、労働、公共事業などの新ルールの論議もないもない。激変が予測されるがこれでいいにかとうている。 中国新聞は、オバマ大統領の来年改選に向けた、日本への圧力である。APECが期限であるのはそのためである。農家の体質強化をしたところで、海外に対抗できるのかと疑問かかけている。医療介護に金融や公共事業はどうなるのか、問題が大きすぎる。 山陽新聞は、TPPの痛みを最小化する策を示せとしている。農業か貿易化という二元論で問うのはおかしい。農業ばかりが取り上げられるが、労働や通信などについても、メリットとデメリットを示し、論議せよといっている。 神戸新聞は、国民に判断材料をもっと示せとしている。関税撤廃の前例を示せ。オバマの市場拡大を狙って、日本に決断を要求しているのではないか。不参名による影響を示せと問うている。 新潟日報社は、地に足つけた論議を深めよとしている。東日本大震災で苦しむ農家を、さらに追い込むことになる。政府は「職と農林漁業の再生実現会議」で、農業を規模を10倍にすると明記している。この提言は、TPPを念頭に置いてはいないと疑問を呈している。 華北新報は、拙速な結論は避けねばならないとしている。震災復興最優先にすべきときに、この国を左右しかねないことを、1ヶ月で結論出せとは拙速である。農業支援の財源が明記されていない。 岩手日報は、見切り発車は避けよと警告する。農業以外の分野の論語がされていない。木材は自由化によって、85%の自給率が18%まで下がった。公共事業に事情がわからない外国企業の参入はどうなるのか、不安を示している。 北海道新聞は、拙速であるとし、現在の9カ国の交渉も、例外品目を巡って、難航している事実を挙げている。首相の農業再生を疑問視している。国民生活がどのようになるのか、はっきり示すべきとしている。 しんぶん赤旗は、なにがなんでも突き進むのかと、農業分野への影響を問うている。民主党は、食料自給率を掲げて政権を勝ち取った。流通まで含めた、6次産業化を訴えていたが、TPPについては国民に何も問うていない。規模拡大が競争力を持つ保証などない。 日本経済新聞は、首相が強力な指導力を発揮して、早く交渉に参加するように促している。APECの晴れ舞台で、交渉参加を表明するよう促している。後での参加は不利になるとしている。 毎日新聞は、首相は力強い決断をと題して、農家へ十分な対策をするように、現行の保障制度の充実をとしている。誤解に基づく、反対論には丁寧に説明せよとしている。ここで脱すると、日本に未来はないとしている。 YOMIURI ONLINE(読売)は、農業の規模拡大が先決としている。その一方で、農地税制改革や農業委員会の見直しを持ち出している。 東京新聞は、攻めに転じて交渉参加に臨めと促し、農業の規模拡大を提案している。雇用が促進されるとしている。 TPP参加を促す新聞は、農業のことしか語っていない。それも規模拡大すれば、農業が強くなるというのである。北海道は府県の10倍近い規模であるが、足腰の弱い負債を抱えた農業になっている。決して競争力があるわけではない。 反対あるいは慎重な新聞は、交渉内容を総合的に見ている。24もの交渉分野があるが、それらの無関税と制度の均一化は、あまりにも不透明なことが多すぎるからである。 何より、民主党は食料自給率の向上を掲げておきながら、それらのことを瓦解させる作業に、拙速に取り組んでいる。そんなTPPである。 アメリカに怯える、野田民主党政権の姿がここに見える。 アメリカのウオール街で始まった、金融業に対するデモが広がっている。「われわれは99%である」が共通の認識になっている。格差社会への不満の表れである。 ごく一部の特定の人が、儲けている社会に対するデモである。9月の下旬に始まったデモは、日に日に大きくなっている。支援する人たちも目立つようになっている。退社した人たちが加わりやすい時間帯に、デモは連日続いている。 反金融社会への動きは全米に広がり、100箇所ほどで起きている。共和党を支持する不特定の運動、ティーパーティーに対する位置づけ もあった湯小田が、民主党を特段支持しているわけでもない。不特定の人たちの動きである。オバマは取り込みをやっては見たものの、全米に広がりその思惑は外れている。 格差社会への不満は、世界に広がりをはじめている。15日では一斉デモが呼びかけられて、イギリスやオーストラリア、フランス、日本などでもこれ呼応した。 この運動の初期の発想は正しい。何も生産することなく、儲け筋を探す だけで大金が転がり込む資本投資が、巨大な利益を生む。これは、明らかに労働に対する対価としてある、収入とは明らかに異なる。 資本主義社会がこれほど、一瞬にして世界を席巻する時代でなかったころは、彼らは単なる金貸しである。社会のつまはじき的存在でしかなかった。その方が、まっとうな扱いである。 それが今や、平気で通貨危機を起こしたり、リーマンショックなどを起こし、世界を混乱させる存在になっている。その間にも、儲けることだけには、怠りがない。 資本は巨大化することを命題にした存在である。そうした意味でも、格差社会は、人災である。今日も貧者に降り注ぐ。 TPPの基本的思想は、自由貿易である。安いものは買われる。これは市場が求めている。必要なものは高価でも売れる。これも市場が求めているということになる。 市場とは売れ筋を決める、社会的作用と思われるが、自由経済とりわけ新自由主義者は、市場の決定は天の声、神の手だと反論を許さない。 一方政治とは、新自由主義者にとって、資本が市場で勝手気ままに動けるように、規制をなくすことと断じる。規制緩和によって、経済は活発化して税収が増え、社会資本が拡充されることになるというのである。 しかし、自由競争社会ですべてが勝者になるわけではない。勝者はほんの一部でしかない。99%は私たちだと、アメリカの市民が動き出しているが、現実には勝者は1%にすら満たない。 新自由主義は、勝者の論理である。敗者になりたくなければ、競争に勝ち抜くことだと決め付ける。勝者は勝ち続けなければ、いずれ敗者になる。 政治がなすべきことは富の分配であり、社会の安定である。新自由主義はこうした政治の働きを認めない。弱者は社会の隅で生きてゆかなければならない。 TPPは勝者の論理、あるいは勝者を想定したシステムである。勝者への願望である。無関税による国家間、地域間の経済的、文化的相違は認めようとしないシステムである。 グローバル化とは、地球全体のことを考えることである。安価であれば、地球の裏側にまで買い付けにいく資本が、地球環境の悪化を招く根源になっている。途上国の富と資源を収奪することになる。 21世紀は環境の世紀である。エネルギーや食料それに福祉は、きわめて限られた地域の中で、賄われるべきである。TPPはこうした、今こそ求められる社会の動きに対峙するものである。 自由競争によって、大量の敗者が量産されることになる。最大不幸社会になる。TPPというシステムは、明らかな人災として人々に降り注ぐことになる。 TPP論議が盛んになってきた。野田内閣になってからである。前原政調会長になってからである。震災復興に具体的に動き出してからである。 韓国は、TPPに参加しない。各国間でFTA二国間交渉を積み重ねている。今回アメリカとFTAを結んだ。日本の車が売れなくなると、日本の報道はいっせいに報じている。 韓国が食料自給率がせいぜい10%程度であることや、GDPの80%が輸出によっていることなど報じない。 極度の円高で日本の輸出産業は手詰まりである。さて、日本はどうすると報じている。概ね報道はこうした内容に終始している。 日本は国会で、3度も米は一粒たりとも輸入しないと決議している。こうした経過を考えると、今回TPP参加を見送ったとしても、いずれは経済至上主義者からの巻き返しがあることは十分予測される。 TPPとは、各国間で関税をなくすことである。地域の特性や民族の文化や風土など考慮するものではない。TPPは経済効率一辺倒で、世界は支配されるべきという論理である。 このことが、リーマンショックに始まる今日の世界経済の危機あるいは行き詰まりの原因になっていることは、誰もが承知していることである。 外貨資本を持たない国は巨大な資本に、圧倒され収奪されて破壊されるだけである。 資本は巨大化しなければ、自己消滅するか吸収されることになる。資本は際限なく大きくなることで生き残る。国にもその論理を当てはめるのは間違っている。 |